SDGs12「つくる責任つかう責任」現状や課題・取り組みを解説

#SDGs目標12#エネルギー#再利用#持続可能#環境#食品ロス 2021.02.13

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【更新日:2023年3月6日 by 田所莉沙

SDGs12は、モノやサービスを作る生産者と消費者の責任に関する目標です。

世界の総人口の9人に1人が飢餓で苦しんでいる現状ですが、一方で大量の食べ物も発生しており、食品ロスの削減を目指しています。また、再生可能エネルギーの開発や商品を有効活用するなど、持続可能な社会を形成するために生産物を効率良く使うことも目標の1つです。

この記事では、地球上に住む一人ひとりの努力が欠かせない目標12「つくる責任つかう責任」について徹底解説していきます。

【この記事で分かること】

見出し

SDGs12「つくる責任つかう責任」とは

みなさんはSDGs目標12について、どのくらいご存知でしょうか。

まずは目標の内容や、達成に向けて設定されたターゲットについて、説明していきます。

SDGs12「つくる責任つかう責任」の内容

SDGs12「つくる責任つかう責任」では、持続可能な生産形態・消費形態を確保するというテーマをもとに、目標が定められています。この目標は、次の世代にも地球をつなげるために、資源やエネルギーを大切にすることを目標として定められています。

世界には、たくさんの資源やエネルギーが存在します。私たちは商品や資源を使用して、生活をしています。しかし技術の発展に伴い、世界の人々が消費する資源の量が増加しています。とくに大量に生産し、消費する際に発生する問題として挙げられる「食品ロス」は、SDGs目標12に関連する問題です。

ただ資源やエネルギーの消費量が増加しているだけではなく、廃棄物の焼却や埋め立て問題など、環境問題も発生しています。限りある資源を長期的に使用できるよう、自然を考慮した取り組みを実施する必要があります。

SDGs12「つくる責任つかう責任」のターゲット

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」には、達成に向けた目標や実現に向けた取り組み方法を含めて、11個のターゲットが設けられています。この目標では、世界で排出されるごみの削減や、製品を生産するうえで環境に配慮した方法を考慮することを目指しています。

そのほかにも限りある天然資源を有効活用したり、環境に被害を与える化学物質の管理をしたりと、自然環境を守ることもターゲットの1つです。

目標を達成するには、世界各国で製品の生産方法や消費方法を考慮する必要があります。またそれぞれの国で環境を守りながら、文化や観光地を通じて発展できる方法を見出します。そのほかのターゲットについては、以下のとおりです。

12.1 ・持続可能な消費と生産の10年計画を実行する。
・先進国を中心に、発展途上国の開発に向けて世界各国で行動する。
12.2 ・2030年までに天然資源を管理する。
・天然資源を長期的に使用できるようにする。
12.3 ・2030年までにお店や各家庭で排出されるごみの量を半分に減らす。
・製品の生産や加工、流通時において食料が捨てられたり、失われたりしないようにする
12.4 ・2020年までに国際的に定めた取り決めに基づいて、あらゆる化学物質や廃棄物が環境に悪影響を与えないようにする
・人々の健康状態や自然環境に悪い影響を与えないよう、排出されるごみの量を削減する。
12.5 ・2030年までにごみが発生することを防ぐ
・ごみの排出量を削減する。
・リサイクルやリユースを通じて、ごみの発生量を減らす
12.6 ・とくに大手企業やさまざまな国に支店を持つ会社が、地球を考慮した取り組みを実施する。
・企業が報告するレポートに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みに関する情報を含める。
12.7 ・国の政策や優先事項にしたがって、持続可能な方法で、ものやサービスを購入する。
12.8 ・2030年までに人があらゆる場所で持続可能な開発や、自然と調和した暮らし方に関する情報を持つ。
・すべての人々がさまざまな場所で持続可能な開発や、自然と調和した暮らし方に向けて、意識を高める。
12.a ・発展途上国が地球を考慮した、持続可能なものの生産や消費を行っていく。
・持続可能な生産や消費を実施するために、技術をさらに発達させていく。
12.b ・都市部以外の地域や地方にて働く場を増やし、地方の特産物や文化を広める
・地方における観光業について、普及する際に地球を考慮した方法で、文化や特産物を広めていく。
12.c 資源の無駄づかいをやめる
・石油などの化石燃料に対する補助金の制度を改める。
・国ごとに税金の制度を改定したり、環境に悪影響を与えるような補助金制度を徐々になくしていったりすることで、化石燃料が適切な価格で取り引きされるようにする。
発展途上国において、特定の地域で暮らす人々の生活環境などに被害が出ないよう、開発していく際に注意しながら地域を発展させていく

参照:外務省公式サイト

SDGs12が必要な理由|大量生産・消費によって資源が枯渇する恐れがあるから

ここまでSDGs目標12の内容や、ターゲットについてまとめていきました。ではなぜSDGs目標12は、必要なのでしょうか。

現在世界の多くの国で、さまざまなものやサービスが溢れています。そのため私たちは、ものやサービスを購入する際に、より魅力的なものを選んで買っています。

しかしたくさんのものやサービスがある一方で、無駄になっているものも存在します。ものの大量生産・消費は、地球に限りある資源の枯渇につながります。とくに石油や石炭のような天然資源は、このまま使い続けると、枯渇してしまいます

次の世代にも地球をつなげていくためには、資源を大切にし、ものやサービスの生産・消費について考えることが大切です。

SDGs12に関する世界の現状と課題

ここまでSDGs目標12の必要性について、まとめていきました。

続いて、SDGs目標12における世界各国の課題や、現状について解説していきます。

年間25トンの食品が捨てられている|食糧不足による飢餓問題も

まず世界の中で大量生産が原因となり、問題となっているのが捨てられる大量の食品です。2021年に世界自然保護基金(WWF)が発表した報告書では、世界で生産された食品のうち25億トンの食品が無駄になっていることがわかりました。これは世界で生産される食品全体のうち40%を占めており、2011年における食品廃棄量の約2倍です。

食べずに無駄になってしまった食品を捨てることは、「食品ロス」とも言われます。食品ロスは先進国や発展途上国に限らず発生しています。とくに先進国では商品の加工・流通の段階で食品ロスが発生しており、発展途上国では原材料の生産段階で多くの食品ロスが発生しています。

先進国では、生鮮食品に対し、「外観品質基準」という厳しい基準が設定されていることが原因で、大量の食品が販売されずに廃棄されています。一方で、発展途上国では原材料の保存設備が不十分だったり、生産技術が未熟だったりすることが原因で、食品ロスが発生しています。

しかし、大量の食物が廃棄されているにもかかわらず、一部の国や地域では食料不足により栄養失調などの問題に直面している人も少なくありません。とくにアフリカ大陸の国々で飢餓に陥る人が多く存在します。2021年の段階で、8億2,800万人もの人々が飢餓に苦しんでいます。

食品の大量生産・消費を避け、飢餓に苦しむ人々を減らすためには、無駄になる食品を減らすことが必要です。まずは過剰生産をなくしていく取り組みが重要となります。

関連記事:食品ロスによる環境への問題点-食品ロスの問題点、原因、対策を紹介

関連記事:食品ロスのデータ5選-日本や世界の食品ロスの現状や推移を解説

年間21億トンのゴミが捨てられている|環境問題の原因に

世界各国で廃棄される食品のほかにも、多くのごみが発生しています。2019年において、世界194カ国から排出されたごみの量は約21億トンであり、そのうち全体の16%しかリサイクルできていません。

世界の中でも中国が最もごみを排出しており、インド、アメリカと続きます。とくに中国ではごみの排出量のうち全体の約15.5%を占めており、多くのごみが排出されています。ごみの排出量は人口増加に伴って増加すると見込まれており、対策を行わなければ2050年までに現在の排出量よりも70%も増加すると推測されています。

さらにごみの排出は、地球環境にも悪影響を与えています。ごみが発生した際、焼却炉などを用いて燃やす必要があります。その際に発生する二酸化炭素は、地球温暖化を促進する原因の1つです。とくに生ゴミは水分を多く含んでいることから、大量の二酸化炭素やダイオキシンを発生します。

ごみを大量に排出することで環境汚染が深刻化し、さまざまな環境問題につながります。環境問題を悪化させないよう、ごみの排出量を減らしたり、3R(スリーアール)を意識してみたりと、日頃から気を配ることが大切です。

ダイオキシン
…プラスチックなどを燃やした際に発生する化学物質のこと。人の体内に入り込むと、がんなどの病気につながる可能性のある化学物質。
3R(スリーアール)
…リデュース、リユース、リサイクルという3つの単語の総称のこと。それぞれ「ごみを発生させない」・「ごみを出さない」・「ごみを生かす」という意味で用いられる。

SDGs12に関する日本の現状と課題

ここまで世界各国で発生しているSDGs目標12の課題や現状について、まとめていきました。

次に日本における、SDGs目標12の現状や問題点について、説明していきます。

年間522万トンの食品ロスが発生している

日本でも食品ロスは深刻な問題です。2020年において廃棄となった食品の量は、522万トンでした。日本では年々食品ロス量が減少傾向にあり、2021年の排出量と比較しても、48万トンも減少しています。2020年の食品ロス量は、国民一人当たり一日113グラムに相当し、お茶碗約1杯分の食品を廃棄していることになります。

また食品ロスは、「家庭系食品ロス」と「事業系食品ロス」と大きく2つに分類されます。それぞれ家庭から排出される食品ロスと、飲食店など事業を通じて排出される食品ロスを意味します。2020年における食品ロス量は、家庭系食品ロスが247万トン、事業系食品ロスが275万トンでした。

日本では年々無駄になる食品は少なくなっているものの、いまだに多くの食品が廃棄されています。無駄になる食品をさらに減らすために、大量生産を避けたり、外観品質基準を満たさない食品を「規格外商品」として販売するなど、無駄を作らない工夫を続けることが重要です。

天然資源を他国に依存している

日本は他国と比べても、石炭や石油などの天然資源が乏しい国です。そのためエネルギー自給率が低く、石炭や天然ガスのような化石燃料を海外から輸入しています。2019年の段階で、日本の電力自給率は12.1%でした。アメリカやイギリスなどの国々と比較しても、日本はかなり自給率が低いということがわかります。

エネルギー自給率が低いと、万が一化石燃料などのエネルギー資源が枯渇したり、国際情勢が悪化したりした場合、安定して電力を供給できなくなります。実際に2021年9月から、日本では電気料金の価格が高騰しており、その背景にはロシアによるウクライナ侵攻が大きく影響しています。

日本で安定した電力供給を行うためには、まずエネルギー自給率を上げていく必要があります。そこで重要なのが、再生可能エネルギーです。太陽光発電や風力発電など、自然由来のエネルギーを普及していくことで、海外からの化石燃料に依存せずにエネルギー自給率をあげることが必要です。

関連記事:温室効果ガスと地球温暖化の関係と影響-温室効果ガスの増加原因も解説

年間4,167万トンのゴミが捨てられている

日本では、ごみの排出量も問題の1つです。食品ロスの量が削減されているのと同様に、ごみの量も年々減少傾向にあります。しかしいまだに大量のごみが発生しています。2020年、ごみの総排出量は4,167万トンでした。2019年と比較すると4.2%削減しており、日本国内のリサイクル率も増加しているものの、ごみの量は依然多いままです。

世界の中でも日本が排出するごみの量は、比較的多いのが現状です。とくに日本におけるプラスチックごみの量は、アメリカに続き、世界2位という結果でした。日本は過剰包装の文化があり、プラスチック容器などが大量に捨てられています。

日本でごみの量を減らすためには、プラスチックごみを削減することが鍵となります。たとえばプラスチック製のスプーンやフォークの利用を減らしたり、ペットボトルではなく水筒を活用したり、工夫が必要です。

SDGs12を達成するために私たちにできること|個人の取り組み

ここまで日本で発生している、SDGs目標12の課題や現状について、まとめていきました。

続いてSDGs目標12の達成のために、私たちができることを紹介していきます。

プラスチックごみの排出量を減らす

まずごみを減らす方法として、プラスチックごみの削減があります。プラスチックごみは、さまざまなものや場所で用いられており、生活の中で意識することで排出量を減らせます。

たとえば通学や通勤など出かけるときに水筒やマイストローを使うことが挙げられます。毎日飲み物を買う際に自動販売機のペットボトルを買うのではなく、水筒に入れて持ち歩くことで、プラスチックごみを減らすことができます。また水筒を持ち歩くことで、お金の節約にもつながります。

ほかにも買い物をする際にマイバッグを用いることで、さらにプラスチックごみを出さずにすみます。またスーパーに設置されているポリ袋を使いすぎないことも、私たちがごみの削減のためにできることの1つです。

食べ物を無駄にしない

食品ロスをなくすために、食べ物を無駄にしないことも私たちが生活の中でできることです。食べ物を捨てることなく使うには、買い物をするときや、ご飯をつくるときなどに工夫することが重要となります。

たとえば食材を買いに行く前に、冷蔵庫の中を確認し、ほんとうに必要な食材を購入するようにしましょう。事前に買うものを決めておくことで、買った食材を使わずに捨てるということがなくなります。また食事をつくるときには、賞味期限・消費期限が近づいているものを積極的に使用することで、食材を無駄にすることなく食べられます。

ほかにもレストランなどで外食をするときには、食べ切れる量を注文するようにしましょう。食べたいものを注文したにもかかわらず、食べ残してしまうと、せっかくの料理も捨てなければなりません。

実際に外食をする際には注文する量を減らしたり、食べきれない場合は持ち帰って家で食べてたりすることも考えてみてください。

電気の使い方を考える

家庭内やオフィスなど、日常生活の中で電気を使いすぎないことも、SDGs目標12の達成につながる方法です。使っていない部屋の電気を消したり、電化製品の電源を消したりなど、さまざまな節電の方法があります。

またエアコンを使って冷房・暖房を使いすぎないことも、節電につながる取り組みです。窓を開けて外の風を取り入れたり、毛布を使って暖を取ったりと、エアコンを使わない方法を探してみましょう。どうしても使わなければならない場合、設定温度を夏は28℃に、冬は20℃目安に設定することがおすすめです。熱中症などの病気にならないよう、調節しながら使用してみてください。

さらに、使用する電気を石炭や天然ガスなどの化石燃料由来のエネルギーではなく、再生可能エネルギー由来の電気を使うことも、地球環境に配慮した取り組みです。家庭やオフィスで太陽光発電などの発電設備を設置することで、二酸化炭素の排出量を抑えながら電気を使うことができます。もしくは、契約している電力プランを再生可能エネルギー由来のプランに変更することで、SDGs目標12の実現に貢献します。

SDGs12を達成するための企業の取り組み事例3選

ここまでSDGs目標12の実現のために、私たちが身近にできることについて、まとめていきました。

つぎに企業が取り組んでいる、SDGs目標12の実現に向けた取り組みについて、説明していきます。

クローズド・ループ・システムの導入

クローズド・ループ・システム」とは、ごみの排出量を限りなくゼロにできるよう、リサイクルに取り組むシステムのことです。ある企業が販売した製品が使用済みになった後、ごみを回収し、再使用したりリサイクルしたりすることで、廃棄物の排出を防いでいきます。

クローズド・ループ・システムを導入することで、企業が展開する事業の中で発生するごみの量が削減されるのはもちろんのこと、事業に必要な原材料が枯渇することなく得られます。

実際に大手企業であるイオン株式会社では、2021年1月から「ボトル to ボトルプロジェクト」を実施しています。この取り組みでは、販売したペットボトルを回収し、リサイクルすることで再び商品として販売しています。2019年には、約1億9,019万本ものペットボトルを別の製品に活用していました。

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)への移行

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」とは、今までごみとして廃棄されていた製品や原材料などを資源として考え、リサイクルや再利用を通じて活用する経済システムのことです。このシステムは、廃棄物をできるだけ減らすという考えに基づいた「3R」とは違い、廃棄物自体を出さないことを目指しています。

世界各国でごみの排出量が増えていく中で、廃棄物を資源として捉える「サーキュラー・エコノミー」は、燃やさなければならないごみを減らすことになるため、地球温暖化の抑制にもつながります

ほかにも商品の製造段階で排出されるごみをなくすために過程を見直すことで、いままで廃棄物にかかっていた費用が削減できます。また廃棄物として扱っていたものが商品として販売できるようになるなど、新たなビジネスの展開にも貢献します。

シェアリング・エコノミーの実施

シェアリング・エコノミー」とは、消費者が別の人に、もの・場所・スキルなどを提供したり、共有したりする経済システムのことです。株式会社メルカリが提供するフリマアプリなどを通じて、不要となったものを販売することなども、「シェアリング・エコノミー」に該当します。

「シェアリング・エコノミー」では、新たにものを製造する必要がないため、物を有効活用できます。そのほかにも企業がこのシステムを取り入れることで、商品を製造する際に発生する光熱費の削減にもつながります。

シェアリング・エコノミーを通じた事業は、自動車や衣類だけではなく、住居や家事代行サービスなど幅広く存在します。日本国内においても、「シェアリング・エコノミー」の事業は年々拡大しており、ものや資源を大切にした取り組みが行われています。

関連記事:企業の食品ロス削減への取り組み10選-食品ロスの現状や原因も解説

SDGs12に関する日本の取り組み事例3選|自治体と企業の取り組み

ここまで企業が実施している、SDGs目標12の達成に向けた取り組みについて、まとめていきました。

続いて日本が取り組んでいる、SDGs目標12の達成に向けた取り組みについて解説していきます。

石川県小松市|SDGs宣言

石川県小松市は、2019年7月に選定されたSDGs未来都市の一つです。小松市は昔からものづくり産業が栄えており、九谷焼や曳山子供歌舞伎(ひきやまこどもかぶき)など、伝統文化や産業が盛んな地域です。

小松市はSDGs目標12の達成に向けて、年間で発生するごみの量を減らす取り組みを行っています。2023年度までにリサイクル率を26%、可燃ごみの排出量を1万6,000トン以下にすることを目指し、さまざまな取り組みを実施しています。たとえば、本当に必要なものだけを大切に使うことを進める、「ごみダイエット」などがあります。

ほかにも無駄になる食品を減らし、地球温暖化を防止するために、「美味しいいしかわ食べきり協力店」を公式サイトにて登録しています。登録された飲食店では、食べ残しの堆肥にしたり、料理の小盛りにしたりなどの取り組みを通じて、食品ロスの削減を実施しています。

SDGs未来都市
…SDGsの目標を達成するために、2018年度より内閣府が選定した都市のこと。

>>美味しいいしかわ食べきり協力店について詳しくはこちら

サントリー|2R+B戦略

サントリーグループは「人と自然と響きあう」を企業理念にしており、人と自然が互いによい影響を与え合っていく、持続可能な社会の実現を目指しています。取り組みの中でも、事業に欠かせない「水」と深く関わりのあるSDGs目標6や目標12など、4つの目標に焦点をあてて、取り組みを実施していきます。

サントリーグループが実施する取り組みのうち、SDGs目標12の達成につながる取り組みが、プラスチック製品の再利用です。サントリーグループは「2R+B」戦略という独自の方法で、プラスチックごみのリサイクルを実施しています。実際に2019年におけるペットボトルのリサイクル率は19%でした。

ほかにもイタリアやオーストリアなど、4社と共同で、回収したペットボトルをプリフォームとしてリサイクルできる技術を開発しています。この技術を活用することで、従来よりペットボトルを製造する時に排出される二酸化炭素の量を約70%削減できました。

プリフォーム
…飲料用ペットボトルの中間材として使用されるもの。プリフォームを膨らませることで、飲料用のペットボトルとなる。

ミズノ|長く使える商品の開発

ミズノ株式会社では「よりよいスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」ことを経営理念としており、スポーツ品の提供とスポーツの振興に取り組んでいます。またスポーツが果たす役割は、SDGsの目標達成にも大きく影響すると考え、スポーツを通じてSDGs目標の達成を目指しています。

ミズノ株式会社が実施する取り組みの中でSDGs目標12に関連した取り組みが、機能性の高い商品の販売です。たとえばシューズを長く使えるように「ZERO+」というシリーズを展開したり、バトミントンのシャトルに人口羽根を使用したりなど、取り組みを行っています。

ほかにも従業員のユニフォームを、ペットボトルを再利用した素材でつくるなどの取り組みも実施しています。

SDGs目標12に関する世界の取り組み事例4選

ここまで日本企業が取り組んでいる、SDGs目標12の達成を目指した取り組みについて、まとめていきました。

最後に世界各国が取り組んでいる、SDGs目標12の実現に向けた取り組みについて、紹介していきます。

デンマーク政府|UN17 Village

デンマークは世界の中でも、SDGsの達成度が高い国です。2022年における世界のランキングでは、デンマークは2位に位置しています。

SDGsの達成度が高いデンマークが、持続可能な社会を実現するための政策として取り組んでいるのが「UN17 Village」の建設です。「UN17 Village」とは、国際連合が採択した17個のゴール(SDGs)のうち、すべての目標の実現を目指した建築プロジェクトのことです。

デンマークは国内で排出されるごみのうち、全体の30%は建設関係から排出されたものとなっています。「UN17 Village」では、建設時に発生するごみの量を減らすため、資源を無駄なく使用して建物などの建設を行います

そのほかにも二酸化炭素の排出量が少ないセメントを使用したり、建物に断熱効果のある木材を用いたりと、環境への影響を考慮しながら建設しています。

LEGO|商品製造にリサイクル素材を活用

LEGOはデンマークに本社を置き、世界各国で製品を販売している会社です。2022年に90周年を迎えたLEGOは、地球の環境を考慮し、持続可能な商品の開発に力を入れています。

地球にもやさしく、ごみの排出量を削減するために取り組んでいるのが、リサイクル素材を活用した商品の製造です。250種類以上ものペットボトルを使用して何度も施策した結果、ペットボトルをリサイクルした素材を資源とすることができました。販売可能な段階まで試験を重ねて、商品として取り扱っていきます。

さらに2025年度までに、すべての商品の梱包をプラスチックから持続可能な素材へと変更することも目指しています。たとえば商品のパッケージや、商品を包む梱包などを、プラスチック製品から紙製品に変更するなど、プラスチック製品の使用量を削減しています。

Patagonia|Worn Wear

アウトドア用品を販売するPatagoniaでは、低賃金で労働をしている人々がいることを問題と捉え、労働環境の改善や賃上げを目指しています。

Patagoniaがごみの排出量を削減し、地球温暖化を抑制するために考えたのが、「Worn Wear」という概念です。現在人々が着用する衣類のほとんどは、プラスチック繊維が使用されており、原材料をつくる際に、二酸化炭素を排出してしまいます。そこで二酸化炭素の排出量を減らしつつ、製品をより長く使えるように、使用された製品を修理・再利用し、交換するのが「Worn Wear」です。

2020年度には、10万1,706点の衣類を修理しました。2025年までに製品資源のうち少なくとも50%を、回収したペットボトルなどのリサイクル素材を活用することを目指しています。

Intel|パソコンのカーボンニュートラル化

Intelは世界各国でデジタル化が進む中で、ソフトウェアやシリコンなど、半導体の分野を事業として展開しています。あらゆる場面での利便性を高め、人々の暮らしを豊かにすることを経営理念に、デジタルデバイスの開発を行っています。

IntelがSDGs目標12の達成に向けて取り組んでいることが、カーボンニュートラルなパソコンの製造です。2030年までにパソコンの製造から使用段階にかけて、二酸化炭素を排出しないパソコンを開発することを目指しています。さらに製造段階で最も排出される廃棄物もなくしていきます。

ほかにも地球温暖化を抑制するために、温室効果ガスの排出量を2010年と比較して、39%削減することにも取り組んでいます。Intelが展開する事業で使用するエネルギーも、太陽光などの再生可能エネルギーを主に用いることで、埋め立てる必要のある廃棄物を出さないように取り組んでいます。

カーボンニュートラル
…温室効果ガスの排出量と、吸収する量を同じにすること。

関連記事:カーボンニュートラルへ向けてできること6選-私たちが取り組むべき理由を解説

まとめ

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」は、さまざまなものやサービスが溢れる現代社会において、資源を大切にしながらものを生産し、使用していくことを目指した目標です。限りある資源を有効に使うだけではなく、ごみを出さないよう廃棄物を再利用して資源とすることで、環境も考慮したものの生産・使用ができます。

とくに無駄となることで捨てられる事例として、「食品ロス」が挙げられます。「食品ロス」は世界各国で発生しており、多くの食品が食べられることなく捨てられています。その一方でアフリカ大陸に位置する国々など、一部の国や地域では、食料不足が原因で飢餓に陥る人も存在します

限りある資源を有効に使いながら、ものやサービスを提供するためには、商品の大量生産を避けることが大切です。さらに今までごみとして廃棄していたものを資源として再活用することで、地球環境の悪化を防ぐことができます。

私たちの生活の中でも、節電を心がけるなど、家庭で簡単にできることを、始めてみてはいかがでしょうか。

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