CSRレポートとは?-その役割から書き方までを徹底解説

#CSR#企業#経済成長 2022.04.13

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最近、持続可能な社会の実現に向けて、企業がどのような取り組みをしているのかを開示するCSRレポートを作成する企業が増えています。

しかし、このCSRレポートについて「そもそもなぜCSRレポートが必要なのか」「CSRレポートの書き方がわからない」といった疑問が多く寄せられています。

そこで今回の記事ではCSRレポートが必要な理由から各企業のCSRレポートを紹介し、書き方までを徹底解説します。

そもそもCSRとは?

CSR(Corporate Social Responsibility)とは日本語で「企業の社会的責任」と言い、社会貢献や環境への配慮、また企業に関わる全ての人や団体に対する責任を指しています。

持続可能な社会を目指すうえで、これらの社会的責任を企業が意識し遵守することが必要とされてきています。

▼CSRに関する詳細はこちら

CSRレポートとは?

CSRレポートとは、企業が取り組んださまざまなCSR活動をまとめ、社会またはステークホルダーに対し公開するレポートのことです。

昨今、多くの企業がこのCSRレポートの作成に積極的です。では企業がレポートを通して活動を報告することで得られるメリットとは何でしょう。

次章では、SCRレポートが必要とされている理由について解説していきます。

なぜCSRレポートが必要なのか

持続可能な社会への取り組みを報告するため

SDGsに掲げられる17個の目標を達成するには、私たち個人のみならず企業の協力が必要不可欠です。そのため、企業にはCSRの考えに基づく責任のある行動が求められています。

CSRレポートを作成し公開することは、これまでに取り組んできたCSR活動を外部に報告するだけでなく、CSRに対する考えを外部に発信するという役割も持っています。

また、CSRと似た言葉にESGというものがあります。
ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(管理体制)の頭文字を取ったものであり、それぞれの観点に考慮した運営が今後の企業成長に必要な要素になります。

CSRレポートは、その企業がESG運営を実現できているかを知るための1つのツールとしての役割も担っています。

▼ESGに関する詳細はこちら

ステークホルダーとの関係向上

CSRに対する考え方や取り組みをステークホルダーに公開することは、企業による「責任のある行動」を示す機会の1つになります。

顧客や仕入れ先といった社外の関係者からは「CSR活動に意欲的な企業である」というイメージの付加に加え、企業に対する信頼も同時に獲得する効果が期待できます。

一方で経営者や従業員といった社内の関係者については、自身の勤める会社がどの様な考え・取り組みを行ってきたかを再確認する機会として非常に重要な役割を持ちます。

投資家への判断材料になる

今後の企業成長に必要な要素の一つとして挙げた「ESG」とCSR、そしてSDGsは互いに強い関係性を持っています。

そのため、投資家の判断材料となるCSRレポートは企業の魅力を伝えるための重要なツールなのです。

▼投資家とSDGsに関する詳細はこちら

義務化されつつあるCSRレポート

CSRレポートの義務化や検討に先駆け、2014年4月にEUでは非財務情報の開示を義務付けるなどCSRを推進する動きがみられました。

SDGsへの意識が高まるにつれて、企業を評価する基準の一つであるCSRレポートの義務化が世界的に生じています。

このようにCSRを意識した企業の活動が重要視されることを鑑みると、CSRレポートの必要性・重要性がより感じられると思います。

(参考:義務化されつつあるCSR報告(非財務情報開示)の最新トレンドは「女性」!? – サステナビリティのその先へ

サステナビリティレポートとCSRレポートの違い

サステナビリティとは日本語で「持続可能性」を意味します。
したがってサステナビリティレポートとは、自然環境や社会課題を考慮し、持続可能な社会の実現に向けて行われる取り組みをまとめたレポートという意味になります。

一方でCSRレポートとは「企業の社会的責任」を果たすために企業が行った取り組みをまとめたレポートです。

両レポートは、より良い社会・環境を目指す取り組みの報告書という点においては同じですが、サステナビリティは広義であるのに対しCSRは企業取り組みという点に特化しています。

日本企業のCSRレポート3選

マクドナルド

マクドナルドでは、部署ごとの担当が集まりSDGsの取り組みについて議論する「ステアリングコミッティ」という横断組織を作り、SDGsに関する幅広い取り組みを推進しています。
目標8「働きがいも経済成長も」に注目した取り組みでは、EVP(Employee Value Proposition)という3つの指標を定義し、企業が従業員に提供できる価値のもと多様な働き方の実現を目指しています。

・Flexibility(柔軟性):自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働く
・Family & Friends(家族や友人のように):インクルージョンを重視
・Future(将来に役立つスキル):多彩なトレーニングシステム・レコグニション(お互いの努力や実績を認識・承認する)文化

▼マクドナルドの取り組みに関する詳細はこちら
SDGsは答え合わせ。存在意義を追い求めた結果がSDGsにも貢献|日本マクドナルド

トヨタ

トヨタでは「創業の精神とモノづくりで培った技術」と「モビリティカンパニーへの変革」という2つの観点から、社会課題の解決に挑戦しています。
中でも「環境・安全」「生活」「災害」という3つの課題をSDGsの代表的な取り組みとして設定しています。

▼トヨタの取り組みに関する詳細はこちら
《SDGs事例》トヨタ”技術”と”変革”で社会課題解決へ

パナソニック

パナソニックでは”A Better Life, A Better World”という言葉のもと、下記の3つの軸を掲げSDGsの達成に取り組んでいます。

・事業活動による価値提供
・責任ある事業活動の水深
・会社と社員による社会貢献

加えて「人々のくらし」「地球環境」「交通安全」という3つの課題を代表的な取り組みとして設定しています。
▼関連記事
《SDGs事例集》より良いくらしで、より良い社会を|パナソニック株式会社
《徹底解説》CSR企業ランキング上位の企業の取り組み|上位5つの企業を徹底解説
SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅

大学のCSRレポート3選

北海道大学

北海道大学は、他大学・他機関とともに『食と健康の達人(COI)』拠点を立ち上げたほか、2020年9月にはフードロス削減コンソーシアムを設立するなど、フードロスの削減に力を入れています。
また大学内だけでなく他の大学や機関と連携してプロジェクトを実施、ロシアの架け橋になるようモスクワ大学との交流を行うなど積極的に活動しています。

東京大学

東京大学ではSDGsに関連したプロジェクトが年々増え続け、2020年における学生のSDGs認知度は87%に登りました。
SDGsに関する取り組みとしては、災害対策トレーニングセンターの設置や、フィンランドの大学との共同受託研究である「5G! Pagoda」という通信ネットワークによるイノベーションの拡大を目指した研究が挙げられます。

東北大学

東北大学では、東日本大震災をきっかけに「安心・安全で持続可能な社会の構築」に力を入れ、災害復興新生研究機構の設置や、仙台防災枠組に貢献、世界防災フォーラムの隔年開催を行っています。
他大学や他機関との連携を果たしながら、長期的に研究成果が社会に役立つことを目標としています。

▼関連記事
大学でSDGsに取り組むには?国内外の大学の取り組みを徹底解説

CSRレポートを実際に書いてみよう|書き方ガイドライン

CSRレポートを書くにあたって必要な内容、および書き方のルールはありません。
代わりに、既に存在するガイドラインを参考としながらCSRレポートを書くという方法が有効です。

CSRレポートの標準をつくり進めている国際的なNPOとしてGRIガイドラインがあります。GRIガイドラインは主にレポート作りに関りのあるガイドラインのため、CSRレポートの作成に最も有用でしょう。
(参考:【レポーティング】日本企業はCSRレポートをどう書いているのか? ー内容・ガイドライン・スケジュールー | Sustainable Japan)

まとめ

本記事ではSDGsと企業を結ぶCSRレポートについて解説しました。

SDGsに関する企業の取り組みの中でも、取り組みそのものに対する考え方や必要性に関する内容だったため、少々聞きなれない言葉も多かったと思います。

CSRレポートが企業においてどのような役割を持つのか、本記事が皆様の理解の助けになれたなら幸いです。

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