カーボンニュートラル8つの問題点-矛盾している理由から取り組みを紹介

#エネルギー#不平等#持続可能#環境#脱炭素(カーボンニュートラル 2022.06.03

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カーボンニュートラルという概念が地球温暖化対策として扱われるようになってきましたが、そのカーボンニュートラル自体にいくつか問題点があることを知っていますでしょうか。

気候危機が加速する中、温室効果ガスの排出をゼロにすることは急務ですが、きちんとカーボンニュートラルの問題点を理解し、根本的に必要な化石燃料からの脱却を実現しなければなりません。

そこで今回は、カーボンニュートラルに潜む問題点について徹底解説し、矛盾している理由から取り組みを紹介します。

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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは|脱炭素社会との違い

「カーボンニュートラル」とはCO2出量を実質ゼロにすることを言います。

似たような言葉として「脱炭素社会」がありますが、脱炭素社会とはCO2排出量ゼロを実現した社会のことを意味します。
しかし、CO2排出量を完全にゼロにするのはかなり難しいことです。

そこで出てきた考え方がカーボンニュートラルです。
実質ゼロとは、プラスマイナスゼロの状態のことで、人間が排出したCO2量と植物が吸収したCO2量がプラスマイナスゼロになる状態を目指すものです。
CO2排出量を減らすこともカーボンニュートラルの取り組みですが、削減しきれなかったCO2を森林などに吸収してもらうために、森林保全や植林活動を行うのもカーボンニュートラルの大事な取り組みです。

なぜカーボンニュートラルが求められるのか

CO2は気候変動の原因となっている温室効果ガスの1つです。
近年、国内外でさまざまな気象災害が発生しています。このまま温室効果ガスを排出し続けると、豪雨や猛暑のリスクがさらに高まり、農林水産業、水資源、自然災害、経済活動への影響も出ると予想されています。
そのような被害を避け、持続可能な社会を目指すためにカーボンニュートラルという概念が必要なのです。

カーボンニュートラルの現状

2021年4月現在、125か国・1地域が2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しています。
日本でも2019年に菅総理が所信表明演説で「2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会を目指す」と宣言しています。
現総理である岸田総理も「2050年カーボンニュートラル」を実現すると宣言しています。これに加えて岸田総理は、2030年度に、温室効果ガスを、2013年比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦していくことを約束しています。

カーボンニュートラルとSDGsとの関係性

カーボンニュートラルを目指していくことはSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に直結します。また、それだけではなく他のSDGsの目標の達成にもつながってきます。以下の図はSDGsとカーボンニュートラル(気候変動問題)のつながりの関連図です。

気候変動による影響は直接的な被害にとどまらず、生態系や経済にまで影響を及ぼします。気候変動の解決ために目指されるカーボンニュートラルは、SDGsに挙げられた17の目標全ての達成につながる重要なテーマなのです。

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カーボンニュートラル3つの問題点

排出基準設定により国家に格差が生まれる

国別のCO2排出量は「生産」ベースで計測されています。しかし、この計測方法だと先進国に有利に働き、開発途上国には不利にはたらいてしまいます。

その理由は、開発途上国ではインフラ整備のためにCO2排出量が増加していたり、化石燃料への依存度が高いことも挙げられますが、先進国の企業がコストの負担軽減のために開発途上国に工場を持つことが大きく影響しています。
また、他国へ輸出する製品の生産過程で排出されるCO2も、工場を持つ開発途上国の排出量として計測されてしまうのです。

本来、エネルギーは製品やサービスの恩恵を得る消費国のために使われるのであり、それを生産国に計上するのは実態を正しく反映しているとは言えません。
先進国は現状よりもさらにCO2排出量を減らしていく、またはCO2を吸収していく必要があるのではないでしょうか。

カーボンニュートラルは検証が難しい

CO2排出基準の設定が難しいことは、その検証も難しくなることを意味します。

例えば、多くの先進国がカーボンニュートラルを達成したとしても、その先進国が開発途上国に工場を持ち、開発途上国がカーボンニュートラルを達成できなかった場合、世界全体ではCO2が増加している可能性は大いにあり得ます。

カーボンニュートラルは世界全体で取り組む問題であり、世界が対立ではなく強調していくことが必要不可欠です。

再生可能エネルギーの導入には発電コストがかかる

洋上風車

日本は2030年にCO2削減目標を26%から46%に引き上げました。
これまでの太陽光発電導入実績から言えば、CO2削減1%あたり毎年1兆円の費用がかかっています。よって単純に計算しても毎年20兆円の費用が追加でかかることになります。

また、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の報告によると2050年のCO2排出ゼロのためのコストは年間約90兆円にもなると試算されています。
日本の昨年度の一般会計は103兆円であり、国家予算と匹敵するような巨額を温暖化対策のためだけに使うのは非現実的です。

原子力発電を活用すれば90兆円から約54兆円に減らせるとの試算がありますが、東日本大震災以降、日本では原子力発電を積極的に増やすというのは難しい現状があります。

再生可能エネルギーの導入にコストがかかっているのは日本だけではありません。
英国の再生可能エネルギー財団は「ヨーロッパにおける累積設備容量が倍増するたびに、英子国の洋上風力のコストは減少するどころか、約15%ずつ増加してきた」と報告しています。
この理由は時間とともに、より海岸から遠く、より深い立地場所を使用することを余儀なくされたためです。

再生可能エネルギー導入は経済破綻を引き起こす可能性を秘めているのです。

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カーボンニュートラルが矛盾していると感じる理由3選

カーボンニュートラル技術は化石燃料の利用を許容している

カーボンニュートラルはCO2排出量を実質ゼロにすれば良いので、化石燃料の使用を許容しているようにも思えます。いつまでも化石燃料の使用を許容していれば、脱炭素社会の実現はいつまで経っても不可能です。

カーボンニュートラルでCO2排出を許容している理由の1つとして化石燃料がもたらす経済の潤いが挙げられます。

例えば米国は石油大国であり天然ガス大国でもあります。米国はシェールガス・シェールオイル採掘技術を開発し、大きな利益を生み出してきました。技術水準は世界でも群を抜いており、シェールガスによって天然ガスの価格は低く安定し、人々の生活を支えています。

  • 化石燃料の使用により温室効果ガスは増加する
  • 化石燃料は経済的であり私たちの生活を支えている

この2つのジレンマに世界は悩まされています。

気候危機や生物多様性の損失といった環境問題を加速させる

再生可能エネルギーが本当に環境に優しいかは古くから異論があります。

風力発電の場合、同じだけのエネルギーを生産するのに火力発電や原子力発電よりはるかに大きい面積を必要とするので、生態系への影響もその分大きいと考えることもできます。

ドイツでは2030年までにあと1400基もの風車を建設する予定でしたが、2019年の1月から6月までの間に設置されたのは僅か35基でした。
その理由は生態系への影響、景観、騒音等の環境問題です。特に風力発電の羽に当たり野鳥が大量死しているのが問題に上がっています。

温暖化した方が気象は穏やかになる

天気図

地球温暖化が起きると気候変動による災害が増えると言われていますが、気象科学者であるリチャード・リンゼン氏は「理論的には、地球温暖化が起きればむしろ激しい気象は減る」と述べています。

理由を以下に掲載します。
「地球が温暖化するときは、極地の方が熱帯よりも気温が高くなる幅は大きい。すると南北方向の温度勾配は小さくなる。気象はこの温度勾配によって駆動されるので、温暖化した地球の方が気象は穏やかになる。」

また氷河期には地球のCO2濃度は180ppm(現在のCO2濃度は410ppm)と低い状態でした。氷河期中、植物は成長できずに大量枯死し、砂塵が地球を舞いました。
これもリチャード氏の説で説明がつきます。
地球が寒いと、南北の気温勾配が大きくなり、気象も激しくなるのです。

カーボンニュートラルはおかしい?意味はない?

「異常気象は温暖化が原因」はウソ

パソコンの画面に映し出されたデータ

地球温暖化によって異常気象が増えていると騒がれていますが、これがフェイクニュースという意見もあります。

例えば台風は増加もせず、強くもなっていないことが統計からわかります。台風の発生は年間25個で一定しており、「強い」以上に分類されている台風の発生数も毎年15個程度であり、増加傾向にはありません。

また、豪雨も観測データでは増えていません。他にも猛暑、山火事などの災害はいろいろありますが何一つとして激甚化したというデータはないのです。

さらには温暖化で海氷が減少し絶滅すると騒がれているシロクマは増えており、海面上昇し、沈没してなくなると言われていたサンゴ礁の島々はむしろ拡大しています。サンゴは生き物なので海面上昇に追随するのです。

メディアではよく大規模災害を地球温暖化のせいにしていますが、そこにははっきりとした因果関係がないのです。

CO2濃度は増えても問題ない

植物細胞

現在の地球のCO2濃度は410ppmであり、これは江戸時代の1.5倍です。その間、地球の気温は0.8度上がりました。
上でも述べましたが、この間のデータをもとに見てみると災害はほとんど増えていません。むしろ緩やかなCO2濃度増加と温暖化は健康にも農業にもプラスだったと考えることができます。

CO2濃度が高くなり、気温が高くなると植物の生産性が上がります。植物のほとんどが630ppmまでであれば、CO2濃度が高ければ高いほど光合成が活発になり、生産量も増します。つまり、CO2濃度の上昇は農業の助けとなり生態系も豊かにするのです。

そもそも温室効果の強さはCO2濃度が上昇するにつれて鈍化していきます。CO2濃度が低い状態だと僅かに増えるCO2によって赤外線吸収が敏感になります。しかし、濃度が高くなるにつれて、赤外線が飽和状態になるのです。既に吸収された赤外線はそれ以上吸収されることはないのです。

これらを踏まえるとこれまでの温暖化はさしたる問題ではなく、今後も同程度のペースで温暖化が進むならカーボンニュートラルは本当に意味のあるものなのでしょうか。

カーボンニュートラルの問題点に対する解決策2選

二酸化炭素排出量を「消費ベース」で測定する

二酸化炭素排出量を消費ベースで測定できれば、先進国と開発途上国での不公正さが解消されるでしょう。
製品が生産された際に排出されたCO2を、その製品が最終的に消費される国の排出量としてカウントすれば、エネルギー使用の実態が明らかになります。
下図は「生産ベースCO2排出量」と「消費ベースCO2排出量」の考え方の違いを示したものです。

経済協力開発機構(OECD)などは「消費ベースCO2排出量」を後押しています。
しかし、消費ベースでの測定でも課題があります。精密なデータが必要となり、統計に5年を要してしまうのです。

参考:CO2の排出量、どうやって測る?~“先進国vs新興国”

「CO2排出量実質ゼロ」を実現するための技術に期待

研究開発している様子

再生可能エネルギーの導入コストが非常に高い現状がある中、私たちの発展を支えてきた化石燃料の使用を今後数十年でゼロにしていくことはかなり厳しいと考えられます。

カーボンニュートラルを目指すためには、無理にCO2排出ゼロを目指すのではなく、CO2吸収に力を入れる方が得策と言えるのではないでしょうか。現代でCO2を吸収するものとして植物の他に、新技術が開発されつつあります。

CO2を吸収する新技術には

  • CCUS(CO2を発電や工場から回収し、地中に埋める)
  • DAC(大気中からCO2を回収し、地中に埋める)

などがあります。

また、化石燃料に代わり、温室効果ガスを排出しない新しいエネルギー源の開発も進んでいます。

  • 合成メタン(水素からメタンを合成して燃料として用いる)
  • 合成石油(水素から石油を合成して燃料として用いる)

CO2を減らすために他の問題が生じても良いとは思えません。これらの技術の発展を待つのも1つの手ではないでしょうか。

参考文献:脱炭素は嘘だらけ|杉山大志

まとめ

今回はカーボンニュートラルの問題点からその解決策まで紹介しました。

カーボンニュートラルにはさまざまな課題があり、カーボンニュートラルが絶対に正しいとは言えません。私たちは時に疑うことも必要かもしれません。

また、カーボンニュートラルの取り組みとして一般的に再生可能エネルギーが挙げられます。再生可能エネルギーの導入は進むべきですが、導入コストのために経済破綻が起きては持続可能な社会とは言えません。

環境問題の解決も大事ですが、同時に私たちの経済活動も重要です。
ある程度のCO2排出は許容してさまざまな技術に期待するという考え方をもつことも大事なのではないでしょうか。

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