SDGs目標1「貧困をなくそう」への取り組みを紹介-貧困問題解決のためにできることとは

#SDGs目標1#教育#貧困 2022.08.30

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SDGsの前身であるMDGsは発展途上国と先進国との格差を是正し、貧困をなくすことを目的としていました。そのため、SDGsにも貧困問題解決や格差是正のための目標が多く見られます。みなさんは実際に貧困問題解決のためにどのような目標が設定され、どのような取り組みが行われているかご存じでしょうか。今回はSDGs目標1「貧困をなくそう」の現状と取組事例を紹介します。

貧困に関するSDGsの目標

SDGs目標1「貧困をなくそう」

SDGs目標1では、世界で貧しい暮らしをしている人をなくすことを目的としています。
また、各国の基準で「貧しい」とされる人の割合を半分に減らすことや、そのための仕組みづくり・対策を実現することを目指しています。
基準として、国際貧困ラインでは、「1日1.9ドル未満で生活をしている人」を貧困と捉えています。
こうした貧困の問題の根本的な解決のためには、世界各国がそれぞれ工夫を凝らすことが必要となります。

SDGs目標1について詳しくはこちら>>

貧困問題の現状

貧困問題は現在世界各国で深刻な問題となっています。
具体的な現状についてご紹介していきます。
h3 世界の現状
世界では、6人に1人の子ども達が「極度に貧しい暮らし」を送っており、5歳未満で亡くなる子どもが年間900万人もいます。そして、その4割は生後1ヶ月に満たない状態で亡くなっています。

具体的な原因として、南アフリカの場合では人種差別や奴隷制度の影響が残ってしまっていること、中東などの場合では紛争が繰り返されていること、その他、自然災害によるダメージなどが考えられます。

日本の現状

ライフラインが充実している日本では、貧困を身近な問題として捉える機会が極めて少ないように思います。

しかし、日本でもひとり親世帯を中心に貧困問題が存在しています。
具体的数値で見てみると、ユニセフの調査では、7人に1人の子どもが貧困に苦しんでいるとされています。これは先進国では比較的高い数値です。

貧困問題の解決に取り組むために

解決に取り組むメリット

貧困問題の原因は上記の通りさまざまですが、貧困が深刻化すると、多くの社会問題が発生します。例えば、経済が安定せず社会の一体感も損なわれるため、政治もうまく機能しません。これらの問題は、情勢不安につながり、紛争などの原因となってしまいます。

また、子どもの貧困問題は特に解決すべき問題です。子ども時代に貧困であると、十分に教育を受ける機会がないため、人格や健康面にも影響を及ぼし、大人になった際にうまく職に就くことができません。その人に子どもが生まれると、世代を超えて貧困が連鎖することになってしまいます。

このような貧困問題に取り組むことで、社会的格差の是正につながり、より多くの人的資本を獲得することができるようになり、国の政治・経済の長期的な安定につながるのです。

もちろん諸問題を未然に防ぐためにも、解決へ向けた取り組みを行う必要があります。
SDGsがもたらすメリットについて詳しくはこちら>>

解決のために企業にできること

解決のために企業が行えることはさまざまです。
具体的に2点ほどあげていきたいと思います。

第一に、フェアトレードを取り入れることです。
フェアトレードとは、開発途上国における原料や製品を構成な価格帯、かつ継続的に購入することで支援するための貿易の仕組みのことを指します。
認証を受けた商品・製品には「国際フェアトレード認証ラベル」が付与されます。

第二に、マイクロクレジット(マイクロファイナンス)を実施することです。
マイクロクレジットとは、貧困層や低所得者層を中心に無担保で少額の融資を行う金融サービスのことであり、SDGsの指標においても、推奨されている制度です。

しかし、取り組みを行う際に留意するべき点があります。
それは、自社の企業理念との関係性です。
企業におけるSDGsへの取り組みは非常に重要であるものの、思いつきや他社の取り組みをそのまま用いた取り組みは、実態が伴わないSDGsウォッシュになりかねません。

SDGsウォッシュを回避し、社会に貢献できる自社ならではの取り組みを行うことが、SDGsの課題解決へ大きく貢献します。
SDGsウォッシュについて詳しくはこちら>>

他にも企業とSDGsの関係性や取り組むメリットについてまとめた記事がありますので、参考にしてみてください。
企業とSDGsの関係性について詳しくはこちら>>
企業がSDGsに取り組むメリットについて詳しくはこちら​>>

私たちにできること

SDGs目標1を達成するために私たちができることとしてまず、寄付が挙げられます。

ユニセフやチャイルドファンドジャパンなどでは発展途上国の子供たちを支援するための寄付を呼びかけています。ユニセフへ寄付することで小学校へ通学できる子どもが4倍になったり、安全な水を得ることができるようなシステムが構築できるようになったりします。
チャイルドファンドジャパンでは、一人の子どもの成長を見守るをテーマに現地の子ども1人とつながり、手紙や成長の記録を共有しながら、その成長過程を共にすることができるプログラムを行っています。

他にも、国際フェアトレード認証ラベル製品の購入を心がけたり、貧困支援のためのボランティア活動に参加したりすることで簡単に貢献することができます。
個人でできるSDGsへの取り組みについて詳しくはこちら>>

貧困問題への取り組み

ここからは実際の取り組みについてご紹介していきたいと思います。

海外の取り組み4選

アメリカ|所得保障プログラム

​​アメリカでは、日本と比較して社会保障制度が充実しています。
2021年には、シカゴ市においてアメリカ最大規模のベーシックインカム・プログラムが承認されました。
このプログラムは、低所得の5000世帯に対して毎月500ドル1年間給付するというものです。
カリフォルニア州ストックトンでも同じプログラムが実施されており、参加者の失業率が低下し、精神的な健康状態も改善されたという結果が得られています。

セーブザチルドレン

1919年に創設されたセーブザチルドレンでは、全ての子どもたちが健やかに生きていくための権利を守る活動を目的に取り組みが行われています。
教育機会の提供や防災支援、健康保護などさまざまな方向性からの支援を行っています。
ちなみに、2030アジェンダ中に含まれている「社会のすべての部分で満たされるように」という一説は、セーブザチルドレンを中心とした働きかけにより追加されたものになっています。

赤十字国際委員会(ICRC)

1863年に創設された赤十字国際委員会では、支援・保護・予防・連携の4つの柱を掲げ、活動を行っています。
食糧支援や医療支援、金銭的支援などを中心に支援活動を実施しています。
さらに、国際人道法に従って、その普及活動を行ったり、事前に被害を防ぐ啓蒙活動を行ったりしています。

ユニリーバ

ユニリーバは、2022年の「Global 100」において78位を獲得しています。
インドやフィリピン、パキスタンなどで小売流通業、小売店業向けプログラムを行っています。
現地の人々に職を提供し、世帯収入の増加に貢献し、経済的・社会的自立を促しています。

日本の取り組み4選

TICAD|アフリカへの国際援助

TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略で、アフリカの開発を目的とした国際会議です。
日本政府の主導で行われているこの会議は、国連や国連開発計画、世界銀行、アフリカ連合委員会が共同で開催しています。
日本や他国の取り組みを共有し、その実施状況の確認、フォローアップシステムの構築を行っています。
そのような支援はアフリカで絶大な評価を得ています。

おてらおやつクラブ

奈良県の特定非営利活動法人おてらおやつクラブでは、2014年からお寺において仏様やご先祖様へ向けたお供え物を子どもたちへおすそ分けするという形で支援活動を行っています。
この活動は現在全国に拡大しており、全国980寺院、393団体にまで拡大しています。

子ども食堂

NPO法人や地域住民を中心に運営されている貧しい子どもたちに食事を提供するコミュニティです。
この取り組みは貧困に悩まされている子どもたちの支援に繋がるためだけでなく、地域での交流を促すことにも貢献しています。

UCC上島珈琲株式会社

企業においても取り組みは実施されています。
UCCが取り組んでいる具体的な取り組みとしては、高品質なコーヒーを生み出す名門農園「ブラジル ラゴア農園」での取り組みがあります。
限定的な労働になってしまう収穫作業を行う労働者の通年雇用、居住地の提供、生活環境のサポートを実施しています。

まとめ

貧困問題は非常に深刻な状態であり、一刻も早い解決が求められています。
企業であれ、個人であれ、一人ひとりが自分にできることを考え、行動を積み重ね、貢献していくことが課題の改善に直結します。
上記の内容を参考にぜひ行動してみてください。

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