SDGsと地球温暖化の関係性-SDGs7やSDGs13との具体的関りも紹介

#持続可能#気候変動#環境 2021.09.15

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【更新日:2023年4月24日 by 大竹礼二

近年、地球温暖化という言葉と同時にSDGsの取り組みも増えてきています。持続可能な社会にしていくために地球温暖化への対策や取り組みも行われています。

しかし実際には、SDGsと地球温暖化にはどのような関係があるのか、イメージをしづらい人も多いのではないでしょうか。

今回は、SDGsと地球温暖化の関係性、地球温暖化の原因や、私たちの生活に及ぼす影響、SDGsの取り組み事例を紹介します。

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【この記事でわかること】

 

地球温暖化とは

地球温暖化は、地球全体の平均気温が上昇する現象のことですが、この原因は何なのでしょうか。また、地球温暖化の影響にはどのようなものがあるのでしょうか。

地球温暖化の原因とは

地球温暖化の主な要因と言われているのが、二酸化炭素をはじめとする「温室効果ガス」と言われる地表を温める働きのあるガスです。温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、代替フロンなど、計7種類のガスが含まれます。

温室効果ガスは、地球にとって必要なガスでもあり、仮にこれらのガスが存在しないと地球の平均気温が-18℃になるとも言われています。

画像:SDGsCONNECT作成

グラフを見ると、温室効果ガスの大部分を二酸化炭素が占めていることがわかります。

産業の発展とともに人間の活動が活発になり、化石燃料がエネルギー源として多用され、温室効果ガスが待機中に大量に放出されるようになりました。

そのため、大気中の温室効果ガスの濃度が高まり地表が必要以上に温められ、地球全体の平均気温が上昇しました。これが地球温暖化のメカニズムといわれています。

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地球温暖化の現状

気象庁のデータによると、地球の平均気温は100年あたり0.72℃の割合で上昇しています。現在のペースが続くと2100年には平均気温が約2℃上昇すると言われています。

温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素濃度も年々増加しているため、今のままでは平均気温の上昇ペースが早まってしまう可能性もあります。

地球温暖化が進むと、さまざまな問題が発生します。

海面上昇は、地球温暖化が引き起こす問題の1つです。平均気温の上昇により、氷河が海に溶け出すことで、1906〜2022年の間に世界の平均海面水位は約20センチメートルも上昇しました。

地球温暖化は、異常気象も誘発します。温暖化による気候変動により、発生する異常気象は私たちの生活に被害を及ぼすだけではなく、生態系の破壊にもつながります。

実際にここ10年間の世界の自然災害発生件数は、1970年代に比べて3倍近く増加しています。

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地球温暖化が私たちの生活に及ぼす影響

地球温暖化が進むことで私たちの生活にどれほどの影響があるのでしょうか。

地球温暖化が進むと地球全体の気温が上昇します。国連気候変動に関するIPCCによると、1880年から2012年までに0.85℃上昇しています。

0.85℃と聞くと、大きな影響がないように思えますが実際に日本でも気候変動による影響を受けています。

地球温暖化による気温上昇で、異常気象が多発しています。近年では、強い台風や集中豪雨など今までに例を見ない災害が発生しています。
その影響から土砂災害や浸水被害も増えてきています。今後は、集中豪雨の増加や猛暑日による熱中症で搬送される人が予想されます。

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SDGsと地球温暖化の関係性

ここまで、地球温暖化の原因と現状について紹介しましたが、地球温暖化への対策の指針としてSDGsがあります。

SDGsと地球温暖化の関係

SDGsには持続可能な社会を実現し、より良い未来を築くための17個の目標があります。

この17個の目標は大きく「経済」「社会」「生物圏」の3つのカテゴリーに分類されます。この3つのカテゴリーの関係性を考慮し、3層構造にモデル化したものを、見た目に由来して「SDGsウェディングケーキモデル」と言います。

地球温暖化への対策が含まれる「生物圏」はその中でも最下層に位置し、地球環境が適切に保全されていることが前提で、社会が発展し、経済が発展するということを表しています。

このように地球温暖化への対策は、SDGsにおいて最も重要な課題として位置付けられています。

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地球温暖化に関係するSDGsの目標

上述の通り、地球温暖化対策に最も関連するSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」はSDGs達成の基盤ともなる目標のため、地球温暖化対策はほぼ全てのSDGsの目標に関係してきます。

もちろん、地球温暖化対策のために脱炭素社会を目指し、CO2を削減することは目標13「気候変動に具体的な対策を」への貢献に直結します。

リサイクルやリユースを推進してゴミを削減することは目標12「つくる責任、つかう責任」にも関係しますし、自然災害対策のためのダムや堤防の建設などのインフラ整備は、目標11「住み続けられるまちづくりを」にもつながります。

さらに地球温暖化対策を推進することで、気候変動により脅かされている生態系の保全につながり、拍車がかかる貧困問題への対策もスムーズに行うことができます。

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具体例1-SDGs7と地球温暖化の関係性

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では、全ての人に、安価で信頼できる持続可能なエネルギーを確保することをテーマに目標が定められています。

SDGs目標7には、2030年までに再生可能エネルギーの割合を増やす目標が設定されています。しかし、世界では7億5900万人の人が電気を使用することができていません。

電気を利用できない人々は、石炭や石油を燃やすことで生活をしています。しかし、化石燃料を燃やすと二酸化炭素が発生し、地球温暖化に影響を与えます。

さらに、電気を利用できていない発展途上国の子どもたちは夜になると勉強ができず、貧困状態が続いています。

電力の供給が不十分なままでは仕事も勉強もできず、かわりに化石燃料を燃やすと温室効果ガスが排出されてしまう悪循環が生まれています。

EUでは、2030年までに再生可能エネルギー比率を40%にすることを目標にしています。世界中に電力を供給するための取り組みが増えてきています。

私たちが、普段何気なく使っている電気について一度考えてみましょう。日本だけでなく世界の国のエネルギー状況を考えることで、地球温暖化にもつながってきます。私たちにできることを少しずつ行っていきましょう。

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具体例2-SDGs13と地球温暖化の関係性

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動やその影響を軽減するための対策を講じることをテーマに目標が定められています。

SDGs目標13では地球温暖化による気候変動を少しでも改善することが重要となっています。

地球温暖化によって気候変動が起こす被害は膨大になると予想されています。

地球の気温が上がると北極や南極の流氷が溶け、海面が上昇します。海面が上昇すると、小さな島国が海に沈んでしまいます。さらに、流氷の上で暮らすシロクマも絶滅する可能性が出てきています。

さらに、気温上昇により干ばつが起こり、食糧難に陥ることもあります。地球温暖化の影響で、私たちが生きていくうえで必要な食料が手に入らなくなってしまいます。

日常生活で二酸化炭素を抑えることを意識してみましょう。特に車やビニール袋など何気なく使っているものは、二酸化炭素を排出します。車の代わりに公共交通機関を利用したり、マイバッグを持参することで私たちも地球温暖化に貢献することができます。

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地球温暖化の防止につながる企業のSDGs取り組み事例3選

地球温暖化を防止するための企業の取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは3つ紹介します。

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH)と呼ばれる住宅で脱炭素社会の実現に貢献しています。

「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH)とは、住宅の高断熱、高効率設備や太陽光発電を利用した、使用エネルギーのプラスマイナスゼロを目指した住宅です。

積水ハウスの新築戸建ての9割はZEHを採用しています。

つまり、ZEHは、二酸化炭素排出削減に成功している住宅とも言えます。
この住宅は2013年に販売が開始されて以来、2017年には新築戸建住宅の76%を占めるまでに普及し、同年の新築戸建住宅の居住時年間CO2排出量を1796年度比で93%削減することに成功しました。

さらに、太陽光発電システムや燃料電池などの自家発電機器から、エネルギー消費を抑えた家電が備わっています。一般的な家庭より39%の光熱費の削減に成功しています。

この住宅は、地球温暖化対策につながるSDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、目標13の「気候変動に具体的な対策を」にも貢献しています。

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ユニ・チャーム株式会社

ユニ・チャーム株式会社は、紙おむつ等を製造するメーカーとして事業を展開しています。ユニ・チャームは2015年から使用済み紙おむつのリサイクルに取り組んでいます。

使用済みの紙おむつは、水分を含んでいるため燃えにくく、完全に燃やすために余分な燃料が必要になってきます。そのため、二酸化炭素の排出が多く発生します。

この問題点に注目したユニ・チャームは、使用済み紙おむつのリサイクルに取り組みました。

リサイクルのため、資源を購入せずに使用済み紙おむつから再生パルプを取り出し、再び紙おむつにするというリサイクルの仕組みを確立しました。

これにより、リサイクルしない場合と比べ、温室効果ガスの排出量が87%減ることが分かりました。

SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に直結するこのシステムは、CO2やゴミの削減につながり、地球環境の保全に貢献しています。

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日本電信電話株式会社 NTT

NTTグループでは、環境問題の解決のためにICTを活用しています。

例えば、買い物をしに出かけたり映画を見に行ったりする行為をICTでデジタルコンテンツ化し、自宅にいながらそれらを楽しむことができる仕組みは、移動時にかかるガソリンなどが不要になり、CO2排出量の削減に貢献します。

また、渋滞情報をいち早くお知らせする機能や、電気やガソリンを使わない自転車の提供など、 NTTならではの視点から環境問題に取り組んでいます。

最先端技術を導入し、人々が暮らしやすい社会をつくることは、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」にも貢献します。

ICT

Information and Communication Technologyの略称です。日本語では「情報通信技術」と言われ、情報を伝達する技術の総称です。

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私たちにできること

日々の生活の中で私たちができることは何でしょうか。

地球温暖化は今も進行し、何もしないままでは海面上昇や生態系の崩壊が起きてしまいます。

今から私たちにできることは、エネルギー消費を少なくする方法です。

電化製品や水道、車などを使用することでも二酸化炭素は排出されます。それぞれに省エネを意識することで私たちも二酸化炭素を削減できます。

水の出しっぱなしや必要のない電源を切っておくなど、少しでも私たちにできることに取り組んでみましょう。

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まとめ

温暖化対策と快適な暮らしを両立するために、さまざまな企業が新しい技術や製品の開発に取り組んでいます。

私たち消費者の温暖化対策として、こうした製品やサービスを利用することも1つの選択肢です。

地球温暖化の現状を理解し、ひとりひとりが行動することが大切です。

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