《必見》人材育成に用いられるSDGs|育成メリットから研修の紹介まで

#ESG#SDGs目標4#SDGs目標8#教育#経営 2021.07.12

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【更新日:2022年7月13日 by 三浦莉奈

「改革を実行するということは、まず改革にあたる者が自分を変えることだ」

この言葉は歴史から見た経営学やリーダーシップ論についての多くの本を執筆している、小説家である童門冬二氏が残した言葉です。

SDGsの注目が急激に高まり、改革が求められる今、まずは自分自身を改革させていくことが重要です。

童門冬二氏は以下のような発言もしています。

「自分を変えるということは、生き方を変えることだ。かなりの勇気がいる。」

SDGsの推進していく上で、自分自身を変革することは並大抵のことではありません。

SDGsを推進する上で、どのような人材に成長するべきなのか。どうすればそのような人材になれるのか。また、SDGs人材の育成方法を今回は考えていきたいと思います。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

SDGsをテーマにした人材育成の重要性

かつては、ビジネスを動かす原動力は資本の大きさでしたが、近年では「評判」や「信頼」といった無形(非財務情報)が、市場やビジネスを動かす主要なパワーに変わりつつあります。

その要因の1つに金融市場において、ESG投資がメジャーになったことがあげられます。

そのためSDGsに反する形で事業を進める企業は市場から排除されるようになっていくことが考えられます。

この状況に対し、すでに多くの企業がSDGsに対する取り組みをスタートさせています。しかし、それらの取り組みをさらにビジネスの推進力としていくためには、組織・人材開発マネジメントの転換が欠かせません。

何故なら人間は目の前の安定や利益、これまでの仕組みの維持を大切にしてしまう傾向にあり、理論や重要性を頭で理解はできても、人の心の動き方を変えることは難しいからです。

今までさまざまな改革が求められ、失敗してしまうケースも多くありましたが、それらが上手くいかなかったのは「人は外からの圧力や、上位者から指示ではイノベーションに前向きになれない」という要因があると考えられています。

そのため企業は持続可能な取り組みにするため、自発的にSDGsを推進していく人材を育てる必要があります。

▼ESG投資について

SDGsを人材育成に使用する3つのメリット

メリット① 優秀な人材の獲得に繋がる

10代・20代の学生のSDGsへの関心は高く、また今後ますます認知度が向上していくことが予想されます。そのため従業員へのSDGs研修を充実させることで就職活動の場で注目を浴びることがメリットとして考えられます。

また、採用面接の場面でSDGsが話題となる可能性も高く、採用担当者や面接を担当する現場社員がSDGs研修を通じてSDGsの知識を持っておくことは就活生からの信用に繋がります。

企業がSDGsに取り組んでいるかどうか、採用担当者のSDGsに対する取り組みのPR方法で、求職者からの印象は大きく変わります。

メリット② 意識・モチベーションの向上

SDGsの従業員研修を実施することで、取り組みをしっかりと認識させることができ、社会貢献に対する意識づけを強化することが可能です。

さらに、研修で身に付けた知識を生産やサービスなどの業務プロセスの見直しに活かすことで、資源に配慮した経営にシフトすることができ、持続可能な生産消費形態を確保することにつながります。

このように、従業員の社会貢献への意識の高まりは、やりがいが生まれたり仕事へのモチベーション向上にも繋がります。

メリット③ 企業の持続的な成長につながる

SDGsは、企業が事業の幅を広げ、新たにイノベーションや組織変革を起こす契機としても活用できます。

そのため、SDGsが指し示す未来に向けて目標を立て、それに挑戦できる人材を多く育てることで企業の持続的な成長に繋がります。

人材育成にSDGsを盛り込むことにより、さまざまな視点から企業のこと、世界のことを考えることができる人材を育てることが可能になります。

参考:https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/190731a.pdf?190731

SDGs×グローバル人材

グローバル人材とは

グローバル人材とは、「国」という壁を超えて海外の人々とも円滑なビジネスコミュニケーションを取れる人材のことです。

海外事業を展開するときには、現地の人々とお互いの違いをうまく擦り合わせられずに、問題が発生してしまうケースが少なくありません。

言語・文化・価値観の違いを乗り越えて、国の違いに阻まれることなく最大限のパフォーマンスを発揮できる存在がグローバル人材です。

また文科省では以下のようにグローバル人材は定義されています。

”世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間。”

つまり母国語である日本語以外の言語を習得しているだけでなく、広い視野を持つ多様性に理解のある人材がこのグローバル人材にあたると言えます。

SDGs達成のために重要になるグローバル人材

今後グローバル人材を目指すにあたってもSDGsを理解することは大きな意味があります。グローバル人材を目指すために必要なのは「多様性」というキーワードです。

文科省で定義されている「広い視野に立って培われる教養と専門性」「文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力」は多様性を受け入れることと同義です。

SDGsの中に「多様性」というゴールはありませんが、「2030アジェンダ」には、生物多様性、遺伝的多様性のほか、自然や文化の多様性、民間セクターの多様性、産業の多様化といった表現が繰り返し出てきます。

またSDGs全体の理念として「誰一人取り残さない」が根底にあり、どのような立場の人とも手を取り合うことが求められています。

そのためSDGsを理解し、取り組みを行なうことはグローバル人材を目指す上でとても大切な要素になってきます。

バイリンガルのための転職・求人情報サイト「Daijob.com」を展開するヒューマングローバルタレント株式会社がサイトの利用者であるグローバル人材に対してSDGsのアンケートを行ないました。

その結果、グローバル人材の74%がSDGsについて「知っている」と回答しました。
インターネットリサーチ会社「楽天インサイト」が一般向けに行なったSDGs認知度調査では、「よく知っている」と「聞いたことがある」を合計して50%となっているため、一般的な認知度と比べてグローバル人材は約1.5倍もの人がSDGsに関心を持っていることが分かります。

また転職の際も企業選びにSDGsへの取り組みを重視していると回答した人は59%にのぼります。

このようにSDGsはグローバルに活躍する人材にとって重要な要素を持っており、企業を選ぶ際にも注目されるポイントになっています。

SDGs研修を提供している企業

企業① 株式会社インソース

株式会社インソースでは、3つの「SDGs研修」を提供しています。

  1. 半年間で新規事業立案スキルを学び、計画を発表するプラン
    管理職の変革意識を醸成するために、半年間で「組織のビジョン共有」と「組織づくり」「環境分析」「企画発想」スキルを強化し、最終成果として新規事業を立案してもらう
  2. 6か月で、全社員のエンゲージメントを高める研修プラン
    エンゲージメントを高めるために、管理職は部下との接し方やマネジメント方法を学び、一般職は成長意欲と主体性を高め、今後のキャリアを描く
  3. 多様性を尊重する近年の理念浸透コンサルティングプラン
    「個の多様性を活かしつつ組織の理念を浸透させ、組織の力を高める」。矛盾しそうなこの課題に正面からぶつかり、理念の策定から浸透、ツール制作までオールインワンで支援

期間や重視するポイントは少し異なりますが、SDGsの基礎知識を学び、組織にとっての重要性を理解した後に、グループワークを通して身近な気づきを得るという内容の研修を行なっています。

また最後に、自社における課題の洗い出しや施策の検討などを進めていただきます。さらには、実際の仕事のやり方に落とし込んで考え、ゴール達成までの目標管理・進捗管理までできる人材の育成を目指します。

また研修コンテンツとして動画教材やeラーニングの提供も行なっています。

研修のポイントとしては以下の4点を挙げています。

  1. SDGsの基礎知識を学び、「サステナビリティ経営」の重要性を理解する
  2. SDGsは実際の経営にも直結する重要指標~株価との関係
  3. 自業種・自組織における「SDGs課題解決法と達成までの道のり」を探る
  4. SDGsの視点から自組織を見直すことで、「誇り」を醸成する

参考:SDGs研修・セミナー|17のゴールを目指し、組織の持続的成長を考える:現場で使える研修ならインソース (insource.co.jp)

企業② 一般社団法人SDGsアントレプレナーズ

一般社団法人SDGsアントレプレナーズは、SDGs達成に資する人材育成・コンサルティング事業をメインに置く、SDGs研修の専門会社です。

「持続可能な世界のための市場をつくる」ことをビジョンに置き、人材育成・コンサルティング・アドボカシーという3つの柱で活動しています。

1.人材育成
SDGsの導入を推進できる人材、及び社会課題解決をビジネスを通して実践できる人材を社内に育成します。初級、中級、上級の3つのレベルと、①座学・クラスディスカッション型、②演習・ワークショップ型、③OJT・メンタリング・コーチング型の3つのタイプを掛け合わせた体系的な研修プログラムを提供しています。複数回の研修プログラムを想定し、2回目以降の内容も念頭に置きつつ、初回のコンテンツを検討できます。座学・ディスカッション型の6つの研修コース(入門編・基礎編・応用編AB・発展編・事例編)はEラーニングを提供しています。

 

2.コンサルティング
本質的なSDGの導入と実践を行っていくためのアドバイス、メンタリング、コーチング、監修、顧問業務、並走支援等、ご要望に合わせた形でSDGs実践の経験豊富な専門家が対応します。SDGsでやりたいことを叶える構想実現、実践のその先を目指す問題解決、SDGsやESGの外部要求に応える対応の最適化、SDGsを起点とした新規事業とイノベーションの創出を行います。

 

3.アドボカシー
社会全体へのSDGsの認知、理解及び実践ノウハウの普及促進、及びSDGsの達成に資する事業、広報、政策、イノベーションの取り組み等に関するイニシアチブの展開を支援します。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍出版等のマスメディアを通じた活動、及び個別の企業による海外でのパートナーやファンの獲得のための広報・連携事業を行っています。

出典:企業向けサービス – SDG Eラーニング・研修・コンサルティング【一般社団法人SDGsアントレプレナーズ】 (sdgsjapan.com)

企業③ 株式会社Drop

株式会社DropはSDGsに関する企画、設計、実施、運用、PR、研修、パートナーマッチングを行なう企業です。
特色として、SDGsの研修を「経営層」「推進担当」「リーダー職」「一般社員」とその社員の階級や職種にあわせて用意しています。
最もメジャーな研修である「SDGs 入門セミナー」は全ての人にあわせて以下の基本的な知識をメインに作られています。

  • SDGsの基本知識
  • なぜ企業にSDGsが求められるのか?

その発展した研修である「SDGsセミナー 実践編」は経営層や推進担当を対象においたもので以下の実際に企業の課題や悩みに踏み込んだ内容を扱います。

  • 優先課題の決め方
  • バリューチェーン分析の方法
  • KGI/KPIの設定方法
  • 人事評価項目とSDGsの取り組みを関連付ける
  • SDGsの社内浸透方法

このように対象者を分けることにより、より需要のある研修を行なうことができています。

まとめ

今回は人材とSDGsの関係性について考えました。
持続可能な世界を作り出すことができるかは、私たち一人ひとりにかかっていると言っても過言ではありません。
いまさらSDGsについて勉強するのは面倒だし、恥ずかしいと思うかもしれません。
しかし、1人が得た知識が、社内に伝わり、商品に反映され、世界に貢献していく。
そんな流れを作っていくにはまず1人目が知識を得ることが必要です。
この記事を読んでくださったあなたもその1人目になりませんか?

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