ESGとCSRの違いを事例とともに徹底解説ーSDGsやCSVとも比較ー

#CSR#ESG#持続可能 2022.07.19

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昨今、飛躍的に注目を集めている言葉にESG、そしてCSRがあります。
皆さんはその意味について知っていますか。

言葉は耳にしたことがあっても意味や内容、違いは知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はESGとCSRを中心に、その他の関連した用語との違いや取り組み事例、メリットや留意点を説明していきたいと思います。

ESGとCSRの違いとは


ESGの概要

ESGとは、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の頭文字をとった言葉で、環境問題や人権問題などの様々な社会課題が顕在化している中、この3つの要素に配慮した経営をすることが重要だと言われています。

非財務の情報であるのにもかかわらず企業の評価基準となっており、現在では従来の業績や財務状況による評価とは異なり、長期的に安定した良い経営状態の企業が高評価となるとされています。リーマンショック後に拡大したESGですが、これは長期的に安定した良い経営状態を保つために環境、社会問題への寄与、ガバナンスが大きく影響するという考えに基づくものです。現状の経営状況だけでは見通すことのできない企業の将来性を推測するためにESGが世界規模で注目されているのです。

また、経営リスクが削減できるため安定した経営が行え、中長期的な視点での市場における競争力が向上します。その結果資金調達がスムーズになり、新たな取り組みが行えるようになります。それが、企業全体が持続的に成長することに直結するのです。

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CSRの概要

CSRとは、corporate social responsibilityの略で企業の持つ社会的責任を示しています。
対象としては、従業員、消費者、環境などへの配慮といった社会貢献活動などです。
食品の偽装表示などの不祥事が繰り返し発生していることが国内外で問題として取り上げられていたり、国内取引だけでなく、国外取引も多くあるといったりすることが背景となっています。
企業の生産活動が起因しておこる環境破壊に対して問題視されており、CSRは非常に重要視されるようになったのです。

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ESGとCSRの違い

ESGとCSRの違いですが、簡潔にまとめると企業が評価される基準と企業の社会的責任と言えます。
ESGは、投資家が投資先企業を選定する際に使用される基準であり、企業がどのような環境や社会課題に取り組んでいるのかが尺度となる考え方です。
一方で、CSRは企業の社会的責任という意味であるため、企業は利益の追求だけでなくステークホルダーなどに対する説明責任を果たす義務などを求めるものと言えます。

SDGsやCSVとの違い

ここからは、ESGとCSRに関連づけてよく耳にするSDGsやCSVはどのような意味を有し、どのような関係にあるのか解説していきたいと思います。

SDGsとは

SDGsの概要

SDGsは持続可能な開発目標のことを示しています。
2015年国連サミットで、採択された2030年までの目標であり、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことです。
17のゴールと169のターゲットから構成されており、先進国も途上国もともに達成することを目指している目標です。

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CSVとは

CSVの概要

CSVはCreating Shared Valueの略で共通価値の創造と訳されます。
企業が各々の事業を通して、社会課題を解決することで創出される社会と経済における価値を両立させる経営戦略のフレームワークのことを示しています。

取り組み事例:トヨタ

トヨタはCSVに対して積極的な取り組みを行っています。
具体的な取り組み内容としては、農業IT管理ツールに対する取り組みです。
自動車の生産管理手法や工程改善の技術を生かして、農業法人向けに農業生産を高める農業IT管理ツール「豊作計画」の開発に取り組んでいます。農業の生産性向上という社会的課題に対して自社の強みである高度な生産管理技術で対応しているCSVです。

企業がESGに取り組む3つのメリット

メリット1:社会に貢献できる

昨今社会で注目を集めている課題に対して民間の企業が取り組みを行うことがESGという観点から企業評価の向上につながります。
そのため、ESGにおける企業評価を高めることで社会へ貢献することができます。

メリット2:投資家からの評価向上

近年、ESGは投資家を中心として急激に注目されており、投資を通じて社会貢献ができる点と長期的に安定した利益が見込める点の2つがESG投資のメリットとして挙げられます。
企業の持続可能な社会へ向けた取り組みを投資を行うことで後押しでき、投資を受けた企業の持続可能な社会へ向けた取り組みが、企業自体の長期的に安定した事業につながります。

メリット3:企業の持続的な利益につながる

ESGへの取り組みを行っている企業は持続的な利益を生み出しやすいと言われています。
その理由としては、機関投資家が投資をする可能性が高く、長期的に安定した資金を得る可能性が高いためです。資産価値の変動が発生しづらいため、長期的な視点でリスクが低くなります。

企業がESGに取り組む際の2つの留意点

効果を感じにくい点

メリットにある持続的な利益につながるという点から、逆に短期的には効果を感じにくいという特徴を有します。
そのため、大きな効果を感じることは少なく、長期的な視点で取り組みを講じていくことが重要になっていきます。

基準が明確でない点

ESGはまだ歴史が浅く、様々な基準が存在し、明確なものがないため、目標を定めることが困難になってしまうケースが多くあります。
明確な目標が定められないと社内外に示すことができなくなってしまい、利益へのつながりも薄くなってしまいます。

企業がCSRに取り組む3つのメリット

メリット1:企業イメージの向上

CSRに取り組み、それを社内外にアピールすることで企業イメージの向上につながります。
その結果、企業の信頼感やブランド力が向上し、それが購買力に繋がり、利益向上も見込めると考えられています。

メリット2:従業員のロイヤリティが高まる

企業のステークホルダーの一部である従業員は、自身の仕事が社会へ貢献できていると自覚して働くことで、モチベーションが高まり生産性の向上が期待できます。
そこから、職場環境も良好になり、さらなる優秀な人材の確保にもつながります。

メリット3:取引先・株主との良好な関係構築

CSRは企業イメージの向上につながるだけでなく、顧客からの信頼に繋がります。そこから株主・投資家からの支持にもつながります。
ステークホルダーとの関係を密にすることが可能になり、利益を得られ、企業活動の円滑化ができるようになります。

企業がCSRに取り組む際の2つの留意点

人材不足の可能性が高まる点

CSRに取り組む際、問題となるのが、人手不足です。
CSRに取り組むには、そこに一定数の人員を割かなければいけません。
そのため、経営難の状態や人手の足りない企業では、逆に不利益に繋がってしまうケースもあるため、注意する必要があります。

コストがかさむ点

CSRを行うことでコストがかさむことに繋がります。
長期的な視点では企業の利益に貢献しますが、本業ではない事業に対し、投資することになり、短期的な利益が望めず、経営状態が不安定な企業には導入が難しいのが現状です。

まとめ

このように、ESGとCSRには明確な違いがあり、用語をしっかりと理解して、自社に必要な取り組みは何であるか熟考することで、自社の利益はもちろん社会全体が円滑に進むことへ貢献することができるようになります。
ぜひ導入へ向けて、検討してみてください。

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