カーボンニュートラル実現への企業の取り組み5選-メリットと事例も解説

#ビジネス#企業#環境#脱炭素(カーボンニュートラル) 2022.08.26

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近年、カーボンニュートラルの実現に向けて企業の取り組みが増え続けています。

大企業だけではなく、ビジネスチャンスと捉えた中小企業による取り組みも広がりつつあります。

具体的に、企業はどのような取り組みをすることでカーボンニュートラルを達成できるのでしょうか。また、カーボンニュートラルに向けてどのような取り組みが行われているのでしょうか。

今回は、カーボンニュートラルの概要から重視される背景・環境変化、企業へのメリット、取り組みの重要点、国内の事例まで解説していきます。

カーボンニュートラルへの取り組みが重視される背景

気候変動問題

化石燃料の使用や森林伐採など、私たち人間の活動は環境に多くの影響と負担を与えてきました。
とくに温室効果ガスの排出に伴う地球温暖化は、世界の平均気温を上昇させています。このまま温暖化が加速した場合、私たちは海面の上昇や水・食糧不足といったさまざまな気候変動問題に直面します。

日を重ねるごとに深刻化が進む気候変動問題を解決に近づけるためには、温室効果ガスの削減が望まれます。そのため温室効果ガスの排出量をプラスマイナスゼロにするカーボンニュートラルの取り組みが重要視されています。

加えてカーボンニュートラルは環境面だけでなく経済面においてもメリットがあり、昨今では多くの期待が寄せられています。

パリ協定制度整備

パリ協定とは、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通の長期目標を掲げた協定です。
またパリ協定は、先進国だけでなく途上国を含むすべての国と目標を共有しています。地球温暖化、現状の気候変動問題が続いた場合は将来的には干ばつや農作物の減少、平均気温の上昇が予想されます。

パリ協定の元、脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現へ向けた取り組みが世界各国で進んでいます。


参考:温暖化とは?地球温暖化の原因と予測 | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
参考:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|広報特集|資源エネルギー庁
関連記事:カーボンニュートラルへ向けた世界動向-世界が注目している理由から取り組み事例を紹介

カーボンニュートラルをめぐる事業環境の変化

ガラス玉に映った木

エネルギー調達の変化

省エネ対策の野心的な見直しにより、2030年度の省エネ量は6,200万kL程度と設定されました。電力供給部門では、徹底した省エネルギーの推進・再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みなど、エネルギー調達における基本的な方針の下さまざまな取り組みが進められています。

新たな業界・取引ルールの策定

2020年7月、Appleは2030年までにサプライチェーン脱炭素化を目指すことを発表しました。また製造時に使用する電力についても2030年までに再生可能エネルギー100%とする目標を掲げ、この要求に応じると宣言したサプライヤーは国内外合わせて計213社でした。(2022年3月時点)
サプライチェーンの脱炭素化と経営全体の変容(GX)が加速していくなか、今後は環境への対応を経営課題とする必要があります。

各種規制の見直し

2050年カーボンニュートラルや2030年度削減目標の実現を後押しするため、省エネ法改正案が閣議決定されました。(2022年3月)
省エネ法による「エネルギー」の定義を見直し、使用の合理化の対象を非化石エネルギー(水素・アンモニア等)含む全てのエネルギーに拡大しました。

加えて、エネルギー多消費事業者には非化石エネルギーの転換に関する中長期計画の策定、また非化石エネルギーの使用状況の定期報告等が求められるようになるなど、関連法の整備が進められています。

新たな環境技術のイノベーション

経済産業省では、「グリーン成長戦略」で取り上げられた14分野について、知財競争力を主要国と比較しました。
過去10年間(2010~2019年)に出願された特許を、各分野の特許数、特許の注目度、排他性などをベースに定量評価したところ、日本は「水素」「自動車・蓄電池」「半導体・情報通信」「食料・農林水産」の4分野で首位となりました。

このことから日本は、比較的高い知財競争力を有していることが明らかになりました。


参考:カーボンニュートラルと地域企業の対応<事業環境の変化と取組の方向性>
参考:「知財」で見る、世界の脱炭素技術(後編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

カーボンニュートラルに向けた企業の取り組み5選

ビル群と青空

エネルギー使用量の把握

二酸化炭素や温室効果ガスの排出量を知るためには、エネルギー購入量・使用量の把握が必要です。エネルギー使用量の推移や比較など、可視化を行うことでカーボンニュートラルに向けた改善点が見つかりやすくなります。

CO2排出量の把握

二酸化炭素の排出量を把握することは、カーボンニュートラルの実現に向けた最初の取り組みと言えます。使用量・排気量の計算から費用の削減に貢献できるだけでなく、二酸化炭素の削減に対して意欲的な姿勢を社員またはステークホルダーに示すことができます。

省エネ対策

節電やLED照明の導入といった省エネ対策は、エネルギーだけでなくコストも同時に削減できます。また省エネ対策は比較的着手しやすい取り組みの1つです。

再生可能エネルギーの導入

自社に設置した太陽光パネルからの電力使用は温室効果ガスの削減になるほか、電気代の節約にも貢献します。また電気代が高騰した際にはその影響を受けにくいなどの利点もあります。

再生可能エネルギー由来の電気の購入

再生可能エネルギーを導入できない場合には、再生エネ由来の電気を購入することが有効です。電力会社や購入する電力のプランを変更するだけで実現できるため、導入にコストが掛からない点がメリットです。


参考:カーボンニュートラル・チェックシート | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
関連記事:カーボンニュートラルへ向けてできること6選-私たちが取り組むべき理由を解説

中小企業によるカーボンニュートラルに向けた取り組み事例4つ

マテックス株式会社|自社の排出削減とエコガラス普及で脱炭素化

マテックス株式会社では「窓をつうじて社会に貢献する」という理念のもと、排出量の見える化、照明のLED化、設備・運用の改善、配送の効率化などに取り組んでいます。
また自社の排出削減だけでなく、エコガラスの普及促進によりスコープ3の削減に貢献しています。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

(引用:環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム

 

協栄産業株式会社|再生材の環境価値で収益力を向上

協栄産業株式会社は、2011年に日本初となるペットボトルからペットボトルへの水平リサイクルを実現しました。
再生PET樹脂は、原油からPET樹脂を製造する場合と比べて約63%のCO2削減を実現します。原油からつくったバージン材と同等の高品質、効率的な回収網の構築などを徹底的に追求するほか、全工場の太陽光発電導入を計画しています。

東洋アルミエコープロダクツ株式会社|環境配慮商品開発・リサイクルで社会課題解決へ貢献

東洋アルミエコープロダクツ株式会社では、使い捨ての食品容器としてリサイクルが比較的容易な素材(紙・アルミニウム)を使用するなど、脱プラスチック素材の提案・販売を行っています。
環境に配慮した製品「eシリーズ」を展開するほか、紙コップの堆肥化の実証実験に参画し、循環型システム実現にも貢献しています。

平野ビニール工業株式会社|環境負荷低減で企業価値の向上へ

SDGs達成に向けた企業活動を支援する投融資「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」の締結にあたり、平野ビニール工業株式会社は静岡銀行から資金を調達しました
ネガティブインパクトとして特定した環境負荷の低減に着手し、排出量の見える化、生産工程における不良の削減、また最新ミシン機等の導入によるエネルギー効率の改善等に取り組んでいます。


参考:カーボンニュートラルと地域企業の対応<事業環境の変化と取組の方向性>
関連記事:カーボンニュートラルへ向けてできること6選-私たちが取り組むべき理由を解説
関連記事:カーボンニュートラルとDXの密接な関係-2つのトレンドの注意点から解決方法を徹底解説
関連記事:《SDGs事例集》脱炭素を目指すデータセンターを地方で|株式会社ハイレゾ

企業がカーボンニュートラルに取り組む4つのメリット

並ぶサラリーマン

企業イメージ・信頼性が高まる

気候変動問題の深刻化が加速するほど、環境面への配慮に注目が寄せられます。近年ではSDGsという言葉が街中でも見られる程になり、マイバック持参や環境に配慮した商品の開発などが進んでいます。こうした中で、カーボンニュートラルへの取り組みを行う姿勢は企業イメージの向上と信頼性の獲得に繋がります。
活動内容の報告や自治体との連携を通して企業の取り組みを示すことで、多くのステークホルダーからの信頼と関心を獲得し、企業の評価を高めることができます。

ESG投資の対象になる

カーボンニュートラルに向けた取り組みをステークホルダーに示すことで、環境・社会に配慮した信頼のできる企業としてアピールすることができます。
とくに、企業をEnvironmental(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の観点から評価するESG投資の対象として、投資家に良い印象を与えることができます。

生産性向上・コスト削減につながる

カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みのなかには、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策があります。
これらの取り組みを実行し、消費エネルギーの削減とプロセスの改善を進めることで経済面でのコストダウン、並びに生産性の向上を図ることができます。

新技術やアイディアが企業の成長につながる

2050年カーボンニュートラルを目指すうえで、企業による挑戦は欠かせません。
排出量の削減に向けた取り組みを重ねることで、新たな社会課題やニーズの発見に期待が持てます。
カーボンニュートラルに向けた活動のなかで生まれる、環境問題に対する新しい技術やアイディアは企業の成長に繋がります。


関連記事:カーボンニュートラル8つの問題点-矛盾している理由から取り組みを紹介

まとめ

本記事では企業によるカーボンニュートラルの取り組みについて紹介しました。

カーボンニュートラルが重視される背景や企業のメリットについて知ることで、カーボンニュートラルに対する認識がより身近になったと思います。

気になるワードや疑問点などありましたら、関連記事などから辿ってみるとカーボンニュートラルの理解が一層深まると思います。

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