フードロスを徹底解説|現状からSDGsとの関係、取り組みまで網羅

#SDGs目標1#SDGs目標12#SDGs目標2#健康#環境#食品#食品ロス 2021.04.12

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【更新日:2021年6月10日 by 佐野 太一

食べ残しや売れ残りなどによって国内ではフードロスが課題になっています。

普段の食生活で廃棄を気にしたことがある人はどれくらいいるでしょうか。

フードロスは、国内だけの問題ではありません。SDGs達成のために世界をあげて取り組むべき、見逃せない重要で深刻な問題です。

この記事では、フードロスの詳しい説明やSDGsとの関係性、身近な例など、わかりやすく解説していきます。

そもそもフードロスとは?|2つに分類されるフードロス

フードロスとは「まだ食べられるのに廃棄される食品」を意味します。フードロスの発生源は、主に家庭系廃棄物と事業系廃棄物の2つにわけられます。

家庭系廃棄物は、食べ残しや賞味期限切れの食品、料理の時に破棄してしまう部分を指します。一方で、事業系廃棄物は主にレストランや小売店、食品メーカーから廃棄される食品を指します。

家庭系廃棄物には心当たりがあるのではないでしょうか。誰しもが、ついつい料理を残してしまった経験があるでしょう。

フードロスの現状

 日本の現状

日本では年間646万トンもの食品ロスが発生しています。これは毎日大型トラック(      10トン)1,770台分の食品が廃棄されている量で、主に家庭からの破棄が多いのが特徴です。

日本でフードロスが起こる理由として、食べ残しや食物の皮の剥きすぎによる可食部の廃棄や賞味期限切れによる破棄などが挙げられます。

実際、日本は食料を輸入(約62%)に頼っているにも関わらず、大量の食品ロスを発生させています。前述の通り、日本は年間646万トンの食料を破棄しています。これは一日あたり国民一人がお茶碗一杯分を破棄していることになります。

レストランや、小売店の破棄量が多いのでは?と思われがちですが家庭からの廃棄量が646万トン中289万トンと三分の一以上を占めています。

まさに私たち一人ひとりが、フードロスを減らしていく心がけが求められています。

世界の現状

世界では年間13億トンがフードロスとして破棄されています。これは世界総生産食料の40億トンの3分の1に当たります。

主な地域としては北アメリカがフードロス が最も多く、次にヨーロッパが多いです。

フードロス が多い国として高所得な国挙げられる一方で、貧困率の高いサハラ以南のアフリカや東南アジアではフードロスの量は北アメリカやヨーロッパの半分以下です。

原因に目を向けると高所得の国の場合、消費の段階で食品が破棄されるのに対して発展途上国の場合は、もともと食料が足りていない上に、食料を貯蓄する設備が整っていないため保存ができなくて破棄されてしまうことが多いです。

(参考):https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/consumption_production_sdgs/8747/ 、https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html

フードロスの原因

フードロスの原因は主に3つあります。

収穫されても商品にならない食料

作物が実っても人手不足や技術不足により収穫が追いつかず、傷んでしまって商品にならないなどの収穫されても商品にならないケースは発展途上国に多く、フードロスを引き起こす大きな要因となっています。また、保存設備、加工設備、輸送手段などのインフラが整備されていないことから貯蔵や加工できず廃棄せざるを得ないケースもあります。

食品販売における厳しすぎる基準

食品には、加工段階では、生鮮食品に対して「外観品質基準」という厳しい基準が設けられています。この基準は製品の品質を確かめるために設けられた食品の「見た目」を審査する基準で、「外観品質基準」に適さないと場合は、その食品は廃棄されてしまいます。

この厳しすぎる食品販売の基準により、食べられる食品も捨てられてしまっているという現状があり、フードロスを引き起こす大きな一つの原因となっています。

食べ残し

食卓には並んだものの私たち消費者が食べなかったこと、つまり食べ残しもフードロスの原因となります。多くの場合、無計画な食品の購入が食べ残しや無駄な廃棄につなが流ため、消費者がよく考えて食品を購入することが求められています。

(参考):https://gooddo.jp/magazine/sustainable-consumption-production/food_loss/5635/

フードロスとSDGsの関係

フードロスと関係の深いSDGsの目標

フードロスと最も関係が深いのは、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」です。この目標は主に、「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ことが目標です。

SDGsの目標12ではターゲットとして「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」が掲げられています。

また、フードロスの問題が食糧不足と関係する点からSDGs1「貧困をなくそう」や、発展途上国のフードロスの原因である食料保存のインフラが整っていないことに着目するとSDGs2「飢餓をゼロに」にも関連しています。

(参考):https://sdgs-support.or.jp/journal/goal_12/#1673 https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals/goal-12-responsible-consumption-and-production.html

フードロスが引き起こす社会問題

フードロスはさまざまな問題を起こします。その中でも特に、フードロスが招く社会問題は深刻です。

食料が平等に行き渡っていない

世界には7人に1人の子どもが貧困で食事に困っている状況や9人に1人が栄養失調に困っている状況があります。

人間の健康を確保するには安定的な食料源を確保する必要があります。一方で、運輸のインフラが整っていない、気候が悪く作物が育たないなどの理由で、食料を確保できない人が多く発生しています。

ユニセフ(国連児童基金)、世界食糧計画(WFP)、国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)の国連4機関は、2021年にイエメンで、5歳未満の子どものうち、230万人近くが急性栄養不良に陥ると予測されると警鐘を鳴らしました。

そのうち40万人が重度の急性栄養不良に苦しみ、緊急の治療を受けなければ命を落とす可能性があるとしています。

ユニセフなどは募金活動などを通じて、世界の子どもたちを守る活動を行っていますが、食料不足の構造を抜本的に解決しなくては、この問題を解決することはできません。

日本では安定したインフラが整い、比較的食料が入手しやすい状態にあり、食糧不足の危機感が少ないかもしれません。

世界の現状を知りつつ、フードロスを減らす工夫が求められていると言えます。

(参考):https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.htmlhttps://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html

破棄された食料の処理にコストがかかる・環境汚染が起こる

フードロス処理をめぐっては、日本では法整備が進んでいます。2021年までに制定されてきたフードロスに関する主な法律は以下の7つが挙げられます。

  • 産業廃棄物処理特定施設整備法(1992)
  • 環境基本法(1993)
  • 容器包装リサイクル法(1995)
  • 廃棄物処理法改正(1997)
  • 循環型社会形成推進基本法(2000)
  • 食品リサイクル法(2000)
  • PCB特別措置法(2001)

これらは1992年から約10年の間に制定された法律です。

フードロス処理では、環境汚染も問題になっています。

戦後から1950年代にはごみを河川や海洋に投棄あるいは野積みされ、ハエや蚊が大量発生したこと、伝染病の感染拡大などが起こったことから環境衛生対策としての廃棄物処理を求められ、衛生的で快適な生活環境の保持をすることが課題となりました。

高度経済成長期である1960年代から1970年代には公害の顕在化が問題となり、環境保全対策としての廃棄物処理が争点となりました。これにより廃棄物処理の仕方などを厳格に規制する「廃棄物処理法」が1970年に生まれました。

(参考):https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/consumption_production_sdgs/8752/

注目が高まるフードバンクとは?

フードロスを減らす取り組みとしてフードバンクが注目されています。

フードバンクとは、言葉の通り食料の銀行を表します。具体的には、フードバンクを運営する団体が野菜や肉魚といった生鮮食品や米やパンといった穀物のように保存ができるものを食べ物に困っている人に届けます。これらは、炊き出しや児童養護施設などを通じて、最も食料を必要としている人の元に届けられます。

現在日本には、2019年時点で約100のフードバンクがあります。

フードバンクは増加を続けており、1都道府県に最低1つはフードバンクがあるという状況です。しかし、人材不足や資金不足で十分な活動ができていない団体が多いのも事実です。

(参考):http://2hj.org/problem/foodbank/

フードロスに対する取り組み

フードロスに関する取り組みについて、日本と世界に視点を当てて行きます。

世界の取り組み

デンマーク発祥のフードシェアリングアプリ「Too Good to go」は廃棄寸前の料理がある飲食店をユーザーが探し、それを格安で買うことができます。

値段は平均的に、260円から500円の間です。

また、スペインでは地域ごとに「連帯冷蔵庫」が設けられています。この冷蔵庫は、一般家庭や飲食店から出る余剰食品、もしくは賞味期限の近づいた食品をこの冷蔵庫に入れて貧困者の手へ渡るようにした仕組みです。

(参考):https://www.sfinter.com/topics/post-505/https://www.tenpo.biz/tentsu/business/cate_column/2018-03-30-150000/2#i-2

日本の取り組み

まず、行政の中でいうと農林水産省の取り組みが代表的です。

農林水産省では、ホームページ上で食品ロスについて詳しく紹介するとともに、食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)を立ち上げ、食品ロス削減国民運動のロゴマーク(ろすのん)を公開しています。

この活動の中では、食料削減活動に協力している店にロゴマークの使用を促し消費者が少しでもフードロスに対して行動できるように工夫しています。

また、平成29年1月に公開された映画「0円キッチン」とタイアップしています。

この映画は食べられる農産物や食材を回収・調理し、一般の方に食べてもらうことで、食品ロス削減を実践し、食べ物に対する「もったいない」意識を醸成する内容となっており一般の映画館での公開ではなく、上演会に参加することで見れるものなので自主的に「フードロスについて知りたい!」と思う人に向けた施策になっています。

▼Twitter▼

(参考):https://sdgs.media/blog/6753/#i-2

企業の取組み

老舗料理店「ゑびや」|客数予測でフードロスを削減

老舗料理店「ゑびや」では、最先端のデジタル技術を使って客数を予測してフードロスを減らしています。具体的には、気温や降水量、伊勢市内の宿泊者数など、約200種類のデータを集め、エクセルに入力しPOSシステム(販売データの自動管理システム)と店主が自己開発したシステム(メニュー別の数量を時間帯ごとに予測できるシステム)の併用です。

この店の店主は、そもそもシステム開発をしようと思ったきっかけもフードロス問題だったそうで残った食料の記録を見て「炊いたご飯の三割が捨てられていく」状況に問題意識を感じたと言います。

システム導入後は、食品の廃棄を約7割削減することに成功したといいます。

(参考): https://change.asahi.com/articles/0018/

ファミリーマート|フードロスを再利用

大手コンビニエンスストアチェーンのファミリーマートでは、お店から出たフードロスを独自のシステムを使って飼料、肥料、メタンに再資源化しています。そのシステムとは、200神奈川県内の店舗などから排出される食品ロスを回収し、飼料工場を持つ養豚場に効率的に運搬し、その飼料で飼育した豚を使った弁当や惣菜パンを製造、販売する食品リサイクルループのことです。

(以下の図参照)

(参考): https://www.family.co.jp/sustainability/material_issues/environment/circulation.html

フ ードロスを減らすサービス4選

NHKライフ

NHKライフでは、家庭系廃棄物が出てしまう1つの原因である料理の過程でのフードロスを減らすために、食材を上手に使い切る方法を紹介してくれています

www.nhk.or.jp
エラー - NHK
https://www.nhk.or.jp/lifestyle/article/detail/00084.html%EF%BC%89

(参考):https://sdgs.media/blog/6753/#i-2

さらに、サイトで紹介するという形だけではなくSDGsにいち早く反応してビジネスにつなげた事例もあります。

食品ロス対策アプリ No Food Loss

みなとく株式会社は、食品ロス解決のためにコンビニや小売店で季節限定パッケージや販売期限などの理由で、食べることが出来るのに廃棄されていた食品をクーポン形式でお得に購入できるアプリを開発・運用しています。

ECショッピングサイト Otameshi

株式会社SynaBizは、品質には問題がないが賞味期限やパッケージ変更によって流通させにくいことで廃棄されていた食品をお得に購入出来て、購入者が選んだ社会貢献活動団体に売上の一部を寄付出来るECショッピングサイトを提案しています。このサービスは、食料に限らずその他の商品も取り扱っています。

フードシェアリングサービス TABETE

株式会社コークッキングは、食品ロス削減をテーマに、飲食店等で予約キャンセルや来客数低下のため余ってしまった食材をTABETEのプラットフォーム上で販売するフードシェアリングのマッチングサービスを展開しています。

[/blogcard]

(参考):https://sdgs.media/blog/6753/#EC_Otameshi

フードロス削減のために個人でできること

フードロス削減のために私たちができることとして、以下のことが考えられます。

  • 食べきれない食品を買いすぎない
  • 食べられる分だけ調理する
  • レシピサイトを検索して余った食材を調理して使い切る
  • 食べきれなかった食材を冷凍などをして保存する
  • 外食時は食べきれる量を注文する
  • 買いすぎた食品や余った贈答品はフードドライブなどへ寄付する

(参考):https://sdgs.media/blog/6753/#i-2

私も日本国民として、コンビニやスーパーで売っている惣菜が入っているパッケージの削減につながるようにおかずの作り置きを始めました。大量に作って、冷蔵庫に保存するのでフードロスそのものの削減にもつながります。

最後に

ここまで読んで、フードロス問題について本質を理解していただけたでしょうか?

今回は、みなさんにわかりやすいように身近な事例や国内の組織の取り組みについて取り上げてみました。前述の通り、個人で今からでもできることが多いのもフードロス問題の特徴です。「フードロスなんて私には関係ない」と思っていた気持ちが少しでもなくなれば、幸いです。

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