ジョンソンコントロールズに聞く|ビルテクノロジー業界の脱炭素化とSDGs

#安全#情報通信#環境#脱炭素 2022.10.26

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日本国内にて、50年にわたりビルオートメーションや空調冷却機器、セキュリティシステムなどの設計、導入などを中心に展開してきたジョンソンコントロールズ。

電気式室内サーモスタットの発明をきっかけに135年以上前に創業された歴史あるジョンソンコントロールズ インターナショナルの日本法人である同社は、計画から設計・施工・保守・改修のソリューションをワンステップで提供することで、ビルテクノロジー業界を牽引してきた。

ジョンソンコントロールズは、昨今の気候変動対策の機運の高まりを受け、ビルのカーボンニュートラルを目指す「ネット・ゼロ・アズ・ア・サービス」を掲げ、取り組みを進めている。ソリューションを通し、ビルの脱炭素化はどのように実現されるのだろうか。

今回は、代表取締役社長の吉田氏にジョンソンコントロールズが進めるビルテクノロジー業界のサステナビリティについて話を伺った。

世界のエネルギー使用量の約40%がビルに関わる。サステナビリティがビジネスチャンスに

ーー自己紹介をお願いします。

吉田:代表取締役社長の吉田です。世界150ヶ国にある拠点のうち、日本・韓国・台湾の責任者を務めております。大学では工学部数理工学科に所属し、応用数学について学んでいました。専攻は工学系であったものの、研究者よりも経営に興味がありました。

そこで、新卒で経営コンサルティング会社に入社しました。その後、日本ゼネラル・エレクトリック株式会社にてプラスチック事業のマーケティングを統括する幹部候補生としてBtoBの技術営業に触れました。そこでは、日本に限らずグローバルにエレクトロニクスという業界を担当していました。

その後、入社したDSMジャパン エンジニアリング プラスチックス株式会社に長年在籍し統合を経験したことで、経営から携われる新しい仕事を社内外に探しました。その際に、自らの強みであるBtoBであり、提供しているサービスで差別化を図れる弊社に出会い、2016年に入社しました。

ーージョンソンコントロールズの事業内容を教えてください。

吉田:弊社は、スマートビルやスマートシティを実現するソリューションを世界中で包括的に提供するグローバル企業です。

例えばアジアですと私が担当する日本・韓国・台湾以外では、香港・シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・インドなどほとんどの国と地域で事業を展開しています。

オフィスビル・教育・ヘルスケア・交通インフラ・エンタメ施設などにおいて、ビルオートメーションシステムや産業用冷凍機・セキュリティ管理といった包括的な製品を提供しています。

その他にも、保守管理サービスや省エネソリューション・リモートサービスなどお客様のニーズに応じたサービスを計画・設計/施工/保守/改修のワンストップで柔軟に提供しています。

ーービルテクノロジー業界や設備領域を牽引するジョンソンコントロールズでは、サステナビリティの重要性をどのように捉えられていますか?

吉田:世界のエネルギー使用量の約40%がビルに関わっているといわれています。

弊社では建設時からビルソリューションを提供しているので、世界のサステナビリティに対して大きな影響力があると責任を感じています。

ビルテクノロジー業界のリーディングカンパニーであるからこそ、サステナビリティに対する貢献そのものが弊社の事業チャンスでもあり、社会への貢献に繋がると認識しています。

月額制脱炭素化の「ネット・ゼロ・アズ・ア・サービス」

ーー今年から、脱炭素化の取り組みとして「ネット・ゼロ・アズ・ア・サービス」を開始されました。どのようなサービスですか?

吉田:「ネット・ゼロ・アズ・ア・サービス」は、ジョンソンコントロールズがパートナーとなり、お客様のサステナビリティ目標を共有し、建物の脱炭素化に向けた成果を保証する初期投資不要の「脱炭素化の月額制ソリューションサービス」です。

日本企業のお客様の中でも、自社工場や自社ビルでは省エネは計画通り進んでいるものの、海外での自社ビルや自社工場の管理は現地に任せているため、実現できていない会社が多いです。

拠点ごとの管理となると、電気の使用量の確認でさえも非常に手間がかかりますよね。本社で一元管理をしたい場合に、成果をあげるまでのプロセスを伴走するのがこちらのサービスです。

ジョンソンコントロールズ 日本法人の役割は、国際的に定めてあるコミットメントのもとで、お客様に対する事業としてお客様の省エネとサステナビリティの目標達成に貢献することだと考えています。

日本法人では、実際に工場を持っていない分、会社として直接排出量削減目標達成に貢献することは難しいですが、グループ会社の一員としてお客様の省エネをサポートすることを一番の目標にしています。

ーー「初期投資不要」というのはどういうことなのでしょうか?

吉田:一元管理を進める中で、必要に応じて設備の改修を行うこともあります。設備の改修となると、多額の投資が必要になってきます。投資できるお客様がいる一方で、躊躇されるお客様もいらっしゃいます。

その場合にサブスクや月額制にすることで投資を極力抑えた上で、少ない金額から「初期投資不要」で始めることができます。

投資に対してコミットした成果を提供できることから、「省エネの効果を山分け」した形でお客様に気軽に始めていただけます。

ーー月額制の中にはどのようなサービスが含まれているのですか?

吉田:通常のメンテナンスや設備そのもののメンテナンスが含まれており、定期的に点検を行っています。また、お客様の要望に応じてコンサルティング的なサービスが入る場合もあります。

ーーどのようなお客様を対象にしていますか?

吉田:海外にも支社をお持ちの、サステナビリティ対策の想いが強いお客様を抱える自動車や電子部品のメーカーの方が多いです。日本支社では脱炭素化は進んできたものの、海外での脱炭素化が進まないという課題を抱えているケースが多いです。

ーー具体的に、一部の設備を改修して省エネに取り組まれた例はありますか?

吉田:多くの事例がありますが、弊社でも大きなESCO(月々の省エネ削減額で設備更新の費用を賄うビジネスモデル)案件の1つとして「富士市文化会館 ロゼシアター」があります。

お客様の課題である「設備改修と省エネルギー化の実現」や「施設利用者の利便性と快適性の向上」「運用効率の改善と作業負荷の提言」を解決するべく、提案/設計/施工/導入までを担当しました。

中央監視システムの導入や空調設備の導入により、二酸化炭素量42%削減・エネルギーコスト40%削減、オペレーターの作業効率の向上や施設利用者の利便性と快適性に寄与するという成果を生み出しました。

国内外にある複数拠点の脱炭素データを一元管理

ーーサービスを提供する中で、ジョンソンコントロールズならではの強みはありますか?

弊社はグローバルな会社なので、日本では日本語でお客様と打ち合わせをし、海外で実施する場合は弊社の海外グループが対応して施工サービスができるという強みがあります。

また、長年ビル管理サービスを提供する中で培ったデータも強みといえます。

また、複数の建物で違うメーカーの設備を使用している場合でも、ジョンソンコントロールズは、多くのメーカー機器と連携が可能で、同じデータフォーマットを使用し一元管理が可能になります。たとえば、弊社では東南アジアと南米の工場のエネルギー使用量を本社から同じフォーマットで閲覧することができるんです。

違うメーカーを別の拠点で使用していても、一元管理できる会社はほとんどありません。

ーーシステムごとに違うからこそ、なかなかデータの一元管理が難しいという課題があったんですね。

吉田:エレベーターメーカーはエレベーター独自のシステム、照明メーカーは照明独自のシステム…さらには、AメーカーとBメーカー…といったように、製品やメーカーの違うシステム同士では、プロトコル(規格)が異なるため、データの連携が難しいという課題があります。

さらに、あらゆる組み合わせが可能なので、ますます互いの調整が困難になってしまいます。

一元管理が困難を極める中で、弊社はさまざまなメーカーのさまざまなシステムと連携が可能なため、クラウドを経由してデータを集めることによってたとえシステムが違っていたとしても、古いシステムであっても一度に表示可能な環境を構築できる強みがあります。

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

吉田:長年ビルのシステムに携わってきた中で得た、ビルのメンテナンスやデータ活用・オペレーションに関する豊富なノウハウをお客様に提供し、お客様の目標をサポートしていくことが目標です。

これにより、弊社の事業を拡大しながら、社会にも貢献することができます。

SDGsの注目が高まる中、現在のビジネスを社会のトレンドに合わせて成長させ、いかにお客様に価値を提供できるかが次のチャレンジだと思います。

さいごに

オフィスビルや教育施設など普段何気なく使っている建物には、セキュリティロックやエレベーター・照明など膨大な電気が使用されている。さらにそれぞれの規格が異なるため、使用電力量などの把握が困難な課題がある。

世界中のビル設備に関わってきたジョンソンコントロールズだからこそ、規格が異なる各設備を繋ぎ合わせた上で、効率的なビル設備の運用を可能にし、ビルのサステナビリティにも大きく貢献するだろう。

今後もさらにビルの脱炭素化を進めていく上で、新たに始まった「ネット・ゼロ・アズ・ア・サービス」を利用して、初めの一歩を踏み出す企業も増えるのではないだろうか。

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