【SDGs基礎】目標6「きれいな水とトイレを世界中に」を徹底解説

#SDGs目標6#トイレ#上下水#再利用#工場用水・廃棄#排泄#水#水不足#水資源管理#水道#衛生#飲料水 2021.02.12

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SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人々の水と衛生施設の利用可能性と持続可能な管理を確保するべく掲げられた目標です。

近年、世界中で水問題が深刻さを増していて、日本も他人事ではない状況が迫っています。また、衛生状況の管理は医療現場から食卓まで、多くの場面で重要な課題です。

特にトイレの管理は感染症や街全体の衛生に大きく関わるため、徹底が必要です。この記事ではこれらの問題や解決に向けた取り組みを、事例と合わせて分かりやすく解説していきます。

SDGsとは

SDGsは“Sustainable Development Goals”の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

目標6「安全な水とトイレを世界中に」

「安全な水とトイレを世界中に」とは

SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人々が安全な水及び衛生施設にアクセスできることを目指した目標です。この目標は飲料水、衛生施設、衛生状態を確保するだけではなく、水源の質と持続可能性の向上も目指しています。

UNDP(国連開発計画)によれば、現在水不足の影響は、全世界の人口の40%に及んでおり、さらにこの数字は気候変動に伴う気温の上昇により、さらに増えると予測されています。2011年には、およそ10ヵ国において淡水が枯渇寸前まで進んでいる問題が発生しており、整備された従来の水源とは異なる水源に頼らざるを得ない状況となっています。

2030年までに、安全で普遍的に利用が可能な飲み水へのアクセスを確保するためには、インフラ設備への投資や水道局などの衛生施設の整備、あらゆるレベルでの衛生状態の改善を促す必要があるとされています。水不足という問題を解決するには、単に水の消費量を減らすだけではなく、森林や山地、湿原、河川など、水関連の生態系の保護と回復も重要です。

▼目標15 「陸の豊かさを守ろう」とは▼

これらの問題解決には、国際的な協力が不可欠であり、各国の協力が求められています。

ターゲット

SDGsの各目標には「ターゲット」という、その目標を達成するための達成目標と実現方法が共に掲げられています。目標6「安全な水とトイレを世界中に」には、以下のように6つの目標と2つの方法がターゲットとして掲げられています。

CHECK!!

「1-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています。
「1-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています。

6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加により、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

安全な水とトイレを確保するには

安全な水って何?

WHO(世界保険機関)では、水に関するデータの定義として、次の6つの分類を発表しています。

分類 定義
安全に管理された飲み水

(供給サービス)

自宅にあり、必要な時に入手でき、排泄物や化学物質によって汚染されていない、改善された水源から得られる飲み水。
基本的な飲み水

(供給サービス)

自宅から往復30分以内(待ち時間も含めて)で水を汲んでくることができる、改善された水源から得られる飲み水。
限定的な飲み水

(供給サービス)

自宅から往復30分よりも長い時間(待ち時間も含めて)をかけて水を汲んでくることができる、改善された水源から得られる飲み水。
改善された水源 外部からの汚染、特に人や動物の排泄物から十分に保護される構造を備えている水源。例えば、水道、管井戸、保護された掘削井戸、保護された泉、あるいは、雨水や梱包されて配達される水など。
改善されていない水源 外部からの汚染、特に人や動物の排泄物から十分に保護される構造を備えていない水源。例えば、保護されていない井戸、保護されていない泉、地表水など。
地表水 川、ダム、湖、池、小川、運河、灌漑用運河といった水源から直接得られる水

(参考:WHO

安全な飲み水は、きれいなだけでなく、自宅からアクセスできることや、高い水質が確保されていることが重要です。また、このような基準をクリアするためには、水質検査などを行う衛生施設の整備も重要であり、包括的な取り組みが必要となっています。

トイレの重要性

トイレは人類にとって非常に重要な役割を果たしてきており、その始まりは紀元前2200年にまで遡ると言われています。なぜトイレがこれほど早くから発展していたのでしょうか。それは、不十分な下水処理は命に関わる危険な問題であるからです。

UNICEF(国際連合児童基金)では、排泄から発生する病原菌は4つのFから広まるとして、その改善を求めています。

  • Finger:排泄周りに触れる手や指
  • Fluid:トイレの代わりに流される川などの水回り
  • Field:トイレの代わりに放置される地面や床
  • Fly:排泄物に群がるハエなどの虫

これらの経路を介した下痢性疾患を防ぐためにも、トイレなどの衛生施設の整備や手洗いなどの衛生習慣を広めることが重要だとされています。

世界の現状と問題点

世界の水の現状

世界には水不足による影響で、私たちが当たり前としている生活さえままならない人々が多く存在しています。

UNICEFが2017年に発表したデータによると、22億人もの人が安全に管理された飲み水を使用できず、このうち1億4,400万人は、湖や河川などの未処理の地表水を使用しています。これはつまり、4人に1人が安全な水にアクセスできていないということです。

引用:UNICEF

この地図は、安全に管理された飲み水を利用できる人の割合(2017)を、各国毎に色で示したものになります。ここからわかることは、赤道近辺の乾燥した地域で安全な水が不足しているほか、そもそもデータも取れないほどインフラが整っていない地域が多く存在しているということです。

またこれらの水不足の地域では、水汲みに多くの時間を割かなければなりません。例えばエチオピアでは、1日に使う水が5リットルにも満たないのにもかかわらず、水源まで毎日8時間かけて水汲みに向かうのです。それに加え、その水源は未処理の地表水であり、先進国との格差は非常に大きなものとなっています。

世界のトイレ事情

UNICEF(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)の水と衛星に関する共同監査プログラム(JMP)によれば、2017年の段階で世界人口の半分以上である42億人もの人々が、安全な衛生施設(トイレ)を利用できていないとされています。その中でも6億7300万人がいまだ野外排泄を行っており、衛生施設の整備不足に伴う病原菌の感染が広まっています。

衛生施設が整っていない地域において、下痢は命を奪う重大な症状です。下痢は簡単な治療法で解決可能であるにもかかわらず、世界中の5歳未満の子供たちの死亡原因の約8%の割合を占めています。具体的には、毎日1,300人以上の幼児が、年間では約48万人の子供が下痢によって亡くなっています。

引用:UNICEF

これは2017年における、5歳未満の子供の下痢による死亡率を国別に色分けした図になります。ここからわかることは、ほとんどがサハラ以南のアフリカに集中しているものの、ロシアや中国などの先進国でも、下痢による死亡は解決しきれていない問題であるということです。子供たちの健康と福祉を守るためにも、衛生環境の悪化から引き起こされる下痢や感染症などの問題は早急に解決される必要があると考えられます。

▼目標3「すべての人々に健康と福祉を」とは▼

日本の現状と問題点

日本は水が豊富な国として有名であったり、ウォシュレットなどの技術に優れている印象がありますが、実態はどうでしょうか。

日本の水の現状

これは国土交通省が発表した、2012年における年間降水量と一人当たりの水資源量を比較したグラフです。ここからわかることは、日本は世界の中でも豊富な降水量を誇る一方、世界平均と比べても一人当たりの水資源量は多くないということです。これには日本の気候の特徴が関係していると考えられています。日本では急峻で長さの短い河川が多くあるのに加え、降雨は梅雨や台風期に集中するため、水資源として活用できる水のうち、多くが利用されないまま海に流出してしまうのです。

このような問題を解決するために、日本ではダムによる安定的な水利用を図ることや工業用水の回収を進めるなどの取り組みが行われています。

また日本の水道普及率は97%を超える高い水準にありますが、近年ではミネラルウォーターの消費量増大や家庭用浄水器の普及が進むなど、「安全でおいしい水」に対する関心が高まっています。このような「安全でおいしい水」を確保するためには、水源となる河川・湖沼等の水質改善が重要であり、私たちのポイ捨てやゴミの区分を守る等の取り組みも重要となっています。

(参考:国土交通省

日本のトイレ事情

日本は世界の中でも衛生環境の整ったトイレが広く普及している国として有名です。総務省統計局による2008年のデータによれば、日本にある住宅総数のうち、90.7%に水洗トイレが設置されており、うち洋式トイレが89.6%となっている。

また、建築される時期が新しくなるほど、水洗化率、洋式トイレ保有率は共に高くなる傾向にあり、平成18年〜平成20年に建築された住宅では、それぞれ99.3%、99.4%となっており、ほとんどの住宅で適切な衛生設備が確保されている。

日本のTOTOが開発した「ウォシュレット」は世界各国の空港などにも導入されており、その高い技術力が評価されている。ウォシュレットはTOTOの登録商標であるが、これらに類似する自動洗浄温水便座は感染症対策の面でも優れている。人体に影響のあるノロウイルスは、便の中に含まれるほか、空気中にも浮遊するため、できるだけ手を近づけないことが予防に繋がるとされています。そのため、自動洗浄機能を使用することで、感染症を予防することができます。

(参考:総務省統計局

世界の取り組み事例

世界水パートナーシップ(GWP:Global Water Partnership)

作成:SDGs CONNECT編集部

GWP(世界水パートナーシップ)とは、UNDP(国連開発計画)が設立した水に関わるガバナンスや統合的水資源管理(IWRM)を行うための組織です。

引用:GWP

現在3,000を超える企業や組織がこのパートナーシップ協定に参加しており、知識の共有や社会に対する活動から、世界の水問題を解決しようと取り組んでいます。

取り組みの具体例としては、中国での黄河の水再配分計画があります。これは黄河の上流の地域と下流の地域で利用できる水資源に格差が生まれていることの解決を目指した計画です。黄河は非常に大きな河川であり、中国の9つの省にまたがって流れているため、その水資源の平等で最適な利用に向けた取り組みとなっています。

シンガポール

作成:SDGs CONNECT編集部

シンガポールはマレーシアから水の輸入を行うという協定を結んでいます。シンガポールはその土地柄から慢性的な水不足に陥っており、水資源を国内で賄うのが難しい状況となっています。そのため、近隣国であるマレーシアと協定を結ぶことで、対策をとっているのです。

このような国境を超えた取り組みは、非常に大きな貢献をしている一方で課題もあります。輸出国であるマレーシアはシンガポールに対して料金の引き上げを要求したのです。これは近年の両国間の摩擦を生む原因となっています。同様の課題は中国と香港でも発生しており、持続可能な社会に向けて、各国の前向きな姿勢が求められています。

(参考:シンガポール外務省

UNICEF:バングラデシュでの取り組み

作成:SDGs CONNECT編集部

衛生環境の悪いトイレはさまざまな弊害を引き起こします。バングラデシュでの事例は、月経を迎えた女子生徒がトイレの衛生状況が悪いがために学校に行くことができないというものでした。同国の高校では、その影響で約半数の女子生徒が中退している状態が7年も続いていました。

これに対しUNICEFはトイレを増設する支援を行いました。これによりおよそ1,400人の女子生徒に対して2つしかなかった女性用トイレが20基に増加し、女子生徒の就学率は大いに向上しました。UNICEFでは、このようなトイレが少ない地域での支援を続けています。

(参考:UNICEF

日本の取り組み事例

荒川クリーンエイド・フォーラム

作成:SDGs CONNECT編集部

荒川クリーンエイド・フォーラムとは、荒川の河川ゴミの回収や水質・自然回復に向けた活動を取りまとめている団体です。荒川クリーンエイドは、自治体や企業、学校、市民団体など、さまざまな団体を「実施団体」として参加者を募り、年間1.3万人の人々を動員しています。

1994年に始まったこの活動は、年を重ねるごとに拡大しており、今後は荒川でのクリーン化をモデルケースとして、その他の地域でも活動を広げていく予定です。

(参考:荒川クリーンエイド・フォーラム

シャボン玉石けん

作成:SDGs CONNECT編集部

石鹸の起源はおよそ1万年前にもなると言われており、その成分は自然由来です。つまり、古来から作り伝えられてきた石鹸を利用して排出される生活排水は微生物の栄養源となり、短期間のうちに生分解されるということです。そして石鹸は再び自然に還っていきます。

このような石鹸の特徴を大切にし、シャボン玉石けんでは無添加にこだわり、その安全性を高めた製品の普及に努めています。

(参考:シャボン玉石けん

ミス日本協会

作成:SDGs CONNECT編集部

ミス日本コンテストは「日本らしい美しさ」を磨き上げ、社会で活躍することを後押しする日本最高峰のコンテストになっています。これを運営するミス日本協会は女性の活躍する場を提供すると共に、水に関する知識を普及させるために「水の天使」プロジェクトを行っています。

このプロジェクトでは、日本が誇るビストロ下水道と呼ばれる下水汚泥の農業利用技術や、再生可能エネルギーの供給などについて、日本内外で発信していくべく、「水の広報官」の役割を担う女性を輩出しています。

(参考:ミス日本協会

まとめ

世界ではいまだ多くの人々が水不足に悩んでいます。このような水問題の解決のためには、国家間の取り組みだけではなく、ゴミの分別や生活排水に気を使うなど、私たちの地道な一歩が大事だと考えられます。持続可能な社会に向けて、力を合わせて取り組んでいきましょう。

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