《徹底解説》MDGsの成果と取り残された課題|MDGsで残された課題とSDGsの誕生

#人間らしい#包摂的#持続可#環 2022.02.18

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SDGsの前身として、2015年を達成目標として定められたMDGs。

2022年の今、その成果と残された課題について、各所で分析と再評価が進んでいます。

多様性を掲げるSDGsとの違いは、どのような結果として現れているのでしょうか。

本コラムでは、達成した課題と、新たに顕在化した課題について詳しくご紹介します。

MDGsとは

MDGsの概要

MDGs(Millennium Development Goals、ミレニアム開発目標)とは、開発途上国における貧困問題の解決に向けて策定された世界共通の開発目標のことです。

国連を始め各国政府などの諸機関によって、1990年を基準年、2015年を達成期限として設定されました。

MDGsでは8つの目標、21のターゲット、そして60の指標が掲げられています。

さらに詳細な情報はこちらをご覧ください▼

MDGsの各ゴールの結果

MDGsの各指標がどれだけ達成されたのかを、当時の状況との比較を通じてご紹介します。

1.極度の貧困と飢餓の撲滅

MDGsのゴール1として掲げられた「極度の貧困と飢餓の撲滅」の中には、ターゲットが3つ設定されていました。

ターゲット1.A

1990年から2015年までに、1日1ドル未満で生活する人々の割合を半減させる。

ターゲット1.B

女性や若者を含め、完全かつ生産的な雇用とすべての人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を達成する。

ターゲット1.C

1990年から2015年までに、飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる。

この3つを具体的なターゲットとして、ゴールに向けてさまざまな取り組みが行なわれていました。以下の表は、その成果と当時の状況を比較したものです。

当時の状況 成果
飽食が問題視される先進国がある一方で、途上国を中心に栄養不良人口は21%を記録していました。 達成年度の2015年には、世界全体で極度の貧困を半減することができました。

飢餓人口も減少の一途をたどっていますが、干ばつや水害などの気候変動の影響が近年危険視されています。

2.普遍的初等教育の達成

8個の目標のうちの2つ目は、普遍的初等教育の実現です。

ターゲット2-Aとして、2015年までに、世界中のすべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにすることが目標でした。

当時の状況 成果
当時は、男女による初等教育の差が歴然として存在していました。特に女児は、経済的な困難に加え、性別による教育の機会の剥奪を受けている場合が多く見られました。  MDGsへの努力と各国の啓蒙活動の結果、途上国の初等教育純就学率は80%(1990年)から91%(2015年)に増加しました。

(参考:日本ユニセフ協会

3.ジェンダー平等と女性の地位向上

男子に比べて女子の就学率が低い大きな要因に、家族や社会における女性差別がありました。

途上国では、中等・高等教育へ女子を就学させることに理解を得にくいこと、若くして結婚し母親にされてしまう女子が多いことや、遠隔地にある中等・高等教育機関へ通学させることへの懸念など、女子教育への就学を阻むさまざまな要因が指摘されていました。

当時の状況 成果
男児の就学率に比べ女児の就学率は経済的・社会的な要因から非常に低い割合を記録していました。 途上国の3分の2以上で、初等教育の就学率において男女の格差が解消するなど、初等教育においては改善が見られますが、依然として高等教育への進学に差が見られます。

4.乳幼児死亡率の削減

このターゲットは、乳幼児の中でも、特に世界における新生児の死亡率の高さが懸念され、設定されました。

出産後の母親へのケアを重点的に行うことにより、乳幼児死亡率が大幅に低下することを理解できていない社会・政治が問題視されました。

当時の状況 成果
5歳未満の乳幼児は、主に途上国を中心として高い死亡率を示していました。 予防可能な病気については、死亡する乳幼児が減少しました。

背景には、安価な予防接種の普及や母親への継続的支援などが挙げられます。

5.妊産婦の健康の改善

2015年までに、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の完全普及を達成することなどをターゲットに掲げたこの目標は、依然として高い妊産婦死亡率の減少を第一の目標に掲げていました。

当時の状況 成果
妊産婦死亡率は、南アジアとサハラ以南アフリカ(サブサハラ)中心に高い死亡率を記録していました。

2013年においては、両地域で世界全体の数の86%を占めています。

(参考:日本ユニセフ協会

10万人あたりの死亡率は1990年と比較して低下しましたが、低減止まりしています。

6.HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病との闘い

マラリア及び結核は、途上国の人々を死に至らしめる重篤な感染症として猛威を振るってきました。

感染予防を可能にする措置の確実な実施と、必要とする全ての人への開かれたアクセスが課題とされました。

当時の状況 成果
サハラ以南アフリカを中心にエイズや感染症の蔓延が深刻化していました。 マラリアと結核による死亡は当時と比較して半減しました。

HIVの新たな感染は、推定350万人から210万人と、約40%減少しましたが、感染者の性別による偏りが、性教育の重要性を示唆しています。

7.環境の持続可能性確保

生物多様性の損失を抑え、2010年までに、損失率の大幅な引き下げを達成することなどを定めた7番目の目標の背景には、特にオセアニアやサハラ以南アフリカにおいて安全な水の確保ができていない状況が存在しました。

また、水汲みのために往復する膨大な時間は、教育への参画を阻む要因の一つでした。

当時の状況 成果
安全な飲料水確保が困難な地域の存在、オゾン層破壊物質の生産などが持続可能性を阻害していました。 安全な飲料水には26億人が新たにアクセスできるようになりました。

また、焼却時にフロンガスを排出する製品に関して製造禁止措置が進みました。

8.開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

最後の目標は、以下の8つのターゲットから構成されていました。

ターゲット8.A:開放的で、ルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易および金融システムのさらなる構築を推進する。

ターゲット8.B:後発開発途上国の特別なニーズに取り組む

ターゲット8.C:内陸開発途上国および小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。

ターゲット8.D:開発途上国の債務に包括的に取り組む。

ターゲット8.E:製薬会社との協力により、開発途上国で必須医薬品を安価に提供する。

ターゲット8.F:民間セクターとの協力により、情報通信技術をはじめとする先端技術の恩恵を広める。

安価な医薬品の提供体制や情報通信技術の確実な普及が課題とされていました。

当時の状況 成果
先進国と途上国の経済格差が歴然としてあり、市場メカニズムの限界が指摘されていました。また、インターネットの普及が遅れていることも、情報格差として顕在化していました。 インターネットの普及率は、2015年の報告においては世界の人口の43%まで増加しました。 

一方で経済格差に関しては、現在は途上国間の格差が顕在化しています。

MDGsに残された課題

女性や障害者、高齢者などの取り残された者たち

MDGsの達成年度を経過して見えてきた問題の1つ目は、国単位で行うMDGsでは、女性や障害者、高齢者など、「多様な主体」に適応することができなかったという事実です。

新たに策定された開発目標では、この課題を解決するために、さらに詳細な指標を打ち出しています。

開発の格差

また開発にみられる格差の存在も課題として残されました。

背景としては、近年開発の主体として民間企業が無視できない存在となったこと、そして、市民社会の声の代表としてNGOがますます重要になってきたことが挙げられます。

この解決には従来の政府主導の対応では追いつかない上、途上国間での格差や深刻化する男女の賃金格差に対する対応が必要となっています。

下がらない妊産婦死亡率

妊産婦死亡率の低減止まりも大きな問題でした。

MDGsの努力によって数値は多くの国で低減したものの、毎日810人の女性が予防可能な妊娠・出産による原因で死亡しています。(WHO2017年度ファクトシート”Maternal Moetality”より)

経済発展のみならず、女性の権利を考えた社会保障制度や、健康保険制度などの整備が非常に大切であるということが改めて見直され、内容が改善されることになりました。

MDGsからSDGsへ

SDGsの誕生

多くの成果を残すと同時に、未解決の課題を世界に突きつけたMDGsでしたが、これに続く目標として誕生したのがSDGsです。

2015年、国連本部にて開催された「持続可能な開発に関するサミット」にて、「持続可能な開発のためのアジェンダ2030」が採択されました。

このサミットでは、新たな課題である「誰一人として置き去りにしない」世界の実現を目指し、翌2016年から2030年までの間を達成機関として、開発・環境に関する新たな17個のグローバル目標が提示されました。

この目標こそがSDGsであり、現在世界は目標の達成に向けて努力し続けています。

さらに詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

MDGsが取り残した課題を見据えて、新たな目標に向かって世界は進んでいます。

忙しい日々の中でも、「人類がこの目標を達成できるかどうかは、私たち1人ひとりの意識にかかっているのだ!」という意識を手放さずに、SDGsの達成に向け、注意を怠らずに日々を過ごしていきたいですね。

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