世界では約1億6,000万人もの子どもが、児童労働を強いられています。私たちが使うものの中にも、児童労働によって作られているものが少なくありません。
児童労働に対して私たちは何ができるのでしょうか。
この記事では、児童労働の特徴や世界の現状、原因、児童労働の解決策の1つであるフェアトレードと児童労働の関係について解説します。
【この記事で分かること】 |
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児童労働とは
児童労働は、18歳未満の児童が、経済的・社会的な理由により、有償または無償で労働に従事することを指します。児童労働は、児童の権利に関する国際的な取り決めである「児童の権利に関する条約」により禁止されています。子どもたちに身体的、精神的、社会的に有害な影響を与え、児童の発達に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
また児童労働は、世界中で問題となっています。特に発展途上国では、貧困、教育の不足、社会的・文化的な要因、または児童の家族の経済的困難などから、児童が働かさざるを得ない状況にあります。
国際社会では、児童労働の根絶を目指して、法制度の整備や啓発活動、労働力市場の改革などの取り組みが進められています。しかし、児童労働の撲滅には依然として課題が残されており、今後も取り組みが必要です。
児童労働の4つの特徴
次に、児童労働の4つの特徴について紹介します。
【特徴】
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1. 劣悪な環境での長時間労働
劣悪な環境での長時間労働は、工場や鉱山での過酷な労働や、農村部での農作業などが挙げられます。これらの労働場所は安全性が低く、長時間の労働により、児童の学業や身体発達に悪影響を与える可能性もあります。
2. 親の借金のかたに無給で働かせる債務労働
親の借金などによって、児童が無給で働かされることを債務労働と呼びます。債務労働は、貧困や社会的な不平等などが原因となります。このような場合、児童が学校に行くことができなくなることも少なくありません。
3. 人身売買による性産業での強制労働
性産業に従事する児童は、性的な虐待や暴力、病気にかかるなど、深刻なリスクに晒されています。このような児童は、しばしば法律的な保護を受けることができず、社会からの差別や偏見にもさらされることもあります。
4. 子ども兵として軍事行動に参加させること
紛争地域では、児童が軍隊に入隊させられ、戦争や紛争に参加させられることがあります。これらの児童は、身体的な苦痛や精神的な苦悩、生命の危険にさらされています。また、兵士としての任務に責任を負わされてしまいます。児童兵の多くは、拘束や拷問、性的虐待、生活環境の劣悪さなど、違法な扱いを受けていることも少なくありません。
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世界の児童労働の現状|約1億6000万人の子どもが児童労働の犠牲になっている
世界の児童労働の現状は深刻であり、国際労働機関(ILO)によると、2020年時点で世界中で約1億6000万人の子どもが児童労働の犠牲になっています。この数は、約10人に1人の世界の児童が労働に従事していることを示しています。
児童労働は、特に貧困層や社会的に弱い立場にある児童に影響を与えており、多くの場合、彼らは低賃金や危険な労働条件で働かされています。児童の健康や発達に悪影響を与え、彼らの教育機会を奪い、社会的な格差を拡大させることにつながっています。
アフリカ|世界で最も多い児童労働者数
アフリカでは、児童労働が深刻な問題となっています。国連児童基金(UNICEF)によると、アフリカの児童労働者数は世界で最も多く、全体の半数以上を占めています。
特にアフリカの農村部では、貧困な家庭の子どもたちが学校に通えず、農業や家事などの労働に従事することが多く、その数は増加しています。また、都市部でもストリートチルドレンと呼ばれる子どもたちは、路上生活や携帯品の販売、家事代行などの仕事に従事せざるを得ません。
アフリカの一部の国では、児童が鉱山での労働に従事することがあります。コバルトやダイヤモンドなどの採掘に関連した産業では、一部の児童が重労働を強いられ、非人道的な労働環境に置かれていることが問題点として挙げられます。
しかし、アフリカの児童労働の問題に対しては、国際社会やNGOなどが様々な取り組みを行っています。アフリカ諸国においても、児童労働を是正する法律や政策の整備が進められていますが、貧困や教育不足などの根本的な問題が解決されない限り、児童労働の撲滅は依然として大きな課題となっています。
アジア太平洋地域|無給で働かされる子どもが多い
アジア太平洋地域においても、児童労働は深刻な問題となっています。国連児童基金(UNICEF)の報告によると、この地域においては、世界の児童労働者数の約2/3を占めています。
アジア太平洋地域では、貧困層や移民労働者の子どもたちが児童労働の犠牲になることが多く、特に工業や農業分野での児童労働が多発しています。また、家事や介護などの分野でも、子どもたちが無給で働かされることがあります。
さらに、アジア太平洋地域では、人身売買によって性産業に従事させられる子どもたちも存在しています。この地域では児童を性的目的で利用する問題が深刻であり、一部の国では、性的搾取や児童ポルノなどの犯罪が横行しています。
アジア太平洋地域の一部の国では、児童労働を是正するために法律や政策の整備が進められていますが、未だに多くの子どもたちが児童労働の犠牲になっています。国際社会やNGO、企業などが取り組みを進めているものの、児童労働問題を解決するためには、各国政府や国際社会が一丸となって取り組む必要があります。
児童労働の原因3選
ここまで世界の児童労働の現状について紹介していきました。
続いて、児童労働の原因を3つ紹介していきます。
貧困
貧困が児童労働の主な原因の一つであり、家庭が生活費を賄うために子どもたちに働かせることがあるためです。特に発展途上国では、貧困層の子どもたちが児童労働の犠牲になることが多く、貧困の解消が児童労働問題の解決につながるとされています。
教育機会の損失
教育機会の損失が児童労働につながることがあります。学校に通えない子どもたちは、学校に通うことができないため、家庭で働くことが多くなります。また、教育機会が不十分な地域では、子どもたちが学校に行くことができても、教育の質が低く、学校を中途退学して働くことが多くなっています。
新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの流行により、世界中で経済的な困難に陥った家庭が増え、児童労働の発生が懸念されています。特に発展途上国では、新型コロナウイルスの影響により、子どもたちが学校に行けなくなったり、家庭の収入が減少したりすることが多く、児童労働問題が深刻化しているとされています。
また、ロックダウンや移動制限などにより、労働者の雇用が減少したことで、子どもたちが労働に従事することが増えたとの報告もあります。
児童労働に対して私たちにできること|フェアトレード商品の購入
フェアトレード商品は、生産者や労働者に公正な価格を支払い、彼らが生活していくための十分な収入を得られるようにすることを目的とした商品です。フェアトレード商品を購入することで、児童労働問題に貢献することができます。
一部のスーパーマーケットやオンラインストアでは、フェアトレード商品を購入することができます。また、フェアトレードの団体が運営するショップやカフェもあります。フェアトレード商品を選ぶ際には、商品にフェアトレード認証のマークがついているかどうかを確認し、積極的に選ぶようにしましょう。
関連記事:フェアトレードの仕組みとは?-背景にある4つの問題も解説
関連記事:フェアトレード食品を買う時のポイント3選-購入サイトや店舗も紹介
なぜフェアトレードが重要なのか|児童労働とフェアトレードの関係
ここまで、児童労働に対して私たちにできることであるフェアトレード商品の購入について紹介していきました。ではなぜフェアトレードが重要なのでしょうか。続いて、児童労働とフェアトレードの関係について解説していきます。
理由1-フェアトレードは児童労働の削減を目指しているから
フェアトレードは、製品を生産する農家や労働者に対して適正な賃金と労働条件を提供することを重視しています。適正な賃金と労働条件が確保されることで、労働者や農家が貧困から抜け出し、子供たちが学校に通い続けることができる環境が整います。
このように、フェアトレードは児童労働の削減を目指すことができます。児童労働が減少すれば、子供たちは学校に通い、将来のためのスキルや知識を身につけることができます。
理由2-フェアトレードは消費者も参加できる取り組みだから
フェアトレードの商品は、生産者や労働者に適正な価格が支払われ、それによって貧困を脱することができるようになっています。消費者はフェアトレードの商品を選ぶことで、児童労働や貧困などの社会問題の解決に貢献することができます。
また、消費者がフェアトレードの商品を選ぶことでフェアトレードの価値観が広がり、社会的な変化を促すこともできます。そのため、フェアトレードは消費者も参加できる取り組みとして注目されています。
理由3-フェアトレードは貿易や社会の仕組みの変化を目指しているから
一般的な貿易システムでは、発展途上国の生産者や労働者が不公正な取引条件や低賃金で働かざるを得ない状況があります。しかし、フェアトレードは、商品の生産者や労働者が自立的に生産を行い、公正な価格で商品を販売することで、このような不公正な取引を減らしています。
フェアトレードは、貿易や社会の仕組みの変化を目指しています。フェアトレードの原則は、貿易において公正な関係を築くことができるように、市場や政治的な仕組みを改善することです。これにより、生産者や労働者にとって公正な取引が行われることが期待され、児童労働の根本的な解決につながることが期待されます。
フェアトレードの他に、児童労働に対してできることは
ここまで、フェアトレードの重要性、児童労働とフェアトレードの関係について解説していきました。では、フェアトレードの他に、児童労働に対して私たちができることは何でしょうか。
児童労働について学び、伝えること
児童労働が世界中でなくならない理由は、多くの人々がその存在に気づいておらず、問題を放置しているためです。児童労働について学び、意識を高め、身近な人々にもその問題を伝えることで、児童労働がなくなるための取り組みが進むことにつながります。
NGO活動への参加
児童労働問題を解決するために活動するNGO(非政府組織)が世界中に存在しています。これらのNGOに参加し、寄付やボランティア活動を通じて、児童労働問題に取り組むことができます。また、これらのNGOが行うキャンペーンや署名活動などに参加することで、政府や企業に対してもアピールができ、児童労働問題の解決の手助けになります。
児童労働を解決するために活動している団体への寄付
児童労働を解決するために活動する団体への寄付は、間接的な支援になります。寄付がなければ、これらの団体は活動を続けることができず、問題解決が遅れることになります。また、多くの場合、児童労働が多発している貧しい地域の子どもたちに対して、学校や医療の支援なども行っています。寄付は、これらの支援活動にもつながると考えられます。
児童労働を解決するために活動する団体3選
ここまで、フェアトレードの他に、児童労働に対してできることについて紹介していきました。
最後に、児童労働を解決するために活動する団体を3つ紹介していきます。
認定NPO法人かものはしプロジェクト|子どもたちへの支援
認定NPO法人かものはしプロジェクトは、児童労働の撲滅と、子どもたちが暮らしやすく、安心して暮らせる社会の実現を目指して、様々な活動を行っている団体です。
児童労働問題に取り組むため、世界各国の現地NGOや研究機関と連携し、児童労働の実態調査や、現場での支援活動を行っています。また、日本国内では、児童労働に関する情報提供や啓発活動、児童労働撲滅のための政策提言なども行っています。
特にアフリカ諸国においての、児童労働問題に取り組んでいます。現地の児童労働問題を解決するため、子どもたちの就学支援や、親たちの生活改善支援など、総合的な支援活動に取り組んでいます。また、現地の学校に対しては、校舎や教材の整備支援なども行っています。
他にも児童労働問題の解決に向け、企業や自治体との連携にも力を入れています。企業に対しては、自社での児童労働の排除や、サプライチェーンの改善などを提言し、自治体に対しては、子どもたちの就学支援や、保護者たちの生活支援などを求めています。
公益財団法人日本ユニセフ協会|国内外での啓発活動や募金活動
公益財団法人日本ユニセフ協会は、国連児童基金(UNICEF)のパートナー団体として、子どもたちの生存権、発達権、保護権、参加権の実現を目指して、世界中の子どもたちに対して様々な支援を行っています。特に児童労働解決のためには、貧困根絶、教育改善、保護強化などを行うことが必要であり、これらの分野においても積極的に活動しています。
他にも、政府や企業とのパートナーシップにも力を入れ、児童労働解決のために必要な政策の提言や、企業の社会的責任についての啓発活動なども行い、国内外での啓発活動や募金活動を通じて、多くの人々に支援を呼びかけています。
認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン|職業訓練プログラム
認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパンは、世界中の貧困地域における子どもたちとその家族を支援する国際的な子ども支援団体であり、児童労働問題にも取り組んでいます。教育や啓発活動、貧困解決、地域社会の発展支援、保護児童の支援など、複数の支援活動を行っています。
また、同団体は、子どもたちが児童労働に従事せざるを得ない状況から抜け出し、教育や技能習得を通じて自立的な生活を送ることができるよう、職業訓練プログラムを提供するなど、具体的な支援を実施しています。
さらに、世界中で活動しているWorld Visionの一員として、子どもたちやその家族の生活改善に向けた支援を行い、児童労働問題を解決するための活動に取り組んでいます。
まとめ
今回は、児童労働の特徴や世界の現状、原因、児童労働の解決策の1つであるフェアトレードと児童労働の関係について解説しました。
日本において、世界の児童労働問題は話題になることは多くありません。しかし、児童労働について学び、伝えることで解決できる問題も存在しています。
他にも、日本にいても私たちにできることは募金活動などたくさんあります。少しでも支え児童労働をなくすために私たちにできることから始めてみましょう。