「もったいない」だけで食品ロスは減らない?|食材を経営資源と捉えるロイヤルホールディングス

#SDGs目標12#SDGs目標17#食品ロス 2022.03.21

この記事をSNSでシェア!

【更新日:2022年4月8日 by 三浦莉奈

ロイヤルホストなどのレストラン事業やホテル事業を展開するロイヤルホールディングス株式会社(以下、ロイヤルホールディングス)は「2030年までに20%の食品ロス削減」という目標を掲げ、企業としてサステナブルな取り組みをしている。

ロイヤルホールディングスは、外食事業を通してどのような切り口で持続可能な社会を目指しているのだろうか。

今回は経営企画部CSR推進担当の重田氏を取材した。具体的なSDGsへの施策やビジョンなどを伺い、実現したい社会への思いを探る。

食で生活を豊かに|ロイヤルホールディングスのSDGs

ーー自己紹介をお願いします。

重田:経営企画部CSR推進担当課長の重田と申します。よろしくお願いします。大学生のときの初めてのアルバイト先がロイヤルホストでした。その後、ロイヤルホールディングスに入社し、初めての転勤で長野の支店に勤めていました。ちょうど長野オリンピックの前年にリニューアルオープンして、たくさんの外国人の方と関わることができました。

ーーCSR推進について教えて下さい。

重田:CSR推進は2018年に発足し、2022年で4年目になります。当時はちょうど社会の流れとしても持続可能な取り組みをするべきだという風潮が高まり、それからSDGsが一般化すると同時に企業の責任としてCSRを取り入れていかなければならないという意識が会社内でも高まり、初めて独立部門としてCSR推進をつくりました。

ーー具体的にはどのような取り組みをされていますか?

重田:私は、2018年にCSR推進が発足した1年後の2019年から所属しています。私自身も含めて、そもそもCSRやSDGsとはどんなものなのか、どんなことが大切なのか、もしくは社会課題にどう向き合っていくべきなのかを、従業員のみなさんがわかるようにするべきだと課題を正面から捉えることから始まりました。

自分達の仕事や生業が、社会課題の解決に繋がることを再認識してもらい、自分たちの仕事が誇りに思えるような環境を作る支援をするのが一番の仕事だと考えています。具体的には、契約している農家さんに行って、勉強させていただいたり、我々の素材を加工している工場へ実際に赴き、素材がどのように扱われてるかを勉強する活動を行いました。他には、小・中学校へキャリア教育のための出張授業なども行っています。

ーーCSR推進ができる前からなにか取り組んでいたことはありますか?

重田:ロイヤルホールディングスの組織として、2008年からCSR活動施策を決めているCSR委員会が設置されていました。

当時、ガバナンスを強化するために発足し、会社としてCSRの方向性、大切さを考えて実行に移す役割を担っていました。2018年にCSR推進部が発足して以来、社会課題の解決や、投資家に向けてどのようにアピールするかを総合的に考え活動しています。

ーーサステナブルな取り組みと企業ビジョンとの繋がりを教えてください。

重田:まず、ロイヤルホールディングスの創業者は「食を通して国民生活の質の向上に寄与する。」という理想がありパーパス(存在意義)につながっています。この理想が、ロイヤルホールディングスの従業員を束ねています。

この理想を具現化していくのが経営理念であり、それを実現していくことが私たちの仕事であると考えています。結果としてお客様から代金をいただき、会社も働く我々も繁栄し、株主にもきちんと配当することができます。昔も今もこのように会社を動かしてきましたので、そう言った意味では我々の事業活動はCSRやSDGsが持つ考え方と親和性があるのではないかと考えています。

仕事に誇りを持ち、つくる責任に目を向ける|ロイヤルホールディングスのSDGs

ーーSDGsに対してどのような取り組みをしていますか?

重田:SDGsの17のゴール設定に向かって進んでいくためには、これ一つだけやればいい、あれだけやっとけば大丈夫というわけではありません。またあらゆる事をSDGsで表現する必要はないとも考えています。最前線で店舗を運営しているメンバーは、環境面を意識してとは言わなくても、省エネも含めて多角的に活動しているので、事業をきちんと継続させていくために必要なことが、結果として環境のため、社会の課題に対して向き合っていることが良い影響になると考えています。

また、考えるだけではなく、発信も当然していかなければいけないので、我々としては、本業でしっかり稼ぎ、稼ぐことに対しての誇りを持ち、その仕事が誰かの役に立っていることを自覚して、自分もただの歯車ではなくて、意思を持って働いてるんだという社内環境を作りたいと考えています。

当然、経営層も同じことを考えており、お客様への対応と会社が向かう方向性を合わせていくことが私たちのやり方のひとつなのかなと思っています。

ーー従業員の成長も大事にされているのですね。

重田:ビジネスの基礎の研修にも力を入れ、実際に店舗に配属されてからも、それぞれ、適した研修をしています。

ブランドが違えば、来ていただけるお客様の層も違うので、提供する事業としての考え方も変わってきます。ブランドごと、事業会社ごとに、研修の色や、力を入れる部分が違うのが事実です。

例えばホテルであれば接遇の部分に、より力を入れています。またロイヤルホストでは、接客も必要ですが、美味しいものを安全に食べていただくことを大切にしています。

向かう道は違いますが、「人を育てる」部分では共通して丁寧に取り組んでいると思います。ただ、SDGsのために人を育てたいという紐づけはしていません。

今、私たちが取り組んでいることは17個のものさしを並べた時にこれに近いとか、今行っている研修はこの部分に対応してるという後付けをしているのが事実です。だから、SDGsというものさしでどの程度できているかを確認しているんです。

ーー食品ロスの重要性はどのように認識していますか?

重田:仕入れたものをどれだけ大切に扱い、かつそこに付加価値をのせてお客様に提供できるかがレストランの仕事だと思っています。

守らなければいけない「食の安全・安心」の担保と美味しさの2つを考えると、フレッシュな物をどれだけ仕入れて、フレッシュな内にお客様に提供するかを意識すると必然と無駄なく仕入れる工夫ができます。食品ロスという意識よりも経営資源として食材をどう扱うのかがわたしたち外食産業の課題だと考えています。

もったいない」という言葉が世界共通語になり、食品ロスという言葉も一般化してくると本当に捨ててしまっていいのかを迷う方はものすごく増えてくると思います。ただ、「もったいない」という気持ちから経営に悪影響がでないように、しっかり線引きをしなくてはいけないと思っています。

ーー食品ロスという社会課題だけではなく、企業としてのつくる責任としても捉えているのですね。

重田:食品ロス削減はSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に貢献するとロイヤルホールディングスでは捉えています。

目標12の達成に食品ロス削減が貢献すれば、経営層も、食品ロスを減らし、利益確保社会課題の解決のためにどうすればいいのか、考えやすくなります。

現場で一生懸命働いている従業員も、無駄なくマニュアル通りに作ることが食の安全を担保すること、食材を無駄に捨てることなく活用することで経費削減に繋がると理解ができます。

どこか1社だけが頑張れば、解決するという問題ではなく、特にSDGsに掲げられてるような社会課題は、どれだけ多くの人が手を繋いで同じ方向を向くかだと思うので、特に食品ロス削減に関しては、共感が持てる言葉と想いを行動に結びつける事が大切なのかなと個人的に考えてます。

ーー今後の展望を教えてください。また、「2030年までに20%の食品ロスの削減」という目標達成のためにどのように取り組んでいきたいと考えていますか?

重田:どれだけのお客様に、どれだけの量を食べて頂くのかを計算していくことが大事だと考えています。その日の天候や、顧客層も考慮しなければなりません。

例えば、イチゴの季節に、イチゴのパフェを提供するとなれば必要なものを適切な数、用意しなければならないため、予測精度は高くなければなりません。当たり前の話ですが、私たちが提供する食事を期待して待っていただいているお客様がいらっしゃるので、最善の状態でお迎えすることも必要です。

このような日々の積み重ねが、実は食品ロスの削減に繋がっているけど、誰も食品ロス削減のために特別なことをするわけではなく、普段から行っていることが実現できたと思えるように事業を展開していきたいです。

おわりに

食材という経営資源をどのように生かしていくのか、フードロスを「もったいない」と捉えるだけでなく、経営資源としてどのように価値に変えていくのかを、従業員やお客様、社会や環境などのあらゆるステークホルダーとの関係性の中で考えていくことが重要なのかもしれない。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    「SDGsは胡散臭い」と言われる5つの理由【解説】|原因から解決法まで徹底解説

    《あなたは正解できる?》SDGsを目標別のクイズで学ぼう!SDGsクイズ

    《完全網羅》SDGsの7つの問題点|現状の課題と解決策

    新着記事

    SDGsの基礎知識

    《徹底解説》今、注目を集める再生可能エネルギーとは|SDGsとの関係性も解説

    もっとみる

    おすすめ

    リユースから廃棄物の削減まで|ブランディアの“二重の循環”