【更新日:2023年3月29日 by 田所莉沙】
SDGsは1から17まで多くの目標が設定されていますが、それらは全て繋がっています。
そしてその複雑に絡み合った課題を解決していくには国、企業、個人のパートナーシップが必要不可欠です。
この記事では、SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」について、分かりやすく解説します。
【この記事で分かること】 |
見出し
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは
皆さんはSDGs目標17について、どのくらいご存知でしょうか。
まずはSDGs目標17の内容や、目標の達成のために設けられたターゲットについて、説明していきます。
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の概要
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、世界各国の政府や自治体だけがSDGsに関連する政策を実施するのではなく、企業や市民一人ひとりが協力することの大切さを重要視しています。
近年ではSDGsが世界各国で普及しており、国や企業が持続可能な社会の実現に向けて取り組みを行っています。また人々の意識にも変化が現れており、より地球環境を考慮して生活を送っている人々もいます。
SDGs目標17では、達成すべき目標を7つのジャンルに分類し、さまざまな側面から持続可能な社会の実現を目指します。分類されたジャンルに対して政府や自治体のみが取り組むのではなく、企業や市民など多くの人が取り組みを実施することで、SDGsは達成されていきます。
SDGs目標17 7つのジャンル ①資金 ②技術 ③能力構築 ④貿易 ⑤制度・政策 ⑥マルチステークホルダー・パートナーシップ ⑦データ・モニタリング・説明責任 |
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲット
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、持続可能な開発のためにさまざまな方法を見出し、世界各国が協力し合う環境を目指して19個のターゲットが定められています。どのターゲットにおいても、「パートナーシップ」というキーワードをもとに、世界各国で協力することが重要視されています。
たとえば「資金」というジャンルにおいて、発展途上国での資金調達を支援したり、発展途上国が持続可能な発展ができるように投資活動を推進したりすることを目指しています。
そのほかにも持続可能な社会の実現を目指して貧困をなくし、政策を実施するために世界各国の意思を尊重することや、すべての人が信頼できる情報をいつでも得られるような環境をつくることなども、ターゲットとして定められました。詳しいターゲットの詳細は、下記の通りです。
17.1 | ・世界各国が発展途上国へ支援などをすることで、発展途上国における資源調達を強化する。 |
17.2 | ・先進国は発展途上国の経済や社会の発展、福祉の向上に役立つよう、資金や技術を提供する。 ・資金や技術を提供する際に、発展途上国の政府開発援助(ODA)に関する約束を完全に実行する。 |
17.3 | ・さまざまな財源から、発展途上国のための資金をさらに集める。 |
17.4 | ・発展途上国が負担している借金が長期にわたってお金のやりくりができるようにする。 ・国が負担する借金をなくすための資金調達や、借金の取り消し・減額、期間の延期など、借金の返済方法について再検討をする。 ・多額の借金をしている国に対して、返済が容易になるような方法を採用する。 |
17.5 | ・経済的、政治的に開発が遅れている国へ投資をするために、政策などを導入し、さまざまな方法を実施する。 |
17.6 | ・科学技術イノベーションを更に活用するために、先進国と発展途上国、国際機関が協力をしていく。 ・さらに技術を進めるために、互いの合意のもとで、知識の共有を行う。 |
17.7 | ・発展途上国に対して、環境を考慮した技術の開発や移転、普及を行う。 ・互いに合意したうえで発展途上国にとって、有利な条件に基づいて進めていく。 |
17.8 | ・2017年までに開発が遅れている国々が科学技術イノベーションに関する能力を高められる仕組みを取り入れる。 ・情報通信技術(インターネットなど)のような、さまざまな技術が使えるようにする。 |
17.9 | ・SDGsに掲げられたすべてのことを実施するために、それぞれの国の計画を支援する。 ・計画を支援するうえで、先進国と発展途上国、国際機関が協力していく。 ・発展途上国が能力をさらに高められるよう、国際的な支援を強化する。 |
17.10 | ・ドーハ・ラウンドで話し合われた結果を含めて、世界貿易機関(WTO)のもとで規則に基づいた差別のない、公平な貿易体制を推進する。 ※ドーハ・ラウンド…WTOに加盟する国が参加する貿易交渉の場所のこと。 |
17.11 | ・発展途上国からの商品輸出量を大きく増やす。 ・中でも発展が遅れている国に対して、世界の輸出量に占める割合を2020年までに2倍にする。 |
17.12 | ・発展途上国の中でもとくに開発が遅れている国々に対して、継続的に無税・無粋で市場を利用できるようにする。 ・世界貿易機関(WTO)の決定に従いながら、発展途上国の商品輸出に関する有利な決まりごとを行う。 ※無税・無粋な市場…輸入される商品に対して関税がかからず、輸入時に商品の数量制限を設けないこと。 |
17.13 | ・各国で政策を実施したり、一貫性のある政策を行うことで、世界全体の経済が安定するようにする。 |
17.14 | ・持続可能な開発のために、一貫した政策を実施できるようにする。 |
17.15 | ・貧困をなくすなど、持続可能な社会の実現のために行われる政策などは、それぞれの国の意思を尊重する。 |
17.16 | ・すべての国でSDGsが達成できるように支援を進めていく。 ・持続可能な開発のために、世界各国で協力体制を整える。 ・知識や技術、資金を集め、世界各国が協力していく。 |
17.17 | ・さまざまな協力体制に基づいて、より効果的な公的・官民・市民社会の協力を進める。 ※官民の協力…政府屋や自治体などの機関と民間企業による協力のこと。 |
17.18 | ・2020年までに開発が遅れている国々に対して、能力を高めるような支援を実施する。 ・性別や年齢、人種など関係なく、高品質で信頼性のあるデータを利用できるようにする。 |
17.19 | ・2030年までに持続可能な開発がどれだけ進んでいるかどうかの測り方を開発する。 ・測り方を生み出す際に、国内総生産(GDP)以外を用いて測る方法を見出す。 ・発展途上国における統計データに関する能力を高めるために、支援を行う。 |
参照:外務省公式サイト
SDGs17が必要な理由|パートナーシップでSDGsを達成
ここまでSDGs目標17に関する内容や、ターゲットについてまとめていきました。ではなぜSDGs目標17は、必要な目標として定められたのでしょうか。
産業革命以降、技術の発展に伴って、私たちの生活は便利なものへと変化しています。しかし技術の発展により、気候にも悪影響を与え続けてきました。近年では、気候変動が進んだことで、世界の気温は上昇し続けています。今後地球の気温が上昇することで、海面が上昇したり、一部の島国や地域が水没したり、さまざまな問題が世界規模で発生しています。
これらの社会問題を解決し、次の世代につなげていくためには、SDGsの達成が必要不可欠です。SDGsとして定められた17個の目標は、国や自治体だけが取り組むことで達成するものではありません。一人ひとりが日常生活の中で意識し、取り組みを行うことで、目標の実現に近づきます。
SDGs目標17は、国や自治体だけではなく、市民や企業などさまざまな人が協力してSDGsの達成に取り組むため、定められた目標です。
SDGs17に関する世界の現状と課題
ここまでSDGs目標17の必要性について、まとめていきました。続いて世界各国で発生しているSDGs目標17の現状や、課題点について解説していきます。
途上国を支援するための資金が不足している

引用:外務省公式サイト
まず一部の発展途上国では、SDGsを達成するために必要となる資金が不足しています。貿易や開発、金融や投資などの持続可能な開発に関する問題に対応する国際連合の機関として、国連貿易開発会議(UNCTAD)があります。国連貿易開発会議が発表したレポートでは、SDGsを達成するために必要な資金は、発展途上国だけで年間3.9兆ドル必要と発表しました。しかし2014年の段階で、集められた資金は約1.4兆ドルのみでした。
発展途上国では、国や政府の基盤ができていないなどの原因により、税収がうまく行えていません。そのため国全体として保有する資金が少なくなっています。そこで重要となるのが、「政府開発援助(ODA)」です。
「政府開発援助(ODA)」とは、先進国の政府が政府資金を用いて、発展途上国の経済成長などのために行う支援のことです。国際連合の総会では、政府開発援助の目標値を国民総所得比(GNI)の0.7%にすることを定めています。しかし2019年の段階で目標を達成できている国は、5か国のみでした。
先進国だけではなく、発展途上国においてSDGsを達成するためには、まず基盤となる資金が必要です。そのためには先進国からの資金援助も重要な支援となります。
貿易体制が不平等である
貿易という観点においても、発展途上国と先進国の間には、不平等な状況があります。私たちが普段何気なく食事をしたり、使用している日用品の原材料の多くは、発展途上国で作られています。実際に商品を購入する際は、手頃な価格でさまざまな商品が得られます。しかし原材料を生産した発展途上国では、先進国で安く商品を販売するために、報酬の価格が安く設定されています。
労働に対し安い賃金しか支払われないため、発展途上国の生産者・労働者は充分な生活ができておらず、小さな子どもも働かざる得ない環境となっています。小さな子どもが学校に行かずに働くと、文字の読み書きができなくなったり、計算ができなかったりするため、仕事も限られたことしかできません。結果的に国の経済成長にも支障をきたしてしまいます。
先進国と発展途上国間における貿易の不平等をなくすためには、「フェアトレード」などの取り組みを導入することが大切です。とくに「フェアトレード」では、発展途上国の生産者・労働者の生活を改善し、自立できるような貿易の仕組みを推進しています。
フェアトレード …発展途上国で生産された原材料や製品を、先進国が適切な価格で購入することで、発展途上国で暮らす生産者・労働者の生活を支援し、自立できるようにする貿易のこと。 |
関連記事:フェアトレードとSDGsの関係とは?-企業や個人の取り組みも解説
市場アクセスに差がある
「市場アクセス」とは、製品やサービスが世界の輸出市場において、自由に取り引きできることです。先進国のうち多くの国では、「自由貿易協定(FTA)」を結ぶことで、関税がかからずに輸出・輸入ができたり、他国の製品や商品を購入しやすくなったりと、メリットがあります。
しかし発展途上国において、安い海外の製品や商品が販売されてしまうと、国内で生産された商品が購入されず、自国の生産者・労働者の得られる収入が少なくなってしまう可能性があります。国内の生産者や労働者を守るために、発展途上国の中には自由貿易協定を結ばずに貿易をする国も少なくありません。
発展途上国でより貿易を盛んにするためには、海外市場へアクセスできるような環境を整えることも重要です。また貿易をする際には、発展途上国で暮らす人々の収入源である製品や原材料を積極的に輸出できるような政策を行うことも、市場アクセスのしやすさにつながります。
民間・政府の協力体制が不十分である
発展途上国に限らず、先進国においても市民と政府、企業との間における協力体制が充分には整っていません。
たとえば世界にはユニセフ協会やセーブ・ザ・チルドレンなど、さまざまな団体が世界各国で問題となっていることに対し、解決・改善できるよう取り組んでいます。なかには支援する地域へ物資などを届けるために、寄付活動を推奨している団体も存在します。
団体への寄付活動に積極的に参加する人がいるにもかかわらず、世界各国の社会問題を解決するためには、団体への協力が不十分です。
SDGsとして定められた17個の目標を達成するためには、一部の団体や政府・自治体だけが取り組みを行うのではなく、世界各国で暮らす人々の協力が必要不可欠です。
情報格差(デジタル・ディバイド)が進んでいる
「情報格差(デジタル・ディバイド)」とは、インターネットなどの情報通信技術が容易に利用できる人と、できない人の間に存在する経済格差のことです。2014年において、世界の人口のうちインターネットの恩恵を受けている人は、全体の40%でした。また先進国では半数以上の人々がインターネットを使用できる環境で暮らしているのに対し、発展途上国では約30%の人々しかインターネットを使用できていません。
インターネットのような情報通信技術が著しく発達している今日、教育の一環として学習している国も存在します。2018年に行われたPISAのICT活用調査で上位を占めているスウェーデンやデンマークなどの北欧諸国では、インターネットを活用した授業が行われています。
しかし多くの発展途上国では、情報通信技術が普及していなかったり、インターネットを利用できるほどの収入が得られていなかったりすることで、多くの人がインターネットを活用できていません。国の経済を発展させるためにも、世界各国の人々が容易に情報通信技術を利用できる環境づくりが大切です。
SDGs17に関する日本の現状と課題
つぎに日本で発生しているSDGs目標17に関連した現状や、課題について説明していきます。
民間・政府の協力体制が不十分である

引用:外務省公式サイト
日本でも、国民と政府や企業との間における協力体制が充分に整っていません。互いに協力しあえるような環境が整っていなければ、SDGsとして設定された17個の目標も、達成するのが困難となります。
たとえば「まちづくり」においても、政府と国民・企業同士の協力が足りていません。誰もが住みやすい「まち」をつくるために、自治体や政府はさまざまな取り組みを行っています。しかし地域でのコミュニティづくりや防災・防犯対策などの取り組みは、自治体や政府の力だけでは遂行できません。地域で生活をしている人々の積極的な取り組みが必要です。
「まちづくり」以外にも、国民の協力が重要となる場面はたくさんあります。持続可能な社会の実現に向けて、すべての人が意欲的に取り組むような環境をつくる必要があります。
複数のSDGs目標で大きな課題が残り、取り組みが不十分
日本では、SDGsの各目標に達成度の差が大きく存在します。SDGsの達成度を第三者の視点から評価しているSUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORTでは、日本は163か国中19位でした。また17個の目標のうち、SDGs目標4や目標9、目標16は達成されたと評価されています。
SDGsが達成された目標がいくつかある一方で、いまだ対策が不十分な目標も存在します。達成されていない目標の中でも、とくに大きな問題が残っているのが、SDGs目標5、目標12、目標13、目標14、目標15、そして目標17です。この6つの目標のうち、SDGs目標14と目標15は対策が滞っている状況となっています。
またSDGs目標13や目標14、目標15が未達成であることから、日本のSDGsの達成に向けた取り組みは、主に環境に関する問題に対して充分な政策ができていないことがわかります。日本でさらに持続可能な社会を実現するためには、環境を考慮した政策を導入することが大切です。
関連記事:日本のSDGs達成度は18位|達成度からわかる日本の課題も解説
SDGs17達成に向けた日本の取り組み事例3選|企業と政府の取り組み
ここまで日本で生じているSDGs目標17の現状や、課題点についてまとめていきました。続いてSDGs目標17の実現のために日本が取り組んでいることについて、紹介していきます。
Softbank×東京大学|障がいのある子どもが携帯情報端末を活用する研究を実施
Softbankは通信やコミュニケーションサービス、キャッシュレス決済サービスなど、さまざまな事業を展開している企業です。「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトをもとに、SDGsの達成に貢献するさまざまな取り組みを行っています。
SoftbankがSDGs目標17の達成のために取り組んでいることが、すべての子どもが平等に教育の機会を得られるように技術研究を進めるプロジェクトです。このプロジェクトは「魔法のプロジェクト」と呼ばれており、東京大学先端科学技術研究センターと共同で研究を行っています。
たとえば障害をもって生まれた子どもや重い病気を患ってしまった子どもにとって、学校の教育方法では満足した教育が受けられない場合があります。すべての子どもがきちんと教育を受けられるようサポートすることが目的です。
聴覚障害や視覚障害だけではなく、自閉症や記憶障害などさまざまな症状に合わせて、適切な教育方法を提供しています。動画を用いた教材だけではなく、iPadを活用したデジタル教材も用いています。
そのほかにもSoftbankが利用している人型ロボットの「ペッパー」を、プログラミングの教育をする場で活用するなどの取り組みも行っています。
JICA|世界各国で協力体制を整える
独立行政法人国際協力機構(JICA)は、日本の政府開発援助(ODA)を行う機関として、発展途上国へ国際協力をしている機構です。JICAは発展途上国との信頼関係を一番重要なことととらえ、発展途上国で発生している問題をともに解決していくために、取り組みを行っています。
実際にJICAが実施している取り組みが、世界各国で協力体制を普及していくことです。たとえば南南協力や三角協力を推進することで、世界各国がともに助け合うような環境を目指していきます。
そのほかにも発展途上国で発生している社会問題などを解決するために、日本の民間企業が持つ優れた技術や製品を発展途上国へ広めるサポートをしています。また企業の支援をするだけではなく、国民や大学などの学生、自治体による国際協力活動への参加も推奨しています。
南南協力 …発展途上国同士で協力し合うこと。発展途上国の中でのある分野において開発が進んでいる国が、他の発展途上国の開発を支援すること。 |
三角協力 …先進国や国際機関が、南南協力を、資金・技術・運営方法など、さまざまな方法を用いて支援すること。 |
関連記事:《SDGs事例集》 パートナーシップで世界をつなぐ JICA
文部科学省|教育分野における日本国内のSDGsを情報発信
文部科学省は、教育や科学技術、スポーツや文化の振興など、さまざまな役割を担っています。教育やスポーツ、科学技術は日本の基盤となるものであり、地域の文化を広めていくなど、大きな影響を与えるものです。文部科学省では、これらの基盤となる要素をより良いものにするよう、取り組みを行っています。
文部科学省がSDGs目標17 の達成のために取り組んでいることが、公式サイトでの情報発信です。文部科学省公式サイトでは、日本のさまざまな地域の教育現場で実施されている取り組みを紹介しています。
たとえば岡山大学では、2016年に採択された「倉敷宣言」を踏まえて、「みずしま滞在型環境学習コンソーシアム」を発足しました。「みずしま滞在型環境学習コンソーシアム」では、3つのゴールを掲げ、産業・自治体・地域住民・大学が共同して倉敷宣言の達成を目指していきます。
教育に関する情報発信だけではなく、スポーツや科学技術に関する最新の情報も公開しているため、興味のある方はぜひ公式サイトを調べてみてください。
倉敷宣言 …G7倉敷教育大臣会合で採択された文書のこと。教育を世界各国の優先的な議題として引き上げ、教育の重要な役割について再認識したもの。 |
SDGs17達成に向けた世界の取り組み事例3選
続いて、世界で実施されているSDGs目標17 の実現を目指した取り組みについて紹介していきます。
UNDP(国連開発計画)|世界各国の開発をサポート
国連開発計画(UNDP)は、貧困や不平等を改善するために、持続可能な開発を促進する国際連合の主要な開発支援機構です。1966年から発足しており、「国家にとって真の宝は人々である」という信念に基づいて、世界各国の開発をサポートする取り組みを行っています。
国連開発計画(UNDP)は信念に従い、世界各国で持続可能な社会の実現に向けた取り組みの支援を行っています。2023年2月には、オランダの環境NGO団体であるOcean Cleanupと共同して、世界の海や川で問題となっているプラスチック汚染の撲滅に向けて取り組みを開始しました。
そのほかにもインドにて労働者が社会保障を得られるようにしたり、ウガンダで暮らす農家に虫耐性・腐敗耐性のある収穫袋を提供したりと、さまざまな支援を行っています。
カールスバーグ|廃棄物をゼロにする開発を行う
カールスバーグは、1847年にデンマークで設立され、現在は世界各国で販売されているビールです。厳選された麦芽を100%使用しており、主にヨーロッパのサッカーチームや大会のスポンサー活動を行っています。
カールスバーグがSDGsを達成するために取り組んでいることが、廃棄物の削減です。2022年6月には、新しいファイバーボトルの運用を開始しました。新たなファイバーボトルは、植物由来のPETポリマーライニングであり、リサイクル可能なボトルとなっています。試験的な取り組みは、デンマーク・スウェーデン・イギリスなどの欧州西部でサンプルが提供されています。
そのほかにも2030年までに水の使用量を50%削減することを目標としているカールスバーグでは、商品の生産工場で水の再利用を行っています。洗浄過程で使用された排水を回収し、飲料可能なレベルの水質まで浄化を繰り返すことで、商品の生産時に再利用しています。
M&M’S|パッケージに新キャラクターの登場

引用:MARS公式サイト
M&M’Sは世界各国で販売されているチョコレートブランドであり、アメリカのニュージャージー州にあるMARSが運営しているブランドです。M&M’SではFUN(ワクワク)の力を使って、誰もが自分の居場所だと感じられる世界をつくりだすことを目指しています。
M&M’Sが2022年に新たに始めた取り組みが、新しいキャラクターの導入です。商品のパッケージに登場するカラフルなキャラクターたちは、それぞれ人としての個性を反映させています。新たに登場するパープルは、「受容性」を表現したキャラクターとしてパッケージに登場します。
そのほかにも2025年までに1,000万人の人々の、コミュニティに対する意識を高めるために、「M&M’S FUND(M&M’Sのワクワク基金)」の一環として、音楽配信を行っています。音楽を1回再生することで1ドルを、非営利団体Sing for Hopeに寄付をしています。
SDGs17を達成するために私たちにできること|個人の取り組み
ここまで世界各国で行われている、SDGs目標17の達成に向けた取り組みについて、まとめていきました。
では私たちが身近でできる取り組みには、どのようなものがあるでしょうか。まず私たちができることとして、日本に限らず世界各国で起きている問題について、知ることがあります。
世界の問題について調べた後、実際に問題解決につながるような取り組みを行うことも重要です。世界で発生している社会問題は、簡単に解決できるようなものではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。こういった問題を少しでも解決できるよう、国際NGO団体や、SDGsの達成に向けて取り組んでいる団体へ寄付活動を行ったり、SDGsに関連するイベントに参加したりすることが重要です。
ほかにも、買い物をする際にフェアトレード商品を購入することや、SNSなどを通じてSDGsについて情報発信することも、私たちは簡単に取り組めます。みなさんもできることから始めてみませんか。
SDGs17達成に向けたパートナーシップとは
ここまでSDGs目標17の実現を目指すうえで、私たちができることについて、まとめていきました。
最後に、SDGs目標17を達成するために欠かせないキーワードである「パートナーシップ」について、説明していきます。「パートナーシップ」とは協力関係や、共同することを意味します。ではなぜSDGsを達成するために、「パートナーシップ」が必要となるのでしょうか。
持続可能な社会を実現するためには、世界各国で起きているさまざまな問題を解決することが必要です。気候変動や動植物の絶滅など、問題がこれ以上悪化すると、次の世代につなげることができません。そのため地球を未来へとつなげるために、世界各国で地球環境を考慮した取り組みが行われています。
しかしSDGsを達成するためには、各国の政府だけでは達成できません。企業や国際NGO団体、市民が積極的に協力することで、より効率的に解決できる可能性があります。「パートナーシップ」は、SDGsの実現を目指すうえで不可欠な要素です。
関連記事:《徹底解説》SDGsとパートナーシップ|世界から日本国内のパートナーシップまで徹底網羅
関連記事:官民連携で「循環経済パートナーシップ」創設|資源効率化を経済活動に組み込む動きが加速
まとめ
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、あらゆる場面において、世界各国で協力し合うことを目指した目標です。SDGsとして設定されたすべての目標を達成するためには、政府や自治体だけではなく、企業や国民一人ひとりの積極的な姿勢が大切です。
とくに発展途上国では、先進国と比較すると、さまざまな問題に直面しています。世界各国でSDGsを達成するためには、まずそれぞれの国で起きている問題を解決することが鍵となります。問題を解決するうえで、先進国の製品や技術が問題の解決に大きく貢献する可能性もあります。
私たちにも寄付活動に取り組んでみたり、イベントに参加してみたりなど、できることがあります。世界の問題の解決に向けて、積極的にできることに取り組んでみてはいかがでしょうか。