SDGs 10「人や国の不平等をなくそう」現状の問題点や取り組み事例

#SDGs目標10#ジェンダー#教育 2021.02.13

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【更新日:2023年10月17日 by 松下 友香

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは、人や国同士の不平等や格差などをなくし、平等な社会の形成を目指した目標です。近年では世界のさまざまな国や地域で、所得格差が生じたり、国籍・宗教の違いから差別が起きたりしています。

国家間の格差をなくすためには、それぞれの国が協力しあって解決していく必要があります。またひと同士の差別や偏見を解消するためには、法律の見直しや教育を行うなど、多くのアプローチが重要です。

この記事では、SDGs目標10の概要や世界・日本の現状、問題の解決方法などを分かりやすく解説していきます。さらに私たちが身近にできる取り組みについても紹介します。

【この記事で分かること】

 

見出し

SDGs10「人や国の不平等をなくそう」とは

まずはSDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に関する概要や、ターゲットについて、説明していきます。

簡単に解説-SDGs10「人や国の不平等をなくそう」

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは、国の間に生じる不平等や、ひと同士の間に起こる不平等問題を解消し、経済的な格差をなくすことを目指した目標です。とくにひと同士の不平等として、性別や障害、人種や民族などの問題が挙げられます。

一方で国同士の間に生じる不平等として、先進国と発展途上国の間での経済格差があります。また先進国内でも富裕層と貧困層との間に経済格差があります。その結果貧困層の人々は、困難な中で生活をしています。

さらに政治面においても、不平等である要素があります。たとえば「一票の格差」問題などです。これらの課題解決に向けて、政府や企業などがさまざまな取り組みを行っていく必要があります。

なぜ人や国の不平等をなくす必要があるのか

ではなぜ人や国同士の不平等をなくす必要があるのでしょうか。その理由として、主に2つあります。

1つ目が、国同士の不平等における経済的な理由です。国同士の不平等が拡大し、経済発展が滞ってしまうと、その国で暮らす人々の収入が減ったり、貧困層の所得が減少したりなどの問題が生じます。その結果、国全体でモノやサービスの消費がされなくなり、経済がより停滞してしまいます。

2つ目が、ひと同士の不平等に関する、社会的・人権的な理由です。不平等が生じると、満足度や幸福感が低下します。とくに、富の分配が不均衡であると、ストレスや対立が生じ、安定した社会の維持が困難になります。またすべての人が、生まれながらにして持つ権利である「尊厳」と「平等」を実現するためにも、不平等をなくす必要があります。

これらの理由から、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」は、世界全体の経済成長と社会の安定、そして人権保護の観点から見ても重要な目標となっています。

SDGs10「人や国の不平等をなくそう」のターゲット

SDGs10「人や国の不平等をなくそう」は、ひとや国家間の格差問題を解消することを目指す目標です。具体的には、3つの要素が、目標達成に必要な要素とされています。

SDGs目標10 3つの要素

  • 貧困層と富裕層の所得格差
  • 移民や移住労働者への移民政策
  • 発展途上国への援助活動

たとえばターゲット10.1や10.4では、貧困層が得られる所得を増やしたり、政策を行ったりなどを通して、ひと同士の経済格差を縮めようと試みています。またターゲット10.7では、移住してきた人々が安全でかつ、秩序のある移住生活などができるよう、政策を行うことを目標としています。

そのほかのターゲットについて、詳しくは下記の表をご覧ください。

10.1 ・2030年までに、各国のうち下から40%に位置する人々の所得を、その国の平均以上の収入を得られるようにする
10.2 ・2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、経済的地位などの条件に関わらず、すべての人のスキルを伸ばし、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにする
10.3 差別的な法律や政策、習慣を廃止する
・適切で公平な機会を保証するための法律や、政策などをすすめ、所得などの、人々が得る結果による格差を減らす。
10.4 ・税制、賃金、社会保障政策などの政策を実施し、段階的に平等である環境を拡大していく
10.5 ・世界の金融市場や金融機関への規則と監視システムを改善し、これらの規則がきちんと実行されるようにする。
10.6 ・国際的な経済や、金融制度について決定する際に、発展途上国の発言力を強める
・発言力を高めることで、信頼性があり、だれもが納得できるような制度をつくる。
10.7 移住に関する政策を計画的かつ、適切に管理する
・秩序があり、安全で責任のある移住などを推進する。
10.a ・世界貿易機関(WTO)の協定に従って、開発途上国、とくに後発開発途上国に対する特別でかつ、異なる扱いをする。
10.b ・各国の国家計画やプログラムに従って、とくに後発開発途上国やアフリカ諸国、小規模な島々の開発途上国など、援助が最も必要な国々に対して、政府開発援助(ODA)や海外からの直接投資などの資金を増やす。
10.c ・2030年までに、移住労働者が自身の母国に送金する際にかかる必要を、「送金する金額の3%」より低くなるようにする
・また、送金の費用が5%以上かかる送金方法は廃止する。

参考:外務省公式サイト

世界の「人や国の不平等」の現状と5つの問題点

つぎに現在世界における不平等な状況や、問題点について、解説していきます。

富裕層と貧困層の間で経済的な不平等が広がっている

まず挙げられる不平等問題が、富裕層と貧困層の間に生じている経済格差です。実際に、一部の富裕な人々がほとんどの資源と富を独占している一方で、貧困層の人々はなかなか収入が得られず、生活が困難な状況に置かれているという状況があります。

実際に世界不平等研究所(World Inquality Lab)が発表したレポートでは、世界人口のうち、1割の人々が世界全体の富のうち8割を所有していることがわかりました

また先進国や発展途上国に関わらず、国ごとで経済格差の大きさも異なっています。たとえばイタリアやフランスでは、貧困格差があまり大きくない一方で、アメリカでは貧困格差が大きくなっています。

今後も富裕層と貧困層の間の経済格差は、広がる傾向にあると予想されています。この問題を解決するためには、公正な税制度の実施や教育支援など、さまざまな施策が必要です。

先進国と発展途上国の間の経済的な不平等が広がっている

また経済格差は、先進国と発展途上国の間でも広がっています。これにより経済成長のスピードや、方向性の違いが拡大しています。たとえば先進国では、高度な技術や情報インフラが整備され、立派な教育環境が提供されています。それに対して発展途上国では、貧困問題や医療・教育へのアクセス不足といった課題に直面しています

実際に先進国では病院などの医療アクセス率が98%であるのに対して、発展途上国ではわずか60%程度です。これにより発展途上国では、病院へ行くことさえ困難な状況となってしまい、救える命も救えない場合があります。

また発展途上国では子どもが教育を受ける機会も少なく、おとなになっても文字の読み書きや計算ができず、得られる仕事が限られてしまいます。

これらの不平等に対して解決策を講じることが必要です。

移民を守る法律が整っていない

不平等問題として、移民に関する問題もあります。現在、世界各国には移民を守る法律が十分に整っていません。「移民」とは、経済的な理由や政治的な理由から自国を離れ、新たな地で暮らしていく人々です。しかし、受け入れ先の国では、移民に対する制度が未整備であったり、差別的な扱いがあったりするため、多くの困難に直面しています。

たとえば雇用の面では、労働者たちに公平な雇用機会が与えられず、低賃金で長時間労働を強いられる場合も多いです。また、法律などがきちんと整っていないことから、労働者の人権が守られず、人権侵害や差別に遭遇するリスクもあります。

これらの問題は、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」の実現において解決すべき問題です。移民の人々を適切に保護する法律が整備され、公平な待遇が保証されることで、移民の人々に関する不平等の解消につながります。

人種差別残っている国がある

人種差別は、世界の一部の国において深刻な問題となっています。人種差別に関する問題は、宗教の違いから発生するものから、国籍の違いから生まれるものなど、さまざまです。最悪の場合、大規模テロのような人の生死が関わる大事故にもなる可能性があります。

とくに、さまざまな国籍の人や、異なる宗教を信仰する人が暮らす国や、歴史的に人種間の対立が存在する地域では、とても顕著となっています。たとえば、アメリカでは人種差別が根深い問題となっています。「Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)運動」が注目を集めるなど、アフリカ系アメリカ人への警察による暴力や職場での差別が広く報道されています。

また、ヨーロッパにおいても移民の人々を対象とした差別が存在します。とくに、中東アフリカからの難民や移民は、言語や宗教の違いから排斥される場合があります。SDGs目標10を達成するためには、このような人種差別に関する問題もなくしていく必要があります。

性別による不平等が残っている

また差別は人種間だけではなく、性別によるものもあります。近年では、世界各地で性別による不平等が、いまだに深刻な問題として存在しています。具体的な例として、男女間での賃金格差や、女性の社会進出の機会を阻む固定概念などが主な問題として挙げられます。

賃金格差の実情を見てみると、2019年にOECD(経済協力開発機構)が発表した調査によると、男女間の平均的な賃金格差は男性が女性よりも13.6%高いとされています。とくに、韓国では賃金格差が34.6%と、かなり高い数値です。日本においても賃金格差は24.5%とされており、世界の中でも高い位置を占めています。

また、職業選択においても男女間には明らかな不平等が見受けられます。とくに化学や数学、エンジニア系などの分野では、女性の割合が非常に低いです。これらの不平等を解消するためには、法制度の改革や教育の機会を平等にするなど、あらゆる側面からの取り組みが求められます。

日本の「人や国の不平等」の現状と3つの問題点

続いて日本における不平等の問題や、その現状について、説明していきます。

日本国内でも所得格差が生じている

近年では、日本国内でも所得格差が問題となっています。とくに働く世代と、非正規雇用者や高齢者世代との間で、明確な所得の差が見られます。働く世代の多くは、正規雇用者であり、安定した収入層が得られています。一方で高齢者や非正規雇用は、年収は大きく下がり、生活保護レベルまで落ち込む例も見受けられます。

とくに高齢者は、多くの場合退職した後は、年収を得て生活を送っています。退職後に得られる年金は、働いている間に積み上げた年金資産や社会保険制度に基づいて定められているものの、働いている機関で得ていた給料よりも低くなっています。

また非正規雇用者は、パートタイムなどで働いているため、労働時間が正規雇用者と比較すると、短くなっています。また非正規雇用者は、同じ仕事を行っていても、正規雇用者よりも得られる給料が少ないです。そのため正規雇用者と非正規雇用者との間にも、所得格差が生まれてしまいます。

高齢者や非正規雇用者と、正規雇用者との間における賃金格差をなくすためには、高齢者や非正規雇用者への支援を強化したり、雇用形態による賃金格差を改めたりなどの政策が求められます。

経済や政治の分野で男女の格差が生じている

日本では、教育などの分野において、男女間の格差はありません。しかし経済や政治の分野において男女間の格差が依然として存在しています。とくに経済分野では、男性と女性の平均年収に大きな開きがあります。2021年に厚生労働省が調査した結果、女性が得られる給料は、男性が得られる給料のうち、約75%しか得られていません

また、政治分野においても女性議員の割合は低く、2021年現在、衆議院では全議席の9.7%参議院では全議席の22.6%しか占めていません。政治面において、男性が担うべきという考え方が根付いている人々も存在しており、女性の社会進出が遅れてしまっています。

これらの格差を解決しなければ、女性の社会進出を妨げ、女性の意見が反映されにくくなり、SDGs目標10の達成が困難となります。男女間の格差問題を解決するためには、男女平等を推進する政策や法制度の整備、企業の女性活躍推進の取り組みが重要です。

外国人や障害者に対する偏見や差別が残っている

日本において、「人や国の不平等」を象徴する問題の一つが、外国人や障害者に対する偏見や差別です。外国人に対する偏見や差別は、仕事場での待遇の違い生活環境の不平等日常生活での差別的な言動などが例として挙げられます。このような差別や偏見は、言葉の壁や文化の違いからくる誤解や無意識のうちに起こることが多いです。

また、障害者に対する偏見や差別も深刻な状況となっています。雇用の場面での不遇や施設へのアクセスが困難なこと、周囲からの理解が不足していることが原因の一つです。

これらの問題は、社会全体で理解と配慮を深めることで、改善していきます。SDGs目標10は、一人ひとりが多様性を認識し、差別をなくす努力をすることで、より平等な社会が実現していきます。

SDGs10の解決策8選|人や国の不平等をなくすには

つぎにSDGs目標10を達成するために必要となる、解決策について、説明していきます。

男女・マイノリティ・貧困層へ教育支援を行う

教育は、不平等を解消するために必要な方法です。とくに、男女差別マイノリティへの偏見、そして貧困という3つの視点について考えることがとても重要となります。

教育を通じて、マイノリティに関する理解や、男女平等に関する知識を深めていくことで、少しずつ偏見や差別を削減していくことにつながります。また貧困層の人々に向けて、学費の補助を行ったり、奨学金制度を整えたりなど、教育の機会を与えることが大切です。

関連記事:日本の小学校とLGBT教育-現状と私たちに出来ることを紹介

関連記事:LGBT教育に必要な取り組み5選-現在の問題点と海外の取り組みも紹介

差別的な法律や規制を廃止する

差別的な法律や規制は、その国で暮らす人々を排斥してしまう原因となりますこれらを廃止することはすべての人が公平に生きられる社会を形成するための重要な取り組みです

たとえば、一部の国では、性的指向や性自認に基づいた差別が法制度によって認められています。これらの法律は、LGBTQ+の人々が社会の一員として公平に扱われる機会を奪います。

また、障害者における雇用や、教育の機会に関する差別も見受けられます。障害者がすべての人と同じように雇用や教育の機会を得るためには、これらの差別的法制度や規制を廃止することが大切です。そしてすべての障害者の権利を保護する法律を、制定することが必要となります。

移民・難民保護法制度を整備する

移民や難民の保護は、人や国の不平等を解消するうえで欠かせない要素の一つです。彼らは経済的な理由や、紛争などから故郷を離れざるを得ない状況であるため、安定した生活を送るための支援が必要です。

しかし、彼らが受けられる権利や待遇が、保証されていない国も一定数存在しています。移民や難民の人々を守るためには、移民や難民を保護する法制度の整備が必要です。

具体的な例として、信頼できる難民認定の基準や手続き制度を整え、認定された難民には生活支援や、働くために必要な許可を速やかに与えることが挙げられます。このような法制度を整備することで、移民や難民の生活が安定し、その結果として社会全体の不平等の解消につながります。

公平な雇用機会を提供する

すべての人に公平な雇用機会を提供することは、不平等をなくす重要な手段の一つです。これは、性別や人種、年齢、国籍などに関係なく、すべての人に平等な雇用機会を与えることを意味します。

まず、企業が就職や昇進の際に、性別や人種、年齢、国籍などによる差別をなくし、能力や経験をもとに採用・昇進を行うことが必要です。このような公平な雇用機会の提供は、社会全体の生産性の向上にも貢献します。また職場でのセクシャルハラスメントやパワハラなども、働く機会を失う原因となります。

また、障がい者やシングルマザーなど、一人での生活が苦しい人々に対して、特別な支援を提供することも重要です。たとえば、障害者雇用促進法や女性活躍推進法など、法律により企業に対する義務付けも行われています。

すべての人が平等な環境のもとで、雇用の機会を得られるようにするためにも、性別や人種などを考慮せず、法律や制度によってサポートしていくことが大切です。

賃金格差を解消する

不平等に関する問題の一つである賃金格差の解消も、SDGs目標10を達成するための重要な要素です。労働者が同じ労働に対して同じ報酬を受け取ることは、社会全体の経済的な不平等を緩和し、人々の生活水準を向上させます

とくに、男女間の賃金格差の解消は、近年とても注目されています。男女間の賃金格差をなくすためには、法律や制度を整えたり、職場の環境を改め、多様性を尊重させたりなどの取り組みが大切です。

また育児・介護を行う女性に対し、仕事との両立ができるような支援制度も、賃金格差をなくす取り組みになります。具体的な例として、柔軟な勤務時間の設定や、保育所の設置などが挙げられます。

関連記事:《徹底解説》女性とSDGsの関係性|日本の抱えるジェンダー問題を徹底解説

途上国・発展途上国への経済援助を行う

途上国や発展途上国への経済援助は、SDGs目標10の達成に不可欠な活動の一つです。経済的な不平等を減らしていくためには、先進国が資金や技術を提供し、発展途上国などの自立を支援することが求められます。具体的な方法として、ODA(公的開発援助)を通じた資金援助や、技術や知識を伝えることなどがあります。

国によっては、医療や教育などの基本的な社会サービスの整備に焦点を当てた援助を行う場合もあります。これにより、その国の人々が基本的な生活を送るための条件を整え、長期的な発展につなげることができます。

これらの活動は、各国の政府だけでなく、国際機関NGOなども関わっており、協力して進めています。経済的不平等の解消は、すべての国が一緒に取り組むべき課題です。

多様性を認識し、差別や偏見の撤廃を目指した教育を行う

多様性」とは、人々の考え方やスキル、性別、年齢、人種、宗教など、個々の特徴や背景の違いを理解し尊重することです。「多様性を理解し、差別や偏見を撤廃するという教育は、SDGs目標10の達成に欠かせない取り組みです

一人ひとりが持つ違いを尊重することで、少数派の意見も尊重される公正な社会を形成することが可能です。また、多様性を認識することで、新たな視点やアイデアを得ることも可能となり、社会全体の発展に繋がります。

とくに学校教育においては、教科書や授業を通じて、子供たちが多様性を理解し、差別や偏見から自由な社会を目指す価値観を持つことが求められます。また、企業や地域社会でも、多様性研修を実施し、スタッフやメンバーが多様なバックグラウンドを持つ人々を理解し、尊重する環境を整えることが重要です。

関連記事:LGBTとダイバーシティ-定義や種類、注目されている理由も紹介

SDGs10を達成するために私たちができること3選|個人ができる取り組み

続いて私たちが身近でできる、SDGs目標10の達成に貢献する取り組み事例について、紹介していきます。

関連記事:SDGsと不平等の関係-さまざまな不平等をなくすための取り組みを紹介!

世界各国の現状や多様性について学ぶ

SDGs目標10を理解し、具体的な行動を実行するためには、まずは各国の現状や、多様性について学ぶことが重要です。

世界では、それぞれの国が、経済状況、政治体制、文化、宗教などにより、多様な状況と問題を抱えています。たとえば、発展途上国では、貧困や飢餓が深刻な問題となっています。一方で、先進国では格差問題や人種・性別による差別が問題として挙げられます。

これらの情報から現状を学び、理解することで、SDGs目標10を達成するために、自分がどのような行動をすべきか、考えることができます。たとえば、フェアトレード商品を選んだり、特定のNGOやNPOへ募金をしたりすることです。

募金活動やボランティアへ参加する

SDGs目標10に対する取り組みとして、一人ひとりができる具体的な行動の一つに、募金活動やボランティアへの参加があります。

募金活動では、不平等な状況にある人々や国々への援助金を集めることができます。これは、直接的な物資提供だけでなく、教育プログラムや医療サービスなど、あらゆる形で彼らの生活改善につながります。

また、ボランティア活動に参加することも非常に大切です。この活動は、自分自身が直接関わり、地域社会や国際社会の不平等解消に寄与する形です。例えば、国内外のNPOやNGOが主催する教育支援のボランティアや、地域の清掃活動、災害時のボランティア活動などがあります。

これらの活動に参加することで、身近な場所から世界の不平等問題解消に貢献することが可能です。気になる活動があれば、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

フェアトレード商品を選択・購入する

フェアトレード」とは、発展途上国で暮らす生産者・労働者の人々が自立して生活できるよう、貿易を通じて支援する取り組みです。これにより、所得の少ない農民や、工場労働者が働きに見合った報酬を得られ、生活の質を向上させることが可能になります。

フェアトレード商品を選択・購入することは、私たちが身近でできることであり、SDGs目標10の達成にもつながる取り組みです。フェアトレード商品には、コーヒー、紅茶、カカオなどがあります。フェアトレード商品は、スーパーや通販サイトで購入できるため、積極的に購入してみましょう。

関連記事:フェアトレードとは?取り組むメリットや商品の購入場所を紹介

関連記事:フェアトレードの仕組みとは?-背景にある4つの問題も解説

世界各国のSDGs10達成に向けた取り組み事例

つぎに世界各国で実施されている、SDGs目標10の実現に向けた取り組みについて、紹介していきます。

JICA|貧困層の所得向上に向けた取り組み

JICA(日本国際協力機構)は、SDGs目標10の達成に向け、世界各地で貧困層の所得向上を目指した取り組みを展開しています。

とくに注目すべきは、バングラデシュで行われている「小規模養魚事業」です。このプロジェクトでは、地元の住民に対して養魚の技術を指導し、安定した生計を得る機会を提供しています。

また、アフリカ諸国における「農業生産性向上プロジェクト」も重要な取り組みの一つです。こちらでは、より効率的な農業技術を普及させることで、地域コミュニティの持続的な経済成長を促進しています。

UNDP(国連開発計画)|貧困を根絶する取り組み

UNDP(国連開発計画)は、貧困を根絶する取り組みの一環として、SDGs目標10の達成を目指し、取り組みを行っています。

この取り組みでは、とくに貧困層に向けた支援や、不平等の解消を目指して活動しています。具体的には、賃金や教育における格差をなくしたり移民や難民に対する法律などを強化したりなどがあります。また貧困層の経済的自立を支援するためのスキル向上プログラムの提供などを行っています。

また、UNDPは国際社会と連携し、それぞれの国や地域のニーズに応じた最適な解決策を考え、取り組みを行っています。このような活動を通じて、SDGs目標10の達成と共に、すべての人が安心して生活できる社会の実現を目指しています。

FBD|司法の無償サービスを提供する取り組み

FBD (Free Legal Aid Bangladesh)は、バングラデシュの非政府組織で、法的支援を必要とする貧困層へ無償の法的サービスを提供しています。FBDは、法的問題を抱える人々が自分の権利を主張し、裁判などの公平な審理を受けることができるようにするための重要な役割を果たしています。

この取り組みは、SDGs目標10のターゲットに含まれている、移住者たちの不平等をなくすことにつながる取り組みです。とくに、法的な知識がなく、経済的に苦しいために不平等な扱いを受けることが多い貧困層の人々に対して、無料で法的サービスを提供していきます。

また、FBDは法律などに関する教育の普及にも力を入れており、さまざまな知識を持つことで、自分の身を守れるような社会の形成も目指していきます。このような取り組みは、SDGs目標10の達成だけでなく、法の支配と公正な社会の実現にもつながります。

日本でのSDGs10達成に向けた取り組み事例

最後に日本国内で行われているSDGs目標10の達成に向けた政策や、取り組みについて、解説していきます。

関連記事:SDGs目標8番の達成に向けた解決策とは?|企業事例3選を紹介

法務省|ヘイトスピーチ解消法を試行

日本でもSDGs目標10の達成に向けて、さまざまな取り組みが行われています。その一つが法務省によるヘイトスピーチ解消法の試行です。この法律は、特定の人種や民族、宗教などに対する差別的な演説や表現(ヘイトスピーチ)を禁止するもので、2016年から始まりました。

試行期間中、公共の場でのヘイトスピーチを行った場合、その行為を止めさせる命令が出されるシステムが導入されました。また、インターネット上でのヘイトスピーチも規制の対象となり、差別的な表現を控えるように求められています。

この法律の施行により、人種や国籍による不平等を減らし、日本社会の多様性と共生を促進することを目指します。

一般社団法人こども宅食応援団|こども食堂の全国化を推進する

一般社団法人こども宅食応援団は、日本国内の子どもたちが安心して食事ができる環境を作ることを目指しています。その取り組みの一つが、「こども食堂」を全国各地に開設することです。

こども食堂」とは、地域の子供たちに無料または低価格で食事を提供する場所のことです。「こども食堂」では、誰もが気軽に訪れることができます。食事を通じて、子どもたちの貧困問題に対する意識を高め、地域内での関わりを形成する役割も果たしています。

こども食堂が広がることで、子どもたち一人ひとりが健康的な食事を食べ、安心して成長できる社会を目指すと共に、SDGs目標10の達成にも貢献します。

関連記事:【徹底解説】子ども食堂とは|現場の様子から開催方法まで解説

JALグループ|LGBTQへの理解促進活動を行う

日本航空JALグループは、社会の多様性を活かすことにより、持続可能な社会実現に貢献するという視点から、LGBTQの理解促進に向けた積極的な取り組みを行っています。

具体的には、2014年から始めた国内航空業界初の「性的指向・性自認に関するガイドライン」を設け、社員一人ひとりが自分らしく働くことを支持しています。また、毎年6月の「プライドマンス」には、社内外での啓発活動を行い、LGBTQとその理解者(アライ)の制度・環境整備を推進しています。

このような取り組みを通じて、JALグループは組織内の多様性を尊重し、SDGs目標10の達成に向けた一歩を踏み出しています。

まとめ

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」は、ひと同士の不平等や差別をなくし、国ごとの不平等もなくすことを目指した目標です。世界では、国内外で経済格差があったり、性別・国籍などの違いから差別されたりなど、さまざまな問題が生じています。

これらの不平等を解決するためには、教育を通じて理解を深め、環境を整えていく必要があります。発展途上国に向けて、技術や資金の援助をすることも重要な取り組みです。

また私たちもこの問題を解決するために、身近にできることがたくさんあります。たとえばフェアトレード商品を購入したり募金活動・ボランティアに参加したりなどです。まずは簡単にできることから始めてみませんか。

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