LGBTQ+とは-意味だけでなく、課題や取り組み、SDGsとの関係も紹介

#SDGs目標1#SDGs目標10#SDGs目標16#SDGs目標5#SDGs目標8#ジェンダー 2021.04.06

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【更新日:2023年4月6日 by 大竹礼二

LGBTQ+とは何でしょうか。

近年、「LGBT」という言葉を知っている人も増え、多くのメディアで取り上げられるようになりました。同時に、LGBTQ+の割合が社会の約1割を占めるという事実も明らかになり、多様的な性のあり方が認められるようになってきています。

しかし、差別や偏見を恐れて、LGBTQ+であることを公表できない人々、追いつかない制度改正など多くの課題が山積しているのが現状です。

今回は、LGBTQ+に関する基礎知識や現状、課題、各国の取り組みをまとめた上でSDGsとの関連性についても紹介していきます。

▼SDGsについて詳しくはこちら

【この記事でわかること】

ジェンダーとセクシャリティーの違い



LGBTQについて知る前に、ジェンダーとセクシュアリティの違いを理解しましょう。

ジェンダーとは

まずはジェンダーについて解説していきます。

ジェンダーとは、生物学的な性別であるセックス(sex)と区別して、社会的な性別を意味します。世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれる性別のことです。

例えば家庭における男性と女性の役割を考えた時「外で働きに出るのは男、家事や育児は女が行うもの」というイメージはありませんか?

このように社会によって作り上げられた「男性像」「女性像」の男女の別を示す概念がジェンダーです。

近年注目が高まるSDGsにおいても目標5で「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられ、ジェンダーによる男女の差別を解消し、個々の能力が活かされ、安全で安心して暮らせる社会を作っていくことが世界共通の課題となっています。

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セクシュアリティ

ジェンダーが社会的に形作られた男性像、女性像である一方で、「自分がどう自分の性を認識しているか」を包括的に捉えた言葉がセクシュアリティです。

セクシャリティーには以下の4つの要素が含まれているとされています。

身体の性

身体の性とは、生まれた時に身体の特徴から、「女性」「男性」に割り当てられる性別のことを言います。

性自認

性自認とは、自分の性別をどのように認識しているのかという要素です。

自分を男性と認識している、女性と認識している、どちらでもない人、考え中の人、どちらかの性に決めたくない人などさまざまです。

性的指向

性的指向とは、恋愛感情や性愛感情がどこに向いているかという要素です。

異性を好きになる人、同性を好きになる人、どちらの性も好きになる人、相手の性別にこだわらない人などさまざまです。

性表現

性表現とは、見た目や言動などであらわす性です。

見た目の男らしさ、女らしさ、自分をどう表現したいのかという要素です。例えば、服をメンズのものを選び、一人称が「俺」であれば、性表現は男性と言えます。

実はLGBTQ+とはこれらセクシュアリティを決める要素によって定義付けられているものなのです。

▼参考
セクシュアリティとは?意味や診断項目、種類について。ジェンダーとの違いも解説。 | 自分らしく生きるプロジェクト

LGBTQ+とは-定義や読み方を紹介

続いて、LGBTQ+について説明していきます。

LGBTとは

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった言葉で、性的少数者の方を表す総称のひとつです。

2020年に行われた電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、日本人の10人に1人がLGBTだと言われています。

LGBTの割合は世界中で年々増え続けており、従来の固定的な性別における役割分担にとらわれず、ひとりひとりが自由かつ平等に行動、選択をできるジェンダーフリーな社会が求められています。

▼参考
電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2018」を実施

LGBTとLGBTQ+の違い

実はLGBTだけが、セクシュアルマイノリティではありません。

LGBTQ+(エルジービーティーキュープラス)は、LGBTに「Q+」が追加された言葉です。「LGBTQ+」は、「LGBT」以外の分類できない性別を含んでいることを表します。

世界中にはさまざまな人がいて、人の数だけセクシュアルがあります。現在表現されているLGBT以外にも表現出来ていないセクシュアルが存在するのです。

「LGBT」から「LGBTQ+」に言葉が変わったのは、セクシュアリティすべてを表現し、全てのセクシュアルマイノリティに配慮を示す表現です。

LGBTQ+の種類-それぞれの頭文字を簡単に解説

続いて、LGBTQ+のそれぞれの頭文字を説明します。

レズビアン(Lesbian)

レズビアンとは、自身を女性と認識したうえで、女性に恋愛感情や性的欲求を抱く性のあり方(セクシュアリティ)です。

「LGBTQ+」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「L」に当たります。

欧米では同性愛者をまとめて「Gay」と表現することがあるため、レズビアンの女性でも「Gay」と名乗る方もいます。

日本で有名な「レズ」という呼び方には、ネガティブな意味合いが含まれることもあるため、「レズビアン」や「ビアン」と呼ぶことが主流です。

▼引用
レズビアンとは?【当事者が徹底解説】| LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow」

ゲイ(Gay)

ゲイとは、自身を男性と自認した上で、男性に恋愛感情や性的魅力を抱くセクシュアリティです。

「LGBTQ+」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「G」に当たります。

上記でも示した通り海外では、男女関係なく「同性愛」のことを「ゲイ」と表現することもあります。

バイセクシュアル(Bisexual)

「バイセクシュアル」とは、「男女どちらにも性愛感情が向くセクシュアリティのことです。日本語では「両性愛者」と表記します。

「LGBTQ+」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「B」に当たります。

「ゲイ」や「レズビアン」の場合は「男性に性愛感情が向く『男性』」「女性に性愛感情が向く『女性』」を意味しますが、バイセクシュアルの場合は「男性と女性に性愛感情が向く人/性のあり方」を意味するため、本人の性別は問いません。

そのため、本人の性別を特定して記述したいときは、「バイセクシュアル男性」「バイセクシュアル女性」などと表記します。

トランスジェンダー(Transgender)

トランスジェンダーとは一般的に性自認と身体的性が一致していない方全般を表す言葉です。

「LGBTQ+」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「T」に当たります。

例えば、生まれた時の性は男性ですが、自身のことを女性と認識している方などを指します。

クエスチョニング(Questioning)

クエスチョニングとは、自身の性自認(自分の性を何と考えるか)や性的指向(どんな性を好きになるか)が定まっていない、もしくは意図的に定めていないセクシュアリティを指します。

「LGBTQ+」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「Q」に当たります。

名前の付いた性に自分を当てはめることで生きやすくなる人もいれば、当てはめない方が心地よいと感じる人もいます。そのためにあるのが「クエスチョニング」です。

また、セクシュアリティの転換期もまた、「クエスチョニング」と呼ぶことが出来ます。セクシュアリティは流動的で、変化することもあります。レズビアンからバイセクシュアルに転換するなど、自らのセクシュアリティが変化している段階も「クエスチョニング」といえます。

▼参考
LGBTとは?【5分で読める基礎知識】 | LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow」

クィア(Queer)

「クィア」とは、かつてセクシュアルマイノリティの人を軽蔑するために使われた言葉でした。

現代ほどセクシュアルマイノリティに理解がなかった時代に、「変態」という意味でゲイの人を軽蔑する言葉として使用されていました。

しかし現在では、セクシュアルマイノリティ当事者があえて自身を指す、ポジティブな意味で使っています。

▼関連記事
LGBTQのQとは-クエスチョニングとクィアの意味とは

+(プラス)-他の性も紹介

「LGBTQ+」の「+」は、セクシュアルマイノリティが広がるにつれて分類できない性別を含んでいます。

「LGBTQ」以外にセクシュアルマイノリティに分類されている言葉を紹介します。

Q(クエスチョン、クエスチョニング) 性自認を男性か女性か決めていない、またはどちらでもない人。自分の性をあえて決めていない人も含みます。
I(インターセックス) 身体が男性、女性のどちらにも一致していない人。
A(アセクシュアル) 他者に恋愛感情も性的感情も抱かない人。
P(パンセクシュアル) 相手の性別にこだわらず恋愛感情を抱く人。全性愛と言われる。
P(ポリアモラス) 全てのパートナーの同意の元、複数の人と恋愛関係を築く恋愛スタイル。
O(オムニセクシュアル) 相手の性を認識したうえで、性別関係なく恋愛感情を抱く。
2S(トゥー・スピリット) 北アメリカの先住民で使用されていた、男性と女性の性が同時にあると感じる人を指す言葉。

アライ(Ally)

「アライ」とは、英語で「仲間」や「同盟」という意味の単語「ally」からつけられた言葉です。

過去、アライは異性愛者(ストレート)に限って表現される言葉でした。
しかし現代では性的趣向に関係なく、相手の性的趣向を尊重し、支持する人のことを表します。

LGBTに対する理解や支援が広がっている中で、当事者を無意識に傷つけてしまうこともあります。

アライであると表明することでLGBTの知識が増え、会話のすれ違いや無知ゆえに傷つけることを減らせます。

LGBTQ+の割合と現状

LGBTQ+の“Q+”などは数多くのセクシュアルマイノリティを包括する言葉でもあり、LGBTだけに当てはまらない方々が数多くいることを示唆しています。

しかし、セクシュアルマイノリティという呼称がつけられているように、LGBTQ+が少数派の方々であることは間違いありません。

LGBTQ+への理解を深めるためには、日本や世界にどれだけLGBTの方がいるのかを理解する必要があるのです。

欧米のLGBTQ+の割合

欧米の調査結果では、LGBTQ+の割合は次のようになっています。欧米圏でも地域によってばらつきがあることがわかります。

LGBTQ+の割合 データ年
アメリカ 4.5% 2017
ヨーロッパ 5.9% 2016
スペイン 6.9% 2016
イギリス 6.5% 2016
ドイツ 7.4% 2016

引用:LGBTの割合がバラつく理由【13人に1人? 100人に1人?】|JobRainbow

アメリカではさまざまなLGBTQ+のパレードやイベントが行われており、LGBTQ+をカミングアウトしやすい雰囲気であるが故に、その割合も他国に比べ高い結果となっています。

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LGBTプライド月間とは?-詳細と私たちに出来ることまで解説

日本のLGBTQ+の割合

日本国内のLGBTQ+の割合は、いくつかの団体により調査が行われています。

電通ダイバーシティ・ラボの調査によるとLGBTとして自認している割合はおよそ8.9%となっています。

あくまで推定ですが、人口に換算すると約550万人いる計算になります。
※人口は2020年11月26日時点

※団体により調査方法の違いなどがある事から、調査によってLGBTの割合に違いが生じています。
世界同時に同じだけの人間を同じ研究機関が調査しない限り、完璧な数値はわからないためあくまで参考として割合を確認しましょう。

LGBTQとSDGsの関係性

近年注目が高まるSDGs(持続可能な開発目標)ではジェンダー平等の達成は目標5で掲げられています。

しかし、この目標の項目には女性の人権に関する言及はされていますが、LGBTQ+に関する言及はありません。

LGBTQ+に言及されていない理由の一つとしてあげられるのが、LGBTQ+であることが違法になる国が存在するからです。

国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)の調査によると、国連加盟国の約37%の73ヶ国もの国がLGBTQ+を違法と定め、同性間の性行為に死刑を科す国まで存在します。

SDGsは国際的なものであるため、法律が絡むLGBTQ+については世界各国の共通項目に記載できないのです。SDGsの観点からLGBTQ+に関する各国の情勢を見てみると、社会によってはまだまだ LGBTQ+の方々が受け入れられにくいということがわかります。

しかし、元国連事務総長のパン・ギムン氏はSDGsの中に明確な表記はされていなくとも、誰一人置き去りにしないというSDGsの理念は変わらず、どんなセクシュアリティを持つ人も差別されてはならないと意思を表明しています。以下、パン・ギムン氏の発言を引用します。
(「性的多様性やLGBTQ+の権利が特定の目標として含まれなかったことを残念に思うか」という問いに対して)
「この問題は、新たな開発アジェンダのすべての項目を「分野横断的に」貫いている問題であり、『誰も置き去りにしない』というSDGsのモットーに既に含まれています。誰もが参加すべきであり、民族や性的指向、性別、出生、貧しいか金持ちかは関係ないのです。新しいアジェンダには差別などなく、人間を中心においたビジョンなのです。」

つまりSDGsにおいて、直接的な言及はされていないものの「誰も置き去りにしない」という全体目標の中にLGBTQ+の人々も含まれてるという事です。

SDGsを達成するためには、LGBTQ+の人々に対する差別を無くす事が必要不可欠であり、世界各国が積極的に取り組むべき課題なのです。

▼参照
LGBT への迫害状況 国別レポート

▼関連記事
LGBTとSDGsの関係性-SDGsとしてLGBTへ取り組んでいる事例も紹介

日本のLGBTQ+の課題と問題-当事者が困ること

教育や仕事の制度の必要性

教育の現場ではLGBTQ+への対応が特に強く求められます。

これはLGBTQ+の人々が、自身がそうであると認識するのが思春期に多いことが挙げられます。自分のセクシュアリティを否定する必要がないこと、LGBTQ+以外の人も含め、すべての人が多様性が認められた社会について学校教育を通して理解を促進していくことが重要です。

実際に学校でLGBTQ+であることを打ち明けた生徒が、「男・女のくせに」、「気持ち悪い」などの差別的あるいは侮辱的な言葉を受け、自尊感情を深く傷つけられることも少なくありません。

また、教員からも不適切な対応をされた事例もあります。 思春期は人格形成に必要な時期であり、そこで精神的な傷を負えば、その子どもの人生に大きな影響を与える可能性は十分にあります。

仕事においても同様に、LGBTQ+であることを面接中に打ち明けたところ、就活の面接を打ち切られたというケースも報告されています。

また、「オカマっぽい人には営業をやらせられない」、と言われ、ハラスメントをされるだけでなく、希望していた営業職を断念させられるという直接的な制限をされるケースもあります。

このように学校あるいは職場の環境において、LGBTQ+への理解が乏しく、また認められていないことによる問題がいくつも発生しているという現状があります。

▼関連記事
LGBTへのハラスメントとは-SOGIハラスメントの例や法律を解説

結婚制度

日本では同性婚やパートナーシップ法などの法整備が行き届いておらず、同性婚および同性パートナーが認められおらず、同性パートナーでは家族を形成できない状態にあります。

これはG8のメンバー国であるフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、ロシアの中でも日本とロシアだけであり、先進国の中でも遅れている状況である事は否めません。

▼関連記事
日本のLGBTへの取り組み事例-政府や自治体・企業の取り組みを紹介

医療制度

医療の場面においてもさまざまな課題があります。

医療機関ではLGBTQ+への医療者の無理解を恐れて受診をためらいがちです。具合が悪くても我慢を続けてしまい、重症化するケースは少なくありません。

そのため、医療機関ではLGBTQ+への理解が深くなされていなければいけませんが、専門機関も少なく、場合によってはLGBTQ+を認めてもらえないケースもあります。

例えば一緒に暮らしているパートナーが意識不明に陥り入院した際、同性パートナーであったため、病院や医師から安否情報の提供や治療内容の説明を受けられず、面会も拒否されたケースがあります。

またトランスジェンダーでありながら戸籍上の性別が変更できていない場合、医療機関の受付で戸籍上の名前で呼ばれることから、受診し辛くなったケースもあります。

結婚の問題にも関わりますが、同性パートナーが認められないことや、LGBTQ+の方々への配慮の欠如が医療関係の場でも起こっています。

公的サービス、社会保障

誰もが享受できる公的サービスや社会保障でもLGBTQ+の人々は困難に直面することがあります。
高齢者向け施設において、男女別に施設運営がされていることから、性別に違和感を抱えていることを施設に伝えても考慮されず、戸籍上の性別で分類され精神的な負担が大きかったという人がいます。

あるいは同性パートナーと公営住宅への入居を申し込もうとしたが、同居親族に当たらないとして拒否されたケースもあります。

法整備がなされていないこと、理解がなされず配慮が欠けていることから、このような問題が散見されています。

▼参考
LGBTに関する課題の現状と今後必要なことは?日本の取り組みについて解説

LGBTを取り巻く問題は?学校・教育・日本の取り組み。今後の課題や必要なことも解説。

▼関連記事
LGBTのトイレ問題とは?-問題の解決策や反対の声について紹介

日本のLGBTQ+に関する課題への取り組み

LGBTQ+をめぐる政府の動き

LGBTQをめぐる国内の動きは以下の表の通りです。

平成14年 

(2002年)

「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月15日閣議決定)に同性愛者への差別と いった性的指向に係る問題の解決に資する施策の検討を行うことが盛り込まれる
平成22年 

(2010年)

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成15年法律第111号)施行
平成24年

(2012年)

文部科学省が性同一性障害への対応徹底を求める事務連絡19を発出
平成26年

(2014年)

内閣府が人権擁護に関する世論調査20を実施 ・「自殺総合対策大綱」(平成24年8月28日閣議決定)で自殺の恐れが高い層として「性的マイ ノリティ」に言及
平成27年

(2015年)

文部科学省が学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査を公表
平成28年

(2016年)

LGBTに関する課題を考える国会議員連盟発足(超党派) ・文部科学省が「性的マイノリティ」の児童生徒全般に配慮を求める通知を発出 

東京都渋谷区と世田谷区が同性パートナーの証書の発行を行う制度を開始 

「第4次男女共同参画基本計画」(平成27年12月25日閣議決定)において性的指向や性同一性 障害を理由として困難な状況に置かれている場合への対応が盛り込まれる

平成29年

(2017年)

自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」設置 ・文部科学省が教職員向け手引を作成・公表
平成30年

(2018年)

厚生労働省「モデル就業規則」を改訂。性的指向・性自認に関するハラスメント禁止を明記。

立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党、社民党、衆議院の会派「無所属の会」の野党6党派が「LGBT差別解消法案」を国会に提出。政府に差別解消の基本方針を策定。企業に採用の機会均等や解雇での差別禁止を求める。勧告に従わなければ公表。行政や自治体が個人情報を故意に漏洩すれば懲役や罰金。公私立学校の校長にLGBT相談体制を義務付け。表現規制には踏み込まず、個人やメディアの表現は罰則の対象外などを盛り込んだ。

平成31年・令和1年

(2019年)

パワーハラスメント防止を企業に義務付ける、労働施策総合推進法の改正案が成立。附帯決議で「SOGIハラ」や「アウティング」に対しても企業に対策が義務付けられる方針となることが与野党全会一致で決議。

公明党が同性婚をめぐる議論をスタートする。党として賛成の立場をとることも視野に入れ、政府や自民党にも対策を急ぐよう働きかけると報道。

令和2年

(2020年)

厚生労働省が、国の事業として初めて職場のLGBTに関する実態調査の結果を発表した。LGBTの約半数が職場で困難を経験。

「パワハラ防止法」が施行。「SOGIハラ」や「アウティング」も含まれ、日本で初めてLGBTに関する企業対応が法律上の義務に。

国会で「LGBT議員連盟」の総会が開催。国勢調査での同性パートナーの取り扱い、国際同性カップルの在留資格、教育・スポーツや雇用労働分野におけるLGBTに関する取り組みの要望などについて議論された。

国会でのやり取りや政府の動向

LGBTQ+をめぐる国会でのやり取りや政府の動向を紹介します。

2023年2月、岸田首相は秘書官である荒井勝喜に対して、秘書官を新たに入れ替えることを決定しました。荒井勝喜は、LGBTQ+のカップルを侮辱する差別発言をしたため、謝罪をしました。

岸田首相は衆議院予算委員会で、同性婚をめぐる問題について「制度を改正するとなると、家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ。」と発言しました。

しかし、それに対して荒井勝喜は記者に「僕だって(同性婚の人を)見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」と話しました。

岸田首相はこの発言を受けて、「多様性を尊重し包摂的な社会を実現していく内閣の考え方には、まったくそぐわない。言語道断だ。」と批判し、謝罪をしました。

日本では、男女の役割や家族観が強く、同性婚を認めていないなどLGBTQ+に対応できているとは言えません。

近年、同性婚が認められていない同性カップルが裁判を起こしています。

今後、LGBTQ+に対応した政策や法律改訂が進むと、みんなが安心して暮らせる環境が出来るかもしれません。

LGBTQ+に関する地方自治体の動き

青森県-パートナーシップ制度

2022年2月、青森県では同性パートナーを公認する「県パートナーシップ宣言制度」を導入しました。
県単位でのパートナーシップ導入は、東北地方で初めてです。

パートナーシップ制度とは、同性カップルに対して「結婚に相当する関係」を認める制度です。今まで、婚姻関係にない同性カップルが会社の福利厚生を受けられないという問題が多発していました。しかし、パートナーシップ制度は「結婚に相当する関係」を認めることができます。

2015年、東京の渋谷区と世田谷区で同性カップルの照明や宣言を受け付ける「パートナーシップ制度」が始まりました。

日本では現在、同性での結婚はできません。しかし、パートナーシップの浸透率は日本人口の7割を占めています。

パートナーシップ制度が広がっていくことで、日本全体で同性結婚が認められる日も近いかもしれません。

埼玉県-LGBTQ+実態調査

埼玉県では、LGBTQ+の人が直面する困難を明らかにするため実態調査をしました。
調査では、学生時代、職場で直面した困難などが質問されました。直面した困難には、精神的に追い込まれた経験やハラスメントの被害などがあります。

上記の結果から、LGBTQ+の人の方が精神的に追い詰められる状況が多く、周囲からの被害が多いことが分かります。

LGBTQ+への理解が進められる中、実際は周囲の反応や差別的な扱いに困っている人もいます。

この実態調査で、LGBTQ+の人がどれほどいて、どれほど悩んでいるのかが分かります。私たちがLGBTQ+に理解を深め、安心して暮らせる世の中を作っていくことが大切です。

LGBTQ+に関する日本企業の取り組み例

楽天グループ株式会社-オンラインでLGBTQ+パレード

楽天グループ株式会社では、LGBTQ+に関する理解の促進や啓発を目的とした「Walk Together with Pride」を実施しています。

「Walk Together with Pride」は、毎年6月に世界中で行われる「プライドパレード」と同様に行われるイベントです。「プライドパレード」はLGBTQ+文化を称え、全ての人が自分をさらけ出し、自分自身でいることを

このキャンペーンでは、「ぬりえ」で個性を表現し、完成したイラストを「レインボーフラッグ」に見立て、SNSでシェアすることができます。

6月に開催されるパレードを演出する「オンラインプライドパレード」を開催しています。SNSでシェアすることで、たくさんの人とフラッグを振り、一緒にパレードに参加している気持ちになります。

▼特設サイトはこちら
楽天Walk Together with Pride

パーソル-アライ活動を行うコミュニティ

総合人材サービスを展開する「パーソルグループ」では多様性の理解を深める教育や、Ally(アライ)活動を行うコミュニティ「RainbowPERSOL」をつくっています。セクシュアルマイノリティである、ないに関わらず、誰もが楽しく過ごせる環境づくりを目指しています。

また「私らしいはたらく」をテーマに、LGBTQイベントに参加しています。

さらに、パーソルキャリア株式会社、パーソルチャレンジ株式会社では、「同性パートナーシップ婚制度」を導入しました。これは、同性パートナーも婚姻関係の方と同様の福利厚生を受けることができます。

日本航空株式会社-多様な人材の活躍推進

日本航空株式会社(JAL)では、「多様な人材活躍推進に向けたメッセージ」を公開しています。
「多様な人材活躍推進に向けたメッセージ」は、女性社員がさらに活躍できるようJALのグループ全社員に向けて作られたものです。会社全体としても、社員ひとりひとりが意識を向けられるように取り組まれています。

さらにJALは、国内外問わず様々な人々と交流する場が多く設けられています。そのうえで、LGBTQ+に関する知識の理解のために、互いに尊重しあうコミュニケーションで無意識にできている壁を無くすと宣言しています。

海外の LGBTQ+への取り組み-世界的な動き

LGBTQ+を認める世界の動き

LGBTに対する世界的な動きについて、順を追ってご紹介します。

1970年代 ゲイパレード「プライド」の開催。法的権利獲得や差別撤廃などを求めました。
2009年 世界最大級のゲイパレード、「サンパウロ・ゲイ・プライドパレード」の参加者が推計320万人を突破しました。
2010年 アイスランドの議会は、同性婚を認める法案を全会一致で可決。首相自身がレズビアンであることを公言しました。
2011年 国連人権理事会が、性的指向や性自認に基づく暴力行為や差別に重大な懸念を示す決議を採択しました。
2014年 インドで「第三の性」(トランスジェンダー)を法的に認める最高裁の判決が出されました。
2015年 アメリカ全州で同性婚が合憲となり、異性カップル同様に法的な保証が認められるようになりました。また、ベトナムでは同性婚を禁止する法律が廃止となり、事実上の同性婚が可能になりました。
2016年 イタリアで同姓カップルに結婚に準じた権利を認める法律を成立させています。
2017年 台湾でも司法院大法官会議(台湾の憲法裁判所に該当)が同性婚を認めていない現行民法は違憲であるとの判断を示し、ドイツでは同性婚が合法化されています。
2018年 インドで同性同士の性行為を違法としない判決が下されました。
2020年 アメリカで職場におけるLGBTなど性的少数者の権利保護が明確になりました。
2022年
アメリカで同性婚を明確に合法化する「結婚尊重法案」が可決されました。

このように、少しずつLGBTQ+を保護する法律が制定されてきています。

例えば、オランダ、ベルギー、スペイン、カナダ、南アフリカ共和国を含む24カ国では、国全土で同性婚が合法化され、異性婚と同等、それに近い権利、または部分的な権利を与えるということが認められました。

その他、イスラエルをはじめフィンランド、オーストリア、ドイツ、スイスなど20カ所以上が登録パートナーシップを持っています。

LGBTQ+へ圧力を強める世界の動き

しかし、一方ではLGBTQ+に対して圧力を強める国もあります。

ハンガリーでは2020年に憲法が改正され、未婚カップルの養子縁組を認めないことが決定されました。

また、母親は女性で父親は男性であること、出生時の性を変更できない憲法も成立しました。

養子縁組が認められなければ、LGBTQ+の人たちの子どもが誰なのか説明できなくなり、生活を奪われることになりました。

新憲法の成立により、トランスジェンダーの人やその子どもの権利が制限されました。

LGBTQ+を差別するような法案が決定したことにより、LGBTQ+を排除しようとする国の動きが浮き彫りになりつつあります。

LGBTQ+に関する海外企業の取り組み

Apple-社員雇用の多様性

Appleは、多様性を重視した雇用を世界的に展開しており、LGBTQ+だけでなく障がい者などの採用にも前向きな姿勢を示しています。

Appleの新規採用者の半分がいわゆるマイノリティに属する人たちとも言われており、アメリカ合衆国で最大のLGBT団体 Human Rights Campaignが表彰する「Best Place to Work for LGBTQ Equality (LGBTQの平等において最高の職場)」に2018年時点でなんと15年連続で選出され、2022年にも選出されました。

さらに、Appleはアメリカでは教育関連団体GLSEN(Gay, Lesbian & Straight Education Network)などのLGBT団体とも積極的に協力しています。

▼関連記事
LGBTフレンドリーな企業の取り組み6選-業界別の取り組み事例も紹介

Microsoft-社内の評価の平等化

Microsoftも、HRCから社内の平等の点で非常に高い評価を得ている国際的なLGBTQ+フレンドリー企業の一つです。
Microsoftで特徴的なのが、LGBTQ+の従業員から構成されるGLEAMという社内団体の存在です。GLEAMは社内では討論会やランチ、スポーツ大会などのイベントを実施するほか、社外のLGBTQ+団体とも協力して大規模なネットワークを作っています。

Microsoftは1993年にはすでに同性パートナーへの福利厚生を認めており、IBMと並んで性的マイノリティへの対応に歴史がある企業です。

LEGO-セクシュアルマイノリティを応援する商品

デンマークに本社を置くLEGOでは、セクシュアルマイノリティを象徴する商品を販売しています。

LGBTQ+を表現する11色のフィギュア「Everyone is Awesome(みんなサイコー!!)」という名前で販売されています。

このフィギュアをデザインしたマシュー・アシュトンは、自身もLGBTQ+であることをカミングアウトし、どんな背景を持っている人でも受け入れる、という思いを込めてつくりました。

このフィギュアは、LGBTQ+であるという強力なメッセージを表現しつつ、深刻になりすぎない、楽しい雰囲気を表現しています。

▼商品購入はこちら
LEGO

自分の性について悩んでいる人へ-LGBTQ+診断サイトの紹介

性自認チェックシートを知っていますか?

自身の性がどのセクシュアルに当てはまるのかわからない人向けに企業が作成したアンケート形式の診断です。

自分の性が何なのかわからない人や、違和感はあるけれどどうしたらよいのかわからない人に向けて、おすすめのサイトです。

今回は診断のできるサイトを2つ紹介します。

anone,-細かく自分のセクシュアルを知ることができる

「anone,」では、66個の質問に答え自身のセクシュアルを診断するサイトです。

多くのセクシュアリティを網羅しているため、自分のことがとても分かりやすいです。セクシュアリティを知らない人でも、分かりやすい解説が書かれています。

▼サイトはこちら
セクシュアリティ分析|anone,

JobRainbow-簡単にセクシュアルを知ることができる

JobRainbowが運営しているサイトで、質問に答えていくことで「性的指向、性自認、性表現」が分かります。質問は29個で、診断結果は詳しくみられるようになっています。

▼サイトはこちら
セクシュアリティ診断|JobRainbow

まとめ

今回は「LGBTQ+」について紹介しました。

LGBTQ++の方は、世界中に多く存在します。それに伴い、さまざま様々な制度策定などの動きが行われてきました。

しかし、LGBTQ+を取り巻く課題も未だ、数多く存在するのが現状です。

LGBTQ+の人に限らず、全ての人が自分に自信を持って、自分を表現できる世界を作っていきましょう。

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