【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈】
アサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)は「アサヒスーパードライ」を始めとした、ビールやウイスキー、チューハイなど幅広いアルコール飲料を製造・販売している飲料メーカーです。
創業から100年以上、自由・多様なお酒の楽しみ方を提案し続け愛されてきたアサヒビールは、現在「スマートドリンキング」宣言に基づき、飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指しています。
このページではアサヒビールの事業内容からSDGsの戦略や活動まで幅広く紹介していきます。
アサヒビールのビジョン/事業
アサヒビールの概要
アサヒビールは1889年に創業して以来、ビールをはじめとするさまざまな酒類を販売しています。
1987年に主力商品である「アサヒスーパードライ」を発売し、ビールに「辛口」という新たな価値をもたらしました。
また、2021年3月には0.5%の少量のアルコールが含まれる新ジャンル「微アル」を提案する「BEERY(ビアリー)」を発売しました。低アルコール飲料を好む若年層や飲酒の習慣が少ない層をターゲットに、どんなシーンにも合わせやすく心地よい時間を彩る、新たな価値観の商品を展開しています。
さらに、開けると自然にきめ細かい泡が発生し、ジョッキのようにゴクゴク飲める「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」が4月20日に全国で発売されました。これまでの缶ビールの常識を覆す新たな缶ビールは話題を呼び、発売翌日の21日には休売する人気ぶりでした。
創業 | 1889年11月 |
資本金 | 20,000百万円 |
事業 | ビール類、ビール類以外の酒類(洋酒、RTD、ワイン、焼酎)及びノンアルコール飲料の製造・販売 |
アサヒビールのビジョン
アサヒビールは「すべてのお客さまに、最高の明日を。」をビジョンに掲げています。
“うまい!プラスアルファの価値”を生み出し、お客さまのニーズにこたえる商品を提供するだけでなく、すべてのお客さまの幸せな人生に貢献し、世界中を良くしていきたいという願いが込められています。
アサヒビールとSDGs
アサヒビールが取り組む5つの課題
アサヒビールは豊かな社会の実現に向けて、5つの重要課題を選出し、“最高の明日をつくるための5つのアクション”として取り組みを進めています。
5つのアクション ①「責任ある飲酒」 ②「環境」 ③「食の安全・安心」 ④「コミュニティ」 ⑤「人」 |
①「責任ある飲酒」(対応するSDGs目標:3)
飲む人はもちろん、飲まない人や飲めない人も楽しめる健全な酒類文化を育みます。
アサヒビールは「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」のもと、
不適切な飲酒の撲滅と、新しい飲用機会の創出に取り組んでいます。
また、「人とお酒のイイ関係」「アサヒ夢学園」といった独自のコンテンツを用いてお酒に関する正しい知識や付き合い方をわかりやすく紹介しています。
この取り組みはSDGsゴール番3「全ての人に健康と福祉を」に関連しています。
②「環境」(対応するSDGs目標:2, 6, 7, 12, 13, 14)
自然の恵みに感謝し 環境を守りながら 地球に優しい価値づくりを目指します。
アサヒビールは製造過程で気候変動への対応と持続可能な資源の利用に取り組み、環境に配慮した商品を販売しています。
アサヒビールは「アサヒグループ環境基本方針」に則って、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の実現を目指し、環境への負荷を低減していくとともに、強みを生かした新たな価値づくりに取り組みます。
◎気候変動への対応
アサヒビールは、グリーン電力の活用に力を入れています。
グリーン電力とは、太陽光、風力、バイオマスや地熱など、地球環境への負荷が少ない自然エネルギーで発電されたエコな電気のことです。
アサヒビールでは全工場で製造する全ての「アサヒスーパードライ」の製造に、主にバイオマスと風力由来のグリーン電力を使用しています。
さらに、太陽光発電設備を導入し、博多工場では2007年から年間約85トンのCO₂を、名古屋工場では、2010年から、年間約5トンのCO₂を削減しています。
また、燃料であるガスの燃焼により発電を行うと同時に、燃焼排ガスを利用して蒸気をつくるコ・ジェネレーション設備や、ビールの発酵過程で発生するCO₂を貯蔵しびん詰過程での再利用が可能になるCO₂捕集設備の導入しています。
これによって、省エネルギー化や循環利用が可能になり、強みや技術力を生かしたCO₂排出量削減を目指しています。
◎持続可能な資源利用
ビールは、水や農作物などの自然の恵みがなければ製造できません。
そこで、アサヒビールは限りある資源を適切に使用することを目指しています。
ビールの製造には大量の水が必要となるため、国内ビール工場で使用する水の量と森林による水の涵養量(森が水を育み蓄える量)が同等とする「ウォーターニュートラル」の取り組みを進めています。
広島県にある「アサヒの森」を保全して2025年までに使用する水の100%還元を目指しています。
さらに、「アサヒの森」だけでなく、全国の水源地で従業員が森保全活動を行っており、環境保全に努めています。
アサヒビールは廃棄物の再資源化にも積極的に取り組んでいます。
例えば、副産物・廃棄物の内訳のうち約80%を占める麦芽の殻皮「モルトフィード」は家畜の飼料などとして再利用しており、アサヒビールとニッカウイスキーの全工場では、副産物・廃棄物再資源化100%を達成しています。
◎環境に配慮した商品
もちろん、私たちの手元に届く商品にも環境に配慮したさまざまな工夫が取り入れられています。
ビール類のアルミ缶や6缶パックの紙資材、段ボールカートンなど、パッケージを軽量化することで資源の使用量とCO₂排出量を削減しています。
特にびんビールは1本当たり10gの軽量化に成功したことで、配送時のCO₂排出量削減にもつながっています。
さらに株式会社丸繁製菓との共同開発で食べられる”カップ容器「もぐカップ」を販売しています。
サイズはSMLの3種類、味はプレーン、えび、チョコ、ナッツの4種類が展開されています。
冷たい飲み物であれば一時間ほど使用できるそうです。カップの味と飲み物の組み合わせも楽しめそうですね。
使い捨てから使い食べという新しいアイデアを提案し、廃棄物削減に貢献しています。
これらの取り組みは、SDGsゴール
2番「飢餓をゼロに」
6番「安全な水とトイレを世界中に」
7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
12番「つくる責任 つかう責任」
13番「気候変動に具体的な対策を」
14番「海の豊かさを守ろう」
に関連しています。
③「食の安全・安心」(対応するSDGs目標:3)
誰もが安心して口にできて 心の底から「うまい!」と思えるものづくりを目指します。
アサヒビールは「アサヒグループ品質基本方針及び品質行動規程」に則り、食の安全を支える品質を確保に取り組んでいます。
商品の安全性を確保するために、新商品開発侍のチェックや原材料調達時の検査、水の安全管理は欠かせません。
この取り組みはSDGsゴール3番「すべての人に健康と福祉を」に関連しています。
④「コミュニティ」(対応するSDGs目標:2, 11, 12, 17)
アサヒビールは商品の開発・販売にとどまらず、事業活動を通じて培った独自の技術やネットワークを利用して地域社会の人々の暮らしに貢献しています。
例えば、被災した土地を活用して大麦を育てる「希望の大麦プロジェクト」では、ビールなどの原料である大麦に関する知見を活かし、東日本大震災で被災した宮城県東松島市沿岸部の津波被災土地で大麦を栽培・加工販売しています。
さらに、その土地の収穫物を使用した限定の商品を展開し、売り上げの一部を地域の活性化のために寄付するなど、地域に根ざした活動をしています。
また、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大にともなう消毒用エタノールの代替品として、高濃度エタノール製品を製造し、医療機関や地方公共団体などへ寄贈しています。
加えて、従業員がボランティア活動や環境整備活動などに取り組む際に取得できる「アサヒナイスライフ休暇制度」を設けるなど、機転を利かせた時代に合った取り組みでコミュニティを大切にしています。
これらの取り組みは、SDGsゴール
2番「飢餓をゼロに」
11番「住み続けられるまちづくりを」
12番「つくる責任 つかう責任」
17番「パートナーシップで目標を達成しよう」
に関連しています。
⑤「人」(対応するSDGs目標:3, 5, 8, 10)
アサヒビールはお客さまはもちろんのこと、従業員などアサヒビールに関わるさまざまな人が幸せになれるような取り組みを行っています。
アサヒビールは「アサヒグループ人権方針」の中で同社に関わるすべての人の国籍・人種・民族・宗教・思想・性別・年齢・障がい・性自認・性的指向・雇用形態などによる差別や、個人の尊厳を損なう行為を行わないことを明示し、人権を尊重した事業活動を進めています。
また、「働き方改革プロジェクト」を立ち上げ、自由に出社・退社時間を決められる「スーパーフレックスタイム制度」や、「テレワーク制度」の100%利用を目指しています。
ライフステージにおいても、産休・育休制度の充実や、一度退職しても、再びアサヒビールで働ける「ウェルカムバック制度」、自身のスキルアップや配偶者の海外転勤帯同の際に利用できる「スキルアップ休職制度」も取り入れ、従業員がより柔軟に働けて成長もできる環境を整備しています。
さらに、
- 女性への産休・育休制度の充実やフォロー
- ワーキングマザーが仕事と育児の両立について意見交換する「ワーキングマザーネットワーキング会」などの開催
- 定年を迎えた社員のニーズをマッチングした再雇用
- 心身に不自由を抱えた方々の採用と仕事内容のフォロー
- 同性パートナーを配偶者として認める制度
- 性自認に基づいた社内対応を行う制度
など、それぞれに合わせた制度の充実といきいきと働ける職場づくりを図っています。
これらの取り組みは、SDGsゴール
3番「全ての人に健康と福祉を」
5番「ジェンダー平等を実現しよう」
8番「働きがいも経済成長も」
10番「人や国の不平等をなくそう」
に関連しています。
アサヒビールのSDGsの取り組みについて、詳しくはこちらをチェック!▼
https://www.asahibeer.co.jp/sustainability/
まとめ
アサヒビールは、お酒を飲む人も飲まない人も楽しめるような新しい価値を生み出し、同じ社会に暮らす一員として環境や地域社会にも目を向けた取り組みをしています。
「人々の幸せ」を追い求めてきたからこそ、創業から100年以上経った今も時代を切り開いていく飲料メーカーとして多くの人に愛されているのだと思います。
私たちの生活を彩ってくれるお酒をこれからも楽しむためにも、アサヒビールの活動を応援したいですね。
最高の明日をつくるために課題解決に取り組むアサヒビール。
これからの活動にも目が離せません。