【更新日:2022年1月20日 by user】
皆さんは、他国のSDGsというものに目を向けたことがあるでしょうか?
SDGsというのは全世界で協力して達成しようという目標ですが、あまり他国の状況を知らないという方が多いのではないでしょうか。
今回は隣国の中国のSDGsの取り組みに注目して紹介します。
見出し
中国のSDGs
中国のSDGs達成状況
Sustainable Development Report 2020では、2020年時点の各国のSDGsへの取り組みがスコア化され、166カ国のランキングが公表されています。
2020年時点で中国は48位とほかの主要5か国と比べると低い位置あります。
上位の国の一覧を見てみると、アジア圏の国があまりランクインされておらず、最高でも日本の17位という結果でした。
この結果からアジア諸国では、あまりSDGsが浸透しておらず、北欧諸国がSDGsの取り組みに盛んだということがわかります。
中国で特に注目すべきは、貧富の差の拡大でしょう。
地方と都市部の経済・所得格差は凄まじいものです。中国の2大都市といわれる北京と上海の住民の豊かさは、世界トップレベルの生活水準を誇るスイスと同等と言われています。
しかし、地方では、まともな食事ができなかったり、人身売買が行われている地域もあるほど、格差が開いています。中国は学歴社会が昔から根付いていて、学歴が重視されることがほとんどです。
しかし、地方に住む子供たちは満足教育を受けれる環境が整っていません。これではSDGsゴール4の「質の高い教育をみんなに」という目標が達成できていません。そんな現状を危惧した政府が現在取り組みを行ってます。それを紹介します。
中国政府のSDGsの取り組み
中国政府がどのような取り組みを行っているかというと、貧困人口の多い農村部において、すべての農村に電話とインターネットを普及する支援を行っています。
これによって自らのビジネスを始めたり、遠隔で質の高い教師から教育を受けることが可能です。インターネットを活用することによって、本来能力を発揮する場所がないという貧困層に発揮できる場所を与えるという役割も果たしています。
二酸化炭素排出量が世界最大の中国
皆さんは、中国の二酸化炭素の排出量というのをご存じでしょうか。
2018年の世界の二酸化炭素の排出量を見てみると、中国は最も多いです。
ここ近年では毎年約90億トン以上を排出しています。これは全体の約30%弱にあたる割合です。
このようなデータからもわかるように他国よりも排出量が多いのがわかります。
中国の二酸化炭素排出量の現状
現状、なぜ他国と比べて中国の二酸化炭素の排出量が多いのでしょうか。
理由として考えられるのは、人口に対して国民が豊かな生活を送っているからではないでしょうか。
中国は、世界で一番人口の多い国として有名です。WHOが発表した2021年版の世界保健統計(World Health Statistics)によると、人口は約14億4186万人とされています。
豊かな生活を送っているのとしている理由は、中国のGDPに関係しています。
中国のGDPは2020年時点で約14.72兆円であり、世界で2番目に多いです。
人口が多いこと、豊かな生活を送れていることこの2つが二酸化炭素の排出量が増加している理由の一つだと考えられます。
中国のカーボンニュートラル政策
中国は2020年9月22日の国際連合(国連)総会で、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を実現することを目指すという宣言をしました。
宣言はしたものの、政策の詳細などはまだ固まっていません。しかし、着地点を定めて、数十年に及ぶ時間軸を発表したことにより、中国は地球温暖化に向き合って、戦うという姿勢を全世界に発信したことになります。これは、地球温暖化のための国際的な取り組みに参加したことになります。
上述したように中国は世界のCO2の排出量が世界の約3分の1以上をしています。そのため環境を保護を推進する人々はこの中国の取り組みを歓迎しています。中国が参加しなければ、世界の温室効果ガス排出削減はより困難なものとなってしまうからです。
政策の詳細がまだはっきりしていないと上述しましたが、2030年までに実施される可能性のある措置の概要はわかっているそうです。
それは、経済成長に伴う炭素強度を引き下げる政策が推進されるというものです。
炭素強度とは…
国内で排出される二酸化炭素量を一次エネルギー総供給で割った値で、炭素集約度と呼ばれることもあります。国のエネルギー構成や転換技術の効率によって値が異なり、原子力と再生可能エネルギーの比率が高いほど、また高効率技術を導入するほど小さな値になる。 |
現在、進められている工場からの排出量削減・グリーンパワーの推進・クリーンな輸送手段の導入という3つの措置が今後数十年にわたる戦略の構築に関係すると考えられます。
- 工場からの排出量削減
中国はすでに、最も環境汚染の激しい産業による排出量を削減し、小規模で効率性の低い工場の閉鎖に着手をしています。
- グリーンパワーの推進
現在のインフラを置き換えることで、太陽光・風力・水素などの持続可能なエネルギー源を取り入れようとしています。
- クリーンな輸送手段の導入
電気自動車の導入が急速に進んでいるが、石炭を主な発電限としている限り、内燃エンジンからの移行が中国に置ける炭素排出問題の完全な解決策とはなりません。
これからの中国の動向に期待しています。
引用:https://www.alliancebernstein.co.jp/knowledge/archives/563
新疆ウイグル自治区の強制労働問題
「新疆ウイグル自治区の強制労働問題」に注目する上で、重要になってくるのは「ウイグル問題」についてです。
ウイグル問題とは、中国の最西端にある「新疆ウイグル自治区」はインド・パキスタン・アフガニスタン・タジキスタン・キルギス・カザフスタン・ロシア・モンゴル・との国境に面している中国最大の自治区です。ここには主にトルコ系の民族を含む多くのイスラム教徒がすんでいます。
中国政府はこの地域にとある施設を作ります。そして、2017年から現在に至るまで、約3年間の間に100万人を超えるウイグル人が強制収容されていたと言われています。
その施設は「新疆ウイグル再教育キャンプ」とも呼ばれ、ウイグル族の人口を減らすことを目的とした女性の不妊手術や中国政府への忠誠心を示さない場合の虐待や監禁などが行われていることなどが報道でわかっています。しかし中国政府はこれを事実と認めていません。
この問題は、すぐに拡散されることになり、世界各国から批判が集まりました。
ファッション業界に与えた影響
このウイグル問題と強制労働問題がどう関係するかというと、先ほど紹介した施設では、強制労働が行われていたということと、その強制労働によって生産されたものが世界中でつかわれていたという事実が明らかになったのです。
新疆ウイグル自治区の主要な輸出製品は、綿(コットン)です。自治区では、国のおよそ85%のコットンが生産されていました。世界中に流通しているコットンのおよそ20%がウイグル産コットンに該当するとされています。このコットンを使用しているのは、世界的に有名なアパレルメーカーやスニーカーなどの製品に含まれているとされており、大きな波紋を呼びました。
この事実に対して、アメリカの国土安全保障省の副長官であるケン・クッチネリ氏は「現代の奴隷制である」として強く批判をしました。
現代では、ファストファッションが確立し安価で衣料を手に入れることができるようになりました。しかし、その背景には、このように苦しんでいる人がいるという事実があります。一度、その背景にはどんな問題があるのかを調べてみて正しいかと正しくないかという判断を自分でしてみてください。
中国のジェンダー平等
中国の女性差別の実態
SDGsの目標にもあるジェンダー平等。これはどの国もさまざまな取り組みをしているが、昔から根付いてる男女差別という文化は簡単には消えません。
中国では、2016年に膨大な人口の成長抑制の為に行われていた、「一人っ子政策」が廃止され、産児制限が緩和されました。それどころか、今度は労働力の減少と人口の高齢化を危惧した政府が「三人っ子政策」なども発表しています。
今まで中国では、女性は最高でも子供を一人しか産まなかったが、二人、三人と産むという可能性が出てきたことにより、企業や雇用主が女性の採用をためらったり、採用条件に出産の時期などを設けるというケースが起こっています。
これは、女性が将来2回出産する場合があり、2回の産休に対する費用などを負担しなければならないということや産休の期間は労働力としてプラスにならないというところが理由だと考えられます。
企業・雇用主から「時限爆弾」と比喩されて見なされることが多いそうです。
好景気から起こる不平等
女性差別が加速している原因としてあげられるのは、好景気からくる「長時間労働」です。
中国では、伝統的な男女の役割により、家事や育児の大部分は女性が行うものというイメージがついており、女性の過労問題がこれをさらに悪化させています。
好景気から来る長時間の労働に家出の家事仕事という二つに加えて政府は出生率を増加させたいため、出産を促す宣伝活動をおこない出産の圧力が増加しました。
このような状況では、出生率の増加などは望めません。
まずは、社会全体が女性に対しての意識を改革して、女性に対して選択権を与えられるようにしないと状況が改善されないような気がします。
中国企業のSDGs
先ほど紹介したSDGsの取り組みランキングで中国は48位という結果が出ていますが、そんな中国でも徐々に企業がSDGsについて興味を持ち始めてきています。
こちらのグラフですが、CSRレポートを公表している企業の中で、SDGsについて言及している企業の割合を図式化したものです。徐々にですが、右に上昇していっており、増えてきていることがわかります。
このように中国の企業自体は全く興味を持っていないということではなく、むしろこれから成長を見せていくのではないかという可能性を秘めていることがわかりました。
中国の企業の今後の動向を詳しくチェックしていきたいと思います。
ゲームで学ぶSDGs「公益ゲーム」
「公益ゲーム」の概要
現在、中国では遊びを通じて社会問題などを周知するゲームが出ています。
それがスマホで簡単にできる「公益ゲーム」というものです。
有名なものは、アリババ集団が開発した「アントフォレスト」です。これはユーザーへの低炭素行動を樹木につなげたゲームです。
内容としては、ユーザーが車を運転する代わりに徒歩や公共交通機関を利用したり、公共料金の支払いやチケット購入をオンラインで行ったりすると、この行動が低炭素行動として評価され「グリーンエネルギー」に換算されます。このグリーンエネルギーを蓄積することで、仮想空間で木を育てることができます。
その木が成長した段階で非営利企業や環境保護企業などに育てた仮想の木を売ることができます。2020年9月時点で約5億5000万人超がこれに参加し、2億2300万本以上の木を植えました。
「公益ゲーム」で学べること
自分の国がどれだけ汚れているかというのが学ぶことができます。普段の自分の行動がどれだけ環境を汚しているのかというのが目に見えてわかります。自分の行動を見つめなおすきっかけにもなります。
アプリを通して植樹活動をおこなうことで、自然を見る機会が増えます。自然は素晴らしいもので、自分たちにたくさんの利益を与えてくれるということを学ぶことができます。
中国国内で問題になっている大気汚染を軽減することができます。
ゲーム感覚で環境汚染の原因を学ぶことができるのはとても素晴らしいと思いました。
SDGsとは
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの目標ごとに解説記事を公開しています。
▼各目標の詳細は以下の画像をクリック
▼SDGsについて詳しくはこちら
最後に
今回は、中国のSDGsの取り組みについて解説していました。
中国の経済・所得格差という大きな問題について政府の取り組みが素晴らしいと感じました。常に子供達が平等な教育を受けられるようにさらにいい改善がされることを期待しています。
また、日本でも公益ゲームのようなアプリがリリースされれば私も真っ先にダウンロードして、自然の大切さを学びたいと思います。