LGBTQとは-取り組み、悩み、私たちにできることも紹介

##性・生殖#LGBTQ#ジェンダー 2023.03.23

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LGBTQとはどのような性的マイノリティを表しているのでしょうか。

近年ではLGBTに加えて、LGBTQやLGBTQ+と表されることが多くなっています。

今回はLGBTQの意味に加えて、その他のマイノリティやLGBTQへの取り組み事例、LGBTQの人が抱えている悩みについて網羅的に紹介します。

【この記事でわかること】

セクシュアリティ(性のあり方)を決める4つの要素

セクシュアリティ(性のあり方)を決める4つの要素を紹介します。

身体の性

身体の性とは性器などの身体的特徴に基づく性別を表した言葉です。

性自認

性自認とは自分の性をどのように捉えるかを表した言葉です。

性器などの身体的特徴に基づく性別とは違うこともあります。

性的指向

性的指向とは、どの性別の人に性的に惹かれるかということを表した言葉です。

性的指向が異性の人を「異性愛者」、性的指向が同性の人を「同性愛者」と呼びます。

性表現

性表現とは、言動や見た目などで表現する性を表した言葉です。

・「私はトランスジェンダーの女性です。」と言う
・レディースの服を着る
・男子トイレに入る

これらの言動は全て性表現です。

▼参考
性表現とは?LGBTを知るための基本概念【オススメブランドも紹介!】

LGBTQとは-簡単に分かりやすく説明

LGBTQが表すものについて紹介します。

LGBTの意味と定義-それぞれの頭文字について

LGBTの4つのアルファベットにはそれぞれ意味があります。

Lesbian(レズビアン)

レズビアンとは、性自認が女性で性的指向も女性であるセクシュアルマイノリティのことです。

Gay(ゲイ)

ゲイとは、性自認が男性で性的指向も男性であるセクシュアルマイノリティのことです。

海外では同性愛者をまとめて「ゲイ」と表現することもあります。

Bisexual(バイセクシュアル)

バイセクシャルとは、男性と女性の両方に恋愛感情や性的欲求を抱くセクシュアルマイノリティのことです。日本語では「両性愛者」と表記されることもあります。

バイセクシュアルは男性と女性の両方に性愛感情が向く人を意味するため、レズビアンやゲイと違い本人の性別は関係ありません。

▼参考
バイセクシャルの意味と特徴とは?パンセクシャルとの違いも解説

Transgender(トランスジェンダー)

トランスジェンダーとは、身体的特徴としての性と自身の性についての認識が異なる状態を指す言葉です。

日本では医学用語の「性同一性障害」と混同されることもありますが、トランスジェンダーとは性別に違和感をもつ人々のことを表します。

▼参考
あなたは「LGBT」という言葉を知っていますか?

LGBTQのQとは?-Qの意味について説明

LGBTQの「Q」について紹介します。

Questioning(クエスチョニング)とは

クエスチョニングとは、自分のセクシュアリティを定義していない人を指す言葉です。

自身のセクシュアリティを定義しない理由は人によって違います。

・自分のセクシュアリティを1つに決定することができない
・ゲイやトランスジェンダーなど、既存のセクシュアリティの中にしっくりくるものがない
・自分のセクシュアリティを決めつけたくない

クエスチョニングの人の中には自身のセクシュアリティに疑問を感じている人が多いことも特徴的です。

しかし、自分のセクシュアリティを決定せず、あえてクエスチョニングの立場をとる人もいます。

▼参考
「LGBTQ」の「Q」とは? 「クエスチョニング」と「クィア」の意味を紹介

▼関連記事
LGBTQのQとは-クエスチョニングとクィアの意味とは

Queer(クィア )とは

クィアとは性的マイノリティを包括的に表す言葉です。

クィアは性的マイノリティに理解がなかった時代に「変態」の意味合いを持って、ゲイを侮辱する言葉として用いられていましたが、今では性的マイノリティの人があえて自身を指す言葉として使うようになりました。

LGBTでは定義されない人に加え、ゲイやレズビアンもあえて「クィア」と名乗る場合があります。

▼関連記事
LGBT教育に必要な取り組み5選-現在の問題点と海外の取り組みも紹介

「LGBT」ではなくなった理由

以前までは、性的マイノリティの人のことをLGBTと表現していました。

しかし、レズビアンやゲイ、バイセクシュアルやトランスジェンダー以外の性的マイノリティを表す言葉が必要になったことでLGBTQやLGBTQ+と表現されるようになりました。

LGBTQ+とは-その他のマイノリティも紹介

LGBTQ+は、LGBTQでは表現しきれない性的マイノリティを表すときに使われます。

LGBTQ以外の3つの性的マイノリティを紹介します。

アセクシュアル

1つ目に紹介する性的マイノリティはアセクシュアルです。

アセクシュアルとは、他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かないセクシュアリティのことを表しています。

英語圏では、他者に対して性的魅力を感じない人のことをアセクシュアル、他者に対して恋愛感情を抱かない人のことをアロマンティックと表現します。

一方、日本では「恋愛感情の有無」によって分類されており、恋愛感情も性的欲求もない人をアセクシュアル、恋愛感情はあっても性的欲求がない人をノンセクシュアルというように区別しています。

▼参考
アセクシュアル(Aセクシュアル・エイセクシュアル)とは?【恋愛はしない?】

ジェンダーフルイド

2つ目に紹介する性的マイノリティはジェンダーフルイドです。

ジェンダーフルイドとは、性自認が一定ではなく、流動的に変わる人を指します。つまり、女性や男性、ゲイやレズビアンなどあらゆる性の立場を取る人を表現しています。

ノンバイナリーはジェンダーフルイドと区別が難しいと言われていますが、ノンバイナリーは性自認が流動する人ではなく、自身が男性か女性かを区別できない人を表しています。

▼参考
ジェンダーフルイドとは?ノンバイナリーとの違いは?

サピオセクシュアル

3つ目に紹介する性的マイノリティはサピオセクシュアルです。

サピオセクシュアルとは、相手の知性に対して性的な魅力を感じるセクシュアリティのことを表しています。

「サピオ」という言葉はラテン語で「賢明である」ことを意味しています。

サピオセクシュアルの人は、知的な会話をする人に惹かれたり、美術館や博物館などの学術的な場所でのデートを好んだりすることが特徴的です。

▼参考
サピオセクシュアル/サピオロマンティックとは?【知性を愛する】

LGBTQの人たちの悩み-求められることとは

LGBTQの人たちの悩みの1つとして「他人に受け入れられないのではないか」ということが挙げられます。

・男性だけど男性に恋愛感情を抱く
・身体的な性は男性だけど女性が着るような可愛い洋服を着たい
・自分の性別がわからなくなってしまう

LGBTQの人の中には、友人や家族に話すと「変な目で見られるのではないか」、「嫌われてしまうのではないか」といった気持ちになり、なかなかカミングアウトできない人もいるのです。

今回はLGBTQの人たちが悩みやすい3つのことに加え、悩みを解決するために求められることも紹介します。

下着-下着の選択肢を増やす

1つ目に紹介する悩みは、自分に合う下着がないということです。

トランスジェンダーの人の多くが自分の好みや体格に合う下着がないことで悩んでいます。

この悩みを解決するために、下着メーカーのニッセンはひとりひとりの意見を大切にして製品開発を行っています。

ニッセンはありのままの自分を大切にするために「as is」というプロジェクトを開催し、その一環として下着の販売を行いました。

▼参考
トランスジェンダー(LGBT)の方の悩み・不安を解消する下着・インナー

化粧品-男女別ではない売り場の必要性

2つ目に紹介する悩みは、女性向けの化粧品売り場が大半を占めているということです。

また、多くの化粧品売り場では女性の店員が販売を行っており、性的マイノリティの人は化粧品を買いづらく感じています。

しかし、「LGBT向け」として化粧品を発売すると、当事者は商品を購入する際にLGBTであることをカミングアウトせざるを得なくなってしまいます。

そのような現状を解決するため、保湿クリームが有名なキールズでは男性店員も積極的に接客しており、「男性だから」といって購入しづらく感じることはありません。

▼参考
新時代を切り拓く!多様性への取り組みに熱心なコスメブランド6

トイレ-オールジェンダートイレの設置

3つ目に紹介する悩みは、男女別のトイレしか設置されていないということです。

この悩みは、主にトランスジェンダーの人が抱えています。

例えば、戸籍上は「男」だけど性自認は「女」である人はどうすれば良いのでしょうか。

周りの目が気になるから男子トイレに入らなければいけないのか。それとも、自分のことを女性だと考えるから女子トイレに入らなければいけないのか。

トランスジェンダーの人たちがこのような問題に苦しまないようにするために、どの性別の人でも使用できるオールジェンダートイレを設置することが求められています。

例えば、国立競技場には14ヶ所もオールジェンダートイレが設置されており、性的マイノリティの人も悩む事なくトイレを使用することができます。

▼参考
男女共用お手洗 Allgender toilet について

自分の性を知るには-ひとりで悩まない

自分の性について違和感を感じたり、不安に感じたりするときは、ひとりで抱え込まないことが大切です。

今回は、自分の性について悩んだ時の解決方法を2つ紹介します。

性別診断サイトの紹介

1つ目の解決方法は、性別診断サイトで自分のセクシュアリティを診断することです。

様々な種類の診断がありますが、今回はJobRainbowのセクシュアリティ診断を紹介します。

この診断では、性自認、性表現、性的指向、恋愛指向の4つの指標から自分のセクシュアリティを判定することができます。

▼詳しくはこちら
セクシュアリティ(LGBTQ+)診断 – JobRainbow

相談窓口の紹介

2つ目の解決方法は、相談窓口に相談することです。

性に関する相談窓口は数多くありますが、今回は2つ紹介します。

よりそいホットライン

1つ目に紹介する相談窓口は、よりそいホットラインです。

よりそいホットラインは一般社団法人の「社会的包摂サポートセンター」が運営しています。

電話やFAX、チャットを通して、24時間・365日いつでも無料で相談することができます。

TEL:0120-279-338
TEL:0120-279-226(岩手県・宮城県・福島県専用の電話番号)

▼参考
よりそいホットライン

こころの相談

2つ目に紹介する相談窓口は、こころの相談です。

こころの相談は、医療・カウンセリング・福祉・教育などの分野でレズビアン&ゲイコミュニティーに貢献している「AGP」が運営しています。

毎週火曜日の夜8時から10時まで、AGP会員の医師や臨床心理士に相談することができます。

TEL:050-5806-7216

▼参考
AGP ON LINE

自治体のLGBTへの取り組み事例3選

自治体のLGBTへの取り組み事例を3つ紹介します。

大阪市-大阪市LGBTリーディングカンパニー認証制度

1つ目に紹介する事例は大阪市の取り組みです。

大阪市は「大阪市LGBTリーディングカンパニー認証制度」を導入しました。

この制度は、LGBTの方々が直面している課題の解消に向けた取組を積極的に推進する事業者を認証するものです。

認証を受けた事業者が広く認知されることでその取り組みが普及し、LGBTの人が差別されない社会の実現を目指しています。

▼参考
「大阪市LGBTリーディングカンパニー」認証の申請を受け付けています

▼関連記事
LGBTに関する日本の取り組み7選-海外と比較しながら徹底解説-

越前市-NPO法人丹南市民自治研究センターの取り組み

2つ目に紹介する事例は越前市の取り組みです。

NPO法人丹南市民自治研究センターは自治体職員をはじめとして、市民や研究者と共に地域課題や社会活動について意見を交換し合う市民活動団体です。

市の職員がLGBTについて学ぶため、2014年にNPO法人の虹色ダイバーシティのスタッフを招いて講演会を開催しました。

▼参考
東京でもない大阪でもない地方でのLGBT

三島市-市が運営する相談窓口

3つ目に紹介する事例は三島市の取り組みです。

三島市は一人ひとりの「自分らしい生き方」を尊重するために、性的マイノリティの人のための相談窓口を設置しています。

性的マイノリティの人権に関する相談と女性の社会進出に向けた相談を行っています。

▼参考
三島市ホームページ

企業のLGBTへの取り組み事例4選

企業のLGBTへの取り組み事例を4つ紹介します。

富士通-アライの輪を広げる取り組み

1つ目に紹介する事例は富士通の取り組みです。

富士通では、社内でアライを広める活動として、LGBT当事者と話し合う「LGBT+Allyミーティング」の実施や、LGBTとアライをテーマにした映画上映会を行っています。

アライとは、LGBTQ +の人たちに寄り添いたいと考え、支援する人のことを指します。

これらの取り組みにより、レインボーグッズを使用する社員も増えてきています。

▼参考
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン : 富士通

▼関連記事
LGBTフレンドリーな企業の取り組み6選-業界別の取り組み事例も紹介

キヤノン-ダイバーシティ&インクルージョンの推進

2つ目に紹介する事例はキヤノンの取り組みです。

キヤノンではダイバーシティ&インクルージョンの考え方の浸透を目指し、「心のバリアフリー研修」を実施しています。

さらに、障がいのある人やLGBTQの人に配慮すべきポイントを学ぶことのできるeラーニングを開講しています。

▼参考
ダイバーシティ&インクルージョン | Canon

マイクロソフト-LGBTへの取り組みの先駆け

3つ目に紹介する事例はマイクロソフトの取り組みです。

1989年、マイクロソフトは差別禁止規定に性的マイノリティによる差別を禁止することを盛り込みました。

さらに、マイクロソフトの日本支社では、誰もが平等に扱われる職場づくりを実現するために「ビジネスによる LGBT 平等サポート宣言」を採択しています。

LGBTQに対する考え方や制度は各国で違うため、マイクロソフトはそれぞれの地域に適した取り組みを行っています。

▼参考
日本と世界のLGBT取り組み事例を紹介 – LGBTs不動産のIRIS

日本マイクロソフト、「ビジネスによる LGBT 平等サポート宣言」に賛同

Apple-LGBT支援団体に寄付

4つ目に紹介する事例はAppleの取り組みです。

AppleはLGBTQセンターを運営している「Encircle」という団体に、1億円を超える資金と「iPad」を寄付しました。

Encircleはアメリカのユタ州に本部を置く団体で、LGBTQの若者に音楽スタジオやアートスタジオを提供しています。

また、AppleのCEOであるティム・クックは2014年にゲイであることをカミングアウトし、同性婚運動の支援などに積極的に取り組んでいます。

▼参考
AppleがLGBTQセンターの設立に1億円超と「iPad」などを寄付

私たちにできること

自治体や企業だけでなく、私たちにもLGBTの人に対してできることがあります。

それは、ALLY(アライ)になることです。

アライ向けの商品を身につけることで、自分がアライであるということを表明することができます。

今回は、niji-depotのレインボーカラーアクセサリーを紹介します。

niji-depotは性的マイノリティとALLYのための日本で唯一のレインボーカラーアクセサリー専門店です。

「プライドカラー」という6色の虹色のアイテムに加え、さまざまなセクシュアリティのシンボルカラーをモチーフにしたアイテムを揃えています。

▼参考
niji-depot

▼関連記事
ALLY(アライ)とは?-LGBTを理解・支援するALLYにできることや活動事例を紹介

まとめ

LGBTQについて新しく知ったことはありましたでしょうか。

LGBTQの人は学校や職場など、多くの場所で悩みや不安を抱えています。

自治体や企業などが多くのことに取り組んでいますが、その方法に注意する必要があります。

例えば、「LGBTQ向けのトイレ」や「LGBTQ向けの商品」など使用者がLGBTQであることを前提にしてしまうと、当事者はLGBTQであることをカミングアウトせざるを得なくなってしまいます。

LGBTの方々が過ごしやすい社会になるために性的マイノリティの人を気遣い、多くのことに取り組む必要があります。

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