食品ロスの影響とは?-環境・食料問題・経済への7つの影響を解説

#ヘルスケア#健康#外食#物流#農業#食品#食料の廃棄#飢餓 2022.09.07

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食品ロスの影響は、環境への負荷、食糧不足の深刻化、経済損失など世界的な問題となっています。

まだ食べられるのに食べ物を捨ててしまう「食品ロス」は、どのような影響をもたらすのでしょうか。また、私たちは食品ロスを減らすために、どのような取り組みができるのでしょうか。

今回は、日本と世界の食品ロスの現状から、食品ロスが環境・世界の食料問題・社会・経済へ与える8つの影響を解説します。さらに、私たちができる取り組みも紹介します。

日本の食品ロスの現状

 

「食品ロス」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことを言います。農林水産省および環境省が発表した推計によると、2020年において日本では約522万トンの食べ物が捨てられています。

この量は、毎日国民一人当たりご飯茶碗1杯分(約113g)の食べ物を捨てていることになり、飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当します。

また、日本で発生する食品ロスは、スーパーマーケットや小売店の売れ残り・食べ残し、規格外商品などの「事業系食品ロス」と、家庭で作った料理の食べ残しや皮のむきすぎなどの「家庭系食品ロス」に分類されます。2020年度の日本の「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」はそれぞれ275万トン、247万トンでした。

世界の食品ロスの現状

消費者庁によると、世界では一年あたり約13億トンもの食べ物を廃棄しています。この量は、世界全体で生産されている食べ物のうち、およそ3分の1に当たります。

これらの食品ロスは、農家や生産者によって食べ物を生産する際から、食べ物の加工、家庭で消費される際などさまざまな場面で発生しています。

とくにアメリカなどの先進国では、消費量を上回るほどの食べ物を生産しているため、廃棄される食べ物も多くなっています。

関連記事:食品ロスは日本でどのくらい出ている?-原因から取り組みまで徹底解説

関連記事:2020年の飢餓人口は8億人超、栄養不足も増加。このままでは目標2の達成は困難|国連機関が共同報告書を発行

食品ロスが環境へ与える影響

ここまで日本と世界における食品ロスの現状をみてきました。

続いて、食品ロスが環境へ与える2つの影響について解説します。

関連記事:食品ロスが問題である3つの理由-原因から食品ロスを減らすための対策を紹介

運搬・焼却時に大量のCO2が発生

食品ロスを出すことは、食べ物を無駄にするだけでなく、運搬や焼却時に大量の二酸化炭素を排出することに繋がっています。

UNEP Food Waste Index Report 2021によると、世界の温室効果ガス排出量のうち8〜10%が、食べ物の運搬や焼却など食品ロスに関連のあるものから発生していると推定されています。

ごみとなってしまった食べ物は可燃ごみとして焼却されます。生ごみの場合、約80%は水分であるため燃えにくく、生ごみ1トンあたり760リットルの助燃剤(重油)が使用されるため、より多くの二酸化炭素を排出することになります。

食品ロスによる二酸化炭素の排出は運搬や焼却以外にも、食材の加工などの過程においても排出されています。

廃棄食品の埋め立て時にメタンガスが発生

廃棄食品を埋め立てる際に排出されるメタンガスも、環境へ大きな影響を与えています。

ごみ埋立地において発生するガスは「埋立地ガス」とも言われ、ごみが土砂で覆われるとメタンガスが排出されます。メタンガスは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスです。

日本では食品廃棄物を焼却処理していますが、世界の多くの国々では埋め立てです。メタンガスは二酸化炭素の約25倍の温室効果があると言われており、食品ロスを増やすことで、さらに地球温暖化が進行しています。

食品ロスが世界の食料問題へ与える影響

ここまで食品ロスが環境に与える影響について3つ紹介していきました。

続いて、食品ロスが世界の食糧問題に与える2つの影響について説明していきます。

途上国の飢餓・栄養不足につながる

先進国に住む私たちは、毎日食事をとることができます。世界ではすべての人が食べ物を食べるのに十分な食料が生産されています。しかし、発展途上国では食料不足や栄養不足に苦しむ人々が少なくありません。

国際協力NGOの「hunger free world」によると、2021年における世界の飢餓人口は最大8億1100万人であり、10人に1人が飢餓に陥っている状況です。また、世界の5歳未満児の死因を見てみると、全体の約半数が栄養不良が関係しています。

とくにアフリカ諸国の人々は、厳しい気候や長引く紛争、経済の低迷や景気の悪化などの要因により飢餓に陥る人々が多く存在します。食品ロスを出すことで、途上国の飢餓や栄養不足にも繋がっているのです。

倫理的な問題が発生

発展途上国で暮らす人々が毎日食べ物を得るのに苦労している一方で、先進国で暮らす人々は日々食べ物に困ることはなく、むしろ余ってしまうことが原因で多くの食べ物を捨てています。

先進国で多くの食品が廃棄される理由として、生産段階における需要を超えた過剰生産や、厳しい基準による加工段階、流通・消費段階での廃棄物の排出などが挙げられます。

多くの食べ物を無駄にしないためにも、消費しきれる量を生産し、加工・流通する必要があります。

食品ロスが社会・経済へ与える影響

ここまで、食品ロスが世界に与える影響について2つ説明してきました。

続いて、食品ロスが社会や経済へ与える影響を3つ説明していきます。

生産・流通時に余計なコストの発生

食べ物を廃棄することはただ食べ物を無駄にするだけでなく、生産や加工・流通時に必要とした費用をも無駄にすることになります。

たとえば、お米の生産をする際には農機具費や賃貸料、肥料代から労働費とさまざまな費用がかかっています。農林水産省によると、2019年における個別経営の生産調査では玄米60kgあたり1万3187円もの費用がかかっています。

食べ物を大量に生産しても余ってしまった結果、廃棄となってしまっては多額の費用も無駄になっているのです。

膨大な食品の処理コストが発生

食品を生産や流通するときだけではなく、廃棄となった食品を処理する際にも費用がかかります。

環境省によると、2020年におけるごみ処理に必要とした費用は20000億円を超えています。前年度より405億円も増加しており、昨年より処理するごみの量が増えているのです。

ごみ処理にかかる費用は右肩上がりとなっており、今後も増加していくと推定されています。

生産者や労働者の時間と手間を無駄にする

食べ物を生産し、加工や流通を行う際には多くの人の力と時間を必要とします。

私たちの食卓に食べ物が届くまでには、多くの人が携わっています。たとえば、農業や畜産業、漁業などの生産者、運送業者、スーパーマーケットや八百屋などの小売業者です。

食べ物を残し、廃棄することは生産者や食卓に届くまでに携わってきた、すべての人々の時間と手間を無駄にすることになるのです。

家庭で食品ロスが発生する3つの原因とは

ここまで、食品ロスが社会・経済に与える3つの影響を見てきました。

次に、家庭で排出される食品ロスの原因について3つ説明していきます。

手付かず食品の廃棄

家庭から排出される食品ロスの中で最も排出される量の割合が大きいのは「直接廃棄」という、未開封で手つかずの食品が食べずに捨てられているものです。

消費者庁によると、2020年における家庭系食品ロスのうち、直接廃棄の割合は約44%でした。

2020年の家庭系食品ロスの量は2019年における家庭系食品ロスの量と比較すると、14万トン減少していますが、いまだに多くの食べ物が無駄になっているのが現状です。

料理の食べ残し

家庭から排出される食品ロスの中で、料理の食べ残しが直接廃棄の次に大きな割合を占めます。

消費者庁が2022年6月に発表した食品ロス削減関係参考資料によると、家庭系食品ロスのうち料理の食べ残し量の割合は約42%でした。

つまり、毎日の食卓からたくさんの食べ残しが出ていることになります。私たちは普段何気なく食事を食べていますが、世界には「食べたくても食べられない人」が多くいることを理解する必要があります。

野菜などの過剰除去

「過剰除去」とは、野菜の皮を厚くむき過ぎたことで食べられる部分が捨てられていることを言います。

消費者庁が発表した食品ロス削減関係参考資料によると、家庭系食品ロスのうち過剰除去の割合は約13%でした。

食べ残しや直接廃棄と比較すると一見少なく見えますが、2020年において過剰除去は33万トンもの食べ物が廃棄されています。

私たちにできること5選

ここまで、食品ロスが発生する3つの原因について説明してきました。

最後に、私たちが身近で出来ることを5つ紹介していきます。

買い物前に今ある食材を確認し、必要な分だけ購入

スーパーなどに買い物に行った際、冷蔵庫を確認せず食品を買った結果、同じものを買ってしまった経験はありませんか。

同じものを買ってしまうと、賞味・消費期限内に使いきれず、無駄になってしまいます。

買い物に行く前に、冷蔵庫の中を確認するようにしましょう。

食品の期限表示を確認し、食材を使い切る

冷蔵庫の奥底にしまってしまい、賞味・消費期限を過ぎてしまった経験はありませんか。

冷蔵庫の見えないところに置くと、その食べ物の存在をうっかり忘れやすいです。

定期的に冷蔵庫の中を確認し、賞味・消費期限が過ぎていないか確認することが大切です。

食べ切れる量を作る

家庭から排出される食品ロスの量はとても膨大です。

ただ、1回の食事から排出される廃棄物を減らすだけでも、食品ロスの削減に貢献できます。

家庭で食事を作る際は、食べ切れる量を作るようにしましょう。余ってしまった場合、冷凍保存することも効果的です。

外食時は食べられる量だけ注文する

外食をする際、食べきれない量を注文していませんか。

注文した料理を残してしまうことは、大変もったいないですし、食品ロスにもつながります。

外食をする際には、食べられる量を注文するようにしましょう。大人数の場合は複数の食事をシェアすることもおすすめです。

外食で残った料理は持ち帰りも考える

食べられる量を注文した場合でも、どうしても余ってしまうことがあると思います。そのような時は、余った食事を持ち帰ってみましょう。

現在、洗って何度でも使うことが出来る持ち帰り用容器があります。持ち帰ることでお店の食事を家でも楽しむことができます。

株式会社カマンでは、2021年10月からテイクアウト容器ごみを削減するため、地域共通型リユース容器シェアリングサービス「Megloo(メグルー)」を開始しました。このサービスでは、鎌倉駅周辺の店舗を中心に無料でリユース容器を使用でき、利用後に対象店舗に返却するものです。

持ち帰り容器を使用して、食べ物が無駄にならないようにしましょう。

関連記事:「もったいない」だけで食品ロスは減らない?|食材を経営資源と捉えるロイヤルホールディングス

関連記事:SDGs目標2達成するための取り組み|世界と日本の取組みや個人でできる取り組みも紹介

まとめ

日本や世界では、毎年すべての人が食事できるほどの量を生産しているにもかかわらず、発展途上国で暮らす人々は毎日食べ物を得ることができず、栄養不足や飢餓に苦しむ人が多く存在します。

一方で、先進国では多くの食べ物が生産され、加工・流通しているのにもかかわらず、多くの食べ物が廃棄されています。そのため、生産や加工時に必要とした費用だけでなく、無駄となった食べ物の廃棄をする際にも多額の費用がかかっています。

そのほかにも、食品の焼却時に発生する温室効果ガスや埋め立てる際に発生するメタンガスにより、地球環境にも悪影響を与えています。

多くの人の手によって作られ、私たちの食卓に運ばれた食べ物を無駄にしないためにも、家庭内で料理をする際には食べ切れる量を作ったり、買い物に行く前には冷蔵庫の中身を確認するなど、工夫するようにしましょう。

また、外食時には食べたいものをたくさん注文するのではなく、食べ切れる量を注文したり、余ってしまった分を持ち帰って家で食べるなど無駄にならない方法を選ぶようにしましょう。

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