心の底から「心地よい」と思えることは何か?|アースデイ東京2021

2021.05.31

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引用:アースデイ東京公式ホームページ

4月22日は地球について考える「アースデイ」。今年はアメリカのバイデン大統領の呼びかけで各国政府の首脳会談「気候サミット」が開催されたこともあり、世界各地でイベントや取り組みが盛り上がりを見せた。

代々木公園や宮下公園を中心に毎年開催されている「アースデイ東京」は、コロナ禍の状況下でもオンラインを最大限活用することで、4月17日(土)から4月25日(日)の9日間に渡って開催された。

今回は「アースデイ東京2021」で開催されたイベントの1つである「SDGs体感、行こうよ スリランカ!」の様子をレポートする。ワールド・ワンピープル協会の藤倉さんと姫田さんにZoom交流会で話を聞いた。

「ひとつの世界・ひとつの人類」を理念に活動を開始。スリランカの豊かさに心を揺り動かされ、虜になった

提供:ワンワールド・ワンピープル協会

ワンワールド・ワンピープル協会(OWOP)は、「ひとつの世界・ひとつの人類」を理念に、「世界中のすべての人々にとってうまくいく世の中」というビジョンを掲げ、その実現に向かって活動をしているNGO団体だ。

活動内容の目玉は、スリランカでの教育支援や農村の自立開発支援。毎年8月には、ホームステイをして村の人達と一緒に井戸を掘り、幼稚園やトイレを建投し、完成を共に喜ぶスタディーツアーも開催している。

ーどんな方が活動に参加されているのですか?

学生主体ではありますが、最近では定年退職をされた方やお子さんを連れて参加する方など、年齢層はかなり幅広いです。中には80~90代の参加者もいたりします。

ーどうしてスリランカで活動されているのですか?

ワンワールド・ワンピープル協会を立ち上げたのは、鈴木前会長を中心とした数人のサラリーマンでした。

『カントリーロード』で有名なジョン・デンバー氏がアメリカのアスペンで毎年夏に開いていたシンポジウムに参加し、「あなたは次の世代にどんな地球を遺しますか」と問われて胸を打たれたことが、立ち上げのきっかけだそうです。その言葉を胸に日本に帰国し、1990年には「第一回アースデイ東京」の企画メンバーとして活動しています。

その後、前会長は再びアスペンのシンポジウムを訪れ、スリランカのサルボダヤ・シュラマダーナ・ムーブメントを主導するアリヤラトネ博士に出会って意気投合しました。「自立」を重視するビジョンに共感し、日本でバザーを開催するなどして寄付金をスリランカに送り続けていたのですが、現地から送られてきた写真に写る子どもたちの素敵な笑顔を見て、1993年にスリランカでボランティア活動をする決心をします。

そのとき現地を訪れたメンバーが、スリランカの人々の優しさに心を揺り動かされ、活動を続けることを決めました。形容する言葉が見つからない、老若男女が心の底から感謝する誇り高き姿。その優しさに、落涙するほど感銘を受けたんです。

明日を生きるための食事を目の前の客人に何の惜しげもなく差し出す。そんな人たちの優しさに触れ、「ここの人たちはちっとも貧しくなく、むしろ日本人よりはるかに豊かだ」と感じたそうだ。

スリランカの”シュラマダーナ”に触れながら、「行き当たりばっちり」でくらしを紡いでいく

提供:ワンワールド・ワンピープル協会

ワンワールド・ワンピープル協会の活動のキーワードとなってくるのが、サンスクリット語の”シュラマダーナ“。日本語に直訳すると”共同作業”に近い意味合いだそうだ。みんなが1つの場所に集まり、それぞれができることを自分で見つけ、生活を豊かにしていく。現地の文化に溶け込んで行われる活動内容について聞いた。

ースリランカでトイレや井戸を作っていると聞きました。現地での作業はどのように進んでいくのでしょう?

スリランカの人たちには時間通り動くよりも大切なものがあるようで、なかなか作業は進みません。現地で井戸を掘ろうと意気込んでいた人は、「どうして始まらないんだろう」と首を傾げるはずです。作業の開始を待っていると、お茶やお菓子がその場に集まっている人たちに配られたりもします。みんなが”いる”ことによって幸せが生じる。それが皆を活かすシュラマダーナの目に見えない大切な考え方だからなんです。

日本からスタディーツアーでスリランカにやってきた人たちは最初、この雰囲気に違和感を感じて戸惑ったり、怒ったりします。それでも、現地で時間を過ごすにつれて、参加者は自らできることを見つけ出し、行動を起こすようになります。それは子どもの遊び相手をすることでも、現地の人たちと談笑することでも構いません。そうやって、プロジェクトは少しずつ動き出すんです。これを私たちは「行き当たりばっちり」と呼んでいます。

ースリランカの人たちと交流すると、人生観が大きく変わりそうですね!

イベントブースのテーマに「SDGs体感!」とつけたのは、世の中には言葉だけでは伝えきれないことがたくさんあって、やはり自身で体験しなくては分からないことがあるからなんです。SDGsを座学で終わらせるのではなく、身体で学び、人と心を通わせるプロセスを大切にしてほしいと思っています。

人と人との関係性を織りなしていくことは、サステナブルの原点にある概念なのではないでしょうか。それぞれの存在を尊重し合って、「その場に”いる”ことがうれしい」という感覚を共有することが大切です。

言葉は大切なものではあるけれども、言葉だけでは伝えきれないもどかしさがある。だから「一緒に行こうよ」とここを訪れる人たちには訴えるようにしているんです。

SDGsを”学ぶ”で終わらせてはいけない。言葉にできない大切なことを感じ取り、本当にやりたいことに取り組んでほしい

提供:ワンワールド・ワンピープル協会

ワンワールド・ワンピープル協会が発足したのは1987年。SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)が採択された2000年よりも前から、サステナブルにつながる活動を続けてきた。ここ数年で盛り上がりを見せているSDGsのムーブメントを同協会のお二方はどう捉えているのだろうか。話を掘り下げてみた。

ー”SDGs”という言葉が生まれる前から活動を続けられてきたと思います。近年の取り組みの広がりを見て、どう感じていますか?

MDGsが目標として掲げられていたときには、世間にサステナブルの概念がまったくと言っていいほど浸透していませんでした。SDGsがここまで普及したのは、新型コロナウイルス感染症の流行という時代に大変革をもたらす事態が発生したからではないでしょうか。

資本主義社会で利益を追求する企業も、今ではSDGsという標語を使いながら、各々の特性を活かしてできることに取り組んでいます。それ自体はとても良いことだと思っています。

ー私たちはSDGsにどのように取り組むべきでしょうか?

この前、私たちのブースにSDGsをテーマに勉強している中高生がインタビューに来てくれたのですが、学生の質問に受け答えする中で「SDGsは学ぶことではないぞ」と感じました。SDGsで掲げられているゴールやターゲットを見ると、”学ぶこと”ではなく”行うこと”ばかりが書かれているからです。

あの日インタビューに来てくれた高校生4人のうち、1人は自分の言いたいことを口にできずにその場を去りました。それでも、その学生は後でブースに戻って「人とつながる大切さをいろんな人に伝えたい」と話を聞きに来てくれたんです。最初は自分で行動を起こす勇気がなかったけれど、勇気を振り絞って自分のビジョンを語れるようになりました。

言葉にできない大切なことを心の底で感じ取ることで、やりたいことが自ずと出てくる。みんなが本当にやりたいことを語りだし、行動を起こすようになる。その循環がSDGsであり、サステナブルの原点だと思います。現地での生活や私たちの行動を通して、それが起きるのが嬉しくて仕方がないんです。

『星の王子さま』に出てくる台詞「かんじんなことは、目に見えないんだよ」は有名ですが、まさにこの考えを表していると思います。スリランカで井戸を掘っているときでも、日本でこういったイベントブースを開いているときでも、ここを”大切なもの”を感じ取れる場所にできたらいいですね。

まとめ

4月22日アースデイを記念して開催された「アースデイ東京2021」。オンラインとオフラインを横断した学び・行動の場を数多く提供してくれた。

「SDGsは”学ぶ”で終わらせてはいけない」。日頃からSDGsの情報発信を心がけている私は、ワンワールド・ワンピープル協会の藤倉さんと姫田さんの言葉を聞いて強く胸を打たれた。

これまでサステナブルに関心があった方もそうでなかった方にとっても、自分にできることを見つけるきっかけは、常に身の回りに転がっているものだ。心の底から”心地よい”と思えることは何だっただろうか。今一度、考え直してみるのもいいかもしれない。

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