世界の食品ロス対策12選-飲食・小売・アプリ・通販の取り組みを紹介

#持続可能#食品#食料の廃棄 2022.12.01

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世界では人間が消費するために生産された食品の3分の1が、失われるか廃棄されています。これは年間約13億トンに相当し、約1億ドル(約135兆円)の価値があると言われます。

なぜ世界ではこれほど多くの食品ロスが発生しているのでしょうか。また、食品ロスを削減するために、世界ではどのような対策が行われているのでしょうか。

この記事では、世界の食品ロス削減への対策(飲食店や小売店、その他サービス)について分かりやすく解説します。

【この記事で分かること】

世界の食品ロスの現状

世界のさまざまな国では、毎日多くの食べ物が捨てられています。

まずは世界における食品ロスの現状や問題点などについて、説明していきます。

世界の食品ロスの現状と問題点

食品ロス」とは食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことです。世界では年間約13億トンもの食べ物が捨てられており、この量は世界における食料生産量の3分の1に相当します。

年間13億トンもの食べ物が無駄になっているにもかかわらず、発展途上国を中心に毎日充分な食事ができず、栄養不足に陥ってしまう人も多く存在します。とくにアジア地域の国々アフリカ大陸の国々で暮らす人々が飢餓に苦しんでおり、その数は5億人を超えています。

このまま食品ロスの問題が深刻化すると人口増加による食料不足や、廃棄された食品を処分する際に発生する二酸化炭素によって地球温暖化が悪化するなど、飢餓人口が増えるだけではなく、そのほかのさまざまな問題が発生します。

関連記事:食品ロスのデータ5選-日本や世界の食品ロスの現状や推移を解説

関連記事:食品ロスの影響とは?-環境・食糧問題・経済への7つの影響を解説

【食品ロス発生量】世界ランキング

年間約13億トンもの食べ物が無駄になっている中で、中国では約9,000億トンという最も多くの食べ物を廃棄しています。中国に続いてインドが約6800億トンもの食べ物が捨てられています。

先進国であるアメリカやイギリス、フランスなどの国々でも大量の食品ロスが発生していますが、中国と比較するとかなり少なくなっています。とくにイギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国の国々は食品廃棄量が6,000億トン以下となっています。

一方でインドやナイジェリア、インドネシアのような発展途上国においても、多くの食品が廃棄となっています。エチオピアやメキシコ、バングラデシュなどの国においても1,000億トンを超える食べ物が無駄になっており、食品ロスの問題は発展途上国においても深刻です。

順位 国名 廃棄量(トン)
1位 中国 91,646,213
2位 インド 68,760,163
3位 ナイジェリア 37,941,470
4位 インドネシア 20,938,252
5位 アメリカ合衆国 19,359,951
14位 日本 8,159,891

参照:UNEP Food Waste Index Report 2021
※6位から13位は省略

世界で食品ロスが発生する原因

ここまで食品ロスの現状や、世界のランキングについてまとめていきました。

続いて世界各国で食品ロスが発生する原因について、説明していきます。

先進国で食品ロスが発生する原因

アメリカやイギリスなどの先進国で発生する食品ロスの多くは、生産過程よりも加工・流通時に多く発生します。とくに生鮮食品に対しては、「外観品質基準」という厳しい基準が設けられています。この基準を満たさない食べ物は販売することができないため、捨てられてしまいます

食品ロスは加工・流通時のみではなく、販売時にも発生します。スーパーやコンビニなどの小売店が大量に食品を仕入れるものの売りきれず販売可能期間が過ぎることで廃棄となっています

そのほかにも家庭における食べ残しや、購入したものの賞味・消費期限が過ぎたことで捨ててしまう食品も数多くあります。先進国での食品ロスを削減するためには、過剰生産をやめたり外観品質基準の緩和したりなどの取り組みが必要となります。

外観品質基準
…生産された製品の品質を確かめるために作られた、見た目の基準のこと。

途上国で食品ロスが発生する原因

発展途上国における食品ロスの多くは、加工・流通時よりも生産時に多く発生します。米や小麦などの原材料を大量に生産する発展途上国では、収穫技術の低さにより作物を収穫しきれなかったり充分な貯蔵施設がないことにより作物が腐敗してしまったりします

また道路などのインフラが整っていない影響で生産した作物が市場へ届けられず、畑で腐敗していく場合もあります。生産した作物が無駄にならないようにするには貯蔵設備を整えたりインフラ整備を行ったりなどの取り組みが必要不可欠です。

 

【飲食店】世界の食品ロス削減への取り組み

ここまで先進国と発展途上国で発生する食品ロスについて、説明していきました。

次に世界の飲食店に焦点を当てて、食品ロス削減に向けた取り組みを解説していきます。

関連記事:食品ロスの解決策とは?-企業・家庭・学校での取り組みを徹底解説

生ゴミの堆肥化|ドイツ 「FREA」

ドイツのベルリンで営業をしている100%ヴィーガンレストラン「FREA」では、地域の有機農家から仕入れた食材を無駄なく使用しています。また厳選された材料のみを使用し、ヘーゼルナッツやコンブチャ、ダークチョコレートなどを自社で製造しています。

さらにこの店舗ではゴミをほとんど出さないため、ゴミ箱が設置されていません。どうしても残ってしまう食品は、24時間以内に堆肥化機で土の代替物となり仕入先の農家で再利用しています

食品の完全販売|カナダ 「Farmhouse Tavern」

カナダのトロントに店を構える「Farmhouse Tavern」では、カナダ・オンタリオ産の新鮮な食材を使用した料理を提供しています。仕入れる食材はすべてレストランから半径100キロメートル以内の農場・森林からのものであり、二酸化炭素排出量の削減にも貢献しています。

また「Farmhouse Tavern」では毎週日曜日の15時から、食材がすべてなくなるまで1時間おきに価格を下げて販売しています。この取り組みを実施することで、営業していない曜日に食品が無駄になることを防いでいます

規格外野菜の使用|タイ 「Greyhound Cafe」

タイのアパレルブランド「Greyhouse」が手がけるレストラン「Greyhouse Cafe」では、「Perfectly Imperfect(完璧に不完全)」というコンセプトをもとに、規格外野菜を使用したメニューを提供しています。使用する作物としてきのこやさつまいも、人参やズッキーニなどがあります。

現在「Greyhound Cafe」の支店はタイ国内で17店が展開されており、タイ以外にも中国やベトナム、シンガポールにも店舗を拡大しています。

またロイヤルプロジェクト財団とのコラボレーションプロジェクトとして、規格外野菜を使用した7つの特別メニューも期間限定で提供しています。

ロイヤルプロジェクト財団
…タイ北部に拠点を置くタイの非営利団体のこと。森林減少や貧困、アヘン生産における問題を解決するためにプミポン王によって設立された。

【小売店】世界の食品ロス削減への取り組み

ここまで世界の飲食店が食品ロス削減に向けて行っている取り組みについて、紹介していきました。

続いて、小売店における食品ロス削減への取り組みを説明していきます。

関連記事:スーパーの食品ロス削減への対策7選-食品ロスの原因や削減事例も解説

食品の再分配|イギリス 「マークス&スペンサー(M&S)」

イギリスの大手小売業社マークス&スペンサーでは、食品ロスの削減が温室効果ガスの削減につながると考え、持続可能な社会の実現に向けて食品廃棄量を減らす取り組みを行っています。

食品ロス削減に向けた取り組みとして、2020年に導入したアプリがあります。このアプリ内ではリアルタイムの販売データと製品の賞味期限が結合されているため、賞味期限が近づいている商品を消費者に寄付することができます

マークス&スペンサーが展開しているすべての店舗でアプリを導入しているため、新型コロナウイルスの影響で外出できない人でも簡単に食品寄付の申請が可能です。

賞味期限表示の削除|イギリス 「TESCO」

イギリスの小売業社「TESCO」では、事業全体の食品廃棄物を45%削減し2050年までに食品廃棄物を半減するという目標を定め、達成に向けて取り組んでいます。

取り組みの中でも特徴的なものが、食品の賞味期限表示を削除することです。果物や野菜などの食べ物を見た目で判断するという消費者の声を参考にし、賞味期限の表示を廃止しています。これにより、賞味期限に左右されることなく食品を食べられます

そのほかにもサラダなどの腐りやすい食品を購入した際に1つ無料になる取り組みの廃止や、食品の「使い切り日」設定の推進など、さまざまな取り組みを実施しています。

廃棄予定の食品を販売|デンマーク 「Wefood」

デンマークの企業「DanChuchAid」が運営するスーパーマーケット「Wefood」では、賞味期限が過ぎていたり、パーケージが破損していたりなどの理由で販売できなくなった食品を取り扱っています

Wefood」が取り扱う食品はデンマークの食品法に基づいているため、安全性が保証されており市場価格の30〜50%と大幅に割引をした価格で商品を販売しています

また「Wefood」による収益は、南スーダン・エチオピア・バングラデシュなどの貧困国の飢餓人口を減らすための資金として利用しており、世界における食糧問題の解決に取り組んでいます。

【アプリ・通販サービス・その他】世界の食品ロス削減への取り組み

ここまで世界の小売店に焦点を当てて、食品ロス削減の取り組みをまとめていきました。

続いて、食品ロス削減を目指して事業を展開しているアプリや、企業について紹介します。

関連記事:食品ロス削減のおすすめアプリ5選-アプリ活用のメリットから特徴を徹底比較

余った食材をシェア|イギリス 「OLIO」

OLIO」はイギリス・ロンドンでリリースされた、食品をアプリのユーザー同士でおすそわけできるアプリです。アプリのユーザーは、おすそわけしたい食品の写真をアップロードして受け渡す場所・日時を設定して投稿します。投稿された写真の中から欲しい物が見つかった際に所有者に連絡することで、食材を受け取ることができます。

このアプリは一般の人だけではなく、地元のコミュニティや企業、食品店も利用可能なため、一日の終りに売れ残った食べ物が無駄になりません。

現在、ユーザー数は600万人を超えており、5700万もの食品がユーザー同士でシェアされています。

アプリ・OLIOについて詳しくはこちら▼
https://apps.apple.com/gb/app/olio-food-sharing-revolution/id1008237086

真空パック機|オランダ 「Vacuvita」

Vacuvita」はオランダ発祥の次世代型真空パック機です。家庭で起こりやすい食べ残しや未開封のまま捨ててしまう直接廃棄などの食品ロスを軽減するために、開発されました。

「Vacuvita」は一般的な真空パックとは異なり、容器に入れて蓋を閉めるだけで真空のコンテナになる「真空保存庫」となっています。タッパーのような感覚で使用でき、食品を通常の5倍長持ちさせることができます

コンテナはそのまま冷蔵庫・冷凍庫に収納でき、電子レンジで加熱もできます。お肉料理やマリネ、煮魚などの料理を作る際に必要な漬け込みにも使用でき、調理時間の短縮に大きく貢献します。

りんごの廃棄物を再利用|アイルランド 「Sampla Foodwear」

アイルランドを拠点とする「Sampla Footwear」ではりんごの皮を再利用して、手頃な価格の靴を作っています。再利用しているりんごの皮は「Appleskin」と呼ばれる100%ビーガンな素材です。りんごは北イタリアに位置するボルツァーノのジュース産業から発生する廃棄物を使用し、通気性・耐久性に優れた生地を生産しています。

アイルランドはヨーロッパ諸国において森林被羅率が3番目に低く、総陸地面積がわずか12%となっています。そのため「Sampla Footwear」はアイルランドの非営利団体「Trees on the Land」と連携し、販売された靴の利益の一部を森林再生プロジェクトの協力金として寄付をしています。

食品ロスを減らすための各国政府の取り組み

ここまで世界で利用されている食品ロス削減に貢献するアプリや、製品について説明していきました。

続いて、世界各国の政府が食品ロス削減に向けて実施している取り組みについて、まとめていきます。

Create share table|アメリカ

アメリカではアメリカ合衆国農務省(USDA)とアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)が連携し、「
Food Loss and Waste 2030 Champions」というプログラムを立ち上げており、2030年までに食品ロスを50%削減することを目標として取り組んでいる企業を紹介しています

またアメリカ合衆国農務省の公式サイトで掲載されている取り組みの中に、「Create share table」があります。アメリカの学校では全生徒に給食を提供することが義務付けられているものの、生徒が食べられなかったり苦手だったりする食べ物を残しています。

このような給食での食品ロスを削減するための解決法として考案された「Share table」は、食べられなかったり苦手だったりする食べ物を「Share table」に置いて、他の生徒が自由に食べ物を取れるようにする取り組みです。

Love Food Hate Waste|イギリス

イギリスではNGO団体「WRAP」がイギリス政府やイギリス企業と連携して、さまざまな取り組みを行っています。2017年にはWARPと小売市場を調査する会社「IGD」と共同で「UK Food Suplus and Waste Measurement and Reporting Guidlines」を作成し、2030年までに企業から発生する食品ロスを50%削減することを目標としています

そのほかにイギリス国内で、広く実施されている取り組みが「Love Food Hate Waste」です。この取り組みでは、設置された専用のウェブサイトを通じて消費者による食品ロスの削減方法を発信しています

anti-gaspillage alimentaire|フランス

フランスでは2020年12月に採択された法令「廃棄物防止法」により、「anti-gaspillage alimentaire(反食品廃棄物)」ラベルの作成が促進されています。「食品ロス反対ラベル」は、申請を受けた飲食店の食品ロス対策度を審査し、食品ロス対応度を3段階で評価するものです。評価された飲食店は、店の店頭・メニュー・ウェブサイトに審査結果を表記できます。

そのほかにも国際連合によって定められた、食品ロスと廃棄に関する啓発を目的とした国際デー(9月29日)に合わせて、キャンペーンを実施しています。TwitterやFacebookなどの専用ページでは、白雪姫やシンデレラなどの有名な童話をもじってポストカードを公開し、大人から子どもまで食品ロスについて学べる機会を設けています。

世界から学ぶ日本の食品ロス対策の課題

ここまでアメリカ・イギリス・フランスの三国で行われている食品ロス削減対策について、まとめていきました。では世界の食品ロス対策を踏まえたうえで見えてくる、日本における食品ロス対策の課題とはなんでしょうか。

課題の一つが、フードバンクの未普及です。アメリカやイギリスなどの国では、安全に食べられるのに包装の破損や印字ミスなどの理由によって廃棄となった食品を、食べ物を必要とする団体や施設に提供するフードバンク」が活発に行われています。

しかし日本では少しずつ食品の提供量が増えているものの、他国と比べるといまだに低い数値となっています。海外では、フードバンクした際に食品に不備があっても意図していなければ、責任を問わないという法律が定められているのに対し、日本ではそのような法律が定められていません。これにより食品を口にしたことで起こりうる食中毒などを懸念して、なかなか企業も寄付ができていません。

日本での食品ロスを削減するためには無駄な買い物を防いだり、外食時に食べられる量だけ注文したりといった消費者向けの政策だけではなく、日本政府も食品ロス削減に貢献する法律や支援の実施が必要不可欠です

まとめ

食品ロス」とは食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことを言い、世界では先進国のみならず発展途上国でも発生しています。しかしアフリカ大陸の国々やアジア地域の国々では満足に食事ができず、栄養不足や飢餓に悩まされている人が多くいます

食品ロス」は生産過程だけではなく加工・流通時にも発生しており、生産過程では過剰生産や技術不足によって作物が収穫しきれなかったり設備不足による作物の腐敗が発生しています。一方で加工・流通過程では、厳しい 「外観品質基準」や小売店の大量仕入れがあります。

世界各国の政府や企業は食品ロス削減に向けて、廃棄となった食品を堆肥としてリサイクルしたり規格外野菜の提供したりなどさまざまな工夫をこらしています。日本ではあまり広まっていない「フードバンク」を普及するためには、消費者たちだけが取り組むのではなく、日本政府の支援も大切となります。

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