《徹底解説》教育に関するSDGsの取り組み|現状から問題に取り組む企業を解説

#SDGs目標4#初等教育、人材育成#教育 2022.01.20

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日本では義務教育を受ける権利が保障されており、全国民に中学校までの教育を受ける機会が保障されています。

日本は、母国語で小学校から大学・専門学校などの高等教育まで受けることができ、世界の中でも教育制度が整備されています。

そんな教育制度が整った国で生まれ育った日本人にとって、教育問題は食料問題や難民問題と同じくらい「他人事」として処理してしまいがちです。

この記事では、そんな日本人にとって身近に感じにくい「教育」についてSDGsと紐づけながら解説していきます!

SDGs 目標4 「質の高い教育をみんなに」

SDGs 目標4「質の高い教育をみんなに」とは?

SDGs17の目標の1つである「質の高い教育をみんなに」。

この目標では、社会の中で人間が自らの役割をきちんと発揮し文化的で最低限の生活を営むために必要不可欠である「教育」にフォーカスを当てています。

読者のみなさんは、教育を一種の社会課題として捉えることに違和感を覚えるかもしれません。しかし、視野を広げてみると教育格差の問題は世界中に転がっています。「誰一人取り残さない」と掲げているSDGsでは、見逃すことができない大きな問題です。

今、世界中で子供達に対する教育格差の対策や識字率の向上が求められています。

SDGs 目標4のどんなターゲットがあるのか

目標4には、合計10のターゲットがあります。

数字で示されている1から7は、それぞれの項目の達成度を示しています。また、アルファベットのaからcは、達成のための手段について表示されています。

ご覧の通り、SDGs4では男女の垣根を超え誰もが平等に教育を受けられる世界の実現を目指しています。

(画像):https://sdgs-connect.com/archives/370#4-2

世界の教育の現状

世界で学校に通っていない5歳から17歳の子どもの数は現在3億300万人いると言われており、その3分の1以上に相当する1億400万人は、紛争や自然災害の影響を受けるような危険な国に暮らしています。

この中でも、初等教育を受けられていない子供達は約6,100万人となっており学校に通えていない子供のなかで約44%は初等教育すら受けられていないことがわかります。

初等教育が受けられないことが招くのは、言葉の読み書きができないこと・さらなる貧困。

世界中で主に大きな問題となっていることとして、女子への教育の浸透の低さ・貧困が原因で教育が受けられない・児童婚が原因で教育が受けられない・教育環境によって教育が受けられない・識字率の低さ・新型コロナウイルスパンデミックによる教育の不平等の拡大と多くのことが挙げられます。

こちらの記事でSDGs4について徹底的に解説しているので、ぜひ併読してください。

(参考): https://gooddo.jp/magazine/education/

    https://www.unicef.or.jp/news/2018/0155.html

目標4 「質の高い教育をみんなに」に関連する日本の具体的施策

このパートでは、教育に対する日本の取り組みのなかでも待機児童や、子供の貧困といった社会問題につながるものについて紹介していきます。

施策① 幼児教育の充実 

日本では、幼児教育の視点で3つの課題をもとに7つの重点施策を実施しています。

施設の数を増やすだけでなく、教育の質を向上することにも注力しています。

課題 重点施策
1.幼稚園等施設の教育機能の強化・拡大 ・すべての幼児に対する幼児教育の機会の提供

・発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

・幼稚園教員の資質及び専門性の向上

・幼稚園等施設による家庭や地域社会の教育力の再生・向上

2.家庭や地域社会の教育力の再生・向上 ・幼稚園等施設による家庭や地域社会の教育力の再生・向上

・生涯学習振興施策や働き方の見直し等による家庭や地域社会の教育力の再生・向上

3.幼児教育を支える基盤等の強化 ・地域の人材等の積極的活用

・幼稚園等施設を地域社会で支える基盤等の

充実・強化

(引用):https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1420141.htm

施策② 高等教育の充実 

高等教育は、グローバル化や高齢化といった日本を取り囲む環境の急速な変化に適応していくために欠かせないものです。

日本政府は教育費が十分に確保できないという学生が置かれている深刻な経済状況に着目し、「高等教育機関へのアクセスの確保」に注力しています。

取り組みとして、高等教育の修学支援新制度と日本学生支援機構の奨学金制度があります。

まず高等教育の修学支援新制度とは、平成30年に決議された「令和2年から授業料等減免と給付型奨学金を拡充し,低所得世帯の高等教育無償化を実現する」ための制度です。

受給にあたっては両親の収入に関する基準が設けられ、本人の勉学に対する意欲を確認するインタビューやレポート提出が義務付けられてます。さらに大学等への進学後も、学習意欲が高い学生へ奨学金を支給するために学修状況について満たすべき条件が設けられています。

また、日本学生支援機構の奨学金制度では様々なタイプの奨学金を用意しています。

返済型奨学金はもちろん、給付型奨学金の拡充や返還困難者への対応などフレキシブルに個人の状況に合わせた奨学金受給を可能にしています。

(参考・引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab201901/detail/1421904.htm

施策③ キャリア教育・職業教育の充実

日本の未来を担う若者が自立して働くためには、キャリア教育が欠かせません。

政府は若者の働く能力と意欲を育てるために「キャリア教育推進連携シンポジウム」を開催しています。

このシンポジウムは学校・地域・産業が一体となってキャリア教育に取り組むことが目標であり、平成30年度には「キャリア教育優良教育委員会、学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰」「キャリア教育アワード」「キャリア教育推進連携表彰」の各受賞団体による先進事例のポスターセッションが行われました。

(参考):https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/s2_3.html

施策④ 子どもの貧困対策

政府が子どもの貧困に対しておこなっている取り組みとして、「子供の未来応援国民運動」があります。このプロジェクトには内閣府・文部科学省・厚生労働省・独立行政法人福祉医療機構が関わっており、2015年に始まりました。政府がプラットフォームとなり支援したい人や企業と子どもたちを支えている団体を繋いで、国や自治体が行う施策を促進させることを目的としています。

・子供の未来応援基金

・企業とNPO等とのマッチング

・「子供の未来応援フォーラム」をはじめとした広報活動

の三本の軸で活動しています。

(引用):https://kodomohinkon.go.jp/hinkon/movement/

参考:https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/01/23/1379906_02.pdf

SDGs 目標4 「質の高い教育をみんなに」の企業の取り組み事例3選

質の高い教育の実現のためには、大きな影響力とリソースを持つ企業の協力が欠かせません。日本の企業の中には、教育の推進に一役買っている企業が多くあります。今回は一部抜粋して紹介します。

企業① SMBC日興証券

SMBC日興証券では、金融会社という強みを生かして「金融経済教育」を提供しています。

主に、未来を担う子供たちに向けて出張授業の提供やホームページで親子で学べる金融に関する動画を公開。他にも、大学生に向けて基本的な金融知識の吸収を促すために授業の提供を行なっています。今までに青山学院大学や、立命館大学をはじめとする全国津々浦々多くの大学に講座を開講してきました。

SMBC日興証券は「金融リテラシーの普及」を使命として捉え、様々な世代に対して金融教育を施すことで「正しい資産形成・健全な資本市場の発展」に貢献することを宣言しています。

(参考):https://www.smbcnikko.co.jp/csr/education/index.html

企業② パナソニック株式会社

パナソニックはグローバル企業として、発展途上国に向けて教育の場で使うソーラーランプを提供。

現在は、ミャンマーとカンボジアに向けて子供達のための教育の場を創成しています。

ミャンマーでは、未だミャンマーの国内に存在する寺院運営の「寺子屋」に対してソーラーランプによってインフラ面でのサポートを行なっています。

一方、カンボジアでは農村部にて識字率の向上を目指して開かれている夜の識字教室をソーラーランプによってサポートしています。

これらの支援は、より多くの人への教育の機会の提供に繋がっています。

参考):https://panasonic.net/sustainability/jp/lantern/commitments.html

企業③ 独立行政法人国際協力機構(JICA)

JICAはSDGsに関与する有数の国際機関の一つとして、20ジャンル以上のフィールドで教育の発展に貢献しています。JICAが関わっている教育ジャンルは以下の通り。

保健医療 社会保障 経済政策 水産 環境管理
水資源 運輸交通 民間セクター開発 ジェンダーと開発 南南・

三角協力

ガバナンス 情報通信技術 農業・農村開発 都市開発・

地域開発

気候変動対策
平和構築 資源・

エネルギー

自然環境保全 貧困削減 防災
栄養改善 スポーツと開発

全22ジャンルあり、SDGs17の目標が全て網羅されているように思えます。

取り組み方法に関しても多岐にわたり、多方面からのアプローチを実現。

技術協力 国際緊急援助 開発パートナーシップ
有償資金協力 市民参加 調査研究
無償資金協力 民間連携事業 JICA開発大学院連携
JICAボランティア派遣事業 科学技術協力

上記のように、お金の支援から人材の派遣までJICAにしかできない形で支援しています。

(参考):https://www.jica.go.jp/activities/schemes/index.html

SDGs 目標4 「質の高い教育をみんなに」の学校の取り組み事例 2選

SDGsCONNECTではこれまでに、SDGsに対して積極的に取り組んでいる学校にインタビューを行いました。それらの取り組みを簡単に紹介していきます。

詳しく知りたい、少しでも興味を持った方はぜひ記事を併せてご覧ください。

学校① 郁文館夢学園

東京都文京区に校舎を構える郁文館夢学園。

この学校では、「郁文館の夢教育」という形で社会と関わり合いながら学ぶ独自のカリキュラムを提供しています。

「25歳で活躍する人材になる」を目標に、生徒たちの自分の将来について主体的に考える姿勢を育んでいます。

インタビュー記事はこちら▼

学校② 静岡サレジオ高校

キリスト教に基づいた教育を行なっている静岡サレジオ高校。

キリストの教えに基づいている教育理念は、「『誠実な人、よき社会人』を育てること」。

数年前に生徒の声から始まった静岡サレジオ高校のSDGsに関する取り組みは、地域との連携を大切にしているということ・月に一度のSDGsウィークが特徴的です。

インタビュー記事はこちら▼

最後に

身近に教育問題を意識する機会がなかなかない日本人にとって、SDGs4は全体像が捉えにくい目標でしょう。しかし、地球の未来を作っていく次世代の存在はSDGsのなかで重要視されている要素の一つです。この記事を通して、教育の大切さに気づいていただけたら幸いです。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

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