日本の再生可能エネルギーの現状とは?-5つの導入メリットも解説

#エネルギー#ゼロエミッション#太陽光#強靭性(レジリエント)#水素#環境#脱炭素(カーボンニュートラル)#防災 2022.08.31

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日本の再生可能エネルギー導入の現状を知っていますか。

太陽光や風力、地熱、バイオマスなど多様な再生可能エネルギーが存在しますが、依然として日本では導入が進んでいません。

なぜ日本では再生可能エネルギーの導入が進んでいないのでしょうか。また再生可能エネルギーを導入することで、国や企業・家庭にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

今回は、再生可能エネルギーについて、目標や種類、日本の目標と現状について簡単に解説していきます。さらに導入が遅れる理由や、導入課題、導入メリットなども詳しく解説していきます。

再生可能エネルギーとは

「再生可能エネルギー」とは、石油や石炭、天然ガスのような有限資源である化石燃料を用いたエネルギーではなく、太陽光や風力のような自然由来のエネルギーです。

再生可能エネルギーは枯渇することがなく、二酸化炭素の排出量削減につながるというメリットがあります。

関連記事:《徹底解説》今、注目を集める再生可能エネルギーとは|SDGsとの関係性も解説

再生可能エネルギーの種類一覧

再生可能エネルギーには、太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱・太陽熱・地中熱とさまざまな種類があります。

それぞれの再生可能エネルギーの特徴とそのメリットは以下のとおりです。

特徴 メリット
太陽光エネルギー 太陽から熱や電力を得るエネルギー。日本は世界トップクラスの電力量を発電している。 ・地域によらず導入しやすい
・屋根や未利用地を活用できる
・災害時に非常用電源として使用できる
風力エネルギー 風の力を利用して発電するエネルギー。洋上風力と陸上風力の2種類が存在する。日本は欧米諸国と比べると導入が遅れている。 ・変換効率が高い
・風が吹いていれば、夜間でも発電できる
水力エネルギー 日本の豊かな水資源を活用し、効率よく発電できるエネルギー。ダムや河川、農業用水から上下水道を利用して電気を生み出す。近年では、小水力発電が増加している。 ・安定的に供給できる
・二酸化炭素を排出しない
・電力需要に対応しやすい
・エネルギー変換効率が高い
・CO2排出量が少ない
 バイオマス  エネルギー 動植物由来の原料を直接燃焼したり、ガスにしたりして、作られるエネルギー。燃料、熱利用、発電と幅広く用いられている。 ・廃棄物の削減につながる
・循環型社会の形成へ貢献する
・農山漁村の活性化にもつながる
地熱エネルギー 火山地域の地下にあるマグマの熱から生まれる蒸気をエネルギーに用いることができる。火山や温泉が多い日本ではポテンシャルが高い。 ・蒸気や熱水を養殖や暖房に再利用できる
・枯渇する心配がない
・昼夜を問わず発電できる
・天候の影響を受けにくい
太陽熱エネルギー 太陽の熱エネルギーを太陽集熱器に集めて給湯や冷暖房などに活用するもの。機器の構成が単純であるため、長期利用できる。 ・簡単なシステムであり、導入しやすい
・エネルギーの変換効率が高い
・太陽が当たる場所であれば、どこでも利用できる
地中熱エネルギー 浅い地盤中に存在する恒温の熱エネルギーを利用するもの。熱交換により、冷暖房や給湯に活用できる。欧米や中国を中心に導入が進んでいるが、日本では大幅に遅れている ・日本中どこでも利用できる
・環境汚染の心配がない
・熱を大気に放出しないため、ヒートアイランド現象を起こさない
・省エネ効果が高い

引用:宇都宮の持続可能なエネルギー報告書

日本の再生可能エネルギー導入目標

「エネルギー基本計画」とは、エネルギー政策の基本的な方向性を示すために政府が策定するものです。日本では2021年10月に「第6次エネルギー基本計画」が発表されました。

「第6次エネルギー基本計画」では気候変動問題への対応と、日本が抱えるエネルギー需給構造における問題克服を中心に計画が策定されています。また、2030年までに再生可能エネルギー比率を36〜38%にするという目標も設定されました。

「エネルギー基本計画」では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーや原子力などの実用段階にある脱炭素技術を活用したり、水素・アンモニアを活用した発電、CCS(二酸化炭素回収・貯蓄技術)・CCUS(分離・貯蓄した二酸化炭素の活用)を利用して、脱炭素化を着実に進める目標を掲げています。

日本の再生可能エネルギー導入の現状

ここまで、再生可能エネルギーの概要とその種類について説明してきました。

続いて、日本の再生可能エネルギー導入における現状について説明していきます。

再生可能エネルギーの電力比率が低い

日本の再生可能エネルギー導入量は少しずつ増加しているものの、全電力供給量に占める再生可能エネルギーの電力比率は、今もなお低い現状です。

資源エネルギー庁によると、2020年における日本の太陽光発電導入容量は世界6位でしたが、2019年における日本の再生可能エネルギー電力比率は18%でした。また石油や天然ガスを用いた、火力発電や原子力発電の電力比率が高くなっています。

一方でイギリスやドイツ、スペインなどのヨーロッパ諸国における再生可能エネルギー電力比率は、30%を超える国が多く見られます。

関連記事:世界の発電源、再生可能エネルギーの割合が約4割に|国際再生可能エネルギー機関が報告書を公開

各国と比べて再エネの導入が遅れている

日本は石油や石炭のような化石燃料由来の電力に大きく依存しているため、再生可能エネルギー由来の電力供給量は低い状態となっています。

資源エネルギー庁によると、2018年における日本のエネルギー自給率は11.8%と低く、必要なエネルギー資源のほとんどが海外から輸入したものになっています。

海外からのエネルギー資源に依存するのではなく、再生可能エネルギーを活用する必要があります。

太陽光や水力の導入容量が大きい

日本では、水資源に富んでおり、かつ日照時間が比較的長いため、太陽光発電と水力発電の導入量が多くなっています。

資源エネルギー庁によると、2020年における日本の太陽光発電導入容量は世界3位でした。

しかし、再生可能エネルギーの普及には、地中熱や小水力、バイオマスなどの利用も増やし、地域の特性に合わせた多様なエネルギーを活用することが重要です。

再生可能エネルギーの導入が遅れる3つの理由

ここまで、日本の再生可能エネルギー導入における現状について説明しました。

次に、日本が再生可能エネルギーの導入に遅れている3つの理由を説明します。

関連記事:再生可能エネルギーによるデメリット3選-普及しない理由とデメリットの解決策を紹介

再生可能エネルギー=不安定というイメージが広まっている

日本では、太陽光発電などの再生可能エネルギーの電力供給は気候の影響を受けることから、不安定であるという印象を持つ人が非常に多くなっています。

太陽光発電や風力発電は天候などによる自然状況により、発電電力量が大きく影響します。しかし、実際は地中熱など安定して利用できる再生可能エネルギーもあります。

メディアなどで偏った情報が発信されていることで、「再生可能エネルギーは不安定」というイメージを持つ人が多くなっているのです。

火力や原子力中心のエネルギー政策である

資源エネルギー庁によると、2020年における天然ガスや石炭のような化石燃料由来の発電電力量は全体の約80%でした。

一方で、再生可能エネルギー由来の発電電力量は20%未満という、極めて低い数値です。

持続可能な社会を目指すためには、天然ガスや石炭のような化石燃料を用いるのではなく、再生可能エネルギーを活用した電力を多く供給する必要があります。

導入コストがかかる

二酸化炭素を排出せず、環境にやさしい再生可能エネルギーですが、その設備を導入するためには膨大な費用がかかります。

たとえば太陽光発電設備を導入する際、ソーラーパネル以外にも設備を設置する必要があります。そのほかにも、メーカーや設置場所の条件によって異なります。

しかし、近年では技術開発が進み、少しずつコストが下がってきています。資源エネルギー庁によると、2020年の設置費用は2019年に比べて0.4万円/kW減少となりました。

再生可能エネルギー導入の課題4選

ここまで、日本の再生可能エネルギー導入が遅れている理由を紹介してきました。

続いて、再生可能エネルギーを導入するにあたって直面する、4つの課題を紹介していきます。

コストの削減

技術の発展により年々、再生可能エネルギー発電設備の設置費用は下がってきているものの、依然として高い現状です。

費用を抑えるためにも、再生可能エネルギー発電について開発・研究を進めている企業や団体の支援をすることで、コスト削減に貢献できます。

日本国内にはパシフィコ・エナジー株式会社や株式会社レノバ、株式会社ジー・スリーホールディングスなど再生可能エネルギー発電を展開する企業があり、再生可能エネルギーの普及に向けて取り組みを進めています。

長期的な安定性の確保

再生可能エネルギー由来の電力を長期にわたって供給するためには、安定した電力供給の仕組みを確立する必要があります。

落雷のような災害や、発電所の停止などの突発的なトラブルに対する耐性(レジリエンス)を備えた「発電持続機能」がなければ、安定した電力供給を行うことはできません。

資源エネルギー庁によると、現時点において太陽光発電や風力発電にはトラブルへの耐性が弱いため、トラブルが生じても発電を続ける力や安定性を確保する必要があります。

多様な再生可能エネルギーを活用する

再生可能エネルギーにはさまざまな種類がありますが、日本では太陽光発電と水力発電の活用に依存しており、地中熱発電や太陽熱発電のようなほかの再生可能エネルギーを活用できていません。立地や気候の条件によって効率よく発電できる再生可能エネルギーは異なるため、太陽熱発電と水力発電だけでなくさまざまな再生可能エネルギーを利用することが大切です。

再生可能エネルギーには太陽光発電や風力発電の他にも、ヒートポンプを使用して空気から熱を吸収する空気熱や、海面の暖かい水と深海の冷たい水との温度差を利用した海洋温度差発電など、さまざまな種類の再生可能エネルギーが存在します。

再生可能エネルギーには多様な種類があり、地域の特性に合わせて導入していくことが重要です。

安全面の問題や環境への影響を減らす

再生可能エネルギーの導入が進むにつれて環境への影響や安全性の問題が浮上していきます。とくに、メガソーラー(大規模太陽光発電)設置による大規模森林伐採や、土砂崩れなどの問題が生じています。

そのほかにも資源エネルギー庁によると、2018年に発生した自然災害の影響で再生可能エネルギー発電用の設備が被災し、崩落や飛散してしまいました。

その他にも、再生可能エネルギー発電設備を立地することで景観や環境に影響を与えています。たとえば資源エネルギー庁がWebサイトに設けている「再生可能エネルギー事業の不適切案件に関する情報提供フォーム」では、いくつかの自治体から景観の損害や生活環境の悪化などの問題が情報提供されています。

これらの問題を解決するために、確実に安全性のある再生可能エネルギー設備の仕組みの構築や、地域住民・自治体との情報共有と設置に対する取り決めを行うことが大切です。

再生可能エネルギーを導入する5つのメリット

ここまで、再生可能エネルギーの導入における4つの課題について説明してきました。

最後に再生可能エネルギーを導入することのメリットを5つ紹介します。

温室効果ガスを削減できる

再生可能エネルギーは石炭や石油のような化石燃料とは異なり、温室効果ガスの排出を削減できるエネルギーです。そのため、地球温暖化対策につながります。

火力発電や原子力発電で使用される化石燃料は、このまま利用を続けていくと40年後には石油が枯渇すると言われています。

一方で再生可能エネルギーは太陽光のような地球の自然を利用するため、化石燃料のように枯渇する心配もなく、持続的なエネルギー供給を行うことができます。

エネルギー価格の安定化につながる

再生可能エネルギーでは化石燃料とは違い、自国でエネルギー資源をまかなうことが出来るため、エネルギー価格の安定化につながります。

一般社団法人エネルギー情報センター(EIC)によると、2018年6月から2022年3月にかけて原油の価格は著しく変化しており、2020年2月以降右肩上がりとなっています。

火力発電が主流の日本はエネルギー資源のほとんどが海外から輸入したものです。そのため、エネルギー価格の高騰は物価高にもつながっています。しかし、再生可能エネルギーは海外に依存することはなくなるため、国内のエネルギー価格の安定化につながります。

雇用を創出できる

再生可能エネルギー設備の導入は、二酸化炭素排出量の削減のみならず、雇用の創出においても期待されています。

2020年9月に国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表した「Renewable Energy and Jobs Annual Review 2020」によると、2019年における再生可能エネルギー関連の雇用が世界全体で約1150万人に達しました。

地域へ再エネを導入することで地域産業が活性化し、それに伴い雇用も生まれるなど、好循環を作ることができます。

災害時や非常時のエネルギーを確保できる

地震や津波などの災害や、非常時の際、火力発電や原子力発電が機能しないことがあります。しかし、再生可能エネルギー設備は災害時や非常時にも電力を供給できるため、エネルギーを確保できます。

2019年に起きた台風15号は電力供給に大きな支障をきたし、神奈川県の約14万戸が停電となりました。

しかし太陽光発電があれば昼間に電気を確保することで、夜間でも電気を使用できます。さらに地中熱などはいつでもどこでも安定的にエネルギーを確保できるため、災害時でも安心して利用できます。

光熱費を抑えられる

再生可能エネルギーを活用することで化石燃料由来の電力を使用する頻度が下がり、光熱費を抑えることができます。

近年、電気代は向上しており、東洋ソーラー株式会社によると2006年から2019年にかけて電気代が約22%上昇しています。

太陽光発電のような再生可能エネルギー発電設備を設置することで、効率よくエネルギーが使用でき、光熱費を最低限に抑えられます。

まとめ

「再生可能エネルギー」とは、石炭や石油のような化石燃料由来ではなく、太陽や風力のように地球の自然を資源としたエネルギーです。

日本でも少しずつ再生可能エネルギー発電設備を導入しており、太陽光発電設備の導入量は世界でもトップクラスとなっています。

しかし、日本はいまだ化石燃料を用いた火力発電などに依存しており、設備導入に多くの費用がかかるため、再生可能エネルギーの導入は進んでいない現状です。

再生可能エネルギーの導入には導入には、光熱費の削減や非常時の電力供給の確保、雇用の創出などのメリットがたくさんあります。普及には、安定した供給体制の構築やコスト削減が重要です。

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