【更新日:2023年1月30日 by 田所莉沙】
SDGsでは、5番目のゴールとしてジェンダー平等が掲げられています。近年では、同性愛者など、社会的な性差(ジェンダー)の多様性が認められる傾向があるほか、女性が積極的に社会に参画していく重要性が認識されてきています。
一方、世界には女性の権利が男性よりも守られていなかったり、性別によって迫害を受けたりする地域もあり、ジェンダー差別は世界的に喫緊の課題です。日本でも、経済的、社会的、文化的に女性の地位が低い問題や、男女の枠組みを超えたジェンダーへの認識の低さが顕在化しており、ジェンダー問題は早急に対応すべき社会課題の1つです。
日本では、どのくらいジェンダー平等が実現されているのでしょうか。また、ジェンダー平等の解決策とは何でしょうか。
この記事では、SDGs5番目のゴール「ジェンダー平等を実現しよう」の概要や、ジェンダー問題の現状、国内外の取り組みを詳しく解説します。
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SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
皆さんはSDGs目標5について、どのくらいご存知でしょうか。
まずはSDGs目標5が定めた目標や、目標達成のために設けたターゲットについて、解説していきます。
関連記事:《徹底解説》女性とSDGsの関係性|日本の抱えるジェンダー問題を徹底解説
「ジェンダー平等を実現しよう」の内容
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」では、ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女児の能力強化を行うことをテーマにしています。
たとえば世界の国々のほとんどは、子どもが学校に通える環境になっています。しかし中央アジアや南アメリカ大陸、アフリカ大陸などの国々で暮らす子どものうち、とくに女の子が学校に通えていません。日本においても女性議員が少なかったり、管理職を担う女性が少なかったりと、政治面・経済面において男女平等が実現されていない現状です。
このような男女間における差別をなくし、すべての人が平等に過ごせる環境をつくるため、SDGs目標5は定められました。
「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲット
SDGs目標5では、9個のターゲットが設けられています。どのターゲットにおいても、すべての女性や女の子が、平等に扱われる社会の形成を目指して定められたものです。
SDGs目標5を達成するうえで、どんな環境においても差別されず、暴力や人身売買をなくすよう取り組んでいきます。
そのほかにも女性の社会進出を推進するなど、さまざまな方法でジェンダー平等な社会の形成を目指します。SDGs目標5のターゲットに関する詳しい内容は、下記の通りです。
5.1 | あらゆる場所におけるすべての女性および女児に対する、あらゆる形態の差別を撤廃する。 |
5.2 | 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。 |
5.3 | 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚および女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。 |
5.4 | 公共のサービス、インフラおよび社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。 |
5.5 | 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画および平等なリーダーシップの機会を確保する。 |
5.6 | 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画および北京行動綱領、並びにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康および権利への普遍的アクセスを確保する。 |
5.a | 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップおよび土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。 |
5.b | 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。 |
5.c | ジェンダー平等の促進、並びにすべての女性および女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化する。 |
参照:外務省公式サイト
SDGs目標5が必要な理由
ここまでSDGs目標5の概要やターゲットについて、まとめていきました。ではなぜSDGs目標5は、必要なのでしょうか。
世界の一部の国では、女性の権利が認められておらず、不当な扱いを受けている人々がいます。たとえば発展途上国で暮らす女性や女の子が、教育の機会を得られない、などがあります。
またアフリカ大陸の国々では、「児童婚」も多くなっています。「児童婚」の中でも、女の子が結婚する場合がほとんどであり、2022年の段階で約4,000万人以上が児童婚を経験しています。
周囲からの不適切な対応や、強制的な児童婚によって、苦しむ女性や女の子はたくさんいます。SDGs目標5は、このように苦しむ人をなくすために必要不可欠な目標です。
児童婚 …男の子、もしくは女の子が18歳未満のうちに結婚をすること。 |
SDGs目標5の世界と日本の達成度
ここまでSDGs目標5の達成が必要な理由について、まとめていきました。
次に世界と日本におけるSDGs目標5の現状について、解説していきます。
世界全体の達成度に大きな差がある|1位はアイルランド
世界ではジェンダー平等の実現に向けて、さまざまな取り組みが行われているものの、達成度は国によってかなり差があります。
2022年に発表されたジェンダー・ギャップ指数において、1位はアイルランドでした。その後にフィンランド、ノルウェー、ニュージーランドと続きます。アイルランドではとくに、多くの男性が育児休暇を積極的に取っていることが理由で、ジェンダー平等な社会が実現されています。
一方で最下位は、アフガニスタンでした。そのほかにもイランやパキスタン、コンゴなどアフリカ大陸に位置する国は、ランキングの中でも低い順位となっています。とくにアフリカ大陸の国々では、経済的な問題から、女性や女の子の立場は男性より低い傾向にあります。そのため、ジェンダー平等な社会の達成にはまだ時間がかかります。
このように世界では、ジェンダー問題の解決が進み、平等な社会が誕生していく国とそうでない国の差が大きくあります。世界各国でジェンダー平等な社会を実現するためには、多くの国が協力をして政策を進めていくことが必要です。
日本の達成度は低い|ジェンダー・ギャップ指数は世界116位
日本では女性に対する大きな偏見がないものの、世界と比較するとかなりジェンダー平等の実現が遅れています。
2022年におけるジェンダー・ギャップ指数の中で、日本は146カ国中116位と、かなり低い順位です。先進国の結果を見てみても、アメリカは27位、イギリスは22位と、両国ともに30位以上に位置します。
日本がランキングで下位を占める理由として挙げられるのが、政治面における不平等です。日本では、女性国会議員の少なさや、閣僚の男女比において、男性が多数を占めます。政治面以外にも、企業における管理職を担う女性の少なさも理由の一つです。
日本でジェンダー平等な社会を実現するためには、政治面と経済面にけるジェンダー対策が必要となります。
世界のジェンダー問題の現状
ここまで世界各国と日本のジェンダー問題に対する現状について、まとめていきました。
続いて世界各国で起こっているジェンダー問題について、説明していきます。
世界の若い女性の5人に1人(19%)が幼少期に結婚
世界における一部の国では18歳未満の女の子が結婚をし、家事・育児を担っています。現段階において、約6億5,000万人の女性と女の子が、18歳未満で結婚しています。この数は、5人に1人の女性や女の子が、幼い頃に結婚していることになります。
世界の中でも、南アジアやアフリカ大陸に位置する国々において、18歳未満の結婚が多いのが現状です。児童婚をした女性や女の子たちは、教育を受ける機会を失い、早期の妊娠・出産で亡くなるリスクを高めてしまいます。
また児童婚は、南アジアやアフリカ大陸の国々だけの問題ではありません。たとえばアメリカでは50州のうち半分以上の州において、児童婚を認める場合があります。児童婚は一部の国だけではなく、世界各国で起こっている問題です。
2億人の少女と女性が女性性器切除の対象
「女性器切除」とは、女性の性器のうち、一部を切除するものです。女性器切除は、アフリカ大陸やアジア、中東などの一部の国々で習慣となっています。
世界の中でも、女性器切除を経験した女性・女の子は少なくとも2億人と言われています。そのうち半数以上は、インドネシア・エジプト・エチオピアの3国が占めています。
女性器切除を受けた女性や女の子は出血が続き、感染症だけでなく、不妊や亡くなるなどのリスクにさらされます。
世界で女性は男性の約2.5倍の時間を家事等に費やしている
ジェンダー問題としてもう一つ挙げられることは、男女間における家事・育児に費やす時間です。世界各国で、男性よりも女性の方が家事・育児に時間を充てており、女性は男性の約2.5倍もの時間を費やしています。
また女性の家事・育児に費やす時間の増加は、新型コロナウイルスの影響も大いに受けています。コロナ禍による外出自粛の影響で、男性も家事・育児をする時間が増加したものの、女性よりも充てている時間は少なくなっています。
家事・育児は、女性だけが行うものではありません。女性に頼りきりになるのではなく、男性も女性とともに家事・育児を行うことが大切です。
15歳以上の女性の10人に1人が身体的・性的暴力を経験
あらゆる環境において、女性が男性から身体的・性的暴力を受けることも、問題となります。新型コロナウイルス以前から、身体的・性的暴力に悩まされる女性が多く存在していました。
新型コロナウイルスの影響により、身体的・性的暴力を経験した女性は、増加傾向にあります。2021年度では、10人に1人が身体的・性的暴力を経験しており、中には暴力が日常となっている場合もあります。
世界各国の女性をさまざまな暴力から守るために、さまざまな政策を実施することが必要です。
日本のジェンダー平等の問題点
ここまで世界におけるジェンダー問題について、まとめていきました。
続いて、日本国内のジェンダー問題について解説していきます。
女性管理職の割合が低い|日本の女性管理職は14.7%
日本では、世界各国と比較しても女性が管理職を担う人が少ないという状況です。
日本は女性の社会進出を促進するため、2003年に「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という目標を掲げています。しかし2020年における女性管理職の割合は、14.7%とかなり低い結果でした。
世界の先進国と比較してみてもアメリカで39.7%、イギリスで36.5%と、多くの国が30%を超えています。この差から、日本における女性の社会進出は、かなり遅れていると言えます。
女性の議員数が少ない|選挙の女性候補者は17.7%
日本のジェンダー問題として、女性議員の少なさも問題の一つです。
2021年10月に行われた衆議院議員総選挙では、女性候補者が全体の17.7%であり、そのうち当選者は全体の9.7%でした。この数値は、2019年7月に行われた通常選挙よりも低い数値となっています。
世界の中で1番女性議員数が多いのは、ルワンダです。ルワンダでは、2003年から「指導的機関の地位のうち少なくとも30%を女性が占めるものとする」と憲法で定めており、女性の議員数は年々増加しています。
日本でさらに女性議員を増やすためには、さらに法律や政府による政策など、政治面から積極的に取り組む必要があります。
理系学部に進学する女性が少ない|理系学部の女性は5人に1人
理系学部に進学する女性が少ないことも、日本の問題として挙げられます。2021年の段階で大学・大学院に在籍する学生のうち、文系学部は女性が半数以上であるのに対し、理系学部では5人に1人という状況です。理系学部の中でも、保健学部や農学部は比較的多い傾向があるものの、理学部や工学部は進学する女性が少なくなっています。
理系学部に女性が少ない理由として、「男性は理系、女性は文系」という考えを持つ人が多いことが挙げられます。高校の授業などを通じて、論理的思考が不得意であると感じることも、理系学部へ進学する妨げとなります。
また文系・理系学部の選択は、幼少期の環境も影響しています。幼少期に遊んでいたものがブロックやミニカーのような玩具の場合、機械などに興味を持ちやすくなります。そのためかわいい人形などで遊ぶ女の子の場合、機械などを学ぶ理系分野に興味を持ちにくくなっているといえます。
関連記事:「ジェンダーギャップ指数2021」日本は120位|世界経済フォーラムが各国の男女格差を分析したレポートを発表
ジェンダー問題への解決策4選
ここまで日本におけるジェンダー問題について、まとめていきました。
次に、世界や日本で発生している、ジェンダー問題を解決するための方法を説明していきます。
関連記事:ジェンダー平等の実現に全世界から起業家を発掘するため募集を開始
①雇用条件や待遇などを見直す
まず職場におけるジェンダー問題を改善するためには、企業の雇用条件や社員への待遇について、見直すことが大切です。
たとえば企業内で定めている雇用条件のうち、労働時間や残業時間がながければ長いほど、家族をもつ女性にとっては働くことが負担となります。また働く場所においても、リモートワークではなく、会社への出勤が必須の場合、女性にとって働きにくい環境です。
そのほかにも福利厚生として育児支援を実施したり、育休を取りやすい環境を整えたりすることで、子どもが成長した後、女性が仕事に復帰しやすくなります。
②セクハラへ対策をする
すべての女性にとって働きやすい環境を作るためには、セクハラ対策も必要なことです。セクハラを受ける女性を減らすことで、女性にとっても長期的に働けます。
セクハラには、「対価型」と「環境型」の2種類があります。「対価型」とは、上司など優位な地位を利用して性的要求を行うなどのものです。一方「環境型」とは、ヌード写真を職場に提示するというような女性の働く環境が害されるものです。
このようなセクハラの被害をなくすためには、企業内で規則を定めたり、研修を通じて啓蒙活動を行ったりと、企業側からの取り組みが必要不可欠です。オフィス内にセクハラについて相談できる相談窓口を設置することも、セクハラに向けた対策となります。
セクハラ …セクシュアル・ハラスメント(Sexual harassment)の略語のこと。相手の意思に反した性的な言動を行うことで、仕事をするうえで不利益を与えられたり、労働環境を悪化させられること。 |
③女性管理職を起用する
企業内でジェンダー平等な環境をつくるためには、女性社員に管理職の仕事を任せることも大切です。女性を要職として担わせることで、企業としてもさまざまなメリットがあります。
たとえば女性に管理職を任せることで、女性が活躍していることを積極的にアピールできます。消費者や取引先の会社にアピールすることで、「女性も働きやすい企業」というイメージが生まれ、優秀な人材の確保に繋がります。
そのほかにも社員一人ひとりの個性や能力を活かすことができ、社員にとっても働くことへのモチベーションが上がります。社員のモチベーションが上がれば、離職する社員も減らすことができます。
④幼少期において子どもの意思を尊重する
ジェンダーに対する考え方は、幼少期における環境が大きく影響します。小さな頃から「男の子だから・女の子だから」などという言葉によって、子どもの考えがないがしろにされてしまうことがあります。これにより、小さい頃から女の子が選択の自由を奪われてしまいます。
アイルランドでは、とある幼稚園であえて男女でクラスを分けています。分けられたクラスの中で男の子と女の子たちは、それぞれが遊びたいことを自分で選択し、遊んでいます。男女別のクラスを設けることで、子どもたちが周りの目を気にせず、ありのままで過ごせる環境を作っています。
このように世界各国でジェンダーの問題を解決するためには、幼少期から「男の子らしさ・女の子らしさ」を押し付けるのではなく、子ども一人ひとりの意思を大切にすることが必要です。
⑤学校教育の中でジェンダーについて学ぶ機会をつくる
ジェンダー問題を小学校や中学校などの学校教育に取り入れることで、世界各国で起こっている問題に対しても知ることができます。世界での問題を知るだけではなく、学生のジェンダーに対する考え方も改められます。
たとえば授業内で世界の女の子が学校へ通えていないことや、児童婚をしていることなどについて知ることで、ジェンダー問題について学べます。またジェンダー問題についてクラスメイトと話し合いをすることで、問題に対する考えの違いにも気づくことができ、視野もさらに広がります。
学校教育でジェンダー問題について取り上げることで「性」の在り方について知れるため、LGBTの人々にとっても過ごしやすい環境が生まれます。
LGBT …「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」という、4つの単語の頭文字を取って組み合わせたもの。 |
関連記事:《徹底解説》LGBTQとは|SDGsとの関係から、現状や課題まで徹底網羅
関連記事:LGBT教育に必要な取り組み5選-現在の問題点と海外の取り組みも紹介
日本のジェンダー問題への取り組み事例3選
ここまでジェンダー問題を解決するための取り組みについて、まとめていきました。
続いて、日本国内におけるジェンダー問題に向けた取り組みを、紹介していきます。
関連記事:性別、年齢、人種を超えて、誰もが受け入れられる環境を|日本コカ・コーラ
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渋谷区|パートナーシップ証明書を発行
渋谷区では性の在り方に関係なく、誰もが活躍できるジェンダー平等な地域社会の形成を目指して、さまざまな取り組みを実施しています。
渋谷区における取り組みの一つが、「パートナーシップ証明」です。「パートナーシップ証明」とは、戸籍上の性別が同一である二者の関係を、婚姻関係にある男女と違いが実質的にないことを、証明するものです。
このパートナーシップ証明書を得ることで、家族として福利厚生を得られたり、病院の面会ができたりと、多くのメリットがあります。
「パートナーシップ証明書」は渋谷区に居住し、住民登録があるなどの条件を満たす場合、申請ができます。
渋谷区公式サイトはこちら▼
渋谷区パートナーシップ証明|渋谷区公式サイト
花王株式会社|Kirei Lifestyle Planの策定

引用:花王株式会社公式サイト
花王株式会社が策定した「Kirei Lifestyle Plan」は、グローバルで存在価値のある企業として成長するために定めた、ESG戦略です。
「Kirei Lifestyle」とはこころ豊かに暮らし、思いやりが満ちており、豊かな暮らしが続くことを意味します。この3つの要素を実現するため、「花王グループ中期経営計画(Kao Group Mid-term Plan 2025)」を策定しました。
花王株式会社は中期軽々計画を通じて、企業の持続的な発展だけではなく、世界で問題となっている環境問題への対策も行っています。たとえば環境汚染の防止や廃棄物の削減、水資源の保全などです。
楽天株式会社|女性社員の復帰をサポート

引用:楽天株式会社公式サイト
楽天株式会社は多様性を大切にし、社員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境を整えることで、企業としての一体感を持ちながら、社会の発展に貢献しています。
中でも一人ひとりの能力発揮のために実施していることが、女性社員へのサポートです。楽天株式会社はすべての女性社員が個性や価値観を大切に働けるよう、環境づくりに努めています。たとえば女性が産休・育休の後にも働きやすいよう、オフィスに搾乳室を設けています。
そのほかにも産休前セミナーや復職前セミナーを行うことで、より女性が仕事へ復帰しやすくなるように取り組んでいます。
世界のジェンダー問題への取り組み3選
ここまで日本の企業や自治体がジェンダー問題解決のために取り組んでいることについて、まとめていきました。
次に、世界各国で実施されている取り組みについて、紹介していきます。
国連女性機関(UN Women)|国連加盟国や政府間交渉の支援
国連女性機関(UN Women)はジェンダー平等と女性がさまざまな場において、個性や能力を発揮できるよう取り組んでいる機関です。国連女性機関(UN Women)では、優先的な取り組みを5つ設定し、世界各国で活動しています。
ジェンダー平等に向けた取り組みとして、政府や国連加盟国の支援があります。たとえば国際的なジェンダー平等の基準を策定するため、さまざまな国の政府へ支援をしています。
そのほかにもジェンダー平等を多くの国で実現・促進するため、国連のシステム内にある組織に対してジェンダー平等を実現するよう促しています。
国連女性機関(UN Women) 優先的な5つの取り組み ・女性のリーダーシップの向上と参画の増加 ・女性に対する暴力の撤廃 ・平和と安全保障のあらゆる局面における女性の関与 ・女性の経済的エンパワーメントの推進 ・国家の開発計画と予算におけるジェンダー平等の反映 |
国際NGOプラン・インターナショナル|女子の権利をサポート
国際NGOプラン・インターナショナルでは、さまざまな支援を通じて世界の女の子たちが「生きていく力」を身につけることを目指し、活動を行っています。
女の子たちが「生きていく力」を身につけるために取り組んでいることが、とくに発展途上国で暮らす女の子たちへの支援です。世界の中でもとくに発展途上国で生活をする女の子たちは、学校へ行けなかったり、若い頃から出産したりと、一人ひとりの意思が尊重されていません。
そのため国際NGOプラン・インターナショナルは、すべての女の子が安全な環境の中で健やかに成長できるよう、安全な水の確保や乳幼児教育を行っています。
P&G|ジェンダー平等に向けて3つの取り組みを実施

引用:P&G公式サイト
P&Gでは、性格・個性などの内面や外見を問わず、すべての人が平等である世界を構築することを目指しています。ジェンダー平等な世界を構築するうえで、P&Gは3つの分野に焦点を当て、取り組みを行っています。
ジェンダー平等を実現するため、P&Gが定めた3つの分野が「広告&メディア」・「教育&経済」・「P&Gの社内」です。中でも「P&Gの社内」という分野では、一人ひとりが能力や個性を発揮できるよう、男女比50:50の割合を達成することに努めています。
また「広告&メディア」・「教育&経済」においても、世界各国に存在するジェンダーに関する偏見の撤廃や、女の子たちへ教育の機会を与えるなどの取り組みを実施しています。
学校や職場、家庭で私たちにできること3選
ここまで世界各国で行われている取り組みについて、3つまとめていきました。
最後に、学校や職場など、私たちの身近な環境でできるジェンダー平等に向けた取り組みについて、紹介していきます。
仕事や家事、子育てを平等に分担する
家庭の中で最も取り入れやすいことは、家事・育児の役割を女性だけが行うのではなく、分担することです。とくに家庭内で共働きをしている場合、女性が家事と育児を担っていては、仕事の復帰が難しくなってしまいます。
たとえば家事は女性が、子どもの世話を男性が行うなど分担することで、女性も企業への復帰が比較的簡単になります。
ジェンダー平等やLGBTQに関して知る
日本だけの問題ではなく、世界各国で起こっているジェンダー問題やLGBTQについて知ることも、ジェンダー平等の実現に貢献する方法です。
現在のジェンダーに関する問題は、新聞やニュースを通じて、知ることができます。それ以外にも本なども利用することで、ジェンダーに対する視野を広げられます。みなさんもぜひ一度、調べてみてください。
ジェンダー平等に取り組む活動団体を支援する
現在は国際NGOプラン・インターナショナルのように、ジェンダー平等実現のために、世界各国で取り組みを行っている団体が多く存在します。このような団体へ支援や寄付を行うことも、私たちが身近にできる方法です。
たとえば国際プラン・インターナショナルでは、苦しい環境で暮らす女の子に向けて、衛生キットの配布や通学支援を行っています。
プロジェクトによっては、一か月1,000円から寄付ができるため、簡単に団体へ支援ができます。世界各国でジェンダー平等を達成するため、ぜひ寄付を行ってみてください。
国際NGOプラン・インターナショナル 寄付への手続きはこちら▼
遠い国の女の子の親になる|国際NGOプラン・インターナショナル
まとめ
SDGs目標5は世界各国でジェンダー平等を実現し、すべての女性と女の子が個性や能力を発揮できる環境をつくるために定められた目標です。世界には、児童婚や女性器の切除、身体的・性的な暴力など、不当な扱いを受ける女性や女の子が多く存在します。すべての女性と女の子が尊重される世界にするために、SDGs目標5は必要な目標となっています。
日本でジェンダー平等を実現するためには、企業の中で女性に要職を任せたり、女性の議員数を増やしたりと、政治的・経済的な政策の実施が必要不可欠です。そのほかにも企業内でセクハラ対策を徹底することや、女性が産休・育休後、復帰しやすいようにオフィスの環境を整えることも、女性が働きやすい環境につながります。
私たちも生活の中で、ジェンダー平等に貢献する方法がいくつかあります。家庭内で家事・育児を分担するなど、家庭内で工夫してみましょう。また世界各国で苦しんでいる女性や女の子のために団体へ支援することも、簡単にできる取り組みです。
世界で生きるすべての人が個人として尊重され、個人の能力や個性を活かせる世界の実現を目指して、皆さんもできることから始めてみてはいかがでしょうか。