【更新日:2022年3月31日 by Lisa】
「ESG」は近年、世界規模で非常に注目されており、ビジネスにおいて企業評価の基準となりつつあります。
しかし、ESGの意味や企業の取り組みについて詳しくはわからない方も多いと思います。
そこでこの記事では、ESGへ企業が取り組むことで得られるメリットや注意点とともにESGに関するランキングで上位にランクインしている企業の具体的な取り組み事例を
ご紹介していきたいと思います。
ぜひESGに取り組む際の参考になれば嬉しいです。
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ESG投資とは
ESG概要
ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字をとったものです。
ESGに配慮した取り組みで企業の長期的な成長を支える基盤を構築していく目的などから、現在多くの企業が取り入れています。
▼ESGについて詳しくはこちら
ESG投資の種類
世界のESG投資額の統計を集計しているGSIAによってESG投資は、7種類に分けられています。
1.ネガティブスクリーニング
この方法は、最も古くから行われており、多くの国で普及しています。
武器やギャンブル、アルコールやたばこ、原子力発電、化石燃料、ポルノなどの
環境問題や社会問題に悪影響を及ぼすような特定の事業から収益をあげる企業を
投資先から除外する方法となっています。
2.ESGインテグレーション
財務情報やビジネスモデルだけではなく非財務情報も含めて分析する方法で、
企業全体から銘柄評価を行います。
3.エンゲージメント
株主が議決権を行使し、意見することで、株主の立場から企業へESGへの取り組みを
働きかける方法のことです。
4.国際規範に基づくスクリーニング
国際規範となっている人権侵害、環境汚染等の基準を満たしていない企業を投資対象から
除外する方法です。
5.ポジティブスクリーニング
投資を検討している企業の中でESG関連の評価が相対的に高い企業に投資する方法です。
6.サステナブル・テーマ投資
社会全体の持続可能性のために行う投資のことで、社会課題へ貢献することができるようなテーマで取り組みを行っている企業に投資する方法です。
7.インパクト・コミュニティ投資
従来の財務的リターンに加えて、社会や環境に貢献する技術や開発、サービスを行っている企業へ投資を行い、社会や環境へのポジティブインパクトを目的とする方法です。
企業がESGに取り組むことによる3つのメリット
ここからは、企業がESGへ取り組むことによって得られるメリットについて3点上げていきたいと思います。
メリット①:投資家からの評価向上につながる
現在、ESG投資は投資家を中心として急激に注目を集めています。
理由としては、投資を通じて社会貢献ができる点と長期的に安定した利益が見込める点の2つが挙げられます。
投資を通じて社会貢献ができるという点では、企業の持続可能な社会へ向けた取り組みを投資を行うことで後押しできるため、長期的に安定した利益が見込めるという点では、企業の持続可能な社会へ向けた取り組みが企業自体の長期的に安定した事業につながるためです。
メリット②:社会に貢献できる
上記にもあるように、企業のESGへの取り組みは自社の利益のみではなく、持続可能な社会の実現へ向けて貢献できます。
ESGのEは環境(environment)、Sは社会(social)、Gは(governance)であるため、ESGの基準で取り組みを実施することで社会のあらゆる問題、例えば環境問題や差別問題、人口問題などの改善につながります。
メリット③:従業員のロイヤルティが高まる
ESGへの取り組みというと社会課題への取り組みを積極的に行うイメージがあると思いますが、それだけではありません。
情報開示もESGの取り組みのひとつです。
情報開示をしっかりと行い、透明性の高い会社を作ることで従業員の愛社精神を高めることにつながります。
従業員のロイヤルティが高まることで会社全体の雰囲気の向上や従業員のやる気を引き出すことができるため、企業のサービスや商品の質の向上につながるようなメリットにつながります。
企業がESGに取り組むことによる3つの注意点
しかし、企業がESGに取り組むことは良い点だけではなく、注意しなくてはいけない点もあります。
注意点①:基準が明確でないため目標設定が難しい
ESGは評価基準が定められているわけではなく、どのような結果へ向けて取り組みを進めたら良いかが曖昧になってしまうという点があります。
明確な目標が定められないと社内外に示すことができず、利益にもつながりにくくなってしまいます。
注意点②:長期的な結果を目指すため効果を感じづらい
ESGへの取り組みは短期的に大きな利益を目指すのではなく、中長期的なリターンを目標とするため、すぐには効果を感じられません。
むしろ、短期的には費用対効果が釣り合わない状態になってしまう可能性があります。
注意点③:歴史が浅いためセオリーが確立されていない
上記にも関連しますが、ESGは歴史が浅く、評価基準自体もしっかりとした規定がないため、成功した事例が数少なく、参考にできるセオリーが確立されていません。
そのため、どのような取り組みが企業全体のメリットにつながるのか十分に時間をかけて検討していく必要があります。
各種ESGランキングからみる企業の取り組み事例
東洋経済ESGランキングベスト200
このランキングは、東洋経済新報社が保有するCSRのデータベースをもとに環境(E)、社会性(S)、企業統治(G)、人材活用(H)の4分野で企業評価を行い、ESG企業ランキングを作成したものです。
1位:SOMPOホールディングス
SOMPOホールディングスは、このランキングで4年連続で1位を獲得しています。
取り組み内容としては、女性管理職の割合や海外貧困層向けサービスの展開などがありますが、「損保ジャパンの森林」という取り組みが特に注目されています。
これは、全国8カ所の各自治体と協定を結び、地域住民らとともに森林整備活動や環境教育を行っています。このような環境への積極的な取り組みが評価のポイントとなっているようです。
2位:オムロン
このランキングで、2位を獲得したオムロンですが、
幅広い社会課題への取り組みとガバナンスへの取り組みで評価を受けています。
特に、ガバナンスに関しては、グループで適用されるリスクマネジメントルールを作成したり、企業倫理・リスクマネジメント委員会を年に複数回開催し、社内の課題を議論したりしています。
Gomez ESGサイトランキング2021
このランキングは、ゴメス・コンサルティングが行っています。
長年、国内の上場企業の株主・投資家向けサイトランキング調査を行っており、その中で、各社のそのウェブサイトの使いやすさや情報の充実度からESGサイトランキング調査を行っているものです。
1位:コニカミノルタ
コニカミノルタはこのランキングで4年連続1位を獲得しています。
その理由としては、ユーザー視点でウェブサイトが作成されている点、サステナビリティ関連の新規コンテンツを迅速に取り込んでいる点などが評価されています。
そのほかにも、長期環境ビジョンである「エコビジョン2050」をテーマに掲げ、カーボンマイナスへ向けた取り組みなど積極的に行っています。
2位:伊藤忠商事
伊藤忠商事はこのランキングで2位を獲得しています。
サステナビリティのアクションプラン等について具体的な数字を挙げながら視覚的にも分かりやすく紹介している点などが評価されています。
伊藤忠商事は、次世代育成プログラムやラジオ番組でのSDGsの発信、災害支援活動など
社会貢献へ向けた活動も行っています。
第2回ESGブランド調査
このランキングは、「環境」「社会」「ガバナンス」「インテグリティ(誠実さ)」の4分野で68項目の問いを設定し、各社のイメージを一般の消費者やビジネスパーソン約2万1000人に聞き、調査したものをランキング化したものです。
1位:トヨタ
トヨタは、このランキングで1位を獲得しています。
特に、環境とガバナンスの部分で評価されており、省エネに努めているや有害物質の削減に努めているといった意見や経営トップがガバナンスに対する高い意識を持っているといった発信面に関しても高い評価を受けています。
具体的なトヨタの取り組みとしては、「新車CO2ゼロチャレンジ」という名の下に2050年までにグローバル新車平均二酸化炭素の排出量の90%削減を目標に取り組みを続けています。
2位:サントリー
このランキングの2位に輝いたのはサントリーです。
特に、「良い企業文化が根付いており製品サービスを買いたくなる」というカテゴリーでは1位を獲得しています。
サントリーでは、顧客の健康で豊かな生活に貢献できるような商品の開発やサービスの提供を心がけていたり、品質マネジメントの推進を行っていたりします。
まとめ
企業がESGへ取り組むことは、長期的な利益向上につながるとともに課題の解決など社会へ貢献できます。
取り入れることで得られるメリットや注意すべき点などを念頭に置いた上で、他社の取り組みを参考に徐々に取り入れることでより良い経営戦略につながると思います。
ぜひ、ESGへの取り組みを考えてみて下さい。
SDGs CONNECTライター。ESGに関する記事を中心に、よりよい社会の実現へ向けて情報をお伝えしていきます。