フェアトレードとは、発展途上国などの労働者の生活や自然環境を守るために、適切な方法で生産されたものを適正な価格で取引する仕組みのことです。フェアトレードに対する関心は年々高まっており、日本国内でも多くの製品が販売されています。
この記事では、フェアトレードの定義や商品の種類、購入できる場所などについて紹介します。
【この記事で分かること】 |
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フェアトレードとはなにか
まずはじめに、フェアトレードの定義や歴史、SDGsとの関係について紹介します。
フェアトレードの意味
フェアトレードとは、発展途上国などで現地の人々の生活や環境に配慮して適切に生産された商品を、適正な価格で取引する仕組みのことです。フェアトレードは欧米などの先進国だけでなく、近年日本でも注目されています。
そもそも、私たちの生活に欠かせないコーヒーや紅茶、バナナやカカオ、砂糖などの食料品や衣料品などの多くは、主に発展途上国で生産され、私たちのもとに届きます。
しかし、安価な価格で取引される商品の生産が、現地の低賃金労働や児童労働、劣悪な労働環境や過剰な農薬による環境破壊などに繋がっている場合があります。これらを適切な価格で購入することで、現地の人々の労働環境改善や環境破壊の防止につなげようという試みが、フェアトレードです。
フェアトレードの歴史と発展
フェアトレードの始まりは、第二次世界大戦後のアメリカの国際協力NGOが、発展途上国のプエルトリコの手芸品を購入しチャリティーイベントで販売した「オルタナティブトレード」にあるといわれています。
慈善活動として始まったオルタナティブトレードは、従来の市場取引とは違う貿易の仕組みを作ろうとしました。しかし、商品の品質をそれほど重視せず、発展途上国を支援することが目的であったため、あまり多くの消費者を獲得することができませんでした。
そこで、次第に従来の貿易自体ををフェア(公正)なものへと変革し、発展途上国の産業や生産者の持続的な発展・自立につなげようという気運が高まり、現在のフェアトレードの形になっていきました。
参考:フェアトレードの歴史を紹介!慈善からビジネスへと展開 | SDGs特化メディア-持続可能な未来のために (mirasus.jp)
フェアトレードとSDGsの関係
発展途上国の持続可能な開発や人権・環境の尊重を目的とするフェアトレードは、SDGs(「持続可能な開発目標」)と深い関係があります。
SDGsの17個の目標はフェアトレードの理念と似ているものが多いですが、以下の表に載せた目標は、特に関連性が強いものです。それぞれどのような関係があるのか見てみましょう。
目標1「貧困をなくそう」 | 適正価格での輸入を通じて低賃金労働の撲滅を目指すフェアトレードは、貧困や飢餓の解消に貢献する |
目標2「飢餓をゼロに」 | |
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」 | フェアトレードは、男女の労働機会や賃金の均等を支援する |
目標8「働きがいも経済成長も」 | フェアトレードは、児童労働の撲滅や適切な労働条件の実現と、農家や零細企業への適切な支払いを同時に追求する |
目標12「つくる責任 つかう責任」 | フェアトレードは、先進国の消費者がより倫理的に配慮された製品を購入することを可能にする |
目標13「気候変動に具体的な対策を」 | フェアトレードは、気候変動への影響が少ない持続的な農業生産を支援する |
目標16「平和と公正をすべての人に」 | フェアトレードは、格差の縮小や人権侵害の撲滅などを支援する |
フェアトレードが必要な理由と取り組むメリット3選
フェアトレードの基本的な定義や目標などはお分かりいただけたと思いますが、そもそもなぜフェアトレードは近年必要とされているのでしょうか。
生活者への適切な報酬-貧困からの脱出、生活水準の向上
発展途上国の農場や工場で働く労働者には、低賃金で働いているために貧困状態にある人々が多くいます。その低賃金の原因の1つは、食料品の原材料や衣料品などを最終的に消費する先進国が、極めて低い価格で取引を行っていることです。
フェアトレードを進め、発展途上国で生産された製品を適正な価格で購入することで、発展途上国の労働者の貧困の解消や生活水準の向上に繋がります。
持続可能な生産-地球環境との調和、将来世代への負荷軽減
発展途上国で生産され先進国に輸出される食料は、生産コストをできるだけ抑えるために大量の農薬が使われたり、大規模な農法で生産されたりするものが多くあります。環境への負荷が大きいですが、価格を抑えるためにそのような農法に頼らざるを得ない現状です。
フェアトレードには、適正価格での取引以外にも、環境への負荷が小さい農法で生産された商品だけを取引するものなどがあります。フェアトレードを推進し、環境への負荷が大きい農法の廃止に貢献することで、生産地の生物多様性の保護や気候変動への対策に繋がります。
社会的公正-教育や医療へのアクセスを向上、弱者保護
発展途上国では、単純な低賃金労働だけではなく、劣悪な労働環境や人権侵害、児童労働なども問題となっています。フェアトレード商品にはこれらの人権侵害を伴うことなく生産されたことを保証する商品などもあり、購入することで発展途上国の社会問題の解決に役立てます。
フェアトレード商品の紹介
続いて、実際にフェアトレードで輸入された商品を紹介します。
フェアトレードマークとその意味
フェアトレードマークとは、フェアトレードによって取引された製品であることを示すマークで、製品の包装やウェブサイトなどに記載されています。フェアトレードマークはそれを認証する機関によっていくつか存在します。上記の画像はその1つで、Fairtrade Internationalの国際フェアトレード認証ラベル (The FAIRTRADE Marks)です。
フェアトレード商品の種類-フェアトレードチョコ・コーヒーなど
フェアトレード商品といえば、カカオやコーヒー豆が思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、その他にもいくつもの商品があります。例えば、世界でメジャーなフェアトレード認証ラベルの1つである国際フェアトレード認証ラベルでは、以下の17品目が対象となっています。
コーヒー | 生鮮果物 | カカオ | スパイス・ハーブ | ナッツ | オイルシード・油性果実 | 加工果物・野菜 | サトウキビ糖 |
茶 | 野菜(豆類・じゃがいも等を含む) | 穀類 | 蜂蜜 | 繊維 | 花 | スポーツボール | 金 |
フェアトレード商品を購入できる店舗やウェブサイト3選
フェアトレードという名前を聞いたことはあっても、実際に商品を見かけることは今はまだ少ないかもしれません。ここでは、実際にフェアトレード商品を購入できる店舗やウェブサイトを紹介します。
大手コンビニ各社
意外かもしれませんが、身近なコンビニでもフェアトレード商品を購入することができます。セブンイレブンやファミリーマート、ローソン、ミニストップなどのコンビニ各社では、フェアトレード認証を受けたチョコレートやコーヒーなどを販売しています。
例えば上記の画像の商品は、セブンイレブンが販売しているフェアトレード認証を受けたカカオを使用したチョコレートです。
People Tree
ピープルツリーは、フェアトレードカンパニー株式会社が運営するフェアトレード服飾品のブランドです。低賃金や人権軽視、環境負荷などの問題は食料だけでなく服飾産業でも問題視されており、ピープルツリーはフェアトレードのコットンなどを使用した服を販売しています。通販や、全国の小売店での販売をしているため、一着購入してみてはいかがでしょうか。
▽ウェブサイトはこちら
オーガニックコットン、エシカルファッションのフェアトレード専門ブランド – ピープルツリー (peopletree.co.jp)
fair select
fair selectは、NGOわかちあいプロジェクトが運営するフェアトレード オンラインショップです。コーヒーやチョコ、砂糖などの他にも、ワインや石鹸、スポーツボールなど、幅広い種類の商品を販売しています。
▽ウェブサイトはこちら
フェアトレード商品通販 | Fair Select わかちあいプロジェクト フェアトレードショップ
フェアトレードを広めるために消費者にできること2選
発展途上国の人々の暮らしと環境を守るフェアトレードを広めるために、私たち消費者は何ができるのでしょうか。
意識的な商品の選択
フェアトレード商品を意識的に選択し購入することは、もっとも簡単な支援方法の1つです。私たちが日々利用するコンビニやスーパーなどでも、改めて探してみると意外に多くのフェアトレード商品が販売されていることに気がつくかもしれません。
情報共有と啓発活動
自分でフェアトレード商品を購入することの他に、友人や家族などにフェアトレードについて知ってもらい、購入の輪を広げることも、フェアトレードの支援に繋がります。実際に購入した商品を食べてもらうこともおすすめです。
まとめ
今回は、フェアトレードとその商品について紹介しました。名前を聞いたことはあるけど実はよく分かっていなかったという方や、興味はあったけどどこで購入すればいいか知らなかった方などに参考にしていただけると幸いです。
SDGs CONNECTライター。ネイチャーポジティブな社会へ。環境経済学を研究中。好きな生き物はサンショウウオ。大学卒業までに日本の世界自然遺産全部巡ります。