SDGs目標9達成のための解決策とは-具体的な解決策から企業の事例まで網羅

#SDGs目標4#SDGs目標8#SDGs目標9#技術 2021.12.02

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【更新日:2022年12月4日 by さわちゃん

SDGs9には未だに多くの課題がありますが、、具体的にどのような解決策があるのかみなさんは知っていますか?

最新技術が進む国がある一方で、発展途上国ではインフラが安定していなかったり、技術革新が遅れていたりと、未だ多くの課題が解決されていないのが現状です。

これらの課題を解決することは、人々の生活を豊にすることに繋がります。

ここではこのSDGs目標9に焦点を当て、具体的な解決策をご紹介し、解決策に取り組む理由についてもご紹介します。

【この記事でわかること】

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とは?

SDGs目標9の概要

目標9は「強靭なインフラ構造、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」のテーマをもとに8個のターゲットで構成されています。

SDGs目標9ではインフラ・産業・イノベーションの3つの要素から成り立っており、私たちの生活と技術革新の基盤を作り上げることを目的としています。

SDGs CONNECTではSDGs目標9について詳しく解説した記事を公開しています。
詳しくはこちら▼

世界の現状や課題

目標9の世界の現状として、先進国と発展途上国でインフラ・産業・イノベーションにおける大きな格差が生まれていることがあげられます。

先進国に比べ発展途上国では、水道、電気、ガス、交通、インターネット等の「インフラ」を使用することが困難な状況にあり、生活に困っている人々が大勢います。

例えば、全世界で25億人が基本的な衛生施設を利用できていないほか、水資源にアクセスできない人々もほぼ8億人近くに上っています。そのうち数億人がサハラ以南アフリカと南アジアに暮らしています。

出典:持続可能な開発のための2030アジェンダ採択 — 持続可能な開発目標ファクトシート

では、​​SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」にはどのような課題があるのか観ていきましょう。

全世界で25億人が基本的な衛生施設を利用できていないほか、水資源にアクセスできない人々もほぼ8億人近くに上っていますが、そのうち数億人がサハラ以南アフリカと南アジアに暮らしています。
開発途上地域では、約26億人が安定的な電力供給を受けていません。
信頼できる電話サービスを受けられない人々は、10億人から15億人に及びます。
低所得国をはじめ、多くのアフリカ諸国では、インフラの未整備により、企業の生産性が約40%損なわれています。

出典:持続可能な開発のための2030アジェンダ採択 — 持続可能な開発目標ファクトシート

このように、インフラ設備だけではなく、技術革新への投資についても先進国と発展途上国とで足並みを揃えられていないことがいえます。

SDGs目標9の日本の現状

これまでの成果

日本のこれまでの成果は、高いインターネット普及率と水道普及率でしょう。

インターネットの普及率は91.1%と高い数値を記録しています。

また、水道普及率に関しても1980年度以降は安定して90%以上の普及率を誇っており、世界トップレベルのインフラ整備が整っているといえます。

グラフ

出典:総務省|令和元年版 情報通信白書|インターネットの利用状況

グラフ

出典:水道の基本統計 |厚生労働省

前年度と比較してみるとすべての指標において順調に進んでいるという結果が出ています。
SDGs達成という評価が出ている指標もあるためこのままを維持しつつ、さらに成長をしていってほしいです。

参考:Japan

今後優先すべき課題

インターネットは今や広く普及しているように見えますが、実は世界的に見ると世帯年収や地域によって普及率が大きく変わります。インターネットの利用格差が発生してしまっている現状に目を向け、改善する必要があります。

また、災害が多い日本において今後の大きな課題としては、早期復旧ができるインフラや災害の影響を受けにくいインフラを開発し、設置することが挙げられます。

▼関連記事
SDGs目標9の現状とは?|現状から課題解決のための取り組み事例まで徹底解説 | SDGs CONNECT

SDGs目標9の解決策に取り組むべき3つの理由

SDGs目標9達成のための解決策をご紹介する前に、私たちがなぜ目標9達成に取り組むべきなのか、その理由について解説していきます。

新たな雇用機会を提供できる

インフラと技術革新への継続的な投資は、経済成長と開発には欠かせない要素であり、新たな雇用機会の創出へと繋がります。

人々の生活の基盤であるインフラが整備されることで、より理想の生活を実現すべく、働くことに対する意欲が増大します。すると、それに伴って企業の生産性が上がり、生産性の上がった企業には雇用が生まれます。

新たな人材が加われば、新しい技術やデザインが生まれ、現地企業で新たなイノベーションなども生まれる可能性があります。

発展途上地域における生涯学習機会の促進

冒頭でもご紹介した通り、先進国と発展途上国とでのデジタル格差は大きな問題となっています。現在も、約40億人がインターネットを利用するのが困難と言われており、その内の90%は発展途上国に暮らしています。

インターネットの利用が困難な人々へも情報と知識への平等なアクセスを確保することが可能となれば、情報社会に対して大きな変化を与えることが予測されます。参加する人が増えれば増えるほど、市場全体の動きが活発となり、さらなる発展が期待できます。

また、新たな雇用が生まれるという観点からも、家族全体で安定した生活を確保することが可能となり、貧困から脱却することで学校に通える子供たちが増加します。
インターネットを用いての情報や知識が学べたり、直接学校へ通うことで教育を受けられたりと、誰もが平等に学習することができる環境を届けることが可能になります。

出典:​​SDGs|目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう|強靭なインフラとは?

複数のSDGs目標が実現につながる

上記2つの理由は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」と目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に大きく貢献しています。

つまり、SDGs目標9におけるインフラ・産業・イノベーションを整備することは、目標9以外のSDGs達成実現に向けて、とても大切な基盤であると言えます。

SDGs目標9達成に取り組むということは、複数のSDGs目標を実現することに繋がっています。

SDGs目標9達成のための3つの解決策

では、SDGs目標9を達成するためにあげられる具体的な解決策をみていきましょう。

発展途上国に対する資金・テクノロジー・技術面での支援

1つ目に、開発が遅れている国々である発展途上国などに対して、資金・テクノロジー・技術を提供するという解決策があげられます。

例えば、「資金」、「技術」、「能力構築」に関する途上国への支援の形に、ODAというものがあります。ODAとは、開発に必要な資金、技術、能力などを開発途上国に対し提供する取り組みのことで、政府や政府関連機関が主体となって行う活動を指します。

ODAを用いて発展途上国に対して資金・テクノロジー・技術面での支援を強めて、持続可能なインフラの開発を進めてもらいます。

出典:開発途上国への支援から見るSDGs~目標17.パートナーシップで目標を達成しよう~|アピステコラム|冷却・防塵・放熱など熱対策ならアピステ

SDGsに貢献する「価値のある商品を創り出す」ための政策を整える

2つ目は、発展途上国の国内に焦点をあて、SDGsに貢献する商品を創り出すための政策を整えるという解決策です。

引用:​​Watly

SDGsに貢献する商品として「watly」という商品をご紹介します。「watly」とは太陽光発電して電気を貯めて共有できるのはもちろんのこと、貯めた電気を使って不衛生な水もクリーンで安全な飲み水にしてくれるものです。

SDGsに貢献する、「価値のある商品」を創り出すための政策を整えるという解決策に取り組むことで、「watly」のような技術革新の結晶が生まれ、結果的にSDGs目標9だけでなく、SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の解決策にも繋がります。

出典:SDGs|目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう|強靭なインフラとは?

安い値段で誰もがインターネットを使えるようにする

3つ目は、安い価格で誰もがインターネットを使えるようにするという解決策です。

世界には、約37億人もの人々がインターネットにアクセスすることができておらず、発展途上国でも特に農村部で暮らす人々の17%が携帯電話の電波が届かないところで暮らしています。

先進国では技術的な革新が生まれる一方で、発展途上国ではたくさんの人々が技術革新の恩恵を受けられないといったケースが多いです。インターネットをこれらの地域で使用することができれば、教育を受けるのが困難な子供たちを解消することができ、さらに多国間で連携することも可能になります。

そのためにも、安い値段で誰もがインターネットを使える環境作りが、今後SDGs9を解決するための重要なテーマになります。

出典:9.産業と技術革新の基盤を作ろう

国際機関や企業が行なっている解決策

グローバル・インフラストラクチャー・ファシリティー(GIF)

GIFは、投資や開発途上国においての雇用創出や貧困削減に向けてインフラを整えるプロジェクトを実施するという解決策に取り組んでいます。

GIFとは、民間金融機関及び機関投資家によって設立されたもので、一企業では実行不可能で複雑な事業を達成するための協調を促進するプラットフォームです。

持続可能な社会基盤への投資は、産業の生産性向上や都市開発、貧しい内陸国における国際貿易の足掛かりの提供、気候変動対応型社会への移行を促進することに繋がりますが、先進国と比べ途上国の人々は安定したインフラサービスをまともに受けられていないのが現状です。

この途上国・新興国におけるインフラ投資需要を満たすには年間1兆ドル以上の追加投資が必要になります。しかし既存の公的セクターなどの財源では十分ではなくファイナンス上の課題がありました。

民間金融機関及び期間投資家が、このギャップを埋めるべく設立したのがグローバル・インフラストラクチャー・ファシリティー(GIF)であり、金融面で持続可能な社会基盤を整えるための解決策となりました。

出典:グローバル・インフラストラクチャー・ファシリティー

電気自動車の開発|トヨタ自動車株式会社

大手自動車メーカーであるトヨタは、自動車の排気ガスが地球温暖化に影響することを受け、先進的に電気自動車の開発を行なうという解決策に取り組んでいます。

また、自動車の安全性を追求するために使われるバーチャル人体モデルTHUMSのデータも無償で共有し、全世界の誰でもアクセスができるようにしました。無償でアクセスを共有できることで、発展途上国でのイノベーション開発に大きく貢献していることがわかります。

国際機関や企業が行っている解決策について、SDGs CONNECTでは具体的な事例を詳しく解説した記事を公開しています。

▼関連記事
【SDGs目標9】企業の取り組み事例7選|世界や日本の取り組みまで網羅

解決に向けて私たちにできること

世界のインフラについての事情を知る

もちろん日本のインフラについて知ることも大切ですが、世界のインフラにも目を向けることが重要です。

日本のインフラは、世界に比べれば充実していますが、それが当たり前となってしまっている私たちにはその重要性がいまいち理解できていません。

そのため、世界に目を向けることで日本のインフラについて考えるきっかけになると思います。

災害復旧に募金をする

日本は災害が非常に多い国です。

災害の危険性やその深刻な被害については、身を持って体感している人が多いと思います。
インフラの早期復旧にも費用が掛かるため、災害復旧に募金をすることで、少しでも復興支援の役に立つことができます。

募金をすることで、災害を自分事として捉えることができ、災害やインフラについて考える良いきっかけになります。

災害が起きた時のために備えておく

事前の備えは自身の身を守るだけでなく、復旧までの間インフラを圧迫しないためにも重要です。

災害が起きた時の万が一に備えて、発電機の活用をしておいたほうがいいです。

災害の発生時に電力の供給が止まってしまう場合があります。そのような時の為に防災時にも特に便利な「インバーター発電機」の活用をおすすめします。

インバーター発電機は、電力の波形を一定に整え安定した出力のできる装置なので、家庭のコンセントと同様にパソコン、テレビ、電子レンジのような精密機械への使用も可能になっています。

持ち運びも容易なので、ぜひ準備しておいて見てください。

そのほかにも災害時に役立つのは、防災バックなどです。簡単な携帯食料や水、タオルなどを小さなバックにまとめておけば、安心できます。

ぜひ、こちらも準備しておいてください。

まとめ

産業と技術革新をより発展させていくためには、先進国だけではなく発展途上国に対してもインフラ整備や技術革新を継続的に支援する解決策が必要であることを認知していただけましたでしょうか。

将来的に、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は世界中の国々が発展しより豊かな暮らしを実現するためにも重要なテーマであり、これから先進国と発展途上国とで足並みを揃えることがますます重要になります。そのためにも、一人ひとりが解決策に取り組むことが、達成実現に向けた初めの一歩となるのです。

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