SDGs6「きれいな水とトイレを世界中に」問題点や取り組みを徹底解説

#SDGs目標6#再利用 2021.02.12

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【更新日:2023年2月6日 by 田所莉沙

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人々の水と衛生施設の利用可能性と持続可能な管理を確保するために設定されました。途上国では、安全な水や衛生的なトイレを利用できないことで、毎年、多くの人が命を落としています。

世界では安全な水やトイレに関して、どのような問題が起こっているのでしょうか。また、水問題の解決策や、私たちにできることは何でしょうか。

この記事では、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」の概要を詳しく解説し、水問題の現状や、日本と世界の取り組みについて詳しく解説します。

【この記事で分かること】※クリックするとジャンプします。

見出し

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」とは

皆さんはSDGs目標6について、どのくらいご存知でしょうか。

まずはSDGs目標6の内容や、達成のために設けられたターゲットについて、まとめていきます。

SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」の内容

SDGs目標6は「安全な水とトイレを世界中に」では、世界中の人が毎日きれいな水やトイレを利用できるような環境を整えることを、テーマにしています。

世界の中でもアフリカ大陸や南アメリカ大陸、アジア大陸に位置する国々では、安心して飲める水が多くありません。とくにサハラ砂漠周辺で暮らす人々は、水を得るために長時間移動したり、汚れた水を使用したりすることもあります

水道水をそのまま飲める国は、多くありません。日本以外にもフィンランドやスウェーデンなどの北欧や、ニュージーランドでは飲むことができますが、その他の国では飲めません。すべての人が安全な水を確保できるようにする為には、安全な水を供給する水道の整備が必要です。

さらに発展途上国では安全な水が不足しているだけではなく、トイレなどの衛生設備も不十分です。そのため屋外で用を足す人が、多く存在します。屋外排泄は、環境だけではなく人々の健康にも悪影響を与えます。

すべての人が健康でかつ、安心・安全な水を利用できるよう、SDGs目標6は定められました。

SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」のターゲット

SDGs目標6では、8個のターゲットが設けられています。どのターゲットにおいても、すべての人が安全な水を確保し、利用できることを目指して設定されています。

SDGs目標6を達成するために、世界各国で水道普及率を高め、安心・安全な水を確保できるよう取り組んでいきます。また各地でトイレ整備を整えることで、屋外で用を足す人を減らすことを目指しています。

そのほかにも汚染や有害な化学物質の流出を削減するなど、水質汚染の改善にも取り組んでいきます。SDGs目標6のターゲットに関する詳しい内容は、下記の通りです。

6.1 2030年までに、すべての人々が安全で安価な飲料水を、利用できるようにする。
6.2 2030年までに、すべての人々がトイレを利用できる環境を整え、屋外で用を足す人がいなくなるようにする。また女性や女の子などにとって必要なことに対し焦点をあて、とくに注意を払う。
6.3 2030年までに、有害な化学物質が流れ込むことを最小限にし、汚染を減らし、ゴミが捨てられないようにする。また処理されないまま流す排水を半分に減らし、世界各国で安全な水の再利用を広く普及させる。これらの取り組みを通じて、水質の改善を目指す。
6.4 2030年までに、水を効率よく使用できる環境を整え、淡水を持続可能な形で利用する。これにより水不足に苦しむ人の数を大きく削減する。
6.5 2030年までに、山や森林、湿地や川、地下水を含む地層・湖に関係する生態系を保全し、回復させる。
6.6 2020年までに、山地・森林・湿地・河川・帯水層・湖沼などの水に関連する生態系の保護し、回復を行う。
6.a 2030年までに、集水・海水から真水をつくる技術・水の効率的な利用・排水の処理・リサイクル・再利用技術など、水やトイレに関連する活動への国際協力を増やす。協力を増やすことで、発展途上国が技術に対応できる力を高める。
6.b 水とトイレなどの衛生面において、徹底的に管理できるようにコミュニティの参加を推奨し、強化する。

参照:外務省公式サイト

SDGs目標6が必要な理由

ここまでSDGs目標6の内容や、ターゲットについてまとめていきました。

次にSDGs目標6が必要な理由について、解説していきます。

安心・安全な水を普及させる

「水」は私たちが生きていくうえで、とても重要なものです。「水」は人間の体のうち3分の2を占めており、体温調節や老廃物の排出など、生命維持のために消費されています。

「水」がとても私たちの生命に関わるものであるにもかかわらず、世界の一部の国では「水」を確保することが困難です。とくにサハラ砂漠以南で暮らす人々は、生きるために汚れた水を飲む場合もあります。

もし汚れた水を飲むと下痢を起こしてしまい、免疫力の弱い子どもは、命を落とす可能性もあります。また身体を清潔に保てないことが原因で、肺炎などの病気にも感染しやすくなります。

世界中の人々が、安心で安全な水を飲むことができる環境を整えるために、SDGs目標6を達成することが必要です。

あらゆる場所にトイレを設置する

アフリカ大陸や南アメリカ大陸に位置する国々など、発展途上国においてトイレが設置されている場所も少ない現状です。そのため屋外で、用を足さなければなりません。トイレが使える環境がないのは、健康状態に悪影響を与えます

まず屋外で用を足すことで、排泄物に含まれる細菌が侵入し、下痢などの感染症にかかってしまいます。とくに子どもが病気にかかってしまった場合、免疫力が弱いため重症化する可能性もあります。

また女性にとって、トイレを使用できないことは致命的な問題です。たとえば外で他の人に見られないよう暗くなってから用を足しに外出されることで、襲われるなどがあります。そのほかにも月経を迎えた女の子が、トイレがないことが原因で学校を辞めることもあります。

すべての人の健康のためにも、屋外で用を足すのではなく、トイレを使用できる環境を整備することが重要となります。

世界の水問題の現状と問題点

ここまでSDGs6が必要な理由について、まとめていきました。

続いて世界各国で発生している水問題の現状や問題点について、説明していきます。

途上国では水不足が深刻化している

まずアフリカ大陸や、南アメリカ大陸などの発展途上国で暮らす人々は、生活に必要な水が不足しています。2020年において、20億人は安全に管理された水が飲めていません。

アフリカ大陸の中でも、南アフリカでは水道が管理されているため、水道水を飲めます。しかしそれ以外の国では、水の確保が困難となっています。このように地域ごとに格差があるのは、インフラ整備の有無が大きく関係しています。アフリカでは経済的な理由により、浄水設備や井戸のような貯水設備が整っていません。

仮に井戸のような貯水設備があっても、管理がしっかり行われていないことから、不衛生な水になってしまいます。発展途上国における水不足を解決するためには、まずインフラなどの環境を整えることが重要です。

7億7,100万人が安全に管理された飲み水を使えない

水道が普及していても、世界の一部では安心・安全な水が飲めない国もあります。また管理されている水であっても、水を得るのに往復で30分以上の時間を必要とする場合もあります

世界のなかでも7億7,100万人の人々は、限定的な飲み水や改善されていない飲み水、地表水を利用しています。この数はとくにサハラ砂漠以南の国々やアジア大陸、東南アジアなどの国々の人々が大多数を占めているのです。

私たちが生きていくためには、「水」が不可欠です。そのためすべての人が簡単にかつ、安心・安全な水を利用できるよう、環境を整える必要があります。

安全に管理された飲み水 自宅で必要なときにすぐ入手でき、排泄物や化学物質によって汚染されていない飲み水。
基本的な飲み水 水を得るのに住宅から往復30分程度必要になるものの、排泄物や化学物質によって汚染されていない飲み水。
限定的な飲み水 水を得るのに自宅から往復30分以上の時間が必要になるものの、排泄物や化学物質によって汚染されていない飲み水。
改善された飲み水 人や動物の排泄物や、化学物質によって汚染されていない飲み水。また井戸などの貯水設備によって貯蔵されている水。
改善されていない飲み水 川・ダム・湖・池・小川・運河・灌漑用運河など、管理されていない水。

参照:日本ユニセフ協会公式サイト

36億人がトイレなど基本的な衛生設備を利用できない

世界には、きちんと整備されたトイレを利用できない人も存在します。2020年において、世界で36億人がトイレを使用できていません。このうち4億9,400万人は、道端や草むらなどの屋外で用を足しています。

トイレなどの衛生設備は、2000年以降に設備が整えられてきました。2000年と比較すると、2020年において世界で安全に管理されたトイレを利用できる人の割合は、26%増加しています。しかしいまだに都市部と農村部との間で、格差があります。そのため農村部において、屋外で用を足す人の割合が全体の92%でした。

すべての人が健康に生きていくためには、トイレなどの衛生設備の管理も必要です。

安全に管理された衛生施設 排泄物が一定の場所に蓄積されることなく、清潔に処理されるトイレ。またトイレを複数の家庭が共同で使うのではなく、各家庭で所有できている衛生施設。
基本的な衛生施設 複数の家庭で共有されておらず、衛生的に排泄物が処理される衛生施設。
限定的な衛生施設 複数の家庭で共有している、衛生的に排泄物が処理される衛生施設。
改善された衛生施設 人間の手で排泄物を処理するのではなく、衛生的に処理されるよう設計された衛生施設。
(例) 下水あるいは浄化槽につながっている水洗トイレ
足場付ピットトイレ、コンポストトイレ
改善されていない衛生施設 人の手によって排泄物を処理する必要があり、衛生的に管理されていない衛生施設。
(例)  足場がないピット式トイレ
池や川の上に設置され、排泄物がそのまま落ちる方式のトイレ
屋外排泄 道端・野原・森・やぶ・水域・海岸などの屋外で排せつすること。

参考:日本ユニセフ協会公式サイト

毎日800人の子どもが不衛生な水が原因で亡くなっている

発展途上国における不衛生な水の使用は、子どもたちの命にも大きく影響しています。発展途上国などで暮らす子どもたちは、生きるための水を確保するため、汚れた水を利用しています。

しかし、池や川、管理されていない井戸など、汚れた水を利用することで免疫力の弱い子どもは下痢などの感染症にかかってしまい、命を落としてしまいます。現在は毎日800人以上年間で30万人以上の子どもたちが、汚れた水が原因で亡くなっています。

下痢などの病気は、環境を整えれば感染者を減らせるものです。世界の子どもたちが生きるために飲んだ水で命を落とさないよう、水の管理を徹底することが大切です。

日本のSDGs6に関する現状と問題点

ここまで世界における水問題やその現状について、まとめていきました。

日本は水道普及率も高く、トイレなどの衛生設備も整えられています。では日本におけるSDGs目標6の達成度は、どのようになっているのでしょうか。

次に、日本における水道普及率や衛生設備の設置など、SDGs目標6の達成度について解説していきます。

日本の水道普及率は98%|一方で、水道管の老朽化が進んでいる

日本における水道の普及率は、2021年の段階で全体で約98%でした。とくに東京都や大阪府では、水道の普及率が100%となっています。日本の中でも熊本県が一番普及率が低く、約88%となっていますが、インフラ整備が遅れているわけではありません。

熊本県では、地下水に恵まれており、家や集合住宅が井戸を所有していることが多いです。そのため各々の持つ井戸の水を生活用水として、用いています。

また日本では、水道の管理が徹底されているため、水道水を直接飲むことができます。これらのことから、日本の水道普及率は充分であると言えます。

しかし高度経済成長期に整備された水道管の多くが、更新時期を迎えています。災害が起きた際に、老朽化した水道管は断水などの二次災害を引き起こしかねません。大規模な被害を防ぐためにも、水道管の管理をしっかり行うことが大切です。

日本の住宅の80%に水洗トイレが設置されている

水洗トイレ」とは、水道管を接続し、流水によって排泄物を洗浄するものです。流水を用いて洗浄するため、衛生的に利用できます。2020年における日本の水洗トイレの普及率は約80%と、高い数値となっています。

日本において水洗トイレが普及したのは、昭和時代の頃です。その後、技術の発展に伴い「温水洗浄便座」が普及していきました。世界と比較しても、日本のウォシュレット機能は、日本独自のものです。

ウォシュレット機能は、水の衛生管理が徹底的に行われている日本だからこそ利用できる技術であるため、水に不純物が含まれている国ではなかなか導入されません。これらの観点からも、日本におけるトイレなどの衛生設備は、広く普及していると言えます。

SDGs6の解決策3選|世界の水に関する課題を解決するには

ここまで日本におけるSDGs目標6の現状について、まとめていきました。

続いて、SDGs目標6を解決するための政策について、説明していきます。

①水不足の地域に井戸を建設する

まず水不足になりがちな発展途上国において、安全な水を貯蔵するための井戸を設置することが、水不足を解決する手段です。

井戸の設置方法として、日本の伝統的な掘削技術「上総掘り」があります。「上総掘り」は、鉄管などの簡単な道具と人力のみで、深い井戸を掘ることができる技術です。必要な資源や機材を現地で用意できるため、発展途上国でも比較的簡単に導入できる方法です。

発展途上国には、水不足以外にも紛争や貧困など、解決しなければならない問題がたくさんあります。そのため深刻な水不足も、改善するのに時間を要しています。発展途上国における社会問題の一つである水不足を解決するためには、先進国の経済的支援が重要です。

②途上国の人々に衛生教育を行う

発展途上国で暮らす子どもたちの命を救うために衛生教育を行うことも、有効な手段となります。発展途上国において多くの子どもの死因は、「肺炎」・「下痢」・「マラリア」の3つが大半を占めます。これらの病気は、知識があれば予防し、治療できるものです。

株式会社LIXILでは、アフリカ大陸における衛生環境を整えるために「Sons and Daughters of the Soil(SODAS)」を連携して行っています。この活動を通じて、農村部の衛生環境の改善に取り組んでいます。

この取り組みの一環として、農村部に働きかけ、屋外汲み取り式トイレを普及させています。これにより農村部の衛生環境が、徐々に改善されています。

③地域の水問題に合わせた解決策を実行する

水不足が発生している発展途上国で環境を整えようと試みても、その国ならではの固有の文化や生活様式に適応しなければ、根本的な解決とはなりません。発展途上国において、水問題を解決するためには、ただ政策を実施するのではなく、各地域の特徴を理解して行う必要があります

イギリスで設立された国際NGOである「ウォーターエイド」は、発展途上国の水問題を解決するために活動しています。ウォーターエイドが問題解決のために用いる技術は、都市部から離れた地域でも導入しやすいものです。たとえばタンザニアで導入された「ガルパー」は、ピット式トイレの汲み取り用パイプに設置する手押しポンプです。これによりトイレのピットがいっぱいになる前に汲み取ることができます。

発展途上国における水問題は、すべての国が同じ方法で解決できるとは限りません。ウォーターエイドが取り組んでいるように、その国に合った手段で解決していくことが重要です。

ピット式トイレ
…落とし込み込み式の簡易型トイレのこと。ピット(槽)が満杯になったら閉鎖し、別のピットを使用する方法のこと。

SDGs6を達成するために私たちにできること5選

ここまで世界各国で発生しているSDGs目標6を解決するために行うべき取り組みについて、まとめていきました。

次にSDGs目標6を達成するために、私たちが身近にできることを解説していきます。

関連記事:SDGs6私たちにできること5選|日本と世界の水問題への取り組みも解説

①世界で起こっている水問題について知る

SDGs目標6を達成するためには、日本だけではなく世界各国で課題となっている水の問題について、知ることが大切です。

日本では当たり前に利用できる水が、発展途上国などの国々では難しく、確保するために多くの時間と労力を要しています。他国での現状について理解することで、私たちの「水」に対する見方も変化します

世界各国の水問題はインターネットや本、新聞を通じて情報が得られます。まずは入手しやすい方法で世界の水問題について、調べてみてください。

②洗濯やトイレでの水の無駄遣いを減らす

まず家庭の中でできることとして、水の無駄遣いをやめることがあります。年々一人あたりの水の消費量は増加傾向にあり、1965年から2019年にかけて約1.7倍まで増加しています。

家庭の中でも、とくにお風呂の際に大量の水が消費されており、トイレ、炊事、洗濯と続きます。少しでも水の消費量を節約するために、洗濯をする際はお風呂の残り湯を使用するなど、工夫をしてみましょう。

お風呂の残り湯は、洗濯以外にもお風呂を洗うときや庭の水撒きにも活用できます。節水を心がけることは、水道代の節約にもなるため、家計の経済面でもメリットとなります。

③調理器具や食器は汚れを拭いてから洗う

皆さんは調理をした後に調理器具や食器を洗う際、油や汚れなどが付着したものをそのまま洗っていませんか。調理に使用される油は、分解しきらず長時間経過すると酸化し、水質汚染につながってしまいます

水質汚染は、水中の生き物たちの生態系が変化するなど、大きな影響を与えます。そのほかにも水質汚染が拡大することで、不衛生な水環境となり、人々の健康にも悪影響を与えます。

水質汚染を防ぎ、安心・安全な水を確保するために、油をそのまま流さないようにすることも必要な取り組みです。

④石けんや洗剤を使いすぎない

洗剤や石鹸を大量に使用することも、水質汚染につながります。洗濯や食器を洗う際に用いる洗剤は、環境への負担が大きくなってしまう要因の一つです。

とくに洗剤には化学物質が含まれており、川や海で生きている微生物が分解できない場合があります。微生物による分解が行われないと、水中の生物の体内に蓄積したり生態系が変化したりと、環境へ悪影響を与えることになります。

水中で暮らす生き物たちの暮らしを守るためにも、洗剤や石鹸の大量消費は避けるようにしましょう。

⑤SDGs目標6達成のために取り組みを行っている団体へ寄付する

節水に心がけることや洗剤・石鹸の消費を抑えること以外にも、ユニセフやウォーターエイドのような団体へ寄付を行うことも、SDGs目標6の達成に貢献します。

たとえばNPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、「教育」・「水」・「保険」・「収入向上」の4つに焦点をあてて、発展途上国の支援を行っています。2007年に開始した「水管理プロジェクト」では、ケニアの村で水の確保を容易にするため、給水設備やポンプなどの設備を整えています。

このように発展途上国で暮らす人々が安全な水を得られるよう、寄付することも大切です。

SDGs6に関する世界の取り組み事例3選

ここまで私たちが生活の中でできる取り組みについて、まとめていきました。

続いて、SDGs目標6を達成するために世界各国で行われている政策について、説明していきます。

世界水パートナーシップ|Interactive Map of Water Gobernance Results

世界水パートナーシップ(GWP)」とは、1996年に設立された世界各国で水資源の管理を促進するための国際ネットワークのことです。世界183か国が加盟しており、水問題に向けた対策などをサポートしています。

世界水パートナーシップが世界の水管理状況を把握するために公開したのが、「Interactive Map of Water Gobernance Results」です。各地域の水政策や国家戦略、当時計画などを一度に確認できます。

またこのマップは各地域と比較できるよう発表されているため、マップを見ることでその地域の水問題に対するリスクを認知できます。公式サイトから世界各国の状況が確認できるため、皆さんも一度確認してみてはいかがでしょうか。

世界水パートナーシップ公式サイトはこちら

シンガポール|マリーナバラッジ

シンガポールでは多くの貯水池が存在しており、シンガポールで暮らす人々に水を供給するだけではなく、動植物の生態系を守るためにも活用されています。

2008年に新しく設置された「マリーナバラッジ」は、シンガポール内で15番目の貯水池として利用されつつ、観光スポットとしての役割も果たしています。

そのほかにも2003年に設置された「ニューウォーター」では、処理された水を再び浄化することで、再生水を製造しています。つくられた再生水は、工業団地や商業ビルで使用されるエアコンの冷却時に用いられ、水の無駄遣いを防いでいます。

UNICEF|給水所の設置

UNICEF」は、世界190か国以上の国と地域で子どもたちの命と健康、権利を守るために活動に取り組む団体です。その一環として、SDGs目標6を達成するために世界中の子どもたちが身近な場で、簡単に安心な水を使えることを目指した取り組みも行っています。

発展途上国などの水道が管理されていない地域で、安全な水を利用できるよう実施していることが、学校や保健センターにおける給水所の設置です。これにより子どもたちが下痢や病気にかかることが少なくなり、幼少期に亡くなる子どもの数も減少しています。

給水所の設置以外にも発展途上国で衛生管理を徹底するため、手洗いのための設備を整えたり石鹸で手を洗うことの重要性を普及したりと、さまざまな取り組みを行っています。

SDGs6に関する日本の取り組み事例3選

ここまで世界におけるSDGs目標6の実現に向けて、実施されている取り組みをまとめていきました。

最後に日本で行われている、SDGs目標6の達成を目指した取り組みを紹介していきます。

関連記事:SDGs目標6の取り組み10選|現状や企業・個人にできることも紹介

荒川クリーンエイド・フォーラム|荒川とその周辺の自然を保全

荒川クリーンエイド・フォーラム」とは埼玉から東京に流れる河川(荒川)において、ごみの問題と向き合い、自然とともに生きる環境を整えるため、活動をしている団体です。荒川クリーンエイド・フォーラムでは、ゴミ拾いを中心に6つの活動に取り組んでいます。

とくにSDGs目標6の実現に向けて行っているのが、6月に全国で実施される「身近な水環境の全国一斉調査」の参加です。市民が自らの手で川の状態について調べることで、水問題に対する関心を高めています。

そのほかにも荒川の自然を守ることで絶滅危惧種の保全する活動を行ったり、イベントを定期的に開催したりしています。これらの活動により、世界で問題となっている「水」について、学習の機会を与えたりもしています。

ミス日本協会|水の天使による情報発信

ミス日本協会では、定期的に開催されているコンテストを「社会をよりよく導く力を持った人を生み出す成長のステージ」と考えています。またこのステージにおいて森や水、海などに関連した賞を設けることで、持続可能な社会に向けて活動を普及しています。

ミス日本協会が持続可能な社会の実現に向けて行っているのが、水問題に対する政策や取り組みの情報発信です。日本協会が定めた水の天使を「水の広報官」として、水環境教育を行ったり、国際会議で日本の技術を発信したりしています。

さらにミス日本協会ではSDGs目標6以外にも、SDGs目標5に関わるジェンダー問題、SDGs目標4に関係する教育問題の解決にも貢献しています。

水の天使
…日本の優れた水循環を応援する人物。自然の恵みにもたらされる水循環と豊かで清廉な水を守る人々の心と技に触れて、培った知識と体験を広く伝え、社会に参加する人々への水の意識を高めることを目的とする。

株式会社クボタ|カルナフリ上水道整備事業

株式会社クボタは「食料・水・環境」の3つの分野を、事業領域とする企業です。この3つの分野を正しく循環させ、地球環境を守りながら人々の暮らしを豊かにするために、環境の保全活動を推進しています。

発展途上国の中でも経済成長が著しいバングラデシュでは、豊富な水資源があるにもかかわらず、成長に伴って安全な水が供給できていません。そのためバングラデシュの市民は、なかなかきれいな水を得るのが難しい状況となっています。

このバングラデシュの水問題を改善するためにクボタが行っているのが、大規模なインフラ工事です。ベンガル湾に流れ込むカルナフリ川から水を入手し、浄水場を経て導水・送水管や配水管を敷設していきます。

まとめ

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」では、世界中の人が安心・安全な水を毎日簡単に得られるような環境づくりを目指し、目標が設定されました。世界でもとくにアフリカ大陸や南アメリカ大陸、アジア大陸の国々に住む人々は生きるための水を得られず、汚れた水を飲むこともあります。またトイレなどの衛生設備が不十分であることから、屋外で用を足さなければならない人も多いです。

浄化をせず、管理されていない水を飲むことで、人々の健康状況にも悪影響を与えます。とくに免疫力が弱い子どもの場合、下痢などの感染症にかかってしまい、命を落とす可能性もあります。発展途上国における水問題を解決するためには、まず水を供給するための水道などのインフラ整備を行い、生きるために必要な水を毎日容易に得られるようにすることが大切です

SDGs目標6を達成するうえで、私たちが当たり前に使える「水」が当たり前ではないことを理解し、水の使い方に注意を払ってみましょう。

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