食品ロスが問題である3つの理由-原因から食品ロスを減らすための対策を紹介

#環境#食品#食品ロス 2022.07.08

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食品ロスが問題であることは理解できますが、具体的に問題視されている理由はご存じでしょうか。
食べ残し、売れ残りといった理由がそもそも生まれてしまっている原因まで理解することができれば食品ロスの問題を解決するための解決策を知ることができます。

そこで今回は、食品ロスが問題である3つの理由を解説し原因から食品ロスを減らすための対策を紹介します。

▼SDGsについて詳しくはこちら

食品ロスとは?

最近聞く食品ロスってどんな種類があるの?

まだ食べられるのにもかかわらず破棄される食品を「食品ロス」といいます。

食品ロスは「勿体ない」だけではなく、処分の過程で温室効果ガスを発生させることから環境面にも悪く、また地球温暖化や貧困の加速といった社会問題にも関係する世界共通の課題です。

農林水産省によると、日本における食品ロスの量は年間522万トン(2022年度推定値)にのぼりました。この量を日本人1人当たりで考えると、毎日茶碗1杯分のご飯を破棄していることに相当します。

ひと口に「食品ロス」と言っても、その種類は「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」の2つに大きく分けることができます。

事業系食品ロスとは、飲食店での食べ残しや小売店の売れ残りなど、事業活動の中で発生する食品ロスのことです。また、事業系食品ロスは更に「食品製造業」「食品卸売業」「食品小売業」「外食産業」の4業種に分類できます。
家庭系食品ロスは、家での食べ残しや過剰に取り除かれた野菜の皮や茎など、家庭から発生する食品ロスのことです。


(参考:食品ロスとは:農林水産省
関連記事:フードロスを徹底解説|現状からSDGsとの関係、取り組みまで網羅

食品ロスは問題ない?問題提起された背景

食品ロスによって引き起こされる問題は少なくありません。

世界資源研究所(WRI)によると、食品ロスによって排出される温室効果ガスは世界全体の排出量のうち約8.2%を占めています。これは航空業界(約1.4%)の5倍以上であり、道路輸送(約10%)に近い値です。

加えて、廃棄物処分の際には温室効果ガスだけでなく、多くのエネルギーと費用が必要とされるため、食品ロスは環境とコストの面で大きな負担を生じさせます。

ガラスの地球と人々

世界の人口は2050年までに97億人まで増加すると推測されており、今後は食料・エネルギー共に需要が増大すると予想できます。一方で温室効果ガスがもたらす気候変動、気候変動による食料やエネルギーの安定供給に対する不安感が高まっています。


(参考:What’s Food Loss and Waste Got to Do with Climate Change? A Lot, Actually. | World Resources Institute
(参考:実はこんなに深刻!? 食品ロスは「なぜ」問題なの? – エールマーケット – Yahoo! JAPAN
関連記事:《徹底解説》SDGsと地球温暖化 現状から取り組みまでを網羅

食品ロスが問題である3つの理由

環境|地球温暖化

食品廃棄物のなかでも飼料や肥料として再利用できなかったものは焼却されますが、食品由来の廃棄物は水分を含んでいるのが多いため焼却時に多くの燃料を必要とします。
そのため排出量される温室効果ガスは自動車についで約8.2%と多く、地球温暖化を助長しています。

家庭|金銭・精神の負担

消費期限切れや食べ残しなど、本来であれば食べられたはずの食事を捨ててしまうという行為が罪悪感を生み、精神に負担をかける可能性があります。
また購入した食料を活用できなかったことは経済的にもマイナスとなってしまいます。

世界|食料不足

年間で多くの食品ロスが生まれるなか、食料不足により栄養不足に陥る人々がいます。
途上国を中心に食料が不足している一方で、先進国ではまだ食べられる食品が破棄されるなど、食料の供給バランスが問題となっています。


(参考:フードロスとは?注目されている背景や個人でできるフードロス対策について解説 – Lnote(エルノート) Presented by 東急リバブル
(参考:食品ロスの現状を知る:農林水産省
(参考:SDGsと食品ロス(2)食品ロスの問題点|MHCL WORKS LABO

食品ロスの問題が生まれる原因

食品ロスの問題が生まれる原因を3つ紹介します。

捨てられたキャベツ

食べ残し

1つ目は作りすぎ、好き嫌い、飽きといった理由から食事を残してしまう「食べ残し」による食品ロスです。
他にも、皮の剥き過ぎなどの「過剰除去」も無意識下の食べ残しと言えます。

期限以内に消費できない

2つ目は賞味・消費期限以内に食べられなかったケースです。
買い過ぎてしまった、傷んでしまった、忘れていたなどの理由から調理せずに捨ててしまう「直接破棄」も同じく家庭・事業から出やすい食品ロスです。

売れ残り

3つ目はスーパーなどで売れ残ってしまい、破棄されてしまうケースです。
売れ残り・商品の見栄えなど販売地点で発生する食品ロス以外にも、交通インフラが未整備のため鮮度のよい食品が届けられず、販売される前に破棄されることもあります。


(参考:食品ロスは何が問題?社会や家庭が受ける影響と3つの原因を解説 | クレライフ | クレハの家庭用品サイト
(参考:食品ロス(フードロス)とは?世界・日本での原因・問題点と私たちにもできる対策

食品ロスの問題はどこへ影響を与えるの?

学校?環境?社会?

食品ロスは地球温暖化の助長といった環境問題だけでなく、途上国の貧困加速など社会問題にも関わります。

高低差のあるブロックに腰掛ける男性

世界では9人に1人が栄養不良に陥っており、その人数は約8億1500万人に相当します。また栄養不足によって亡くなる5歳未満の子どもは年間で310万人です。貧困による栄養不足は日本も例外ではありません。2020年、厚生労働省は2018年の国内における子どもの約7人に1人が貧困状態にあると発表しました。

世界人口の増加が予想されているなか、食料不足は貧困を深刻化させる要因となります。食べ残しをしない、捨てられてしまう食品を必要としている所へ譲るなど、食品ロスの削減は貧困加速を防ぐうえで重要です。

近年ではSDGsに関する授業や活動に取り組む学校、企業も増えており、食品ロスという言葉を耳にする機会も増しています。


(参考:持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字 | 国連広報センター
関連記事:《SDGs基礎》目標2「飢餓をゼロに」を徹底解説

食品ロスの現状

世界の現状

FAO(国際連合食糧農業機関)によると、世界では年間約13億トンもの食料が廃棄されています。時間とコストをかけて生産してきた食料が大量に破棄されている傍ら、世界では9人に1人が栄養不足に陥っています。

とくに途上国における食品ロスは先進国と異なり、技術不足により収穫ができない、食料の保存設備や流通環境が未整備である、そのほかインフラが整っていないため食品が腐ってしまうといった理由があります。

日本の現状

2020年度、日本の食品ロスは522万トン。そのうち事業系食品ロスは275万トン、家庭系食品ロスは247万トンでした。

食品の売れ残りや返品、見栄え等の理由により破棄される事業系食品ロスと家庭から排出される家庭系食品ロスの2つが主な食品ロスの原因となっています。

また日本では食料の約6割を輸入に頼っていますが、依然として大量の食品ロスが生じています。


(参考:食品ロスの現状を知る:農林水産省
(参考:世界と日本を比較!食品ロスの現状と対策とは?|WareX ウェアエックス – 全国の倉庫がすぐに見つかる
関連記事:SDGs×農業の関係性とは?|SDGsと農業の取り組み事例9選を紹介

食品ロスの問題を解決するための対策

2019年10月、消費者庁は食品ロスの削減を国民運動として総合的に推進することを目的に、食品ロスの削減の推進に関する法律を施行しました。

2021年にはすべての都道府県および指定都市を対象に、食品ロス削減の取組を実施しました。具体的には住民・消費者への啓発または子どもへの啓発・教育、災害用備蓄食料の有効活用、フードバンク活動と連携などです。


(参考:食品ロス削減に向けた取組について(消費者庁) | 消費者庁
フードバンクに関する記事はこちらから▼

食品ロスの取り組みは個人でもできる|食材を買い過ぎない

直接廃棄、過剰除去、食べ残しを防ぐために、買い物メモを事前に用意するなどの工夫ができます。

「買い過ぎ」は料理の「作りすぎ」につながる他、保存したまま調理を忘れてしまう可能性も生んでしまいます。
とはいえ食材を使い切り、残さず食べることを意識することこそ、最も重要かつ簡単に実行できる取り組みでしょう。

まとめ

今回は、食品ロスが問題となっている理由を3つほど紹介いたしました。

食べ残しや売れ残りといった食品ロスが与える影響、そのことがもたらす世界の現状までを知ることで新たな課題に気付くことができます。

今回は食品ロスに焦点を当てましたが、世界共通の問題として取り上げられるものは、いずれもさまざまな社会課題や環境問題に深く関わっていることが多いです。
関連記事やその他気になった単語がありましたら、ぜひ覗いてみてください。

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