《必見》プラスチック問題とは?|現状や事例、SDGsとの関係まで解説

#再利用#環境 2021.08.03

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【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

プラスチックは、社会において大きな役割を果たすようになりました。多くの人がペットボトルやビニール袋、包装容器など、日々プラスチックの恩恵を受けながら生活していることでしょう。

利便性が大きいプラスチックですが、地球環境への問題などが指摘され、SDGsのムーブメントの高まりとともに、その存在意義が見直されています。

今回はプラスチックが起こす環境問題やSDGsとの関係性、企業や自治体の取り組みについて紹介していきます。

プラスチック問題が引き起こす3つの問題

便利で生活に欠かせないプラスチックは、同時に多くの問題を引き起こしています。

プラスチック問題として、主に問題視されているのは以下の3つです。

・地球温暖化への影響

・地球資源への影響

・海洋汚染への影響

この章では、それぞれの影響について解説していきます。

地球温暖化への影響

プラスチックの問題点の1つ目は地球温暖化の問題です。

プラスチックは石油や天然ガスが原材料となっています。そのため化石燃料から生まれる二酸化炭素の一定量はプラスチックから生まれます。

化石燃料を燃やすことで二酸化炭素が生じます。化石燃料を燃やすことで生まれる二酸化炭素の一定量がプラスチックの燃焼によるものと推測できます。

世界のプラスチック製造量は増加の傾向を続けています。今後は、プラスチックを燃やさずに資源を転換していく手法を確立していくことが重要です。

地球資源の枯渇

プラスチックの問題点の2つ目は資源枯渇の問題です。

プラスチックは上述の通り、石油などの化石燃料から生まれています。化石燃料の埋蔵量には限度があり、エネルギー資源確認埋蔵量を確認することで、「このままのペースであと何年資源を採取できるか」がわかる数字です。

2019年時点で、石油のエネルギー資源確認埋蔵量は50年、天然ガスは51年となっており、2060年ごろにはこれらの資源が得られなくなると予測されています。

限りのあるエネルギー資源をどのように活用していくかが今後のキーとなっています。

海洋汚染

プラスチックが引き起こす問題の3つ目は海洋汚染の問題です。

3つの中で、最も深刻な問題で、多くのメディアでも取り上げられており、プラスチック問題=海洋汚染という認識をしている方も多いでしょう。

まず、プラスチックと海洋汚染がどのようにつながっていくか説明します。

プラスチックは加工し易さから利便性が高く、ペットボトル、ビニール袋、ストロー、スプーンなど生活の中で毎日のように使うものから、おもちゃ、釣り糸、スクラブ入りの洗顔料などにも使われています。

このプラスチックの使いやすさゆえに引き起こされる問題がポイ捨て問題です。

プラスチックの廃棄により陸から海に流失していったプラスチックごみが今、問題になっています。世界中で年間800万トンのプラスチックが海洋に放流されていると試算されています。このままいくと2050年には海洋プラスチックごみの重量が魚の重量を超えてしまうとも言われています。

さらに、プラスチックは性質上なかなか分解されず、長時間漂流してしまいます。これを海洋生物が、餌と間違えて飲み込んでしまうという事例がいくつも報告されています。

問題となるマイクロプラスチック

問題となるプラスチックの中でも、特に問題視されているのがマイクロプラスチックの存在です。マイクロプラスチックとは、直径5mm以下の小さなプラスチックを指します。

すべてのプラスチックは、最終的にはマイクロプラスチックになりますが、発生源によって一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの2種類に分類されます。

一次マイクロプラスチックとは洗顔料や化粧品などに含まれる「マイクロビーズ」など、マイクロサイズで製造されたプラスチックのことを言います。これらが排水口などから下水処理され、海へと流出することで、さまざまな問題を引き起こします。

二次プラスチックは、ビニール袋やペットボトル、タバコのフィルタなどのプラスチックが川などを伝って海へ流出し、紫外線や波の影響を受けてマイクロサイズになったものを指します。

二次マイクロプラスチックとはもともとは大きなサイズで生産されたプラスチックが自然環境によって粉砕・細分化されて小さなサイズになったものです。

多くのマイクロプラスチックは海に漂流するのではなく、海底に蓄積されます。このマイクロプラスチックは、クジラや海鳥などの多くの海洋生物が摂食し、その毒性によって炎症が起こります。

また、マイクロプラスチックは海中にある汚染物質を吸着して長距離移動することで、遠い場所でも海洋汚染を引き起こしてしまいます。

プラスチック廃棄量が世界2位の日本

日本の人口あたりのプラスチック容器包装の廃棄量は、アメリカに次いで多いというデータが出ています。

比較されているのは、アメリカ、中国、EU28、日本、インドの5か国です。これは重く受け止めなければならない事実です。

プラスチック問題とSDGsの関係性

では、このプラスチック問題とSDGsは何番が関係しているのでしょうか。

まず、プラスチックの廃棄とリサイクルという観点からSDGs 目標12「つくる責任、つかう責任」と関係してきます。プラスチックは利便性の高さから大量に消費されています。しかし、使われた分だけ廃棄が起こっているというのも事実です。この消費をなくすことと、廃棄率を減らしリサイクルにつなげるのは、SDGs 目標12「つくる責任、つかう責任」に深くかかわっています。

▼詳しくはこちら

次に関わるのはSDGs目標 14「海の豊かさを守ろう」です。プラスチックは上述の通り、海を汚染している一番の原因です。マイクロプラスチックの量を減らさなければ、海洋環境は死滅してしまいます。魚どころか海に気軽に近づけなくなるかもしれません。このことから14番の海の豊かさを守ろうにかかわってくると考えます。

▼詳しくはこちら

プラスチックゴミが与える私たちへの影響

これまでmプラスチック問題は、海洋生物に多大な影響を与えていることを説明してきました。

では、プラスチック問題は私たちにはどんな影響があるのでしょうか?

まず、1つは、海に大量のプラスチックごみが流れることにより、魚よりもプラスチックごみが多くなり、わたしたちが魚を食べることができなくなってしまうということです。

海にごみが流れることによって、海の生態系が変わり、魚が住めない環境になってしまいます。そして、漁獲量が激減し、場合によっては絶滅してしまう種も出てしまいます。その結果、わたしたちの食卓から魚が消えてしまうかもしれません。

また、課題視されているのは、人体への影響です。マイクロプラスチックを食べてしまった魚を口にしてしまったら、わたしたち私たちにどのような影響が及ぼされるでしょうか。実は、答えはまだなにもわかっていません。

現状ではまだ、影響範囲が不明な部分が多いため、まずは廃棄されるプラスチックを減らせるかが、カギになってきます。

 プラスチックゴミを削減する解決策は?

では、次に日本ではどんな解決策が国としておこなわれているのか紹介します。

解決策①:第4次循環型社会形成推進計画

第4次循環型社会形成推進計画は、第1次が政府が平成15年3月14日に閣議決定された計画で、現在に至るまで段階を踏んで現在は第4次にいたりました。

政府の取り組みを話すうえでこれは外せないものとなってきます。

これがどんな計画なのか簡単に説明していきます。

そもそもこれはどんな将来像を目指して決定されたものかというと、

「誰もが、持続可能な形で資源を利用でき、環境への負荷が地球の環境容量内に抑制され、健康で安全な生活と豊かな生態系が確保された世界」

「環境、経済、社会的側面を統合的に向上」

という将来像のもと、決定されたものです。

主に5つの項目に分かれていて、その項目紹介とそれに対する国の取り組みは以下です。

①地域循環共生圏形成に地域活性化

地域環境共生

コンパクトで強靭な街づくり

バイオマスの地域内での利活用

②ライフサイクル全体での徹底的な資源環境

開発設計段階での省資源化等の普及促進

シェアリング等の2Rビジネスの促進、評価

素材別の取り組み

③適正処理の推進と環境再生

適正処理

環境再生

東日本大震災からの環境再生

④災害廃棄物処理体制の構築

⑤適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開

国際資源循環

海外展開

解決策②:海岸漂流物処理推進法改正

海岸漂流物処理推進法は2009年7月15日に「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」が政府から公布、施工されました。

その後、2010年3月に、「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」が閣議決定されました。

また、その8年後2018年6月22日に「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律」が政府から公布・施工されました。そこで律名が「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」に改名されました。

この法律の簡単な概要を紹介します。

基本理念は以下の6つの理念からなっています。

・総合的な海洋環境の保全・再生

・責任の明確化と円滑な処理の推進

・3R推進等による海岸漂着物等の発生効果的な抑制

・海洋環境の保全(マイクロプラスチック対策含む)

・多様な主体の適切な役割分担と連携の確保

・国際協力の推進

この法律は国の基本方針をまず決定して都道府県ごとに計画を作成し、実行していくものです。

計画の策定をおこなうえで重要視されているのが以下です。

海岸漂流物等の円滑な処理

・処理の責任の明確化

・地域外(ここでは外国ではなく、他県という意味)からの海岸漂着物の対応

・漂流ごみ・海底ごみの円滑な処理の推進

海岸漂流物等の発生の抑制

・発生状況や原因の調査

・不法投棄をなくすために必要な措置

・土地の適正な管理に関するアドバイスや指導

マイクロプラスチック対策

・使用の抑制や排出の抑制

・政府は、最新の科学的知見・国際的な動向をチェックし、海域におけるマイクロプラスチックの抑制のための施策をを速やかに検討し、結果に基づいて必要な措置をとる。

以上が概要になります。

プラスチックごみ削減の取り組み事例(企業)

ここまで、説明してきて、このプラスチックごみの問題はただことではないということがわかっていただけたと思います。

では、企業や行政はどのような対策をしているのでしょうか。今では、SDGsをCSRとして設定している企業は数多く存在しています。

ここでは、いくつかの事例を紹介させていただきます。

企業事例①: スターバックスコーヒージャパン

スターバックスコーヒージャパンが2018年7月に2020年末までに全世界のスターバックスにおいて使い捨てのプラスチック製のストローを全廃することを発表しました。

スターバックスのストローはすべて、適正に管理された森林およびその他の管理された供給源からの原材料で生産されたFSC®認証紙が使用されています。

事例②: IKEA

IKEAは、製品に使用するプラスチックを2030年までにすべて再生可能な素材かリサイクル素材にすると発表しています。こちらは全製品の素材をかえるということなので、時間はかかってしまうのはしょうがないことですが、実現できれば、さらにサステナブルな再リサイクル可能な素材を使った製品として生まれ変わります。

例えば同社は全てリサイクルされたプラスチックから作られた布地を活用し、バッグやクッションカバー、テーブルクロスを販売しています。スペインの漁師が地中海の網にかかったプラスチックを回収したものを活用し、1キロのプラスチックを回収するために、9キロのごみを海から取り除いています。

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事例③:トヨタ自動車

世界各国にオフィスや工場があるトヨタは、国ごとにさまざまな対策を行っています。

日本

イントラネット(企業の中で使用されるネットワーク)にプラスチック問題の特設ページを作成。プラスチック問題に対するポスターを掲載したり、e-ラーニングを活用し社内への啓発を広めています。また、環境部内では、廃車のエアバックからエコバックを作成して、シェアを実施しています。

出典:廃棄エアバックから制作したエコバック https://global.toyota/jp/sustainability/esg/environmental/activity/

タイ

2022年までにすべての管轄地域でオフィスの使い捨てプラスチック排出量をゼロにする目標を掲げています。その実現のため、動画による社内啓発やプラスチック製品を紙製品に置き換える活動をおこなっています。2019年7月にはグループ会社と連携したマングローブ植林・プラスチックごみ回収活動も実施しています。

グループ会社とのマングローブ植林・プラスチックごみ回収活動

ニュージーランド

オフィスや社内売店のプラスチック製品を紙製品などに置き換えています。2020年の環境月間では、使い捨てプラスチック削減のために日常生活でできる51通りの方法を考案し、社内共有をしました。

プラスチックストロー廃止など多様なプラスチック削減活動

中国

市民の方にゼロウェイスト(ごみをどう処理するのではなくごみを出さない社会を目指す理念)の理念と生活スタイルを啓蒙するボランティア活動を中国内のトヨタの全事業体で実施しています。また、環境月間ではプラスチック容器削減のため、手作り弁当の持ち込み推奨活動やポスターによる環境取り組みの啓発をおこないました。

トヨタ全事業体横断ボランティア活動@成都

ブラジル

オフィスや工場内で繰り返し利用できるコップの推奨をしています。また、各職場でアンバサダーを選定し、環境取り組みの啓発をおこなっています。

繰り返し利用できるコップの使用推奨ポスター

このように国をまたいでさまざまな対策がされています。その国の特色にあわせて行われていることがわかります。

プラスチックごみ削減の取り組み事例(行政)

次に各自治体ではどのような活動をおこなっているのでしょうか。今回は観光地や海に面している面が多い神奈川県の自治体のものを紹介します。

事例①: 川崎市

まず、川崎市の対策を紹介します。川崎市では「みんなの力でまちをきれいに!」という発想のもと、「ごみを捨てない」「ごみを持ち帰る」「地域の美化活動に参加する」の3つを掲げ、町内会、商店街、事業者等と連携して、広報や美化活動、キャンペーンなどに取り組んでいます。

例えばどのような美化活動をおこなっているのかというと、定例キャンペーンとしてニケ月に一回のペースで川崎駅前のごみ拾い(主に煙草などのポイ捨て)を行っています。特にポイ捨てには厳しく取り締まりをしているようです。

このような美化活動に取り組む反面、まだこの取り組み自体を知られていないため、Twitter等のSNSを活用して美化活動イベントをツイートしたり、ほかの団体をリツイートで知らせたりして、周囲に活動の周知をおこなっています。

ゴミ削減の取り組みをSNSなどを通して広報することで、自治体だけでなく自治体にすむ

人々の意識改革を促進することができます。

事例②: 鎌倉市

鎌倉市では「かまくらプラごみゼロ宣言」をおこなっています。県と連携、協調を図りながら、これまでの活動(レジ袋の利用廃止・回収)を一層推進するだけでなく、新たにプラスチックストローの廃止を求める活動をおこないます。

これにより、ゼロウェイストの実現さらにはSDGsの目標を達成できるようにしている。具体的には、市民や事業者に対しての説明会や訪問指導などの啓発を行うとともに、観光客向けにごみの持ち帰りなどを呼び掛けています。また、市役所でも職員のマイバッグ、マイボトルの使用を呼びかけたり会議でのペットボトルの使用制限もしています。平成31年4月以降は、市役所の自販機でペットボトルの販売を行わないようにする予定とのことです。

観光客のポイ捨て問題に真摯に向き合い、解決しようとしている観光地ならではの姿勢が見えます。

以下のURLから「鎌倉プラごみゼロ宣言」の概要がまとめられている資料が閲覧できます。気になった方はぜひ読んでみてください。

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/45780/kamakurapuragomizerosengen.pdf

プラスチックごみ削減のために私たちにできること|無駄なものを購入しない

では、この深刻なプラスチック問題について、わたしたちは個人としてどのように向き合っていけばいいのでしょうか。重要なのは「消費を通して問題を解決する」ことです。

無駄にものを購入したり、もらわないということは、そのままプラスチックの問題の解消に少しでも貢献します。

また、ものを購入する場合でも、エコバックを利用することも重要です。

買い物で使うビニール袋を削減することがそのままプラスチックごみの削減につながります。現在では買い物袋は一部を除いて有料になっており、エコバックを持参している人も増加しているでしょう。

今では、さまざまなメーカーからたくさんのデザイン、用途にあわせたエコバックが販売されています。自分に合ったエコバックでさらに買い物を楽しくしてみましょう。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

最後に

わたしたちの生活に欠かせないプラスチックの存在。しかし、そんなプラスチックには現時点では解決できるのかわからないほどの大きな問題と環境に与える悪影響を再確認することができました。今まで何も気にしていなかったという方も、今回のこの記事によってリサイクルをしたり、買い物の時にエコバックを持っていったり、今までコンビニ弁当だけで済ましていたお昼を曜日を決めて手作りのお弁当を作るなどして少しでもプラスチックの削減を意識してほしいです。

これから先、わたしたちの子供や孫、子孫にも美しい海を見せるために小さなことでも始めてほしいです!

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