食品ロスの対策を紹介-政府・企業・個人の対策を網羅的に解説

#保管#外食#食品 2023.04.18

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食品ロスの問題を解決するために、どのような対策が行われているのでしょうか。

近年、食品ロスは深刻な社会問題になっています。そして、将来的には今よりも食品の不足が深刻になると予想されており、一刻も早い対応が求められています。

今回は食品ロスに対する政府や企業の対策に加え、個人ができることも網羅的に紹介します。

【この記事でわかること】

食品ロスの現状を紹介

食品ロスの言葉の意味や削減すべき理由に加え、国内外の食品ロスの現状について紹介します。

食品ロス(フードロス)とは

食品ロスとは、「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物」を表しており、フードロスと呼ばれることもあります。

食べ物は有限な資源であり、食べ物を捨てることは地球環境に悪影響を及ぼします。そのため、食品ロスを減らすために多くの取り組みが行われています。

▼参考
食品ロスの現状を知る | 農林水産省

食品ロスを削減すべき理由

食品ロスを発生させることは資源を無駄にしていることを意味しています。そして、地球温暖化や環境破壊を促進することに繋がります。

例えば、次のようなときに電気やガスなどの資源を使います。

・食品を生産するとき
・食品を運搬するとき
・食品を加工するとき
・食品を販売するとき
・食品を保管するとき
・食品を料理するとき

また、余った食品を燃やすときにも二酸化炭素が発生します。

地球環境を守るために、食品ロスを生じさせないようにする必要があります。

日本の食品ロスの現状

日本の食品ロスの現状について紹介します。

農林水産省によると、2017年に日本で発生した食品ロスの量はおよそ612万トンです。これは東京ドーム約5杯分に相当する量です。

わかりやすい表現をすると、日本人1人につき茶碗1杯分のごはんの量の食品ロスが毎日発生していることになります。

▼関連記事
食品ロスは日本でどのくらい出ている?-原因から取り組みまで徹底解説

▼参考
食品ロスの現状を知る | 農林水産省

世界の食品ロスの現状

次に、世界の食品ロスの現状について紹介します。

国際連合食糧農業機関の報告書によると、世界ではおよそ13億トンの食料が毎年廃棄されています。

これは食料生産量の3分の1に当たる数字であり、多くの食品が無駄にされていることがわかります。

▼関連記事
食品ロスのデータ5選-日本や世界の食品ロスの現状や推移を解説

▼参考
食品ロスの現状を知る | 農林水産省

食品ロスの原因3選

食品ロスの原因は多くあります。

今回はその中でも特に重要な3つの原因を紹介します。

店頭での売れ残り

1つ目の原因は店頭での売れ残りです。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアには、多くの商品やお惣菜が並んでおり、私たちは好きな商品を購入することができます。

これは私たちにとっては便利なことですが、置いている商品の分だけ食品ロスが発生する可能性があることを意味しています。

食べ残し

2つ目の原因は食べ残しです。

買ってきた食品を食べ残すことも食品ロスの原因となっています。そのため、自分が食べ切れる量を購入することが求められます。

規格外食材の廃棄

3つ目の原因は規格外食材の破棄です。

規格外食材とは、形や大きさ、色などが市場で定められた規格から外れている野菜や果物のことを表しています。味に大差がないにもかかわらず、傷があったり、変形したりしているものは市場に出回る前に廃棄されてしまうのです。

一方で、2020年に消費者庁が行った「規格外等の農水産物、欠品及び過剰包装に関する意識調査結果」では、77.4%の人が規格外商品を購入したと回答しています。

世間の食品ロスへの意識が高まった結果、規格外商品の購入につながっていると考察できます。この流れは今後も続くに違いありません。

▼参考
規格外等の農水産物、欠品及び過剰包装に関する意識調査結果 | 消費者庁

日本政府の食品ロスへの対策3選

日本政府の食品ロスへの対策を3つ紹介します。

食品リサイクル法の施行

1つ目に紹介する対策は、食品リサイクル法の試行です。

食品リサイクル法とは、食品資源の有効な利用の確保と食品廃棄物の排出の抑制を目的とした法律です。

食品廃棄物のうち、肥料や飼料などの原料となる「食品循環資源」の有効活用も目的としています。

▼関連記事
食品ロスの解決策15選-企業・家庭・学校での取り組みを徹底解説

▼参考
食品リサイクル法の概要 | 国税庁酒税課

食品ロス削減推進法の施行

2つ目に紹介する対策は、食品ロス削減推進法の施行です。

食品ロス削減推進法では、食品ロスの削減に関して国や地方公共団体等の責務を明らかにし、食品ロスの削減に関する施策を定めています。

食品ロスの定義から私たちが取り組むべきことまでまとめられています。例えば、「食品ロス削減推進法」では、私たちが取り組むべきこととして次のようなことが挙げられます。

・消費者は、食品ロスの削減の重要性についての理解と関心を深めるとともに、食品の購入又は調理の方法を改善すること等により食品ロスの削減について自主的に取り組むよう努めるものとする(関係者相互の連携及び協力)
・国、地方公共団体、事業者、消費者、食品ロスの削減に関する活動を行う団体その他の関係者は、食品ロスの削減の総合的かつ効果的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなばならない(食品廃棄物の発生の抑制等に関する施策における食品ロスの削減の推進)

つまり、食品ロスについて理解を深めることや協力的な姿勢を見せることが求められます。

▼参考
食品ロスの削減の推進に関する法律の概要

食品ロスの削減の推進に関する法律

食品ロス削減のためのレシピ募集

3つ目に紹介する対策は、食品ロス削減のためのレシピを募集することです。この取り組みは消費者庁が主体となって取り組んでいます。

消費者庁は料理レシピサイトの「クックパッド」に消費者庁専用のキッチンを開設し、食品ロス削減のためのレシピを募集しています。

およそ1000件ものレシピを閲覧することができます。

▼参考
消費者庁のキッチン | クックパッド

日本企業の食品ロスへの対策3選

食品ロスに取り組んでいる日本企業は数多くあります。

今回は、日本政府の食品ロスへの対策を3つ紹介します。

卵の100%有効活用-キユーピータマゴ株式会社

1つ目に紹介する日本企業は、キユーピータマゴ株式会社です。

キユーピータマゴ株式会社では、卵の100%有効活用に取り組んでいます。

マヨネーズなどを作る際に必要な卵黄や卵白だけでなく、卵の殻をカルシウム強化食品や土壌改良材に使用したり、卵の膜を化粧品原料に使用したりしています。

▼関連記事
企業の食品ロス削減への取り組み10選-食品ロスの現状や原因も解説

▼参考
サステナビリティ | キユーピータマゴ株式会社

フードドライブの設置-マルエツ

2つ目に紹介する日本企業はマルエツです。

マルエツは、関東地方でスーパーマーケットチェーンを展開する企業です。

マルエツは東京都大田区の2店舗でフードドライブ活動を開始しました。

フードドライブ活動とは、消費者の家庭で余っている食料品を店舗に持参し、支援を必要としている施設や団体に食料を届ける活動をしている団体へ寄付する活動のことを表しています。

▼参考
マルエツ/都内2店舗で「フードドライブ」開始 | 流通ニュース

回転すし総合管理システム-FOOD & LIFE CAMPANIES

3つ目に紹介する日本企業は、FOOD & LIFE CAMPANIESです。

FOOD & LIFE CAMPANIESは、大手寿司チェーン店の「スシロー」などを運営しています。

スシローでは、IT技術を活用した「回転すし総合管理システム」を導入し、徹底した販売予測や需要予測によって廃棄食材を減らしています。回転すし総合管理システムでは、それぞれの皿に搭載されたICタグによって、無駄にしてしまう食品を減らしています。

解析するデータの数は年間で10億件に達します。

▼参考
食品ロス削減にDXで挑む | 株式会社FOOD & LIFE COMPANIES

学校での対策-食品ロスの肥料化

学校でも食品ロスの削減に取り組むことができます。今回は学校での取り組みの1つとして、「食品ロスの肥料化」を紹介します。

学校では、調理くずや給食の食べ残しをなくすことはでません。そこで、調理くずや食べ残しを捨てるのではなく、肥料として有効活用することができます。

食品ロスから作った肥料で育てた農作物を給食に取り入れることで、限りある資源を循環させることができるのです。

世界における食品ロスへの対策2選

世界でも多くの国が食品ロスの削減に取り組んでいます。

今回は世界で行われている食品ロスへの対策を2つ紹介します。

アメリカ-Create share tables

1つ目に紹介する国はアメリカです。

アメリカの学校では、自分が食べない食品をシェアテーブルに戻し、他の生徒がシェアテーブルにある食品を自由に取ることができる仕組みである「Create share tables」を導入しました。シェアテーブルとは、みんなが自由に食品を取ることができるテーブルのことを表しています。

子供が食べないことを選択した食品をシェアテーブルに戻します。すると、他に欲しがる子供がシェアテーブルに返された食品を取れるのです。

この取り組みによって、学校給食の食品ロスを削減することができます。

▼参考
諸外国における食品ロス削減に関する 先進的な取組についての調査業務

イギリス-Courtauld Commitment 2030

2つ目に紹介する国はイギリスです。

イギリス政府は「Courtauld Commitment 2030」を掲げており、食品ロスの削減だけでなく、温室効果ガスや水の汚染などの削減も目的としています。

具体的な目標として、2030年までにイギリスの食品ロスを2007年の半分の量にすることが掲げられています。具体的な取り組みとして次のようなことが挙げられます。

・飲食店向けの食品ロス削減のコーチングプログラム「Guardians of Grub」というツールが使えるようになる
・ウェビナーやガイダンスなど「Courtauld Commitment 」の集まりに参加して、情報を共有できる
・「Food Waste Reduction Roadmap 」に沿って、食品ロス削減のための目標を達成する方法を相談することができる
・消費者向けのアンケートを行い 、その結果を「Love Food Hate Waste campaigns」や「Food Waste Action Week strategy」といった食品ロス削減キャンペーンに活用することで、消費者に現状を認知してもらう

つまり、食品を提供する側は情報提供や食品ロスを削減するための方法の確認の機会が与えられるのです。

この取り組みの成果として、2015 年から2020 年にかけて、チャリティ団体の活動において 450%、企業の活動において66%もの余った食品が寄付されました。

▼参考
諸外国における食品ロス削減に関する 先進的な取組についての調査業務

食品ロス削減のために私たちができること

国や企業だけでなく、私たちも食品ロス削減に貢献することができます。

今回は、食品ロスを減らすために日常生活で取り組めることを紹介します。

食材購入時に気をつけるべきこと

食品購入時に気をつけることを2つ紹介します。

買い物前に献立を考える

1つ目に気をつけることは、買い物前に献立を考えるということです。

買い物に行く前に献立を考えることで、余分な食材を購入する必要がなくなります。

また、消費期限や賞味期限を考えてから食材を購入することで、食品ロスを防ぐことができます。

▼関連記事
家庭でできる食品ロス対策8選‐今からできる食品ロス削減解説

手前取りを心がける

2つ目に気をつけることは、手前取りを心がけるということです。

手前取りとは、商品を購入するときに後ろからではなく、前から商品を取ることです。

一般的には消費期限の近いものが手前に陳列されているため、お店の食品ロスを防ぐことができます。

料理するときに気をつけるべきこと

料理をするときに気をつけることを2つ紹介します。

食べ切れる量を作る

1つ目に気をつけることは、食べ切れる量を作るということです。

自分の体調や家族の予定を考慮して、食べきれる量を作ることが大切です。

▼参考
今日からできる!家庭でできる食品ロス削減

使いかけの食材を使い切る

2つ目に気をつけることは、使いかけの食材を使い切るということです。

例えば、一度開封した調味料を使い切ったり、開けたペットボトル飲料を飲み切ることが求められます。

外食するときに気をつけるべきこと

外食するときに気をつけることを2つ紹介します。

食べ切れる量を注文する

1つ目に気をつけることは、食べ切れる量を注文するということです。

美味しそうな料理を見るとたくさん注文したくなりますが、自分の食べ切れる量を注文することが大切です。

たま、他の人と飲食店に行った時は、食べられる人に食べてもらうことも大切です。

ドギーバッグの有効活用

2つ目に気をつけることは、ドギーバッグを有効活用するということです。

ドギーバッグは、飲食店で食べきれなかった料理を持ち帰るための容器です。

ドギーバッグで料理を持ち帰る際には、細菌の増殖を防ぐ必要があります。そのためには、細菌をつけない・増やさない・殺菌することが大切です。

▼参考
DOGGY BAG|食べ残しを持ち帰ろう!ドギーバッグ普及委員会

食品ロス削減のためのアプリを使用する

食品ロスのアプリを使用することで食品ロスの削減に貢献することができます。

今回は、食品ロス削減のためのアプリを2つ紹介します。

TABETE

1つ目に紹介するアプリは、「TABETE」です。

TABETEは、パン屋や飲食店、スーパーで、消費期限に達してはいないものの「食品ロス」の危機に面している食べものを、ユーザーとマッチングするアプリです。

ユーザーは無料で登録・使用することができ、美味しく食品ロスを解決することができます。

▼関連記事
食品ロス削減のおすすめアプリ5選-アプリ活用のメリットから特徴を徹底比較

▼参考
TABETE – 食品ロスを削減するフードシェアリングサービス

フリフル

2つ目に紹介するアプリは、「フリフル」です。

フリフルは、市場には出回ることのない規格外食材を抽選で無料でもらうことができるアプリです。

つくり手から直送で商品が届くため、新鮮な食材を楽しむことができます。

▼参考
食品ロスを考える FURIFURU(フリフル)

食品ロスを減らすためのレシピ紹介

今回はベジブロスを紹介します。ベジブロスは、野菜の皮やへたなどを煮て作る出汁です。

【手順1】
野菜の皮やヘタなどをしっかりと洗い、鍋に入れて煮込みます。

【手順2】
出汁が取れたらこして野菜を取り除きます。

たった2つの工程で食品を最大限活用することができるのです。

▼参考
【食品ロス】どんな料理でも!べジブロス by クックGL2EAH☆

まとめ

食品ロス削減のための対策について新しく知ったことはありましたでしょうか。

法律の施行などの国家規模の対策から、私たちが日常生活で気をつけられることまで幅広く紹介しました。

スーパーマーケットで食材を購入するときに少し気をつけるだけで、限りある食材を無駄にせずに済みます。そしてこの小さな努力で地球環境を救うことができます。

みなさんの一歩で地球を救いましょう!

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