SDGs11日本の取り組み事例6選-自治体・企業・学校・個人の事例を解説

#包摂的#居住#強靭性(レジリエント)#持続可能#防災 2022.11.01

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【更新日:2022年11月1日 by 大川 智也

を「SDGs11 住み続けられるまちづくりを」とは「都市の人口増加」や「災害への対応」「交通機関の充実」などに焦点を当てた目標です。「まち」は環境や社会、経済の土台になっています。

近年の自然災害の増加、少子高齢化、地方の過疎化など、まちづくりに関して取り組むべき課題はたくさんあります。

『「住み続けられるまち」を作るために、私たちは何ができるのか』と考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では「住み続けられるまちづくり」に関する日本の課題から、実際に行われている自治体や企業の取り組み、個人ができることを解説します。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」とは

SDGS目標11「住み続けられるまちづくりを」では包摂的で、安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現することをテーマに、10個のターゲットが定められています。

現在世界人口の半数にあたる35億人は、都市で暮らしています。この数は徐々に増加していることが見込まれており、貧困問題や医療サービスに関連した課題に直面すると推定されます。

とくに貧困問題は大きな懸念点です。世界では8億3,300万人以上もの人がスラム街で暮らしており、その数は今も増え続けています。スラムで暮らす人口が増加する原因として、都市部で仕事に就けなかったり、新型コロナウイルスの影響で経営がうまくいかなくなってしまったりなどの理由があげられます。

スラム街に暮らす人々が増加するにつれて基本的サービスが利用できなかったり、治安が悪化したりなどの問題が発生します。これらの問題を解決するために、SDGs目標11は必要不可欠な項目です。

包摂的
…一定の範囲に包み込むこと。SDGs目標11においては社会的に誰も除外されず、全員が社会に参画する機会を持つという意味合いをもつ。
強靭(レジリエント)
…困難な問題や危機的な状況に直面しても、すぐ立ち直れること。困難や脅威に直面している状況に対してうまく適応できる能力のこと。

「まち」は社会・経済・環境の土台

私たちが暮らす「まち」には、住宅だけではなく病院や電車など、生活に欠かせない公共施設や公共サービスが存在します。

しかし現在の日本では「まち」が薄く広がり、病院や市役所などの施設は郊外に建てられています。そのため車がなければ暮らしにくい状況です。もしこの状況が続くと、車の利用により温室効果ガス排出量が増加し、環境の悪化につながります。

住み続けられるまちがなければ、人間らしい生活を送ることは難しく、持続可能な社会をつくることもできません。私たちの生活は「まち」によって大きく支えられており、成り立っています。そのため各SDGsの目標を達成するうえで、「まちづくり」は重要な役割をもっています。

SDGs11に対する日本の現状と課題

ここまでSDGs目標11の概要や、まちづくりの重要性について説明していきました。

続いて、SDGs目標11における日本の現状と課題について説明していきます。

関連記事:SDGs11「住み続けられるまちづくりを」3つの問題点とその解決策を徹底解説

地方の人口減少と高齢化

日本では少子高齢化が大きな問題となっていますが、地方では東京圏と比較してみても深刻な状態となっています。

総務省によると、令和2年度における日本の人口は約1億2622万であり、2015年と比較すると人口が約86万人減少しています。地域別で比較すると、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の4都県において日本人口の約3割を占めており、各地域の人口も増加しています。

一方で北海道や新潟県、福島県は大きく人口数が減少しており、どの地域も8万人以上も減少しています。また高齢化率においても日本全国で増加しています。とくに秋田県や岩手県、青森県では高齢化率が大きく増加しており、各地域30%以上の増加です。

今後も東京圏での人口増加は続くと見込まれており、地方での人口減少や高齢化は悪化していくと推定されます。

地方創生の遅れ

地方創生」とは、少子高齢化が進む現代において人口の減少に歯止めをかけると同時に、東京圏への過度な人口集中を防ぎ、それぞれの地域で住みやすい環境を確保して長期的に活力ある日本社会の維持を目指すものです。

総務省が発表した資料によると、「地方創生」に向けた取り組みは2016年から行われており、地方での雇用創出結婚・子育てをしやすい環境作りなどに取り組んでいます。

しかし東京圏への人の流れに歯止めがかかっていないのが現状であり、「地方創生」の取り組みの成果が発揮されていません。

インフラの老朽化

インフラ」とはインフラストラクチャーの略語で、道路や鉄道など私たちの生活や企業などの産業活動に欠かせない施設のことです。

日本では1964年に開催された東京オリンピックに合わせて整備された首都高速1号線をはじめ、さまざまなインフラが整備されました。しかし現在建設して50年以上経過したインフラが増加し、急速な老朽化が見込まれています。

国土交通省によると、2012年12月に中央自動車道笹子トンネルにおける天井板の落下が起こり、死亡者や負傷者が生じる重大な事故となりました。この事件後、国民の社会インフラの老朽化に対する不安が募り、インフラ整備について関心を高める人も増えてきています。

自然災害の被害への対策

自然災害には地震や台風、洪水などの種類があります。中小企業庁によると、日本では台風による被害が最も多く、地震洪水と続きます。一方で自然災害による被害額は、地震が最も多くなっており、台風洪水の順になっています。

これらの被害を最小限にとどめるため、国土交通省は河川堤防やダムを設置したり鉄道や駅など公共施設の耐震性を強化したりといった取り組みを行っています。

しかし現状では災害の被害を最小限にとどめられていなかったり、災害リスクに備えた体制がとれていなかったりなど、課題が多くあります。

さらに阪神・淡路大震災後や東日本大震災後における国民の災害意識は高かったため、各家庭でも防災グッズを揃えるなど対策を行っていました。しかし時が経つにつれて、災害への意識も低下しています。国民の災害意識の低下も課題の一つです。

カーボンニュートラルの達成

カーボンニュートラル」とは二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林や森林管理などの取り組みによって吸収・排除し、温室効果ガスの吸収・排除量と排出量を同じにすることです。

日本では2050年までにカーボンニュートラルの達成を宣言し、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%減らすことを目指しています。温室効果ガスの中でも二酸化炭素が多く排出されており、日本では電力部門が多くの割合を占めます。

二酸化炭素の排出量を削減するためには、化石燃料を使う火力発電でエネルギーを生み出すのではなく、太陽光や風力などの自然の力を利用してエネルギーを作る必要があります。

自治体の取り組み事例3選

ここまで、SDGs目標11における日本の課題や現状を説明していきました。

つぎに、SDGs目標11達成に向けて自治体が取り組んでいることを紹介していきます。

「まちの安全」|梅丘1丁目町会

梅丘1丁目町会」は、世田谷区北部の梅が丘駅周辺で活動する団体です。梅ヶ丘駅の近くには商店街もあるため、お祭りなど季節の行事が多く開催されています。

そんな中梅丘1丁目町会が行うのが、防災や見守りなどを通じて「まちの安全」を守ることです。現在家族で転居している家庭が多くなっていることを踏まえて、まちの安全性を高めようとしています。

まちの安全を守る取り組みと同時に、若者に向けた情報公開も行っています。とくに転居してきた若者は町会とつながりにくい傾向にあるため、ホームページやFacebookを通じて関心を広めています。

子どもの学習支援|東京都大田区

東京都大田区で活動している団体「ユースコミュニティー」は、経済的な理由などで学習の機会が少ない子どもたちのために支援をしたり、居場所をつくったりなどの取り組みをしています。

現在ユースコミュニティーは大田区と連携して事業を行っていますが、さらなる事業拡大には情報発信の強化が課題とされており、プロボノ支援によって団体の活動を発信しています。

プロボノ支援
…「公共善のために」を意味するラテン語。社会的・公共的な目的のために、職業や専門知識を活かして取り組む支援のこと。

森とともに暮らす社会|森づくりフォーラム

東京都内を中心に活動しているのが「森づくりフォーラム」です。全国に4,000以上存在する非営利団体と協力して、「森とともに暮らす社会」の創出を目指して取り組みを行っています。

活動として、森づくり団体の支援や森づくり団体の実態調査森林・林業の現状を伝える講義の開講などがあります。

森づくりフォーラムは2024年までに企業との協働実績を2倍にしたいと考えており、さらなる事業拡大を目指してウェブを利用した情報公開も行っています。

企業の取り組み事例3選

ここまで、日本自治体がSDGs目標11達成を目指して行っている取り組みを紹介しました。

続いて、SDGs目標11達成に向けた日本企業の取り組みについて紹介していきます。

関連記事:SDGs11の取り組み事例-政府・自治体・企業の取り組みまで網羅

セキスイカップガールズエイト|東日本積水工業株式会社

積水化学グループでは事業活動を通じて社会に貢献することを大切にしつつ、地域社会とともに企業が発展することを目指しています。

活動例として女子サッカーの普及のため、「セキスイカップガールズエイト」というサッカー大会を群馬県にて毎年開催しています。また積水工業株式会社が所有する芝グラウンドを、地域の少年・少女サッカーチームに貸し出すことでグラウンドを有効活用しています。

そのほかにも2017年から伊勢崎工業高等学校の2年生を対象に就業体験を開講し、現場実習や座談会を行っています。また伊勢崎市立境南中学校の職場体験を受け入れ、中学2年生に製品製造時の様子や検査業務の体験を実施しています。

こども銀行たんけん隊|三井住友銀行

三井住友グループでは現在の世代の誰もが経済的繁栄と幸福を享受できる社会をつくり、将来の世代にその社会を受け渡すことをサステナビリティと定義し、サステナビリティの実現に向けて取り組んでいます。

2019年8月には兵庫県神戸営業部にて、小学校4年生から6年生を対象とした銀行での仕事が体験できるイベントを開催しました。普段めったに見ることのできない貸金庫を見学したり、銀行員になって銀行のお仕事をしたりと、お金や銀行のことについて楽しく学ぶ場を提供しています。

福島『復興』応援アクション|Panasonic

Panasonicでは誰もが自分らしく活き活きとくらすサステナブルな共生社会の実現に向けて、「貧困の解消」「環境活動」「人材の育成(学び支援)」という3つの観点を軸として活動を行っています。

取り組み例として、福島県の復興支援活動があります。Panasonicは1月25日から福島県とパートナーシップを組み、魚を中心とした農畜水産品を社員食堂で提供しています。東日本大震災から10年以上経過してもなお、福島県で生産された食品の購入をためらう人が多く、漁業における産出額は震災前の半分以下となっています。

このように復興が追いついていない福島県を食事という側面を通じて支援していき、震災復興とSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に向けて取り組みを続けていきます。

私たちにできること

続いて、私たちが生活の中でできることを紹介していきます。

自然災害対策を行う

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」において、地震や津波などの自然災害対策を行うことはとても重要です。

自然災害はいつ起こるかわからないため、水などの飲料水や非常食を保管しておくことで最低限度の生活確保につながります。

また地域の防災訓練に参加したり避難場所や避難経路を確認したりすることも自然災害対策となります。自然災害の被害について他人事にするのではなく、私たちにも関係のあることとして意識を高めましょう。

地元ならではの魅力を考える

自身が住むまちについて考えることもSDGs目標11の達成に貢献する取り組みの一つです。住み続けられるまちづくりをするためには、そのまちの魅力や秀でている点について知る必要があります。

たとえば、地元を散歩して穴場スポットやすてきなお店を見つけることで自分が暮らす地域の魅力を見い出せます。そのほかにも、地元の有名なグルメを堪能したり、歴史を学んで観光スポットに足を運んだりすることも地域について知る手段です。

地域での活動に参加する

安心で安全なまちづくりをするためには、地域での活動に参加することがとても重要です。地域での活動は七夕や夏祭りなどの行事ごとから、学生の登下校を見守る活動などさまざまな種類があります。

そのほかにも環境を考慮したリサイクル活動や、清掃活動もあります。これらの活動に積極的に参加することで地域社会へ大きく貢献でき、地域の活性化にもつながります。

【小学校〜高校】学校や生活の中でできる取り組み

ここまで私たちが身近でできる取り組みについて紹介していきました。

続いて小学生や中学生、高校生が学校生活の中でできる取り組みについて紹介していきます。

小学生でできること

小学生が学校でできることとして、「地域について知ること」が挙げられます。住み続けられるまちづくりのためには、自分の住む場所について知る必要があります。

たとえばその地域の有名な場所や食べ物を調べてみたり、地域における昔のことについて調べたりすることで、地域についてもっと知ることができます。

また地域で行われているイベントに参加することも、取り組みのうちの一つです。

関連記事:SDGs11達成のために私たちができること-子供でもできる取り組みを紹介

中学生でできること

中学生は知識も視野も一気に広がるため、「積極的に地域で行われている行事やイベントに参加すること」がおすすめです。

イベントの参加以外にも、自治体などが主体となって行っている募金活動や、ベルマークの寄付活動に積極的に協力するなどの取り組みが挙げられます。

ほかにもSDGs目標11の達成に貢献できるようなイベントを授業内で考え、実際に自治体などと協力して開催するという手段もあります。

SDGsの取り組みはさまざまなものがあるため最初は難しいかもしれませんが、身近でできることから始めてみませんか。

高校生でできること

高校生になると日本のみではなく、世界まで視野を広げて物事を考えられるようになるのではないでしょうか。一つの問題に対し、さまざまな側面から解決策を見出すこともできる年代となっていきます。

そのため持続可能な開発に向けて、世界の取り組みについても調べ、話し合うことも取り組みの一つです。

高校の図書室にも専門性の高い本が多く置いてあるため、図書室の本を借りて読んでみるのもおすすめです。これからの社会の担い手として、SDGsや「まちづくり」に対して視野を広げてみてはいかがでしょうか。

世界の取り組み事例

ここまで小学生から高校生にかけてできることを説明していきました。

最後に、SDGs目標11達成を目指して世界が行っている取り組みを紹介していきます。

パッシブハウス|ベルギー

パッシブハウス」とはドイツのパッシブハウス研究所によって確立された、省エネ住宅基準を満たす家のことです。高気密・高断熱に加えて太陽光発電や地熱発電設備を活用しており、省エネに向けてさまざまな手法が取り入れられています。

ヨーロッパの中でも人口密度が高いベルギーのアッセという地域では、住宅が多く建っているため子どもが遊べる公共施設があまりありません。この問題を踏まえて建築会社BLAF Architectenが考えたのが、家と遊び場を融合した「パッシブハウス」です。住宅の前にバスケットコートが設置されていたり、住宅の壁が絵を書ける巨大キャンバスとなっていたりと、広々と遊べるスペースとなっています。

住宅自体は太陽と土地の特徴をふまえて、日光を効率よく室内に取り入れられる構造になっているため、自然の力を最大限に活用できます。

高気密
…窓枠や床、天井や壁などと外部とのすき間が少なく、外気が入り込みにくいこと。

歩行者・自転車向けの道路整備|イギリス

イギリスのロンドンに拠点を置くデザイン会社Umbrelliumは歩行者や自転車、自動車が安全に利用できる交差点「Starling Crossing(環境情報適応反応型交差点)」を開発し、導入に向けてテスト利用しています。

Starling Crossing」のシステムは滑り止めが施されたLEDスクリーンでできており、時間・気候・温度にかかわらず道路の標識や色を表示しています。

また交通量の多さによって横断歩道を現したままにしておいたり横断歩道の横幅をひろげたりと、臨機応変に利用可能です。

再生可能エネルギーの導入|ドイツ

ドイツの大手電機企業シーメンスとドイツ鉄道は共同して、水素をエネルギー源とする電車の試験運行を行うことを発表しました。この試験走行は「H2goesRail」と呼ばれており、2024年から1年間、ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンブルク州で実施されます。

そのほかにも2016年には、従来の電車よりもエネルギー消費量が最大25%削減可能な電車車両「Mireo(ミレオ)」を発表しました。この車両は運転終了を迎えたあと、ほとんどの部品がリサイクル可能となっており、その数およそ95%以上となっています。

まとめ

現在世界各国で人口が増加しており、それに伴って都市部で暮らす人々も増えています。一方で、都市部で職を得られなかったり新型コロナウイルスの影響で経営がうまくいかなくなったりなどの原因により、貧困問題も大きな問題となっています。

わたしたちが生活する「まち」には、生活に欠かせない公共サービスから娯楽施設までさまざまな施設が存在します。SDGs目標達成をするためにも、「まちづくり」が重要な役割を担っています。

とくに日本では地方創生の遅れや少子高齢化などの課題に対して、地域や自治体、企業などが、まちの見守りや施設の貸し出しなどの取り組みを行っています。

持続可能なまちづくりに向けて、自分が暮らす地域ついて学んだり地域のイベントに参加したり私たちにできることはたくさんあります。みなさんもできることから始めてみませんか。

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