【更新日:2021年12月17日 by 三浦莉奈】
最近、SDGsという言葉を耳にする機会が増えてきました。
SDGsへの注目度は年々高まっていて、多方面でSDGsの取り組みが進められています。
「持続可能な社会の実現」のためには、国家レベルの取り組み以上に私たち個人や、自治体レベルの取り組みが重要だとされています。
多くの団体がSDGsの達成を目指す中、企業はSDGsにどのように向き合い、取り組んでいるのでしょうか?
見出し
企業とSDGsの関係性
企業とSDGsの関係性とは
SDGsの前身には「MDGs(ミレニアム開発目標)」というものがありました。
MDGsが各国政府をはじめとする行政の努力を念頭に置いていたのに対し、SDGsは世界のすべての人たちが課題解決に主体的に取り組むことを求めています。
個人や地方自治体の取り組みはもちろんですが、それ以上に目標達成に寄与する投資やイノベーション創出といった点で、企業に対する期待は大きなものがあります。
多くの企業は今までも、「CSR(企業の社会的責任)」として社会貢献活動を行ってきました。しかし、CSRの活動は本業と関わりのないものが大半な印象を受けます。
SDGsでは企業の本業を通じた取り組みが重要であると示唆し、結果的に企業の発展とSDGsの目標達成を両立ができるよう求めています。
SDGsと企業は「持続的な発展」を求める点において共通しているとも言えるでしょう。
(参照:CSRをわかりやすく解説!意味や具体的な事例、取り組むメリットやデメリット|THE OWNER)
企業がSDGsに取り組むメリット
SDGsへの取り組みは企業の義務ではありません。
取り組み方法によってはそれ相応のコストがかかる場合もあります。
しかし、SDGsの取り組みを進める企業は年々増加傾向にあるのも事実です。
その理由を理解するために、企業がSDGsに取り組むことで得られるメリットをいくつか紹介します。
メリット①本業に関連した社会貢献が可能
これまで行われてきたCSRの取り組みでは、本業とあまり関係のない社会貢献活動が多くありました。金融機関による植林活動もその1つです。
SDGsには17目標に169のターゲットが設定されています。ターゲットが多く設定されていることで、自社の活動に結びつけやすく、自らの本業を見直して目標達成に取り組むことができます。
また、各企業がSDGsの取り組みを積極的に行い、これを公表すると消費者がSDGsを「自分事」としてとらえるきっかけを与えることが可能になります。
メリット②ビジネスチャンスにつながる
SDGsは教育機会の拡充、再生可能エネルギー、飢餓の解消など世界中で解決すべき課題への対策を目標としています。
SDGsの17目標を起点とし、課題解決のための新規事業の展開や、他業種との協力など、あらゆる側面から働きかけができるはずです。
SDGsへの取り組みは、新しいビジネスチャンスを生み出すと言えるでしょう。
企業間の協力は国内にとどまらず、グローバルに展開している取り組みもあります。
世界共通の国際目標であるSDGsにより、同じ目的を持つ海外企業との関係構築、企業の海外進出の足掛けをつくるきっかけを得ることができます。
メリット③企業のイメージアップ
企業は、投資家、顧客、従業員をはじめ、取引先や地域も含めたステークホルダーから信頼を得ることで、価値向上と持続的成長を実現できます。
さらにSDGsへの取り組みは、企業の社会的姿勢を計る指標となりつつあります。
SDGsの各課題と企業活動の関連性を洗い出し、未来を見据えて企業を運営していれば、社会的評価の向上や優秀な人材の確保など、将来的に企業にポジティブな影響も期待できます。
メリット④ESG投資
ESGとは、環境・社会・ガバナンスの3つの頭文字を取った言葉です。企業の長期的な成長のためにはこれらの観点から事業機会や事業リスクを把握するべきという考え方が世界中で広まっています。
このESGの観点を含めた投資活動をESG投資と呼びます。
SDGsにはESGの視点が含まれた考え方が多くあります。SDGsに取り組むことはESG評価を上げることにつながり、結果として投資家からのESG投資による資金調達が得やすくなり、より円滑に事業を進めていけるようになるのです。
(参照:ESG・ESG投資とは? SDGsとの違いと企業の長期的な成長に不可欠な理由、成功事例などを専門家が解説|ソフトバンクニュース)
ESGについて詳しく知りたい方はこちら▼
ESG経営について詳しく知りたい方はこちら▼
企業×SDGs 事例一覧
SDGs CONNECTでは、SDGsに対する企業の取り組み事例をたくさん紹介しています。
各企業がどの目標に重点を置いているか、目標達成のためどのようにSDGsに取り組んでいるのかなどがわかりやすくまとめられています。最新記事をいくつか紹介しますので、ぜひご覧ください。
⇩SDGs CONNECTの企業取り組み最新記事はこちら
こちらはSDGs CONNECTで掲載している取り組み事例のほんの一握りですが、ぱっと見るだけでも、幅広い業界の企業がSDGsに積極的に取り組んでいることが分かるかと思います。
企業がSDGsを取り組むには?
企業がSDGsに取り組むための方法
ここまで読んでいただいた方は、SDGsが企業にとってよい影響をもたらすことをご理解いただけたかと思います。
では、企業がSDGsに取り組む際にどのような方法を取ればよいのでしょうか?
企業理念と結びつける
企業がSDGsに取り組むにあたり、17の目標の全てを達成させようとする必要はありません。ではどの目標から取り組むべきか…そのヒントになるのが自社の「企業理念」です。
SDGsへの取り組みを企業理念に基づいて行うことで事業活動と社会貢献に一貫性を持たせ、従業員やステークホルダー、そして消費者が納得しやすい環境を整えられます。
例えば、「イオン株式会社」は「お客さま」を原点に事業の繁栄を通じた平和、人間的なつながり、地域社会への貢献を追求し続けることを基本理念としています。
その理念に基づいてイオン株式会社が取り組むべきSDGsの目標を選定し、それぞれに対応した取り組みを展開しています。
SDGsの導入にあたっては、SDGsの企業行動指針のヒントとしてSDGs Compassを利用し、理念と経営戦略の統合を行うとスムーズです。
(参照:【SDGs事例】お客様を思う気持ちが地域社会をサステナブルに。|イオン株式会社)
イオン株式会社のSDGsの取り組み事例について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。▼
社内コミュニケーションを進める
SDGsは経営活動に直結します。そのため、経営層や一部の部署だけで取り組むことは不可能で、従業員が一丸となって取り組まなければなりません。活動方針が確定した後は、社内への情報発信に注力し、社内全体の取り組み姿勢向上が求められます。
この社内イノベーションをもたらすためには、社内の共感を高めるコミュニケーションを進める必要があります。
社内の情報発信をおろそかにすると、「意識の欠如」「知識不足」「誤った理解」といった原因から事業がうまく回らなくなることは明白です。また、SDGs事業を開始することで従業員の負担が増加し、モチベーションの低下も懸念されます。
全従業員がストレスを抱えることなく仕事ができる環境であること、SDGsを正しく理解し社内で共通した考えを持つことで、初めてSDGs事業の取り組みが成立し、それを消費者にも伝えることが可能となります。
それが積み重なれば、「持続的に人々に選ばれる企業」になれるでしょう。
他の企業の取り組みを知る
現在、多くの企業がSDGsに取り組んでいます。どのような会社がどのような取り組みを主なっているのかを知ることは非常に勉強になります。
SDGsについての企業向けのセミナーやイベント、ワークショップなども開催されています。イベントに参加することで、SDGsへの理解をさらに深め、新たな事業のヒントを見つけられるかもしれません。
以下のサイトは、主に企業向けのイベント開催情報が掲載されていますので、興味のある方はぜひ参加してみることをお勧めします。
SDGs Outside-in|SDGsアウトサイドイン 運営事務局
まとめ
今回は、企業とSDGsがどのように関連しているのか、そして実際にどのような取り組みが行われているのかを紹介しました。
SDGsは私たち一人ひとりが取り組むべき目標です。
この記事を通じ、企業の取り組みから、私たちがどうSDGsと向き合うかのヒントを見つけてくださると幸いです。
SDGsとは
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。
▼各目標の詳細は以下の画像をクリック
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