SDGs 11「住み続けられるまちづくりを」現状、解決策、取り組み事例

#SDGs目標11#持続可能#環境 2021.02.13

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【更新日:2023年10月7日 by 田所莉沙

みなさんはSDGs11「住み続けられるまちづくりを」について知っていますか。

住み続けられるまちづくりは私たちが生活する上で非常に重要なテーマです。また、その範囲は広く、家や公共空間、地域全体の持続可能性を考える必要があります。

今回はSDGs目標11の現状に加え、解決策や取り組み事例を網羅的に紹介します。

【この記事でわかること】

見出し

SDGs目標「住み続けられるまちづくりを」とは

SDGs目標「住み続けられるまちづくりを」について、目標や達成が求められる理由を紹介します。

簡単に解説-目標11の具体的な内容と目指すもの

SDGsの目標11は「持続可能な都市とコミュニティをつくろう」という目標を掲げています。人口の急増が進む都市部において、全ての人が安心して住み続けられ、活動できるまちづくりを目指しているのです。

この目標で重視しているものは3つあります。

  • 「人々が安心して暮らせる住宅や基本的なサービスを提供」
  • 「持続可能な交通システムをつくる」
  • 「都市の持続可能な計画や管理」

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SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状を徹底解説

なぜ「住み続けられるまちづくり」が必要なのか

「住み続けられるまちづくり」が必要な理由は、都市化が進む中で生じる様々な問題への対策が求められるからです。

現在、急激な都市化によって人口が増えています。この結果、住宅やライフライン、公共施設などの社会インフラが不足し、適切な生活環境が整っていない地域もあります。

また、都市部への一極集中は経済的な格差を生む可能性もあります。都市部の高収入者と郊外や地方の低収入者との間で、生活水準や教育環境、医療へのアクセスなどに大きな差が生まれる可能性があるのです。

これらの問題を解決し、誰もが安心して住み続けられる都市を作るために、「住み続けられるまちづくり」が必要とされています。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲット

SDGs目標11「住み続けられる都市とコミュニティを作ろう」のターゲットとして、次の7つが設定されています。

  1. 全ての人々が安全で手頃な家を持ち、スラム化を改善する。
  2. 持続可能な交通システムを整え、道路の安全性を改善する。
  3. 持続可能な都市を作り、計画や管理能力を向上させる。
  4. 世界の文化遺産と自然遺産を保護する。
  5. 人々が洪水や地震などの災害から守るための対策を導入する。
  6. 都市の環境影響を軽減し、大気汚染や廃棄物管理を改善する。
  7. 公共空間への全ての人々のアクセスを可能にする。

住み続けられる都市とコミュニティを作るために、各国や都市だけでなく、私たちひとりひとりが行動を起こす必要があります。

世界の都市問題の現状と問題

世界の都市問題の現状と問題について、詳しく紹介します。

都市に住む人が急激に増えている

世界では現在、都市部への人口集中が進んでいます。国連の統計によると、1950年には都市部に住む人口は全世界の30%でしたが、2018年には55%にまで上昇しました。さらに、2050年には全人口の68%が都市部に住むと予測されています。

また、人口が密集することで環境負荷も増大し、それが気候変動を加速させる可能性もあります。このような背景から、「住み続けられるまちづくり」の重要性が高まっています。

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▼参考
国際連合「世界都市人口予測・2018年改訂版 [United Nations (2018). 2018 Revision of World Urbanization Prospects.]」概要

適切なインフラが不足し、スラム化が進んでいる

現代の都市部では、人口の急増により適切なインフラが不足し、スラム化が進行しています。スラムとは、都市部で多くの貧困者が集団となって住んでいる地域のことです。この問題は特に途上国で深刻で、約10億人以上がスラム地帯で生活しているとされています。

スラム地区では、下記のような問題が存在します。

  • 安全な住居がない
  • 清潔な水が利用できない
  • 基本的な公衆衛生が保たれていない

このように、安全に住める場所や安全に飲める水がなく、衛生環境の悪い場所で生活している人がいるのです。

これらはSDGs目標11に反しており、大きな課題となっています。そのため、都市の一部であるスラム地帯の生活水準を向上させ、都市全体の「住み続けられるまち」を目指すことが大切なのです。

▼参考

スラム街とは?原因や世界の現状と問題点・なくすための対策

都市化が環境問題を引き起こしている

都市化が進行すると環境問題も深刻になります。

例えば、都市化による森林破壊によって二酸化炭素の吸収源である森林を減らし、地球温暖化を加速させています。

さらに、都市部のビルや建物は多量のエネルギーを消費し、大気汚染物質を排出しています。特に、交通量の多い都市では排気ガスによる大気汚染が深刻です。PM2.5やオゾンなどの有害物質を発生させ、人々の健康を脅かしています。

問題と原因をまとめた表は次のとおりです。

問題 詳細
地球温暖化 森林破壊による二酸化炭素の吸収源減少、エネルギー消費の増大による排出量増加が原因。
大気汚染 交通量の多い都市での排気ガス排出、産業活動などが原因。
生物多様性の喪失 自然環境の破壊により、多くの生物種が生息地を失う。

これらの問題を解決するために都市計画を見直し、環境負荷の少ない都市づくりが求められます。

都市部では経済格差が拡大している

都市部では、経済活動が集中し、多くの人々が仕事を求めて集まる一方で、経済格差が拡大しています。例えば、高所得層と低所得層の間では住居における環境や生活基盤の差が顕在化しており、格差の一因となっています。

この経済格差によって、社会的な分裂を生む可能性があります。SDGsの目標11は、このような都市部の問題を解決し、全ての人々が安心して暮らせる都市を目指しています。

都市部で気候変動による被害が広がっている

都市部では気候変動による影響が深刻化しています。特に、ヒートアイランド現象による温度上昇や異常気象による洪水、台風等の自然災害が頻繁に発生しています。

ヒートアイランド現象とは、都市の中心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる現象のことを表しており、近年注目が集まっています。

これらの現象によって災害が発生し、インフラが破壊される可能性があります。また、これらの問題に対応するための設備や防災インフラの整備も必要となり、コストも増大するのです。

▼参考
第1 はじめに 第2 ヒートアイランド現象の現状

日本の都市問題の現状と問題

日本の都市問題の現状と問題を3つ紹介します。

都市部で人口が増加し、地方では過疎化が進んでいる

日本では、人口が都市部に集中し、地方が過疎化しているという問題が深刻化しています。特に、若者が仕事を求めて都市部に集まっており、地方の人口が減っているのです。

地域 人口動態 影響
都市部 人口増 住宅問題、交通混雑
地方 過疎化 商業施設の減退、医療不足

都市部では、人口増加に伴い住宅問題や交通混雑などの社会問題が顕在化しています。一方で過疎化が進む地方では、商業施設の減退や医療不足などが問題となっています。

このように人口が偏在することで、地域間の経済格差も広がり、SDGs目標11の「住み続けられるまちづくり」の実現への障壁となっています。この問題を解決するためには、地方創生や都市計画の見直しなどが必要とされています。

少子高齢化問題が進んでいる

日本では少子高齢化が急速に進行しています。現在、全人口の約28%が65歳以上となっており、この割合は今後も増加が見込まれています。

首都圏を中心に若者の都市集中が進む一方で、地方では高齢者の孤立が深刻化しています。交通機関の不足や、医療・介護施設へのアクセスが難しいことが問題となります。

また、少子化により地域の活気が失われ、地域社会の維持が難しくなっています。これらの問題を解決するには、高齢者でも生活しやすい都市インフラの整備や、地域コミュニティの強化が必要となります。

多くの都市が自然災害により大きな被害を受けやすくなっている

日本は、自然の豊かさとは一方で、地震や洪水、台風などの自然災害に頻繁に見舞われる国です。特に都市部では災害が発生した際の被害が大きくなる傾向が見られます。

例えば、豪雨の被害が増加しています。これは都市地域での急激な開発により、自然が有する雨水を吸収する能力が失われ、降雨量が多い時期には下水道が追いつかず、洪水を引き起こすからです。

また、地震に対する都市の脆弱性も問題視されています。都市部では多くの人々が生活しているため、地震が発生した場合、人的被害だけでなく経済的損失も大きくなります。

SDGs目標11の解決策と取り組み4選

SDGs目標11の解決策と取り組みを4つ紹介します。

都市計画を見直し、自然災害に強いまちづくりを行う

都市計画の見直しは、SDGs 11の目標達成に向けた重要なステップです。まずはどの地域が自然災害に対して脆弱であるかを明らかにするリスク評価を行います。自然災害に強い都市を作ることで人々は安心して生活できるようになります。

次に、リスク評価に基づいて都市計画を見直します。例えば、建築物の配置や道路の設計、公園や緑地の配置などが必要とされています。

このような計画を立てる際には、地域住民の意見や要望を取り入れることも重要です。地域住民の生活に直接影響するため、彼らの協力なくしては成功しません。

強い都市を作り上げ、住み続けられる都市を創出するための大事な一歩なのです。

ライフラインや防災施設などのインフラ整備を強化する

これからのまちづくりでは、ライフラインや防災施設などのインフラ整備が重要となります。特に、地震や洪水などに対応できる強固なインフラの整備は必要です。

具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • ライフライン(電気・水道・ガス等)のを強化する
  • 災害時に避難・救出活動を助けるための施設を整備する
  • 都市部の緑化や水辺の保全などの改善を進める

また、災害復旧後に早期に生活を戻すため、電力供給を復旧するための太陽光発電設備の設置など、再生可能エネルギーの導入も重要となります。

地域コミュニティを強化する

都市の発展とともに生まれる問題の一つが、個々の住民が孤立しやすくなることです。これに対して、「地域コミュニティを強化する」という取り組みが求められます。

例えば、地元住民が互いにコミュニケーションを取り合い、助け合う環境を作ることが重要です。地域のイベントやボランティア活動を通じて、住民同士のつながりを深めることが必要です。

また、地域のリーダーや地方自治体が積極的に関与し、地域全体で問題解決に取り組む体制を作ることも大切です。これにより、災害時や緊急時にも迅速な対応が可能となります。

都市の環境負荷を減らす

現代の都市は大量のエネルギー消費や大規模な廃棄物発生などにより、大きな環境負荷をもたらしています。

例えば、再生可能エネルギーの利用を広げることが求められます。太陽光発電や風力発電などの導入で化石燃料の使用量を減らし、CO2排出量を削減することが可能です。

また、「都市緑化」も効果的です。公園や街路樹などの緑を増やすことで気温上昇を防ぎ、ヒートアイランド現象を軽減します。

SDGs目標11を達成するために自分たちにできること2選

国や自治体だけでなく、わたしたちにもできることがあります。

今回は、私たちがSDGs目標11の達成に貢献できることを2つ紹介します。

日常生活の中で環境負荷を減らす

私たち一人ひとりが日常生活における環境負荷を軽減することは、目標の達成に貢献します。

具体的には、以下のような行動が挙げられます。

  • エコバッグの使用:レジ袋の使用を減らし、ゴミを減らす。
  • 自転車・公共交通機関の利用:自家用車の使用を減らし、CO2排出量を減らす。
  • 分別・リサイクル:資源の再利用により、新たなゴミの発生を抑える。

これらの行動は小さなことかもしれませんが、多くの人が実践することで大きな変化を生み出します。私たち一人ひとりがエコな生活を心掛けることで、持続可能なまちづくりにつながるのです。

▼関連記事
SDGs11「住み続けられるまちづくりを」私たちにできること8選

災害への備えを強化し、防災に対する意識を高める

SDGs目標11の達成に向けて「災害への備えを強化し、防災に対する意識を高める」ことも大切です。

住み続けられるまちづくりとは、自然災害から市民を守る安全な都市を形成するという意味も含まれます。そのためには、適切な防災教育と備えが必要です。家庭での防災訓練の実施、防災用品の準備、適切な避難方法の理解などが具体的な方法として考えられます。

世界のSDGs目標11の取り組み事例3選

世界のSDGs目標11に対する取り組み事例を3つ紹介します。

フィンランド・ヘルシンキ|サステナビリティ情報サイトの運営

フィンランドの首都ヘルシンキでは、SDGs目標11「住み続けられるまちづくり」の達成に向けて、サステナビリティ情報サイトを運営しています。このサイトでは、市のサステナビリティ目標やそれらを達成するための取り組み、各種データや統計情報を公開しており、市民は常に都市の持続可能な発展の進捗状況を把握することができます。

また、ヘルシンキ市は、市民一人ひとりがこの目標達成に貢献できるよう個々の行動を促す情報も掲載しています。例えば、省エネライフやリサイクル、公共交通機関の利用などのライフスタイルの提案を行っています。

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デンマーク|100%再エネで稼働する未来型都市の建設

デンマークは世界的に環境問題への対策が評価されている国の1つです。中でも注目されているのが、100%再生可能エネルギーで稼働する未来型都市の建設です。

特に、フレゼリシアでは「Apple Data Center」というプロジェクトが進んでいます。データセンターの余剰熱を地域共有の暖房供給に活用したり、自動車の電気充電所にも供給する予定となっているのです。

また、デンマーク政府は国全体のエネルギー供給を2050年までに全て再生可能エネルギーにするという野心的な目標を掲げており、各地で太陽光発電や風力発電の導入が進められています。

BMW|電気自動車の電力補給場所の確保

自動車大手のBMWは電気自動車の充電インフラを整備しています。

例えば、都市部に高速充電ステーションを設置し、一度に複数の車両が充電可能なスペースを提供しています。これにより、ドライバーは必要な時にいつでも充電することが可能になります。

また、BMWは充電ステーションの電力供給に再生可能エネルギーを採用することで、CO2排出量を削減し、持続可能な都市への一歩を踏み出しています。

日本のSDGs目標11の取り組み事例4選

日本のSDGs目標11に対する取り組み事例を4つ紹介します。

秋田県仙北市|SDGs未来都市計画

秋田県仙北市では、SDGs目標を全面的に取り入れた「SDGs未来都市計画」を推進しています。都市全体がSDGsの達成に向けて一体となって取り組んでいることが特徴的です。

具体的には、次の3つの施策に取り組んでいます。

  • 高齢者の移動手段を確保:公共交通が不十分な地域では、コミュニティバスを導入し、高齢者の移動手段を確保する
  • 地域資源の活用:地域の特産品を活用した産業振興や、地元産品を使ったまちおこしを推進する
  • 環境負荷の軽減:再生可能エネルギーの導入促進や、廃棄物の削減に向けた取り組を行う

これらの取り組みにより、仙北市は持続可能で活力ある未来都市を目指しています。

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荒川クリーンエイドフォーラム|ゴミ拾いを中心とした環境保全活動

荒川クリーンエイドフォーラムは、地域住民により中心となって行われるゴミ拾い活動を進めています。この取り組みによって地域の美化だけでなく、コミュニティの絆や環境への配慮も深まります。

活動の流れを紹介します。

  1. 月に一度、地域住民が集まり、公園や川辺などを中心にゴミ拾いを行います。
  2. 拾ったゴミは分別し、リサイクル可能なものは適切に処理します。
  3. 活動後は、参加者間で情報交換や意見共有を行い、次回の活動に生かします。

地域の清潔さを保つだけでなく、地域住民同士のコミュニケーションを図ることで、住み続けられるまちを目指しています。

第一測工株式会社|空き家を有効活用する仕組み作り

第一測工株式会社は、「空き家を有効活用する仕組み作り」に力を注いでいます。

例えば、同社は地域の空き家をリフォームし、新たな住民や事業者に提供しています。この取り組みにより、空き家を地域に新たな活力をもたらす資源に変えているのです。

また、リフォームする際は耐震性の向上や省エネ設計など、住み続けられるまちづくりを視野に入れた工夫がなされています。

NTT西日本|災害時にも使える情報インフラを整備

NTT西日本

画像引用:NTT西日本

NTT西日本は「災害時にも使える情報インフラの整備」に力を入れています。

災害時に電力や通信インフラが寸断されると、情報が集まらず、混乱が拡大します。そのため、NTT西日本では堅牢な通信インフラを構築し、災害時でも確実に情報を伝達できるように取り組んでいます。

例えば、被災地での連絡手段として「災害用伝言ダイヤル(117)」や「災害用伝言板(web171)」を提供しています。これらのサービスによって、緊急時に迅速に安否確認や情報共有を行うことができます。

まとめ

SDGs目標11はすべての人が安心・安全で暮らせるまちを実現することを目指しています。しかし、自然災害や過疎化などにより、世界中でまちの持続性が脅かされています。

自然災害による被害を減らすためには、防災対策の強化が不可欠です。また、過疎化対策として、地域の魅力を発信したり、地方でも働ける環境を整えたりすることも重要です。

自分が暮らすまちの魅力について考え、災害が発生しうる場所をあらかじめ把握しておくことが大切です。

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