《徹底網羅》 SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の取り組み 9選

#ジェンダー#ダイバーシティ#女性 2021.10.13

この記事をSNSでシェア!

 

【更新日:2021年10月19日 by おざけん

近年、SDGsが注目され「多様性」に注目が集まっています。多様性を保つために、最も注目されているのがジェンダーです。

多様性を担保し、一人ひとりが輝ける社会をつくるために、まずはジェンダーに対する差別をなくし、性別に関係なく、仕事をしたり、生活を営めるように、社会を変革させていかなくてはいけません。

今回の記事では、ジェンダー平等のための企業の取り組みについて海外の事例だけでなく日本国内の事例まで幅広く多く紹介していきます。

 SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、ジェンダーにフォーカスを当てたSDGsの17の目標のうち唯一の目標です。

まず、「ジェンダー」とは生物学的な性別(SEX)とは異なり社会的・文化的につくられる性別のことを指します。

例えば、近年よく耳にする「LGBTQ」とはそういったジェンダーの種類を表す言葉です。LGBTQは、「Lesbian・Gay・Bisexal・Transgendar・Queer・Questioning」といった6つのジェンダーの略称。現在東京には、人口の3%-10%に当たるLGBTQの方々がいるとされています。各言葉の意味は以下の通りです。

Lesbian 女性同性愛者
Gay 男性同性愛者
Bisexual 両性愛者
Transgendar 性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人
Queer/Questioning 自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人、わからない人

▼LGBTQについて詳しくはこちら

また、こちらの目標のターゲットは以下のようになっています。

5.1 あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女子に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚、および女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4 公共のサービス、インフラ、および社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6 国際人口開発会議(ICPD)の行動計画および北京行動綱領、ならびにこれらの検討会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康および権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ、および土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b 女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性および女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化する。

詳しくはこちらから▼

ジェンダー平等を実現する取り組みとは

ジェンダー平等実現のための代表的な取り組みとして、産後休暇・育児休暇の導入とセクハラ防止策の取り入れなどが挙げられます。

産後休暇・育児休暇の導入

全ての女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃が明記されているSDGs達成に向けた取り組みの一環として、雇用条件の見直しが挙げられます。その中でも、男女に平等な雇用条件を整えるのに有効な産後休暇・育児休暇の導入がジェンダー平等のためにも重要です。

特に女性は、出産の前後に働くことが難しくなり、そのブランクから職場復帰に支障が出てしまうケースが指摘されています。「子供を産む・育てる」ということで、女性の職場復帰が難しくなることは男女間に不平等を招くほか、さらなる少子化を招いていると言わざるを得ません。

そこで、産後休暇・育児休暇を導入し、ストレスなく、出産や育児に向き合える環境を整備する他、生理休暇の導入など、女性に対するさらなる環境整備が求められています。

セクハラ防止策の取り入れ

SDGsのターゲットの中には「公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力の排除」も組み込まれています。公的空間でこれを実現するために、セクハラ防止策があります。

セクハラの防止とは、発生の防止、被害発生を把握するための体制整備、事後の迅速かつ適切な対応の3つ。また、どこからがセクハラになるのかの判断が難しいためセクハラの基準の明文化や、セクハラを未然に防ぐための教育も欠かせません。

女性の管理職採用

企業において管理職をはじめとした指導者的立場の女性の割合の向上と、女性の能力が十分に発揮されるための機会や環境を確保し、整備することはSDGsでは求められていることの1つです。

日本政府では課長相当職以上の役職に占める女性の割合の向上を目指し、女性活躍推進法を施行し、大企業に女性の活躍に関する状況把握と課題分析、女性が活躍できる環境の整備を行う行動計画の策定や届出、周知、公表などを数値的な目標とともに求めました。

法律の施行以来女性の管理職の数は徐々に増えていますが、まだまだ他の国と比べると数値は低いというのが課題です。引き続き、さまざまな工夫が凝らされています。

子育て負担の低減

働く女性にとって、大きな問題である「子育て」。そんな子育てに対する負担を低減するために、政府は「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」の重点措置として

前述の雇用環境の改善に加えて低年齢児保育、延長保育、一時的保育事業の拡充を掲げています。

国内では待機児童問題など、子を持つ親が安心して働くためには取っ払うべき課題が多く山積しています。男女が公平に活躍できる社会を目指すためには、社会全体で子どもを育てるという意識のもと、特に保育サービスを拡大させていくことが重要です。

SDGs目標5達成のための世界の取り組み3選

このパートでは、2021年ジェンダーギャップ指数でトップ3にランクインした国々のジェンダー取り組みについて紹介していきます。

トップスリーにランクインした国々は、アイスランド・フィンランド・ノルウェーで、いずれもヨーロッパの国々です。

アイスランドの取り組み

日本と同じく島国のアイスランドは、なんと12年間連続「世界で一番ジェンダー平等の国」。このような圧倒的な功績の裏には、アイスランドが誇るジェンダーに関する法律と画期的な仕組みがあります。

①ジェンダーに関する法律

アイスランドでは、2000年に育児休暇が拡充され2018年には男女に同等の賃金が払われていることを証明することを雇用主に対して義務付ける法律が整備されました。

父親と母親がそれぞれ6ヶ月ずつ育休を取ることが可能な上、その期間の給料の8割は国が負担するという制度の結果、アイスランドでは父親の育休取得率が7割超え。後者の法律は、そもそも市民の声が発端でできた制度でアイスランドのジェンダー平等を大きく前進させました。

②クオータ制

アイスランドのクオータ制は、企業役員や公共の委員会はメンバーの40%以上を女性とすること(男女共に40%を下回ってはいけない)が定められている制度。

この制度によって、アイスランドでは女性が管理職にいることが当たり前という風潮が形成されました。

フィンランドの取り組み

ジェンダーギャップ指数世界2位のフィンランド。国土の70%が森で覆われているということがあり、市民の自然問題に対する理解が深い国です。しかし、フィンランドはジェンダー平等を担保するの面でも優れています。

①市民活動

フィンランドには、「TANE」という政府機関が存在します。

社会保健省の管理下にあるTANEは男女の構成員から成り、ジェンダーに関する法整備や調査を実行。また、政府からは独立した立場である組織の活動も活発です。フインランドの人々はジェンダー問題に対する意識が高いことがはっきりとわかります。

②男女平等教育

フィンランドの特徴といっても過言ではないのが、男女に対する平等な教育。特に、質が高い女性教育が有名。幼い頃から、男女平等の考え方を教えられます。さらに高等教育を受けた女性は社会で活躍し、その姿を見た子供達も将来ジェンダーに関係なく社会に羽ばたいていきます。

ノルウェーの取り組み

ノルウェーでは、特に労働面と教育面でジェンダー平等に関する取り組みが推進されています。

①労働環境の整備

具体的な数値で示すと、1972年には45%だった女性の就業率が現在では70%にまで上昇。これは、着実な女性に優しい社会への成長を表しています。取り組み例として、NHO(ノルウェー経営者連盟)が次世代の育成として女性の幹部育成を行っています。ノルウェーには、女性を育てる基盤とジェンダー平等を実現するたの確実なが績があることがわかります。

②育児環境の整備

ノルウェーでは、1993年に父親の4週間の育児休暇制度が導入され、2007年7月から10週間に延長。その結果、男性の家庭に関する考え方に大きな変化が見られました。

現在は、さらなる制度の充実を目指して協議が進んでいます。

ジェンダー平等を実現するための日本企業の取り組み3選

行政の取り組みだけではなく、他のSDGsと同様に企業もジェンダー平等の実現に貢献しています。今までSDGs CONNECTで取り上げた取り組みについて簡単に紹介します。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、女性活躍推進制度「macalon(マカロン)」を設置。以下の通り、8つの取り組みを推進しています。

制度 内容
エフ休 女性特有の体調不良の際に、月1回取得できる特別休暇
妊活休暇 不妊治療中の女性社員が、治療のための通院等を目的に、月1回まで取得可能な特別休暇
婚活コンシェル 婚活に興味がある社員や、将来妊娠に不安がある社員が、専門家に月1回個別カウンセリングで相談できる制度
キッズ在宅 子どもの急な発病や登園禁止期間など、子どもの看護時に在宅勤務できる制度
キッズデイ休暇 子どもの入園・入学式や親子遠足、参観日といった学校行事や記念日に取得できる特別休暇
認可外保育園補助 認可保育園・認証保育園に入れないために仕事復帰ができない社員を対象に、高額な認可外保育園料の一部を会社が負担することで社員の仕事復帰を促進する制度
おちか区ランチ 居住する市区町村によって異なる保活情報や育児にまつわる情報について、ママ社員同士で情報交換・相談できるよう、同じ市区町村に住むママ社員(妊娠中のプレママ社員・産休育休中のママ社員も含む)が集まるランチ代を補助する制度
ママ報 ママ社員向けの社内報の配信

▼サイバーエージェントの取り組みについて詳しくはこちら

朝日新聞社

朝日新聞社では、2020年に「朝日新聞社ジェンダー平等宣言」を出しました。

コンテンツに関わるすべての人の多様性を確保するために、取材対象やイベント登壇者の男女平等を2030年までに達成することを宣言しています。

また、女性管理職比率を現在の約12%から倍増させること・男性育休取得率の向上を目標として掲げています。

▼朝日新聞社の取り組みについて詳しくはこちら

アサヒビール

大手飲料メーカー、アサヒビールは「アサヒグループ人権方針」を発表。

この方針ではその名の通り「人権」にフォーカスを置いて全社員と役員に対して、さらにはビジネスパートナーに対してもコミットメントを期待しています。

方針の中ではジェンダーに限らず様々な差別を行わないことを明示し、事業にも組み込んでいます。

取り組まれている事例として、「LGBT従業員向けの社内制度」の運用があります。

アサヒビールは2020年9月1日からLGBT従業員に向けて同性婚パートナー届出制度と性別取扱変更届出制度の適用を開始。これらの適用によって、育児休暇・介護休暇の収得率の向上や自認性別に対応した更衣室やトイレの利用についての相談しやすい環境が実現。

また、LGBTの関わる管理職への教育としてLGBTマナー研修を実施。当事者のみでなく、周りの人々の理解を深めることにも注力しています。

▼アサヒビールの取り組みについて詳しくはこちら

ジェンダー平等の達成のために私たちができる身近な取り組み3選

1.家族・パートナーと話し合う

現代でもなお、ついつい女性に偏りがちな家事。家族やパートナーと、家事のバランスをとるために話し合うことが大切です。

2.寄付してみよう

ジェンダー支援の一環として、「寄付」があります。HAPPY WOMAN 基金や国連ウィメン基金を通して寄付することで間接的に発展途上国で危険にさらされている女性たちの支援ができます。

寄付や募金というと、24時間テレビやスーパーで行っているものなど大規模なものがイメージされやすいのではないでしょうか。しかし、今の時代は寄付もインターネットで行うことが可能です。スマートフォンがあればできる簡単な方法を一度試してみてはいかかでしょうか。

3.女性支援へとつながるブランドのプロダクトでオシャレを楽しもう

現代では、女性支援に関するプロダクトが増えています。購入するだけで、女性活躍の発展につながるなら最も取り組みやすいのではないでしょうか。

例えば、ヘアケアブランド「Headquarters」では女性や女性だと自認している人々に対するメンタルコミュニティサポートを提供すると宣言しています。このようなプロダクトを購入すると、売り上げの数パーセントが寄付されるソーシャルアクションに繋がるプロダクトが増えています。

最後に

なかなか、個人ではなく大きな取り組みばかりが注目されがちなジェンダー問題。

ここまでの取り組みの紹介を通して、SDGs 目標5の実現に向けて日々努力する団体・人がいることやジェンダー問題の解決について少しでも考えるきっかけになれば嬉しいです!

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    《徹底解説》SDGsとパートナーシップ|世界から日本国内のパートナーシップまで徹底網羅

    SDGs達成のために私たちにできることとは?|誰でも簡単にできるSDGs活動をご紹介

    SDGs論文のを書く方法-テーマ選定から参考論文、コンテスト傾向まで徹底解説

    ESG格付け(レーティング)とは?評価機関の一覧や金融庁の対策も紹介

    LGBTの人が困ること14選-現状から解決策まで徹底解説

    《必見》SDGsに貢献する投資とは|SDGsに貢献する投資の種類や方法まで徹底網羅