全国47都道府県全てに出店しているセブン-イレブン。
今や、コンビニの代名詞と言っても過言ではありません。
実はそんなセブン-イレブンの事業展開をしているセブン&アイホールディングスは、SDGsに全力で取り組む日本企業の1つなんです!
今回はセブン&アイホールディングスがSDGsの取り組みの一環で、環境宣言として掲げている「GREEN CHALLENGE 2050」について解説。
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GREEN CHALLENGE 2050とは
GREEN CHALLENGE 2050とは、セブン&アイ・ホールディングスが関わる全てのステークホルダーを主役として、社会ニーズの変化や環境問題など、さまざまな社会環境の変化に対応するために掲げている宣言のことです。
セブンイレブンが目指す姿(2030年と2050年)とは?
ここからはGREEN CHALLENGE 2050のなかで、セブン&アイ・ホールディングスが目指す姿について説明していきます。
◎脱炭素社会
セブン&アイ・ホールディングスはグループ店舗運営に伴うCO2の排出量削減を目指して、LED照明や太陽光発電パネル、蓄電池の導入による省エネ・再生可能エネルギーなどの活用を促進。2021年2月現在、全国8681店舗でソーラーパネルを設置しています。
セブン&アイ・ホールディングスの2030年の目標は排出量を30%にすること、2050年の目標としては排出量ゼロ。
◎循環経済社会
循環経済社会の実現のために、プラスチック対策に関しては2030の目標としてレジ袋の使用量0を目指すとともに、オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する容器を環境配慮型素材(バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙、等)に移行し、2030年には50%、2050年には100%の削減を具体的な数値として掲げています。
取り組み例として1つあげられるのは、2020年度約3億3,000万本のペットボトルを回収したという実績。
また、食品ロスを減らすという面で掲げられているのは2030年には食品廃棄物を発生原単位(売上百万円あたりの発生量)50%削減、2050年には75%まで削減するという目標。
同様に、食料リサイクルも循環経済実現のために欠かせない要素です。
これに関しては、セブン&アイ・ホールディングスは2030年に食料廃棄物リサイクル率70%、2050年に100%を目指して取り組みを進行中。
◎自然共生社会
セブン&アイ・ホールディングスは、自然共生社会の実現に向けて持続可能な調達を率先して行っています。
具体的な目標として2030年にはオリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する食品原材料に関して、持続可能性が認められた材料を50%使用、2050年には100%の使用を目指しています。
持続可能な調達とは、上記のように使用するパッケージの材料を変えること以外にも、その商品がどこから来たのか?を見えるようにすることによっても実現されます。
例えば、セブン&アイ・ホールディングスでは農畜水産物を対象にした「顔が見える食品。」というオリジナルブランドを展開。このブランドは、「誰が、どこで、どのようなこだわりを持って 」生産したのかを一目でわかるようにすることで、商品に対する愛着を持たせています。
(参照)https://www.7andi.com/sustainability/g_challenge/action/resource_20210416
GREENCHALLENGE2050を実現する4つのプロセス
セブン&アイ・ホールディングスは上記で説明した「目指す姿」の達成のために、4つの目標を掲げています。
目標1:現状認識
SDGsの取り組みを始める際にはまずは現状をしっかりと認識し、課題を明らかにすることが重要です。セブン&アイ・ホールディングスでも、GREENCHALLENGE2050を実現する上で、現状認識から取り組んでいます。
多くの人々に愛されているセブン&アイ・ホールディングスですが、事業規模が大きく、環境に与える影響も大きくなっていることが特徴です。まずは、多岐にわたる事業を分析し、現状認識をすることによって、目指すべき姿を明確にしています。
目標2:テーマの特定
現状認識の次は、テーマを特定することによって具体的な行動に移すための材料を揃えることが必要不可欠です。
日本有数の大きな組織として、セブン&アイ・ホールディングスは、自らがアプローチするべき問題と取り組みを具体的にあげました。
それが、前述した脱炭素社会、循環経済社会、自然共生社会といったセブンイレブンが目指す姿、それらの取り組みたち。
目標3:数値の設定
個人的な取り組みの中でも、具体的な数値を設定した方がモチベーションが続くように目的達成のためにゴールをわかりやすくすることは重要です。
セブン&アイ・ホールディングスはただ漠然と目標を決めるだけでなく、さらなる具体性を求めて目指すべき姿の中で、行動だけではなく具体的な数値を設定。
取り組むべき行動をより具体化することによって、2030年や2050年といった近い未来に向けて担うべき責任が現れています。
目標4:全従業員が一丸となって
セブン&アイ・ホールディングスにとって従業員はまさに、目標達成に向けた組織の姿勢を体現するべき存在。
まずは、目標を掲げている主体である企業の従業員が一丸となって問題解決に全力を尽くし、それに続いて多様なステークホルダーとの協力体制構築を目指しています。
セブンイレブンの取り組み
セブン&アイ・ホールディングスでは、前述した目標達成のために数多くの取り組みをしています。一部ではありますが、セブン&アイ・ホールディングスが行っている取り組みをセクションごとに分けてご紹介!
CO2排出量削減のための取り組み
CO2排出量をダイレクトに減らす対策として、前述した店舗での取り組みに加えて挙げられるのが気候変動対策。
セブン&アイ・ホールディングスでは特に気候変動によるリスク管理に力を入れています。
気候変動によるリスクとは、主に国内外の規制の強化リスク、災害の発生リスクや災害や気候変動による消費者行動の変化が挙げられます。
それに対して、これらが物流のどの部分に影響を与えた場合も対応できるようなビジネスモデルの構築をリスクマネジメント委員会を中心として推進中。
プラスチック対策の取り組み
今現在プラスチック問題は最も注目されている環境問題といっても過言ではありません。
セブン&アイ・ホールディングスでは、定番の取り組みはもちろん大企業だからこそできる大規模な取り組みも行っています。
まずは、ペットボトルの回収です。系列店舗であるイトーヨーカドー店頭では2012年からペットボトル自動回収機を設置。
こちらで回収されたペットボトルは、セブンプレミアム商品のパッケージの一部に使われたり、糸として再利用されて衣料品に生まれ変わったりしています。
大企業ならではの取り組みとしては完全循環型ペットボトルリサイクルの実現と再生PET素材の衣料品への活用。
完全循環型ペットボトルリサイクルとは、消費者がペットボトル商品を購入するところから始まり、セブン&アイ・ホールディングスで回収したペットボトルをセブン&アイ・ホールディングスの商品に生まれ変わらせるというシステム、簡単にいうと「ボトル toボトル」のことです。つまり、1回使われたペットボトルが循環していつまでもリサイクルされて使われるシステムを実現させています。
セブン&アイ・ホールディングスという一つの流通のなかで成り立っているので、完全循環という名称がついています。
再生PET素材の衣料品への活用については、2020年2月に店頭に設置したペットボトル自動回収機で回収されたペットボトルを再利用し、そのペットボトルを原料とする再生糸を使用した肌着「セブンプレミアム ライフスタイル ボディクーラー」の販売を全国のイトーヨーカドー、ヨークベニマル、そごう・西武の各店舗で開始しています。
食品ロス・食品リサイクルの取り組み
セブン&アイ・ホールディングスでは、食品ロス問題に関して発生抑制→再利用→飼料化の一連の流れと、敷地内処理(生ごみ処理機)によって取り組んでいます。
発生抑制→再利用→飼料化の一連の流れのなかで行われていることは以下の通りです。
- 発生抑制:賞味期限が近づいた商品に対してnanacoのボーナスポイントの付与、技術開発による消費期限の延長
- 再利用:余った食料に関してフードバンクや184の自治体との地域包括連携協定によって、社会福祉協議会への寄付
- 飼料化:全国12カ所セブンファームでの取り組み
敷地内処理(生ごみ処理機)については、傘下企業のそごう・西武にて2001年にレストランや社員食堂から発生した生ごみを肥料にする製造機の設置を開始しました。
製造した肥料は提携農園に無償で提供し、さらにその農園で生産された野菜を店舗で販売中。
持続可能な調達に向けた取り組み
セブン&アイ・ホールディングスでは、持続可能な調達に関する取り組みに最も力を入れています。水産物、農産物、森林の3セクターに分かれているためセクターごとに紹介していきます。
最初に、水産物に関しての取り組みについて。現在セブン&アイ・ホールディングスは主に以下の取り組みを行っています。
- MSC 認証商品の販売
- ASC認証商品の販売
- MEL認証商品の販売
- アラスカシーフードの販売
MSC 認証商品・ASC認証商品・MEL認証商品については、それぞれ調達の方法が環境に優しいと認められた商品のみにつけられるマークのことです。
特に興味深かったアラスカシーフードの販売について紹介します。
まず、アラスカシーフードとは環境に配慮した漁法で捕られた水産物のこと。
これらは全て天然で、原産地であるアラスカでは生態系を崩さないように最大限配慮した漁業が行われています。
セブン&アイ・ホールディングスではアラスカシーフードの販売だけでなく、店頭でそれらの魅力をお客様に発信中。
次に、農産品に関しては主に以下の取り組みを行っています。
- GAP認証取得促進・農薬低減商品の販売
- 「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」5つの約束
- GAPの取り組み(抜粋)
- 有機JAS認証食品の販売
- 国際フェアトレード認証商品の販売
- パーム油の調達について
- コットンの調達に関する考え方
- オーガニックコットン製品の販売
農産品は、3つのセクションの中で最も力を入れているセクション。
ここではGAP認証取得促進・農薬低減商品の販売について紹介します。GAP認証とは、Good Agricultural Practiceの略で農林水産省が導入を推奨している農業生産工程管理手法の一つです。
この手法を導入することによって、基準の中にいくつか農薬の規定があるため農薬の使用量を最低限に抑えることが可能。
森林に関しては、森林認証紙の活用を行っています。
森林認証紙とは、使うことで森林保全につながる紙のこと。
現在、セブンプレミアムの商品356アイテムでFSC®認証紙を、37アイテムでPEFC認証紙を使用しています。
FSC®認証紙に関しては、ATMに設置されている封筒や「森の戦士ボノロン」雑誌、セブンスイーツの焼き菓子パッケージにも採用済み。
最後に
私たちにとって、最も身近な企業といっても過言ではないセブン&アイホールディングスが2030年に向けて行なっている大きな取り組み「GREEN CHALLENGE 2050」について理解していただけたでしょうか?
少しでも、この記事を通してSDGsは暮らしの中にある身近なものなんだと思っていただけたら幸いです。
SDGs初心者の方はまずは、セブンイレブンに行った際にレジ袋を使わないなど小さなところから始めましょう!