SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を初心者にもわかりやすく解説

#SDGs目標7#エネルギー#再生可能エネルギー#技術#脱炭素(カーボンニュートラル) 2021.02.12

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【更新日:2023年4月24日 by 大竹礼二

SDGs目標7では「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」という目標が掲げられています。

私たちの生活には常にエネルギーが存在し、エネルギーに支えられていることで便利で豊かな生活が送れているのです。
しかしそのエネルギーによって環境汚染などの深刻な問題が発生していることも事実です。

今回はSDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」について解説していきます。
世界、そして日本のエネルギー問題を取り上げ、エネルギー問題を解決するために、私たちにいま何ができるのかを考えていきましょう。

【この記事でわかること】
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見出し

SDGs目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに

ここではSDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」について簡単な概要とターゲットについて解説します。

簡単に解説-目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

5つのターゲットから構成されるSDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は、地球上のエネルギー問題を解決するための内容です。世界中の全ての人々に安く信頼でき、持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する事を目的としています。

実現するためには、太陽光、風力、地熱など様々なエネルギー源に投資が必要となります。一方で生産できるエネルギーの量は限られるため、エネルギーの「節約」も必要となります。

つまり、地球環境へのダメージを抑えた「再生エネルギーの利用の促進」と、私たちの生活において無駄遣いしてしまっているエネルギーを抑える「省エネ」が目標7を達成するためには重要です。

▽その他のSDGsについて知りたい方はこちら

SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のターゲット

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のターゲットは以下のとおり構成されています。

7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う

※「1-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標、「1-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています。

SDGs目標7の問題点-世界のエネルギー問題

SDGs目標7の内容や具体的なターゲットについて理解が深まったかと思います。

では実際に世界ではどのような問題が現状発生しているのでしょうか。ここでは世界のエネルギー問題の現状を3つ紹介します。

世界で電気を使えない人は7.3億人

国連広報センターによると2020年段階で世界で電力をを使えない人は約7億3,300万人と言います。

電力を使えない地域では薪や炭を燃やして料理をしたり暖房にしたり、部屋の明かりにしています。また、夜でも明かりを使えず、仕事や勉強が出来ない人々もいるのです。

そのため、電気をはじめとしたエネルギー供給が不十分な地域では医療や教育が他の地域に比べて遅れ、いつまでも発展が滞ってしまいます。特に途上国では都市と地方の間で格差が拡大しているのが現状です。

人口増加に伴うエネルギー需要と消費の増加

世界の人口は増え続け、2021年段階で約78.9億人となっており、2080年には100億人を超えるとの予測もされています。
それに伴い、エネルギー需給も著しく増大することが予想され、世界的なエネルギーの需給の逼迫が懸念されています。

特に中国やその他のアジア諸国、中東諸国などでは、人口増加と工業化の進展などから依然として大幅な増加が続いています。今後もこれらの国々を中心として世界のエネルギー消費量は、ますます増えていくでしょう。

化石燃料の過剰消費-地球温暖化の要因

近年、化石燃料の利用が急速に増大したことに伴い二酸化炭素の排出量が大幅に増加しています。

特に石油や石炭などのクリーンでないエネルギーは燃焼させると二酸化炭素が発生する事から地球温暖化の要因となる恐れがあります。

今後は新興国のエネルギー需要が急増し、それにともなう化石燃料の消費の増大が見込まれているなか、二酸化炭素排出量の削減は地球規模で実施すべき急務です。

SDGs目標7の問題点-日本のエネルギー問題

当たり前のように電力を使用できる日本ではどのようなエネルギー問題が発生しているのでしょうか。

日本国内で発生しているエネルギー問題について3つ解説していきます。

エネルギー自給率の問題

日本は世界第5位のエネルギー消費大国です。

しかし、もともとエネルギー資源の少ない日本は一次エネルギー(※1)の自給率がわずか4%程度しかなく、ほとんどを輸入に頼っています。
しかもその輸入先は政情が不安定な中東地域が多く、相手国の情勢等によっては安定的な資源調達が困難になるリスクがあります。

実際に、1970年代に起きた2度に渡る石油ショックでは、日本をはじめ、当時石油に過度に依存していた国の経済に多大な影響が及びました。

今後は自給率が低いアジアなどのエネルギー消費国同士で競争が激化する可能性も考えられるため、自国でのエネルギー生産は喫緊の課題です。

(※1)
石油・石炭等の化石燃料、原子力の燃料であるウラン、水力・太陽光・地熱等の再生可能エネルギーなど、自然から直接得られるエネルギー

原子力の問題

2011年3月に発生した東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所一原発の事故により、当時の民主党政権が、経済への影響や政策の実現可能性を十分に検証することなく突如「2030年代までの原発ゼロ」を政策として掲げました。

原子力規制委員会によると、2023年2月現在、33基中8基の原子力発電所が稼働しています。原子力発電所の稼働数が減ったことから化石燃料への依存が著しく高まり、年間3兆円以上の国富が燃料の輸入費として海外へ流出しているのです。

化石燃料への依存問題

国内のエネルギー消費量における化石燃料への依存率が高いことも問題です。

日本には、もともと化石燃料を利用する火力発電への依存度が高い傾向があります。さらに、2011年の震災以降化石燃料依存率は5%ほど上昇しています。この上昇は、原子力発電所の稼働停止で不足した電力供給を火力発電によって補ったことが原因です。

火力発電は、地球温暖化の要因である温室効果ガスを排出します。

温暖化防止のためには化石燃料への依存率を下げ、二酸化炭素の排出量を減らすことが重要です。温暖化対策への国際的な取り組みとして、2015年にはパリ協定が合意されました。日本はパリ協定によって、2030年までに2013年度と比較した温室効果ガスを26%削減する目標を掲げています。

火力発電による二酸化炭素の排出量を減らすには、化石燃料を利用しない再生可能エネルギーに代替していく必要があります。太陽光発電や水力発電、風力発電など、二酸化炭素が発生しない発電方法の普及が今後の課題です。

SDGs目標7の達成状況

ここまで国内外のエネルギー問題の課題について見てきました。

では実際にSDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成状況はどのように評価されているのでしょうか。

世界と日本の達成状況について見ていきましょう。

世界全体の達成状況

出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT2022

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を達成している地域や所得層国は現時点では一つもありませんが、「ラテンアメリカ・カリブ海地域」の進捗は順調であると評価されています。

しかし現時点では目覚ましい前進は減速しており、その主たる原因は「最も届きにくい人々に届けられていない」ことです。

現在の電力普及率にの向に基づくと、電力の供給が難しい地域に住む人々への援助が進まず、2030年までに約5,400万人には電力供給ができないと予測されています。

また再生可能エネルギーに関する開発途上国向けの国際的な資金フローは2年連続で減少しています。再生可能エネルギーの総消費量は2019年までに4分の1増加しているものの、最終エネルギー消費量全体に占める再生可能エネルギーの割合は17.7%と、まだまだ増加させなければならないことがわかります。

日本の達成状況

SDSNとベルテルスマン財団が発表しているレポート「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(持続可能な開発報告書)」によると、日本は2022年のSDGs達成度ランキングで163カ国中19位でした。

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成度評価は、橙色アイコンになっていることから「Significant challenges remain(重要な課題が残っている)」とされています。

しかし進捗評価は黄色矢印の「Moderately improving(中程度の改善)」であることから、日本でもSDGs目標7達成に向けての取り組みが進んできていると言えるでしょう。

出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT2022

出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT2022

▶関連記事|SDGs7の日本と世界の現状-達成に向けた取り組みも紹介>>

▶関連記事|SDGs達成状況2022|日本と世界の達成度とSDGs先進国の取り組み>>

SDGs目標7を達成するための2つのキーワード

実際にSDGs目標7の達成に向けて取り組んでいるものの、まだまだ努力が必要な目標であるとことが理解できたかと思います。

では、SDGs目標7を達成するためにはどのようなアプローチで、どのような社会を目指すべきなのでしょうか。

ここではSDGs目標7を達成するためのキーワードを2つ紹介します。

「脱炭素社会」

脱炭素社会は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を極力減らし、地球温暖化を抑制する社会を目指す概念です。つまり、エネルギーの使用や生産において二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない、または排出量を極力減らすことを目指しています。

脱炭素社会は世界中の国と地域が共通で取り組むべきです。

二酸化炭素を排出しない 再生可能エネルギーの利用拡大を進めるとともに、エネルギー使用量の少ない省エネ製品(エコカー、省エネ住宅、省エネ家電など)への買い換え・サービスの利用・ライフスタイルの選択など、地球温暖化対策に役立つ「賢い選択」を促す国民運動である「COOL CHOICE」も推進されています。

国全体が再生可能エネルギーの利用に踏み切るだけでなく、私たちもライフスタイルを柔軟に変化させ、地球に優しい社会を目指していく姿勢が重要です。

ちなみに、カーボンニュートラルとは、ある活動によって排出された二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出量を、同じ量だけ削減または吸収することで、二酸化炭素の排出ゼロを実現することを指します。つまり、温室効果ガスの排出はあるものの、その排出量を別の手段で削減することで、排出ゼロにすることを目指しています。

脱炭素社会は排出量を減らすことを目指し、カーボンニュートラルは排出量を削減することで排出ゼロを目指していることが大きな違いとなります。

▶関連記事|《徹底解説》今注目の脱炭素社会(カーボンニュートラル)とは?|SDGsとの関係も解説>>

▶関連記事|2030 年カーボンニュートラルとは-2030年に向けた目標から取り組み事例まで解説>>

「再生可能エネルギー」

再生可能エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーの事です。

再生可能エネルギーは、利用時に地球温暖化の原因と言われている温室効果ガスを排出しないことや、風力や地熱など枯渇しない資源を用いるために、永久にエネルギーを生み出せることが最大のメリットです。

その一方で発電コストが高いことや、天候によって発電量が左右されることがデメリットとしてあげられているため、再生可能エネルギー普及のシステム作りが今後の課題であると言えるでしょう。

▶関連記事|《徹底解説》今、注目を集める再生可能エネルギーとは|SDGsとの関係性も解説>>

SDGs目標7の達成度が高い国の取り組み3選

SDGs目標7を達成するためには「脱炭素社会」や「再生可能エネルギー」をキーワードに取り組んでいく必要があります。

では実際に取り組みが成功している国の事例を見ていきましょう。

今回見ていく国はSDGs達成度ランキングの上位3国であるフィンランド、デンマーク、スウェーデンです。

フィンランド-CO2排出量削減を目指すアプリ

フィンランドの都市ラハティでは、二酸化炭素の排出量削減を目指すアプリが試験導入されました。

2025年までに温室効果ガスの排出量ゼロを目指すラハティでは、自家用車への依存が課題となっていることから、公共交通機関や自転車の利用率を増加させることを目的に開発されたアプリを試験導入しました。

このアプリでは質問に答えると、個人の1週間の二酸化炭素排出量の目標値(炭素予算)が設定されます。そしてどのような交通手段でどのくらいの距離を移動したか等を自動で検知し、排出量が炭素予算から引かれていく仕組みです。
週末に予算が残っていれば、「エコな移動」で二酸化炭素排出量が削減できたということになります。

さらにこのアプリの一番の魅力は残った炭素予算が仮想ユーロに換算され、さまざまな商品を購入できる点です。

ラハティでは環境にもお財布にも優しいアプリを導入することで、先導してSDGs目標7に取り組んでいます。

デンマーク-食品にカーボンフットプリント表示

デンマーク政府は2022年4月、すべての食品ラベルにカーボンフットプリントの情報を表記する新しいラベリングシステムの導入について発表しました。

経済産業省はカーボンフットプリントを以下のように説明しています。

カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を CO2 に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する 仕組みである。

引用:カーボンフットプリント(CFP)の概要

つまりカーボンフットプリントは、消費者から見えずらいサプライチェーン上の二酸化炭素に着目できるラベリングシステムです。

グローバルデータの2021年第3四半期消費者調査によると、「製品を選ぶとき、カーボンフットプリント表示の影響を受けるか?」という質問に対し、「はい」と答えた人の割合はデンマークでは40%でした。

デンマークでは既に環境ラベル(※1)の表示に着手しており、今回のカーボンフットプリントのラベリングシステムにより、これまで以上に環境への関心が高まることが期待されます。

(※1)
環境ラベル:商品やサービスがどのように環境負荷低減に資するかを教えてくれるマークや目じるし。製品や包装などについており、環境負荷低減に資するモノやサービスを買いたいときに、参考になるマーク。

引用:環境ラベルとは

スウェーデン-インフラ、サービスのシェアで環境負荷の低減

スウェーデンではシェアリングエコノミー推進プロジェクト「Sharing Cities Sweden」が国家プロジェクトとして進行しています。

「Sharing Cities Sweden」はモノやインフラ、サービスなど都市のさまざまな資源をシェアすることを推進するプロジェクトとなっています。さまざまな資源をシェアすることで無駄や過剰を減らし、環境への負荷を抑えることが狙いです。

実際にストックホルム、ヨーテボリ、マルメ、ウメオの4都市では、都市の構造自体にシェアリングエコノミーを埋め込むための大規模な実証実験が行われています。

その中のひとつ、ストックホルム南部の街では、リアルタイムで街の情報をシェアすることでご近所同士で物の貸し借りが簡単にできるようにする、地域の情報プラットフォームサービスを開発・導入しています。
その他にも都市生活の中で資源をシェアしやすくする仕組み作りのトライアルが進行中です。

単発の施策ではなく、あらゆる面から環境負荷を考えたアプローチをすることで、都市全体を「シェアラブル化」しようという取り組み方が、スウェーデンのシェアリングエコノミー推進策の特徴となっており、国全体でSDGsに向けて取り組んでいます。

世界で進むその他の取り組み5選

北欧3国では様々な施策によりエネルギー問題へ取り組んでいることが分かりました。

ではその他の国ではどのようにエネルギー問題へアプローチしているのでしょうか。
ここでは5つの取り組み事例を紹介します。

IEA(国際エネルギー機関)の取り組み

IEA(国際エネルギー機関)とは石油を中心としたエネルギーに関するグローバルな協力を行う国際エネルギー機関の事です。

電力の安全保障という観点で見た時、再生可能エネルギーなどのクリーンなエネルギーの急激な増加は電力の不安定性にもつながります。そこで、電源の分散、再エネの不安定な出力を補うことができる出力調整可能な電源、電力の貯蔵、再エネのシステム統合などが必要となってきます。

IEAは、こうした点に関する分析・提言を通じて、世界の電力安全保障の強化に貢献しています。

省エネを推進する欧州連合

2005年に欧州連合において、電化製品などの環境配慮設計を義務づける規制で「EuP指令(Energy-using Products)」と呼ばれるエネルギー製品枠組み指令が公布されています。

その後内容を拡充し、2009年に「ErP指令(Energy-related Products)」と呼ばれるエネルギー関連製品のエコデザイン指令が公布され、現在まで適用されています。ErP指令の対象となる製品は家電のみに限らず、エネルギーに関連するすべての製品に広がっています。

ErP指令には、製品の設計から製造、梱包、輸送、使用、廃棄までのライフサイクル全体を通して、資源の消費量や汚染物質の排出量を削減するという目的もあります。

多くの企業が参画するRE100

RE100とはRE100は国際的なイニシアチブ(積極的な取り組みの枠)で、企業が使う電力の100%を再生可能エネルギーでまかなうことを宣言し、地球温暖化対策としても注目を集めています。

同じく、「事業の活動で使用する電気などのエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達すること」を目標に掲げる企業が加盟し、世界で230社以上、日本では40社以上がRE100のパートナーとして活動しています。

RE100に取り組む海外企業の事例1ーコカ・コーラ・ヨーロピアン・ パートナーズ

コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズは、RE100に参画した2015年に消費される電力の32.8%を再エネ・低炭素電力に切り替え、CO2排出を年間で 569万6200トン削減に成功しました。再エネ電力は購入した電力量の18.2%を占めています。

また、同社は独自のサステナビリティ計画を掲げ、2020年までに再エネ・低炭素電力の割合を40%まで高めることを目標としています。

RE100に取り組む海外企業の事例2ースターバックスコーポレーション

スターバックスは、RE100に参画した2015年、世界中の同社直営店舗においてすでに再エネ100%を達成していました。
再エネ100%は達成したものの、スターバックスは総電力使用量が2011年5億5800万kWhから2015年までの5年間で約2.5倍も増加しています。

この理由として、ビジネスの急速な拡大に伴う、食品商取引や調理にかかるエネルギーの増加があげられます。電力消費寮の著しい増大を受け、総電力消費量の増加を認識し、スターバックスは直営店での省エネに取り組んでいます。

日本のエネルギー問題解消への取り組み4選

ここまでで世界のエネルギー問題への取り組みを見てきました。

では日本国内ではエネルギー問題に対してどのようにアプローチしているのでしょうか。
ここでは日本国内の取り組みを4つ紹介します。

政府の取り組み-脱ガソリン車

日本はHVを含めた形で脱ガソリン車を図ろうとしています。

小池百合子都知事は2020年12月8日の都議会本会議で「ゼロエミッション化を進めることが気候変動に立ち向かう世界の大都市の責務」と答弁し、東京都における純ガソリン車の新車販売を2030年までにゼロとする方針を明らかにしました。

ガソリンなどの化石燃料を燃やしてエンジンで走る自動車は、内燃機関=Internal Combustion Engineの略で「ICE」車と呼ばれます。2030年代を中心にICE車の新車販売を禁止するのはすでに脱炭素社会を目指す上でマストとなってきており世界の大きな流れになっています。

2030年までの目標達成のためにはまずは車をつくるメーカー側が電動車100%の体制にシフトできるかどうかが鍵となります。

日本自動車工業会によると、国内で2019年に販売された新車430万台のうち、HVは3割超です。EVやFCVは1%未満にとどまり、ガソリン車が6割を占めています。

およそ15年をかけて「オール電動車」の生産体制にするには大がかりな転換が必要です。国は目標を掲げるだけでなくさまざまな支援策を講じていくことが必要になると考えられます。

RE100に取り組む日本企業の事例1-アスクル株式会社

アスクル株式会社は「2025 年までに、本社および物流センターでの再生エネルギー利用率を100%にする」という中長期目標と、「2030 年までに、子会社を含めたグループ全体での再生エネルギー利用率を100%にする」という目標を掲げています。

実際に、2018年5月から順次、再生可能エネルギー由来の電力への切り替え(ネクストエナジー社のグリーナ100プラン)を行い、消費電力における再エネ率を上げていく取り組みを行なっています。

なお、アスクルは、RE100のほかに「事業運営に関係する車輌をすべて電気自動車に転換する」という「EV100」にも参加しています。

RE100に取り組む日本企業の事例2-富士通グループ

富士通グループは、2017年5月に策定した中長期環境ビジョン「FUJITSU Climate and Energy Vision」において、2050年までに自らのCO2ゼロエミッションを目指しています。この目標の達成のために、省エネルギーに徹底して取り組むとともに、再エネの利用拡大を促進しています。

具体的には、海外のデータセンターをはじめ国内外の拠点において、各地域に応じた最適な手段を検討し再エネ由来の電力調達を拡大しました。また、エネルギーのマネジメントや貯蔵などの研究開発や技術実証に取り組み、社会全体の再エネの普及拡大に貢献しています。

RE100に取り組む日本企業の事例3-旭化成ホームズ

戸建住宅「ヘーベルハウス」及び賃貸住宅「ヘーベルメゾン」への太陽光発電設備設置を積極的に推進しています。都市部の限られた屋根面積に高容量のパネルを設置する独自技術の開発や、災害時における電力のレジリエンス強化を目指した蓄電池の併用設置などを促進しています。2038年までに事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指しています。

学校や職場で取り組む、私たちにできること

国内外問わずSDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を達成するためにさまざまな取り組みが行われています。

エネルギー問題は国や企業など大規模に取り組まれることが多いですが、実は私たちも直接的にエネルギー問題の達成に貢献できます。

ここでは私たちが普段の生活でできるSDGs目標7の取り組みを3つ紹介します。

節電

代表的なエネルギー問題の取り組みとして節電があげられます。
エアコンの設定温度は、夏は28℃、冬は20℃にすることが推奨されています。
使わない電化製品は、主電源を切り、コンセントからプラグを抜いておく、誰もいない部屋の電気は消す、テレビのつけっぱなしはしないなど、一人ひとりの小さな積み重ねが大きな力になります。

水を大切に使う

水を大切に使うこともエネルギー問題への取り組みになります。

普段飲んだり身体を洗ったりするのに使われる水は浄水場で綺麗にしたのちに私達の家に運ばれます。実は運ばれるまでに大量のエネルギーを使用しているのです。

節水は、地球温暖化の防止にも繋がります。お風呂でのシャワーの出しっぱなし、歯磨きの最中の水道水の出しっぱなしなど、日頃から気をつけられる事は沢山あります。

移動手段を改める

公共交通機関をできるだけ使うことや、アイドリングストップを心掛けることも実践してみてはいかがでしょうか。

電車やバスは、一度にたくさんの人を運ぶことができ、車で移動するよりも、一人当たりの温室効果ガスの排出量を少なく抑えられます。また、自転車は、化石燃料を使用せず、温室効果ガスを排出しない、とてもクリーンな乗り物です。

近場に買い物に出かけるときは、車ではなく、自転車を使うように家族にも勧めれば、地球にとって良いだけでなく、健康にも良いのでエクササイズがてら実践してみましょう。

一人ひとりの行動がエネルギー問題を解消する

私たちの便利な生活を支えている「エネルギー」が、私達の住む地球に大きな影響を与えている事は理解できたでしょうか。エネルギー問題は日々増え続け、それと同時に地球温暖化は進行し続けています。

「エネルギー」を「クリーンなエネルギー」に変える事で私達の快適な生活を守るだけでなく私たちの未来をも守る事が出来ます。

今こそ、私達の未来に目を向け「エネルギー問題」と向き合い、私たちが今出来る事を積み重ねていきましょう。

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