未来を担う学生に正しい金融知識を。|「PROMISE 金融経済教育セミナー」に迫る

#持続可能#教育#金融サービス 2022.10.24

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成年年齢の引き下げに伴い、多くの若者が自らの意思でお金の使い道を考える機会が増えた。日本での金融経済教育の重要度も日々高まっている。

貯金や投資、トラブル対策など「お金」に関わる知識は多岐にわたりますが、学校の授業のみで対応することは難しい現状がある。

近年高まっている「若者への金融経済教育」のニーズに応えるため、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社では、2011年から金融リテラシー向上の取り組みとして、高校生・大学生を対象に「PROMISE 金融経済教育セミナー」を実施している。2022年には、受講者が累計で130万人を超えた。

今回は、「PROMISE 金融経済教育セミナー」を主体的に行うお客様サービスプラザを管轄する広報サステナビリティ推進部の野口さんと、梅田お客様サービスプラザで講師を務められている繁岡さんに、セミナー内容や日本の金融経済教育について伺った。

金融業界だからこそ、社員に「一人ひとりの業務とサステナビリティの繋がり」を意識してもらう

ーー自己紹介をお願いします。

野口:広報サステナビリティ推進部で主幹をしております、野口です。

2006年に入社後、神田東口支店にてお客様の返済相談や新規カードの契約受付業務を中心に行っていました。支店の統廃合に伴い、2010年からはさまざまな部署に異動し、2018年から2年半は、PROMISE 金融経済教育セミナーの講師を務め、千葉県内の学生に対して金融教育セミナーをしてきました。その後、広報サステナビリティ推進部の新設に伴い、2021年から現職になります。

繁岡:2013年入社後、西日本お客様サービスセンターにて自動契約機コーナーの受付業務、電話でインバウンドおよびアウトバウンド業務、決裁業務等に携わっていました。

2019年よりPROMISE 金融経済教育セミナーの講師を務め、現在も関西地区の学生を中心に金融教育セミナーを行っています。

ーー全社でSDGsの取り組みを開始させたのはいつ頃からですか?

野口:従前よりCSRに関する活動をしていましたが、2019年にSDGs計画を策定し、一層取り組みを強化しています。

2021年には、持続可能な社会の実現に向けて企業姿勢を明確にするため、広報CSR部を「広報サステナビリティ推進部」に改称し、お客様サービスプラザで実施しているサステナビリティ推進活動を所管しました。

ーー全社でのサステナビリティ推進体制では、どのような仕組みがありますか?

野口:各部署にサステナビリティ推進リーダーを設置しています。リーダーは年に1回開催される会議へ参加してもらいます。有識者の講義やワークショップを通じてサステナビリティへの理解を深め、自部署が行うサステナビリティに関する活動を牽引するという仕組みです。

今期は、勉強会用の動画をリーダーに見てもらい、「自部署の仕事とサステナビリティがどのように結びついているのか」についてワークやディスカッションを行いました。

ーーサステナビリティを推進する中で意識していることはありますか?

野口:社員に「一人ひとりの業務がいかにサステナビリティに結びついているのか」について伝えることを意識しています。

多くの業界では「サステナビリティ」という言葉について、”環境”や”人権”といった大きなテーマであっても、自らの業務と関連づけて考えやすいのではないかと思います。

一方で、金融業界は日々の業務とサステナビリティの紐付けが非常に難しい業界です。だからこそ、自分達の業務が会社の持続的な成長や社会の価値向上に結びついていることが、社員全員に伝わるようにしています。

金融をめぐる環境が変化する今だからこそ、日本の金融リテラシー向上に貢献したい

ーー「PROMISE 金融経済教育セミナー」を始めた理由を教えてください。

野口:環境変化や社会的な要請が高まる中で、日々地域に根ざしながら消費者金融商品を提供する弊社が社会に還元できることはないかと考えた結果の一つがセミナーです。

現代の日本では、成年年齢の引き下げやキャッシュレス化など、金融をめぐる環境が大きく変化しています。また、新学習指導要領の改訂により、金融経済教育の重要度が増してきました。

一人ひとりが主体的に生涯の生活を設計する力が求められる中で、全国の支店でお客様の金融業務に携わる弊社がセミナーを行うことに意義があると考え、開始しました。

ーーどのようなセミナー内容なのですか?

繁岡:セミナーのラインナップは、主に4種類あります。

1つ目が生活設計や家計管理についての授業です。夢や目標の実現に向けて、ライフプランニングの必要性や日々の家計管理に関する内容を伝えます。

学生には、「将来実際にやってみたいこと」をライフイベント表に記入してもらい、実現に必要な費用を調べてもらうワークを行っています。その際には、月々の貯蓄がいくら必要になるかまで算出するようにしているんです。家計管理の授業では、1ヶ月の手取りのお給料の範囲内で先取り貯蓄をしつつ、生活費を支払いながら黒字家計をつくるにはどのような予算立てが必要かについて考えます。その他にも、社会保険料や所得税・住民税の開示といった給料の明細書に関する知識や奨学金に関する知識に関してもお伝えしています。

2つ目は、ローンやクレジットに関する授業です。成年年齢が引き下げられたことに伴い、ローンやクレジットを含めた契約行為が親権者の同意なしでも行えるようになりました。学生の皆さんが適切な金融知識の選択し、活用できるようサポートすることを目的として、「契約」についての知識やローン・クレジットの仕組み・メリットやデメリットについて伝えています。

3つ目が、「金融トラブル」についてです。インターネットやカードに関するトラブル、マルチ商法や特殊詐欺などお伝えするトラブルはさまざまです。

その中でも近年、学校側から若年層が狙われやすい「ワンクリック詐欺」や「フィッシング詐欺」「カードの名義貸し」「アルバイト詐欺」についての講義のご要望が多いです。

4つ目が、今年導入したグループワークが中心となった「アクティブラーニングセミナー」です。お金の知識を習得することの必要性を感じてもらい、生徒さんたちが能動的に自分の進路や将来に必要なお金について学んでもらうためのサポートを目的としています。5つのプログラムから構成され、導入・貯める・借りる・投資・稼ぐといったお金に関するあらゆる知識についてワークを通して学んでもらいます。導入部分では、「死ぬまでにやりたい3つのこと」を考えてもらい、それを実現するために必要なお金についてグループでタブレットなどを併用しながら考えてもらうといった授業もあります。

以上が提供する主な4つのコンテンツですが、学校の先生方のニーズに合わせて自由に組み替えできるようになっています。授業の中でそれぞれの学校に対応した柔軟なコンテンツ提供ができるということも弊社の強みです。

日本は「金融教育にかける時間が少ない」現場の先生の声をセミナーに反映させていく。

ーー金融経済教育に関して現代社会の多様なニーズに対応しているのですね。日本の金融リテラシーの低さについて問題視する声も多くありますが、実際に授業する中で感じる課題などはありますか?

野口:学校の先生とお話する中でもよく話題に上がるのが、日本の「金融教育にかける時間の少なさ」です。

主に家庭科の授業内で扱われる内容になりますが、時間が限られているので扱う内容は最低限の金融トラブルの対策などに限られるといいます。

ただ金融リテラシーの向上には、ローンやクレジット等の金融商品の仕組みやライフイベントへのお金の準備といった幅広い知識が必要不可欠です。だからこそ、授業時間と取り扱う内容に関して、学校教育での課題を感じています。私たちの授業が、普段の授業では扱われない幅広いお金に関する知識を正しく身につける一助になればと思います。

ーー最後に、「PROMISE 金融経済教育」を通してどのような社会を目指していますか?

野口:金融経済教育を通して、皆様がお金に関して能動的に学ぶ姿勢を身に付けていただくことで、主体的に計画を立てながら、生活を送れる社会を目指します。

そのためにも、将来を担う学生のみなさんへの授業に力を入れ、弊社だからこそのリソース提供を行いたいと考えています。

繁岡:若い世代の方々の金融リテラシーを向上させることで、日本全体が持続的な社会になっていくといいなと思います。

子どもたちにとってお金の授業というと、「難しそう」や「とっつきにくい」というように敬遠されがちだと考えています。「PROMISE 金融経済教育セミナー」を通して、そういった固定概念を取り払い、お金への関心を高めていってほしいです。

さいごに

「お金の勉強」と聞くと、どこか難しい印象を持たれがちですが、PROMISE 金融経済教育セミナーは学生が「自分ごと」として考える工夫が沢山隠されているセミナーだと感じた。

例えば、自らの夢や目標の実現に向けたライフプランニングの必要性を伝えるための「死ぬまでにやりたい3つのこと」を考える授業などだ。

学生自らが主導権を持って学んだお金に関する知識は、将来生きていく中で大切な財産になるのではないかなと思った。

日々金融商品と向き合うからこその、質の高いPROMISE 金融経済教育セミナーが日本の金融リテラシーをより向上させていくのだと感じた取材だった。

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