SDGs7の日本と世界の現状-達成に向けた取り組みも紹介

#エネルギー#エネルギー効率#ゼロエミッション#信頼できる#太陽光#水素#脱炭素(カーボンニュートラル) 2022.07.21

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私たちが生活する上で欠かせないエネルギー。
世界には充分にエネルギーを使用できない人が数多く存在します。

今回は、SDGs目標7の概要から世界と日本の現状、課題までを解説していきます。

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SDGs7の概要

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」ではすべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保することをテーマに、5つのターゲットが設定されています。
ターゲットの内容は以下の通りです。

【7.1】2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
【7.2】2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
【7.3】2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を増幅させる。
【7.a】2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石年両技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
【7.b】2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、無い陸発展途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

 

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SDGs7の現状と課題

SDGs7の世界の現状

エネルギーインテリジェンスとコンサルティング会社であるEnerdateによると、2020年度の世界の発電電力量は約26000TWhであり、2019年度より発電電力量が0.6%低下しました。

発電電力量の低下の理由として、経済成長の減速による発電電力量の減少傾向や、新型コロナウイルスによる店舗や工場などの産業・業務部門の電力需要の減少や、OECD加盟各国によるロックダウン措置などが挙げられます。

SDGs7の世界の課題

国際連合広報センターのデータによると、2019年における電力を利用できていない人数は約7億5,900万人となっており、そのうち4人に3人がサハラ砂漠以南のアフリカに住む人々です。世界中の人が電力を使えるような環境をつくり、供給を行う必要があります。

また、私たちが利用する電気の多くは化石燃料を資源とした電気です。国際エネルギー機関(IEA)によると2019年末に確認された石油の貯蔵量は約50年分であり、徐々に資源が枯渇しています。

世界で安定した電力供給を行うために化石燃料を使用するのではなく、太陽光や水力のような再生可能エネルギーを使用する必要があります。

SDGs7の日本の現状

資源エネルギー庁によると、2020年における日本の発電電力量は約8,400億kWhであり、2019年度より発電電力量が0.9%低下しました。

日本においても、新型コロナウイルスによる店舗や、工場の産業・業務部門の電力需要の低下が発電電力量の減少につながっています。

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SDGs7の日本の課題

現在、日本国内において電力を利用できない地域はありません。しかし、2022年3月には地震の影響による一部地域の火力発電所の一部停止や、悪天候により電力供給が不足する事態が起こりました。そのため現在の日本は、安定した生活をするための電力は足りていない状況です。

日本のエネルギーのほとんどは化石燃料による火力発電です。資源エネルギー庁によると、2020年においても化石燃料や天然ガスを用いた火力発電が76%を占めています。

日本国内でも地球にやさしく、安定した電力の供給を続けるため、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組む必要があります。

SDGs7達成のための取り組み事例

世界の取り組み3選

アメリカ|RPSの義務化

アメリカ・カリフォルニア州政府は2018年、州内における電力小売の一定割合を自然エネルギーで供給することを義務付けるRPS(Renewable Portfolio Standard/自然エネルギー利用割合基準法)を改定しました。従来の基準では2030年までに自然エネルギーの比率を50%にすることを目標にしていましたが、60%へと引き上げました。また、2045年までにクリーンエネルギー100%を達成することを付け加えています。

カリフォルニア州政府はクリーンエネルギーの利用を拡大するため、太陽光発電の促進に力を入れています。2018年には州全体に屋根置き型太陽光発電の設備を義務付けました。また2020年以降、新築一戸建て住宅にも太陽光発電の設置を義務付けています。

イギリス|「グリーン産業革命に向けた10ポイント計画(The Ten Point Plan for a Green industrial Revolution)」

2020年、イギリス政府は2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ化に向けたエネルギー白書を発表しました。白書は重要施策10項目を示した「グリーン産業革命に向けた10ポイント計画(The Ten Point Plan for a Green industrial Revolution)」に基づいて策定されています。

エネルギー部門では、化石燃料からネットゼロ経済(大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスの量が同量であること)に適したものに変換し、再生可能エネルギー供給を行ったり、洋上風力発電を導入し、洋上風力発電をイギリス国内に普及するなどの取り組みを行っています。

エジプト|「グリーントランスフォーメーション(GX)」

エジプトでは国土を活かし、エネルギー源を再生可能エネルギーや脱炭素燃料に転換する「グリーントランスフォーメーション(GX)」に積極的に取り組んでいます。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、エジプトは平均日照時間が一日あたり9〜11時間であり、1平方メートルあたり2000〜3200kWとなっているため、太陽光資源にとても恵まれています。
また、紅海沿岸では平均風速毎秒8〜10メートルと風力においても恵まれています。

これらの恵まれた自然を活用して、エジプトは太陽光・風力・水力発電を拡大し、再生可能エネルギーによる電力供給を進めています。

また、エジプト政府はエジプト国内の大手企業や電力関連企業とともに、余った電力をスーダンなどの周辺国に輸出しています。2020年1月にはスーダンへの売電用送電設備を設置し、徐々に送電しています。

 

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SDGs目標7達成のためにできること-企業と個人の事例を紹介

日本の取り組み3選

日本政府|福島復興支援

2011年3月に起きた東日本大震災の被害は大きく、今もなお復興作業を行っています。福島では、原子力発電所事故による放射線物質の放出・拡散により、避難指示区域に指定されています。

政府は福島の再生・復興に向けて、エネルギー産業・技術を促進し、「再生可能エネルギー先駆けの地」として発展していくことを推進しています。

取り組みとして、風力発電所の設置や、送電線の増強、水素エネルギーの供給などが挙げられます。

東京電力ホールディングス|脱炭素化対策

東京電力ホールディングスは、消費者やすべてのステークホルダー(企業との利害関係者)の「安心で快適なくらし」の実現に向けて電気・ガスの安定供給だけでなく、「エネルギーの未来を切り拓く」ことを目指し、SDGs目標達成を目指しています。

取り組みとして、太陽光・水力発電などの再生可能エネルギーの導入や、自治体独自の供給システム「Aquaμ(アクアミュー)」の構築などがあります。

株式会社未来電力|地産地消型社会の実現

株式会社未来電力は、電力事業を通じて国内のエネルギー自給率の向上、エネルギーの地産地消型社会の実現、持続可能なコミュニティの形成を目指し、取り組みを行っています。

株式会社未来電力では太陽光や風力発電に限らず、バイオガス発電にも力を入れており、クリーンエネルギーの供給を行っています。
大分県宇佐市では、クリーンなエネルギーによるバイオガス発電事業に取り組み、地域に雇用と大きな経済効果をもたらしています。

 

 

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SDGs7達成のために私たちにできること3選

節電や再生可能エネルギーの使用

もっとも取り組みやすいものとして、日頃からの節電や、再生可能エネルギーの使用が挙げられます。

使用していない時は電源を切ったり、テレビの明るさを調整したり、適切な温度でエアコンを使用するだけで節電となります。

その他にも、太陽光発電設備の設置をすることで再生可能エネルギーが発電でき、環境にやさしいエネルギーを使用することにつながります。

まずは日頃の生活の中で、節電を心がけてみませんか?

自転車や公共交通機関の利用

移動する際にはとても便利な自動車ですが、自動車によるCO2排出量は鉄道の約9倍と、かなり多いです。クリーンな社会を実現するためには、CO2排出量削減はとても大切なことです。

普段の通学・通勤で使用する自動車を自転車や電車などの公共交通機関に変えるだけでCO2排出量は格段と減ります。
自動車を使わざる得ない場合は、運転速度を遅めたり、エアコンの使用を控えたり、アイドリングストップをやめることでCO2排出量を削減できます。

「被災地応援でんき」への参加

「被災地応援でんき」は株式会社UPDATERが行っている、福島への電気供給を行うプロジェクトです。

普段、家で使っている電気を「被災地応援でんき」に切り替えるだけで電気料金から100円を福島県の発電所に毎月届けられます。

集めた資金は、新しい発電所の設置やメンテナンスに必要な機器の購入に使用されています。

この取り組みは電気を切り替えるだけで簡単に福島県復興の支援が出来るため、ぜひ一度調べてみませんか。

 

「被災地応援でんき」:https://minden.co.jp/personal/lfn/

まとめ

いかがでしたか。世界各国ではいまだに電力が供給されていない地域が存在しています。また、化石燃料による電力に依存しているため、環境にも悪影響を与えています。地球環境がさらに悪化しないため、世界では太陽光や水力のような再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでいます。
みなさんもまずは日頃からできることを始めてみませんか。

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