アシックスが目指すサステナビリティ|心身ともに健康な生活できる社会へ

2023.07.14

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【更新日:2023年7月14日 by 中安淳平

株式会社アシックス(以下、アシックス)は、私たちの日々の生活に欠かすことのできないアイテムである”スニーカー”などを製造・販売し、私たちの暮らしを快適にさせてくれています。

アシックスの社名の由来は「Anima Sana In Corpore Sano (健全な身体に健全な精神があれかし)」というラテン語から由来しており、創業以来、「スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する 」のビジョンのもと、世界の人が健康で幸せな生活を実現できる製品やサービスの提供を使命とし、アシックスはさまざまな事業活動をしてきています。

現在は、人々がスポーツを通じてより豊かで健康的な生活を実現するために「VISION2030」を長期ビジョンに掲げ、持続可能な事業活動を目指し取り組んでいます。

今回はサステナビリティに関する広報を担当する今村さん、大村さんにアシックスのサステナビリティのビジョンや取り組み、「VISION2030」の事業ドメイン、D&I推進に向けた取り組みからサステナブルな製品開発に向けた研究所についてお話を伺いました。

 

健やかなココロとカラダは、地球が健やかであってこそ

ーー自己紹介をお願いします。

今村:アシックス広報部の今村と申します。 新卒で人材派遣会社に入社をし、経営企画部に所属し、経営企画、IRに携わりました。その後、2011年にアシックスに転職をし、経理財務統括部IRチーム所属し、2013年に広報部に異動しました。

 

大村:アシックス広報部の大村と申します。アシックスには2018年に入社し、広報部には2022年の4月に異動してきました。2018年から2022年の4年間は、海外販社とのやり取り、経営管理をする地域戦略統括部で働いていましたが、新しい経験をしたいという想いの中で、広報部に異動しました。

ーー全社でのサステナビリティの推進体制を教えてください。

今村:アシックスは、経営方針の中核に「サステナビリティの推進」があり、全社および各部門の事業戦略にサステナビリティを取り入れるために、社内にサステナビリティを専門にするサステナビリティ統括部を設置し、全社を統括した推進をしています。私たち広報部は、当社のサステナビリティに関する活動を各ステークホルダーに発信していく役割を担っています。

ーーサステナビリティ統括部はいつできた部署なのですか?

今村:2004年に総務部の中にCSRがあり、そこから2010年に独立し、CSR推進部ができました。そこから、世の中でサステナビリティというテーマが注目を集めていく中で、CSR推進部より名称を変えて2021年にサステナビリティ統括部ができました。

ーーアシックスのサステナビリティビジョンについて教えてください。

大村:アシックスは「健全な身体に健全な精神があれかし」(「Sound Mind, Sound Body」) という創業哲学のもと、世界中の人々がスポーツを通じて、心身の健康を豊かなものにしていくため、より良い地球環境を目指していく方針を取り決めました。

より良い地球環境を目指していくサステナビリティビジョンとして、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにしていくことを目標に掲げています。その前段階の目標として、2030年までに事業所とサプライチェーンのCO2排出量をそれぞれ2015年対比で63%削減する中期目標を掲げ、それに向けてサステナビリティの活動を推進しています。

ーー目標で掲げた取り組みで重要になるテーマはありますか?

大村:事業の中で一番CO2の排出量が多いのは材料調達と製造段階になります。そのため、当社の事業所におけるCO₂排出量だけでなく、Scope3※も含めたCO₂排出量削減が重要であると考えております。

※Scope3とは:製品の原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出される温室効果ガスの量

ーーCO2削減における「Scope3」で工夫されてきたことについて教えてください。

大村:アシックスは、主要サプライヤーとの取引要件として、気温上昇を1.5℃に抑えるための排出目標設定や再生可能エネルギーの導入を求めています。また、サプライヤーとの継続的な対話を通じて、彼らの現状や課題を把握し、サポートしています。

 

アシックスの長期ビジョン「VISION2030」とは

ーー長期ビジョン「VISION2030」について教えてください。

今村:「VISION2030」は、2020年にアシックスの長期ビジョンとして策定しました。主なコンセプトはパフォーマンスを追求するアスリートに向けたサポートに加えて、スポーツを通じて誰もが一生涯、心身ともに健康で居続けられる世界の実現を目指すためです。「VISION2030」において、「プロダクト」「ファシリティとコミュニケーション」「アナリシスとダイアグノシス」の3つの事業ドメインで事業を拡張していくことを定めました。

1つ目の「プロダクト」は、お客様1人1人の嗜好や価値観の多様化に基づき、パーソナライズされたプロダクトの提案をしています。それを素早くお届けしていく仕組みの構築作りをしていくといった内容です。

2つ目の「ファシリティとコミュニティ」は、より多くの人々の健康を実現するために、スポーツを始めるきっかけや継続するためのきっかけを作るというものです。リアル、バーチャル問わず、いつでも、どこでも、誰とでも、繋がりながらスポーツを楽しめる機会の提供を目指しています。

3つ目の「アナリシスとダイアグノシス」は、長年培ってきたアシックスグループの知見にセンシング等を新たな技術を取り入れ、収集したデータに基づき分析診断をしていく見通しをしています。この分析により、1人1人の健康やパフォーマンスなどの維持向上の部分をサポートしていくことを目指しています。

この3つのドメインに共通するものとして、「デジタル」「パーソナル」「サステナブル」の3つのテーマを掲げており、最新のデジタル技術を活用し、個人に合わせてパーソナライズされた製品・サービスを、環境に配慮したサステナブルな手法により開発、提供していく形になっています。

パーソナライズされた製品の開発例として、革靴にセンサーを埋め込み、その人の歩き方をアプリで分析し、心身状態の可視化をする事の出来る製品をすでに発売しています。

 

社員同士が認め合い能力を最大限発揮させるD&I推進へ

ーーD&I推進に向けた取り組みについて教えてください。

今村:アシックスでは、社員同士がお互いの違いを認め合い、活かし合うD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進し、社員一人ひとりがビジネスニーズや多様な背景に合わせて自律的に働き、多様な人材が能力を最大限発揮できる「フルフレックスタイム制や在宅勤務制度」などの制度を導入し、より社員が働きやすい環境を支援しています。

ーーD&Iにおける「Sound Mind, Sound Body」について教えてください。

今村:「Sound Mind, Sound Body」 の実現には、様々な価値観やアイデアをもつ人々が集まるチームが不可欠です。これまで以上に、あらゆる角度から世界を見つめ、社会に対して良い影響を拡大、深化できる人財が求められています。アシックスでは、人種、⺠族、性別、年齢、宗教、障がい、性的志向、性自認等の違いを受け入れ、活かすことを積極的に関わります。そして、多様性を尊重し高め合うチームとしてイノベーションを創出し、真に人々のより良いライフスタイルの実現を目指しています。

ーーD&I推進の中で今までにどんな課題点が見えましたか?

今村:D&I推進の中で、女性を含む多様な人材の強化と活性化について改善の余地があると考えています。アシックスではこの課題点改善に向けて、「アシックス本社の管理職に占める女性割合を20%以上にする」、「新卒採用者における女性の割合を50%以上とする」、「若手社員のキャリア形成に資するプログラムについて男女ともに受講率100%を目指す」など目標を掲げた行動計画を策定しています。

 

品質とサステナビリティの両立へ スポーツ工学研究所の取り組み

ーー「アシックススポーツ工学研究所」について教えてください。

今村:この研究室は神戸市中央区にあるアシックスグループの本社の移転に伴い、シューズ、アパレル部門が統合され、1985年にスポーツ工学研究所が設立しました。技術研究室自体の設立は1977年です。

アシックススポーツ工学研究所は、「スポーツで培った知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」というビジョンを具現化する、アシックスの基幹を担う部門です。

研究所では人間の動きや動作をもとに、素材や構造設計などの研究を行っており、研究により、アスリートのみならず、世界の人々を心身健やかなライフスタイルを創造できるスニーカーの製造や地球環境に優しい素材から製造することができ、まさにサステナビリティと製品の品質を高めることができる研究所です。

ーーこの研究所では、具体的にどのような研究がされているのですか?

今村:研究所では、人間の身体や動きの分析をもとにした材料や構造の研究、生産技術、製品、素材の分析評価の研究を実施しています。具体的な研究として5つほど紹介します。

1つ目は人間特性に関する研究で、種目や男女によって異なる運動時の身体の“変形”や“負荷”を分析、その結果に基つき、製品にとって必要な機能を抽出 、静的・動的な評価をしています。

2つ目は構造に関する研究で、人間特性の研究で得られた結果をもとに構造を設計します。コンピューターシミュレーションによって設計し、実験による評価・検証を行います。

3つ目は材料に関する研究で、シューズを進化させるためのソールやパーツとして使用されている樹脂・ゴム・スポンジなどを、材料配合から研究開発しています。

4つ目は生産技術に関する研究で、成形方法を研究するとともに、研究所で開発された材料を量産化するための生産工場への技術指導も行います。

5つ目はサービスに関する研究で、人間特性の研究で得られた結果をもとに、運動プログラムやデジタルツールなどを設計しています。

ーー研究所ではサステナブルな製品の研究開発をされているんですか?

大村:研究所ではサステナブルな製品開発の研究が進んでおります。最近では、今年販売予定である「GEL-LYTE III CM 1.95」というCO2排出量最小(※2022年9月時点)のスニーカーがございます。

このスニーカーは、材料調達から製造、輸送、廃棄の製品サイクルの中で排出される温室効果ガスをもっとも抑えたスニーカーです。具体的には、アシックスの同じカテゴリーのスニーカー製造におけるCO2排出量の平均が約8キログラムとなっていますが、「GEL-LYTE III CM 1.95」のCO2排出量は1.95キログラムと、従来のスニーカーの約4分の1もCO2排出量を抑えております。アシックススポーツ工学研究所では、ミッドソール(甲被と靴底の間のクッション材)に採用している、サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマーを配合した「カーボン・ネガティブ・フォーム」を開発しました。

GEL-LYTE III CM 1.95について

詳しくはこちら▶https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/sustainability/cm195

ーー今後のサステナビリティに関する展望を教えてください。

大村:今後は、「VISION2030」の事業ドメインの1つである「ファシリティ・コミュニティ」や「分析・診断」などのサービス事業の展開を拡大していきたいと考えています。また、よりスポーツができる環境作りを提供し、スポーツを通じて心身健やかになりながら、や環境に配慮したコミュニティ活動を推進していきたいと考えています。

 

今村:スポーツで培った知的技術で、質の高いライフスタイルを創造することで心も体も健やかにしていくことがアシックスの使命であると思っています。また、バリューチェーンのような一方通行のビジネスモデルではなく、循環型ビジネスモデルへと変革を進めていくべきであると感じています。

 

さいごに

今回の取材で、アシックスは人々がスポーツを通じて健康な生活を実現するための、サステナビリティ領域のビジョンや研究所で行われているサステナビリティ製品開発について、その想いを深く知ることができました。

最新の技術研究により開発された「GEL-LYTE III CM 1.95」はまさにサステナブルな商品であると感じました。また、アシックスの品質にもこだわり抜いた製品開発スタイルはこれからどのようなサステナブル商品が開発されていくのか。これからのアシックスのサステナビリティ商品開発にも目が離せません。

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