MDGsとは?概要から8つの目標をわかりやすく徹底解説

#教育#貧困#飢餓 2021.08.11

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【更新日:2022年6月6日 by 大川 智也

MDGsは、開発途上国における問題の解決に向けた国連をはじめ各国政府によって策定された世界共通の開発目標です。

SDGsでは、これらMDGsで解決しきれなかった環境問題や社会問題といった課題に対応するために誕生したため、MDGsを知ることはSDGsの17ある目標の基盤をきちんと知ることができます。

そこで今回は、 MDGsの概要について、8つの目標から達成できたことと残された課題を徹底解説し、MDGsを踏まえた上でSDGsを達成するためにはどのような取り組みが必要なのかを紹介します。

▼SDGsについて詳しくはこちら

 MDGsとは

MDGsとは、「Millennium Development Goals」の頭文字を組み合わせたものであり、ミレニアム開発目標と呼ばれています。

MDGsは、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで「国連ミレニアム宣言」として採択され、2015年を目処に開発途上国における社会問題を解決するための世界共通の開発目標として設定されました。

MDGsは国際的潮流と前記「国連ミレニアム宣言」から誕生した

MDGs採択の背景として国際的潮流と前記「国連ミレニアム宣言」を発展的に統合する形で誕生しました。1980年代に開発手法として、市場経済メカニズムに依拠するK構造調整政策が多くの開発途上国で採用されたが、成果が上がらず、貧困の悪化を招く事態となりました。

1990年代になり、それまでの経済と代わり、人間中心の社会開発が主眼に置かれるようになり、1995年の世界社会開発サミットでは世界の絶対的貧困を半減させるという目標が提示されました。

MDGsの8つの目標とターゲット

MDGsは、2015年までを達成期限と設定し、「21世紀の国際社会の目標」として、8つの目標と21のターゲット、そして60の指標が定められています。開発途上国が抱えている社会問題を、国連や政府が取組主体となって解決するという意図が含まれています。

MDGsでは、極度の貧困や飢餓の撲滅など、開発途上国の現状改善のため8つの目標があり、それぞれに取り組む際の指標となるターゲットが設定されています。

目標とターゲット 指標
目標1:極度の貧困及び飢餓の撲滅
ターゲット1

2015年までに1日1ドル未満で生活する人口の割合を1990年の水準の半数に減少させる。

1.1日1ドル未満で生活する人口の割合

2.貧困格差の比率:貧困度別の発生頻度

3.国内消費全体のうち、最も貧しい5分の1の人口が占める割合

ターゲット2

2015年までに飢餓に苦しむ人口の割合を1990年の水準の半数に減少させる。

4.平均体重を下回る5歳未満の子供の割合

5.カロリー消費が必要最低限のレベル未満の人口の割合

目標2:普遍的初等教育の達成
ターゲット3

2015年までに、全ての子供が男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。

6.初等教育の就学率

7.第1段階に就学した生徒が第5段階まで到達する割合

8.15~24歳の識字率

目標3:男女病棟及び女性の地位強化の推進
ターゲット4

可能な限り2005年までに初等・中等教育における男女格差を解消し、2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消する。

9.初等・中等・高等教育における男子生徒に対する女子生徒の比率

10.15~24歳の男性就学者に対する識字就学者の比率

11.非農業部門における女性賃金労働者の割合

12.国会における女性議員の割合

目標4:乳幼児死亡率の削減
ターゲット5

2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する。

13.5歳未満児の死亡率

14.乳児死亡率

15.はしかに免疫のある1歳児の割合

目標5:妊産婦の健康の改善
ターゲット6

2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する。

16.妊産婦死亡率

17.医師・助産婦の立ち会いによる出産の割合

目標6:HIV/AIDS、マラリア、その他の疾病との闘い
ターゲット7

HIV/AIDSの拡大を2015年までに食い止め、その後反転させる。

18.15~24歳の妊婦のHIV感染

19.避妊具普及率

20.HIV/AIDSにより孤児となった子供の数

ターゲット8

マラリア及びその他の主要な疾病の発生を2015年までに食い止め、その後発生率を下げる。

21.マラリア感染及びマラリアによる死亡率

22.マラリア危険地域において、有効なマラリア予防及び治療処置を受けている人口の割合

23.結核の感染及び結核による死亡率

24.DOTS(短期化学療法を用いた直接監視下治療)の下で発見され、治療された結核患者の割合

目標7:環境の持続可能性確保
ターゲット9

持続可能な開発の原則を国家政策及びプログラムにもりこみ、環境資源の損失を減らす。

25.国土面積に占める森林面積の割合

26.生物多様性の維持のための保護対象面積

27.エネルギー使用単位当たりGDP(エネルギー効率)

28.二酸化炭素排出量(一人当たり)

(及び、全世界的な大気汚染に関する二つの数値:オゾン減少量及び温室効果ガスの累積量)

ターゲット10

2015年までに、安全な飲料水を継続的に利用できない人々の割合を半減する。

29.良好な水源を継続して利用できる人口の割合
ターゲット11

2020年までに、少なくとも1億人のスラム住民の生活を大幅に改善する。

30.良好な衛生を利用できる人々の割合

31.安定した職に就いている人々の割合

(以上の指標のうちのいくつかについては、都市部と農村部に分けたほうが、スラム住民の生活改善度をモニターする上で適切といえるかもしれない。)

目標8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
ターゲット12

さらに開放的で、ルールに基づく、予測可能でかつ差別的でない貿易及び金融システムを構築する。(良い統治、開発及び貧困削減を国内的及び国際的に公約することを含む。)

ターゲット13

後発開発途上国の特別なニーズに対処する。

((1)後発開発途上国からの輸入品に対する無関税・無枠、 (2)HIPC諸国に対する債務救済及び二国間債務の帳消しのための拡大プログラム、 (3)貧困削減にコミットしている諸国に対するより寛大なODA、を含む)

ターゲット14

内陸国及び小島嶼開発途上国の特別なニーズに対処する。

(バルバトス・プログラム及び第22回総会の規定に基づき)

ターゲット15

債務を長期的に持続可能なものとするための国内的及び国際的措置により、 開発途上国の債務問題に包括的に取り組む。

以下に列挙された指標のいくつかについては後発開発途上国、 アフリカ、内陸国、小島嶼開発途上国それぞれ別々に個別にモニターされる。

政府開発援助

32.DACドナー諸国のODA純量の対GNI比(世界ODAの0.7%目標、後発開発途上国向け0.15%目標)

33.基礎的社会サービスに対するODAの割合(基礎教育、基礎保健、栄養、安全な飲料水、 及び衛生)

34.アンタイド化されたODAの割合

35.小島嶼開発途上国における環境向けODAの割合

36.内陸国における運輸部門向けODAの割合

市場アクセス

37.無税・無枠の輸出割合(価格ベース。武器を除く。)

38.農産品、繊維及び衣料品に対する平均関税及び数量割り当て

39.OECD諸国における国内農業補助金及び輸出農業補助金

40.貿易キャパシティ育成支援のためのODAの割合

債務の持続可能性

41.帳消しにされた公的二国間HIPC債務の割合

42.商品及びサービスの輸出に対する債務のパーセンテージ

43.債務救済として供与されたODAの割合

44.HIPCの決定時点及び完了時点に到達した国数

ターゲット16

開発途上国と協力し、若者がそれなりに生産的な仕事に就くための戦略を策定・実施する。

45.15~24歳の失業率
ターゲット17

製薬会社と協力し、開発途上国において、人々が安価で、必要不可欠な薬品を入手できるようにする。

46.安価で必要不可欠な薬品を持続的に入手できる人口の割合
ターゲット18

民間企業と協力し、特に情報、通信といった新技術による利益が得られるようにする。

47.1000人当たりの電話回線数

48.1000人当たりのパソコン数

その他の指標は追って決定される。

引用:https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/intl/mdgs/about.html

MDGsはSDGsの前身

ミレニアム開発目標(MDGs)では、開発途上国の貧困削減を掲げ、8つの目標、21のターゲット、60の指標が設定された国際目標です。
MDGsのほとんどの目標は1990年を基準年、2015年を達成期限としていました。
そのため、2015年、国連にて2030年までの新たな開発目標となる「持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)」が採択されています。SDGsの前身となるMDGsは、2000年に始まり、世界の多くの人々の目を開発途上国が抱える課題に向けることに貢献しました。

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MDGsの達成度と成果

開発途上国における貧困率が半分以上に減少

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

MDGsの一番初め目に掲げられた極度の貧困の撲滅という目標に関しては、貧困に苦しむ人口の割合を2015年までに(1990年と比べて)半分にするという具体的なターゲットが掲げられました。
結果として、極度の貧困に苦しむ人々
の割合は、1990年には世界人口の約36%(約19億人)を占めていましたが、2015年には約12%(約8.4億人)と、当初の3分の1まで減少し、目標は達成されました。

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開発途上地域の小学校純就学率が8%向上

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

開発地域における小学校の純就学率は、2000年の83%から2015年には91%まで達しました。
この目標は、サハラ以南アフリカを除く全ての地域において達成間近であり、開発途上地域の小学校就学率の最大の増加はサハラ以南アフリカで見られました。

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過去20年で90%の女性がが政治に参加できる基盤を得た

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

すべての開発途上地域は、 初等、中等および高等教育における男女格差を撲滅するという目標を達成しました。
1990年の南アジアでは、100人の男子に比べ、74人の女子が小学校に通学していましたが、
MDGsの取り組みにより、100人の男子と比較して103人の女子が通学しています。過去20年において、174カ国のほぼ90%の女性が政治に参加する基盤を得たと言って良いでしょう。

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幼児死亡率の大幅な引き下げ

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

1990年代初頭以降、5歳未満の幼児死亡率改善のペースは世界規模で3倍に加速しています。
世界における5歳未満の幼児死亡率は、1990年から2015年の間に生まれた1,000人あたり90人から43人へと、半分以下に減少しました。
はしかの予防接種は、2000年から2013年の間に1,560万人の死亡を防ぎました。

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1990年以降妊産婦の死亡率は45%減少

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

1990年以降、妊産婦の死亡率は45%減少。減少の多くは2000年以降に起こっています。
2014年には、世界の71%以上の出産は、医療従事者の立会いの下に行われました。
これは1990年の59%から、目立った上昇です。

HIV感染者の大幅減少

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

HIVへの新たな感染は2000年から2013年の間で約40%低下し、感染者数も約350万人から210万人へ減少しました。
2014年6月までに世界中で1,360万人のHIV感染者が抗HIV療法を受けていましたが、これは2003年の80万人から飛躍的な進歩です。
抗レトロウイルス療法によって1995年から2013年までの間に760万人がHIVによる死から免れました。

エイズやマラリアなど疾病の防止

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

2000年から2015年の間に、620万人以上の人々がマラリアによる死を免れていますが、その多くがサハラ以南のアフリカに住む5歳未満の子どもたちです。

2004年から2014年までの間に、9億以上もの殺虫剤処理された蚊帳が、マラリアが風土病となっているサハラ以南アフリカの国々に配布されました。

2000年から2013年の間に、結核の予防、診断、治療によって、約3,700万人の命が救われました。

1990年以降19億人が水道水へのアクセスを取得

引用元:MDGsの8つの目標 | 国連広報センター

2015年には世界人口の91%が改良された飲料水源を使用しており(1990年には76%)、目標は期限である2015年の5年前に達成されました。

1990年以来改良された飲料水へのアクセスを得た26億人のうち、19億人が水道水へのアクセスを得ています。

オゾン層破壊物質は1990年以来除去・消滅されており、オゾン層は今世紀半ばまでに回復すると見込まれています。

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インターネット普及率の増加

ODAが2000年から2014年の間に実質66%増加し、1,352億ドルに到達。
過去15年間(2000年から2015年)で携帯電話の契約数は7億3,800万から70億とほぼ10倍まで増加しています。
インターネットの普及率は2000年に世界人口の6%だったものが2015年には43%まで増加し、32億人がグローバル・ネットワークとつながりました。

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MDGsの成果が一目でわかる2015年成果チャート

目標とターゲット アフリカ アジア オセアニア ラテンアメリカ・

カリブ海

コーカサス・

中央アジア

サハラ以南 東南 西
目標1|極度の貧困と飢餓の撲滅
極度の貧困半減 軽度の貧困 非常に重度の貧困 軽度の貧困 中度の貧困 重度の貧困 軽度の貧困 軽度の貧困 軽度の貧困
生産的雇用と働きがいのある人間らしい仕事 大規模な不足 非常に大規模な不足 中規模な不足 大規模な不足 大規模な不足 大規模な不足 非常に大規模な不足 中規模な不足 小規模な不足
飢餓の半滅 軽度の飢餓 重度の飢餓 中度の飢餓 中度の飢餓 重度の飢餓 中度の飢餓 中度の飢餓 中度の飢餓 中度の飢餓
目標2|初等教育の普遍化の実現
初等教育の完全な普及 高い就学率 中度の就学率 高い就学率 高い就学率 高い就学率 高い就学率 高い就学率 高い就学率 高い就学率
目標3|ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
初等教育への女子の平等な就学 同等に近い 同等に近い 同等 同等 同等 同等に近い 同等に近い 同等 同等
有給雇用における女性の割合 低い割合 中程度の割合 高い割合 中程度の割合 低い割合 低い割合 中程度の割合 高い割合 高い割合
国会における平等な女性議員数 中程度の女性議員数 中程度の女性議員数 中程度の女性議員数 少ない女性議員数 少ない女性議員数 少ない女性議員数 非常に少ない女性議員数 中程度の女性議員数 少ない女性議員数
目標4|幼児死亡率の引き下げ
5歳未満幼児死亡率の3分の2引き下げ 低い死亡率 高い死亡率 低い死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率 低い死亡率 低い死亡率
目標5|妊産婦の健康状態の改善
妊産婦死亡率の4分の3引き下げ 低い死亡率 高い死亡率 低い死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率 低い死亡率 低い死亡率
リプロダクティブ・ヘルスへのアクセス 中程度のアクセス 少ないアクセス 多いアクセス 中程度のアクセス 中程度のアクセス 中程度のアクセス 少ないアクセス 多いアクセス 中程度のアクセス
目標6|HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止
HIV/エイズのまん延防止および減少 低い発生率 高い発生率 低い発生率 低い発生率 低い発生率 低い発生率 低い発生率 低い発生率 低い発生率
結核のまん延防止および減少 低い死亡率 高い死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率 中程度の死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率 低い死亡率 中程度の死亡率
目標 7 | 環境の持続可能性の確保
改良された飲料水を利用できない人々の割合を半減 高い普及率 低い普及率 高い普及率 高い普及率 高い普及率 高い普及率 低い普及率 高い普及率 中程度の普及率
衛生施設を利用できない人々の割合を半減 中程度の普及率 非常に低い普及率 中程度の普及率 低い普及率 非常に低い普及率 高い普及率 非常に低い普及率 中程度の普及率 高い普及率
スラム居住者の生活を改善 低いスラム居住者の割合 非常に高いスラム居住者の割合 中程度のスラム居住者の割合 中程度のスラム居住者の割合 中程度のスラム居住者の割合 中程度のスラム居住者の割合 中程度のスラム居住者の割合 中程度のスラム居住者の割合
目標 8 | 開発のためのグローバル・パートナーシップの構築
インターネット利用者 中程度の利用者 少ない利用者 多い利用者 中程度の利用者 少ない利用者 多い利用者 少ない利用者 多い利用者 多い利用者

引用:ミレニアム開発目標:2015 年成果チャート

MDGsで残された達成困難な課題

男女間の不平等は続いている

2015年までの初等教育の完全普及の達成が掲げられていましたが、1990年に80%だった開発途上地域の就学率は、2015年には91%までしか上昇しませんでした。
若年層の識字率の向上、男女格差の解消などは見られましたが、目標達成には至りませんでした。

貧困層と富裕層の格差拡大

最貧困層家庭の子どもは最富裕層家庭の子供と比べ、4倍の確率で学校に通っていません。最貧困層家庭の5歳未満の幼児死亡率は、最富裕層家庭の子どもに比べ2倍高いです。

また、農村部で生活している人々の50%は安全な衛生施設を有しておらず、これに比べて都市部で安全な施設を有していない人々の割合は18%です。
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気候変動と環境悪化が達成すべき目標を拒んでいる

世界の二酸化炭素排出量は、1990年以降50%以上増加しています。
水不足は世界の人口の40%に影響を及ぼし、今後もその割合は増加すると見込まれています。
海洋漁業資源の乱獲は、生物学的利用限界内の資源割合の減少へ導きました。1974年の90%から、2011年は71%へと減少しています。

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紛争による移民の増加

2014年末において、紛争のために家を捨て去らなければならなかった人の数は約6000万人に上りました。これは第2次世界大戦以降では最大の数字です。
紛争により毎日平均して42,000人もの人が、強制的な移動を強いられており保護を求めています。これは2010年の11,000人に比べ、4倍の数です。
脆弱な国、紛争の影響を受けている国々は、一般的に最も高い貧困率を有しています。

約8億人は極度の貧困生活で暮らしている

約8億人が未だに極度の貧困の中で生活し、飢餓に苦しんでいます。また、世界の約半数の労働者が未だに望まれない環境の中で働いています。

毎日約16,000人の子どもたちが、5歳の誕生日を迎える前に命を落としています。これらの死因の多くは予防可能なものです。
3人に1人(24億人)が未だに改善されていない衛生施設を使用しており、9億4,600万人が未だに屋外排泄を行っています。8億8,000万人がスラムの様な環境下で生活しているとも推測されています。

SDGsとMDGsの違い

2015年までにMDGsでも達成できなかった課題や、新たに生まれる社会問題や環境問題に対応するために、SDGsが誕生しました。つまり、MDGsを発展させたのがSDGsです。

では、具体的に何を発展させたのかここから見ていきましょう。

SDGsは途上国だけでなく、先進国を含めた目標

SDGsは途上国だけでなく、先進国を含めた全ての国々を対象に、課題を解決するための目標が掲げられています。

MDGsの8個の目標は、途上国に対して設定された目標ばかりであったため、先進国の課題を含んでいませんでした。

また、その目標自体が先進国主導で決められていたということもあり、途上国の意見が反映されていないという問題点が指摘されていました。

そこで、各国の現状を把握しつつ、世界情勢の変化を反映するなど途上国だけでなく、先進国を含めた包括的な目標が設定されたのです。

SDGsはターゲットが大幅に増えた

SDGsはMDGsと比べ、目標は8から17に増えただけでなく、ターゲットの数も21から169へとターゲットの数が大幅に増えています。

なぜなら、SDGsの理念として「地球上の誰一人として取り残さない」を掲げており、持続的な社会を構築していくために、多岐にわたるターゲットを設定しました。

例えば、事例としてMDGs目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」と、SDGs目標1「貧困をなくそう」は、どちらも貧困がテーマになっていますが、MDGsではターゲットが3つなのに対し、SDGsではターゲットが7個もあります。

このようにSDGsとMDGsの違いについては、目標だけではなく、多くの人間を対象にターゲットの数が増えていることも頭に入れておきましょう。

参照:SDGs(持続開発な開発目標)とMDGs(ミレニアム開発目標)を比較!

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SDGsは企業や個人でも取り組みやすくなった

SDGsとMDGsの大きな違いとしてあげられるのが、企業や個人単位でも取り組みやすくなったことです。

MDGsは途上国向けの目標だったこともあり、国連や政府といった取組主体を中心とした対策が多かったため、民間企業や個人が関心を持つまでにいたりませんでした。

一方、SDGsは国連や政府といった取組主体はもちろんのこと、民間企業や個人などとの連携が求められています。

例えば、目標11「住み続けられる街づくり」や目標12「つくる責任 つかう責任」など経済活動に関わる内容であったり、個人の日常生活に関わる内容であることがわかります。

SDGsは「地球上の誰一人として取り残さないことを目標」としていることから、私たち一人ひとりが取り組みやすい内容となっているのです。

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MDGsの達成に向けた日本の取り組み3選

飢餓の撲滅

2009年にイタリアで開催されたG8ラクイラ・サミットで、日本は農業開発とインフラ整備を含む食料安全保障のため、2010年~2012年の間に約30億ドルの支援をおこなうことを表明し、2012年末までにおよそ42億ドルの支援をおこないました。

ジェンダー改善

日本は「ジェンダー主流化」、すなわち開発協力のすべての分野と段階において、男女それぞれの開発課題やニーズ、影響を明確にし、配慮することを通じてこれらの目標の達成に向けて着実に取り組んできました。
2005年には、北京で開催された第49回国連婦人の地位委員会の場で包括的な政策文書である「GAD(ジェンダーと開発)イニシアティブ」を発表しました。

初等教育の完全普及

この分野においても日本の貢献やイニシアティブは多岐にわたります。2010年9月のMDGs国連首脳会合では、2011年からの5年間で35億ドルの教育分野の協力実施を表明したほか、学校・コミュニティ・行政が一体となって包括的な学習環境改善を行う基礎教育の支援モデルである「スクール・フォー・オール」を提示するなど、国際社会の取組を積極的に主導してきました。

参考:MDGsの成果と課題

MDGsからSDGsへ日本の取り組み

企業の取り組み

キユーピー「卵殻の有効活用」

キユーピーグループは、日本の卵生産量の約10%(1年間で約25万トン)を使用しており、卵殻は約2.8万トン発生しています。廃棄すると環境へ多大な負荷が掛かるため、1956年から卵殻を天日で干し、土壌改良材(肥料)として農家へ販売し、現在は社内外と協働することで卵殻を100%有効活用しています。

また、この取り組みについては多くの評価を受けており、「令和元年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(3R推進功労者等表彰)」の農林水産大臣賞を受賞したほか、第7回「食品産業もったいない大賞」の農林水産省食料産業局長賞も受賞しました。

参考:サステナビリティ | キユーピー

KUMON「障害児・障害者への教育提供」

KUMONグループは、児童福祉施設や児童発達支援、放課後等デイサービス、就労移行支援、自立訓練施設などに公文式学習の提供を行い、障害がある子どもや大人に対して療育サービスや就労訓練のサポートを行っています。

公文式の学習を通じて読み・書き・計算力の基礎学力をつけることはもちろん、自ら学ぶ力や目標を達成する力を身につけ、自己実現するための土台を築くことを目的としています。

また、大学・高校・専修学校の留学生や日本企業で専門業務に就く外国人社員に対する社内教育、外国人技能実習生向けの研修用ツールとしても公文式日本語学習が活用されています。

参考:https://www.kumon.ne.jp/corporate/environment/contribution.html

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個人の取り組み

エコバッグやマイボトルの持ち歩き

日常生活でエコバッグを持参してレジ袋を使わないようにする、またマイボトルを持ち歩きプラスチックボトルを出先で使用しないことで「海洋プラスチック問題」に貢献できます。

2016年に開催された世界経済フォーラムによると、1964年から2014年にかけて約50年間でのプラスチック生産量は20倍以上急増しており、毎年少なくとも800万トンものプラスチックが海に流れていることが明らかになりました。

使用されたプラスチックが海に流れることで、海洋汚染や生態系へ悪影響を引き起こしていることが問題視されているのです。

日常生活で使用するものを工夫するだけで「海の豊かさを守ろう」の目標達成に繋がります。
参考:SDGs|目標14 海の豊かさを守ろう|プラスチックの量が魚を超える?

節電や節水

普段使用している水や電気についても、使い方を少し工夫するだけで「エネルギー資源の削減」に繋がります。

発展途上国などを中心とした人々の多くが十分な水や電気が支えない状況下にあり、先進国と同様にエネルギーを平等に使えていません。また、有限のエネルギーを多く使用することによって、温室効果ガスが排出され地球温暖化といった環境問題が引き起こされる原因となっているのです。

そこで、昼間はなるべく電気を使用しないことや、水を出しっぱなしにしないなど、私たちの日常生活でできる節電・節水への取り組みが大切であり「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の目標達成に貢献できます。

参考:SDGs目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに | Oneselive Blog

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個人でできるSDGsの取り組みと求められる3つのこと|具体例・年齢別に解説
《意外と知らない》日常生活でできるSDGs|具体的な取り組み〜日常生活編〜 | SDGs CONNECT

 まとめ

今回は、SDGsの元になったMDGsについて詳しく解説しました。

MDGsが設定されて以来、世界の国々と人々はその達成に向けて課題解決に取り組みました。

しかし、現代における環境問題や社会問題は途上国だけにとどまらず先進国を含む全世界が直面している課題となった浮き彫りとなりました。

そうした中で生まれたのが「SDGs」です。

SDGsはもはやMDGsと違って私たち一人ひとりが担い手です。その達成のためにも、目の前できる取り組みからはじめてみましょう。

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