【更新日:2023年7月27日 by 大川 智也】
【この記事で分かること】 ・LGBTとは何の言葉か ・LGBTをテーマにした人権作文の書き方 ・人権作文の構成の組み方 ・LGBTをテーマにした人権作文で入賞した作品 |
見出し
LGBTとは
まず簡単にLGBTの意味を説明します。LGBTとは代表的な性的マイノリティ4つのアルファベットの頭文字をとった言葉です。
L : Lesbian 女性同性愛者 G : Gay 男性同性愛者 B : Bisexual 両性愛者 T : Transgender 性的指向、性自認が生まれた性別と異なる人 |
これらの単語の頭文字をとる事で、性的指向や、性自認の違いが原因で偏見や差別を受けている人々を表す言葉になっています。
近年ではLGBTの4種類だけだと、性的マイノリティの区分が足りなくなっています。そのため、LGBTに加えて新たに2文字が加わったLGBTQ+や、性的指向と性自認の頭文字をとったSOGIという言葉を使おうとする動きもあります。
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SO : Sexual Orientation 性的指向 GL : Gender Identity 性自認 |
▼LGBTQについて詳しくはこちら
人権作文とは
人権作文とは、人権尊重の大切さや基本的人権についての理解を深めるために行う作文のことです。そのため、この作文を通して、次代を担う中学生たちが人権感覚を身につけることが目的になっています。
▼参考
法務省:全国中学生人権作文コンテスト
LGBTをテーマにした人権作文の書き方|LGBTをテーマにした人権作文を書く上でのポイント3選
続いて、LGBTをテーマにした人権作文の書き方を説明していきます。
取り扱う問題について事前に調べる
人権作文で取り扱うテーマの何が問題なのかが分かっていない状態では、文章を書く以前の問題です。まずは、取り扱う問題についてどういった内容なのかをしっかり調べておきましょう。
LGBTの言葉の意味についてはここで軽く説明していますが、どんなことが問題なのかは説明されていません。では、LGBTの問題にはどのようなものがあるかを調べてみましょう。
検索する問題の例 ・LGBTが原因でどんな問題があるのか ・日本でのLGBTの方への対応と、世界でのLGBTの方への対応の違い ・日本におけるLGBTの割合 ・企業や自治体がどんな活動をしているのか |
関連記事:自治体のLGBTへの取り組み5選-日本のLGBTの現状や企業・学校の例も紹介
関連記事:LGBTQ+の方々の声を届ける|Indeed Rainbow Voice2022
実際に経験したことを盛り込む
人権作文を書く上で、実際に経験したことのある内容を書くことがおすすめです。
実体験があれば、そこからどう感じたかなどが書きやすくなりますし、内容も濃いものが書けます。一方で、実体験がないとなかなか踏み込んだ話にすることが難しくなってしまい、その結果、文章にいまいち説得力や信ぴょう性がない薄い内容になりやすいです。
そのため、実際に経験した内容があれば、その話をもとに作文を構成していくといいでしょう。もし、実体験がない問題をテーマに設定した場合は、取り扱う問題についてより調べて、自分の考えを書いてみましょう。
構成を考える
文章を書く上で何も決めずに書き始めていくと、途中で論点がずれ、何が言いたいのかわからない文になりやすいです。
そのため、最初に構成を考えて何を伝えたいのかを明確にした上で、文章を書いてみてください。
lgbtをテーマにした人権作文の構成例|書き出しから結論まで
以下の構成が相手に自分の考えを伝えたい時におすすめです。
・問題提起 ・本論 ・結論 |
文章を書き始める前に事前にLGBTについて調べた内容から、自分が伝えたい内容を1つに絞りましょう。
たくさんのことを伝えようとすることも悪い事ではないですが、それでは結局何が伝えたかったのかがわからなくなってしまいます。そのため、まずは自分が一番伝えたい内容一つに絞って構成を組んでみましょう。
問題提起
問題提起の部分では、自分が何を伝えたいのかを伝えると同時にその内容に説得力を持たせるための文章です。
そのため、一番初めに書くべき内容は、自分は何が問題だと思っているのかです。また、その内容がなんで問題なのか、その背景や課題点など抽象的に書いてみましょう。
本論
本論では、自分が伝えたい主張を文章にして書いていきます。
問題提起と違って、問題に対してできるだけ具体的な内容を書くことが望ましいです。どんなことが問題なのかを書いてみましょう。この時、自分の実体験を交えて書けるととても良いです。
具体例を書いた後は、そこから自分がどうしたらいいと思ったかなど自分の考えを書いてみましょう。その後に、今までに上げた問題に対する解決方法も書いて本論を書いていきましょう。
文章が長くなると何が伝えたかったのかがあいまいになりがちなので、先に何を伝えたいのかを箇条書きにしておいてもいいでしょう。
結論
結論では、問題提起、本文で書いた内容をまとめるための最後の締めです。
普通の作文なら、結論は短く済ませて良いのですが、今回は人権作文なので、自分はどう動いていきたいなどの、これからのことを追加で書いてみてもいいかもしれません。
LGBTをテーマにした人権作文を書くときに気をつけるべき点
ここからは、人権作文を書いていくうえで、注意すべき2点を紹介します。
自分の思いや考えを書く時に相手を傷つけるような文にしない事
人権作文の目的は、人権を尊重するにはどうしたらいいのかを考えるものです。
そのため、問題について自分の意見を書くことはいいのですが、自分の意見で相手を傷つけないようにしましょう。
内容が薄いと相手に伝わらない事
相手を傷つけないような文を書いたうえで、もう一つ注意する点があります。それは、相手に薄っぺらい文章と思われないようにすることです。
どういうことかというと、この2つの文章を見てください。
LGBTの方にも不便さを感じないような世界にするために、皆の考えを変えていく必要があると思います。 |
私の友達が、LGBTが原因で避けられて困っている所を見て、問題意識を持ちました。そのため、私は皆がLGBTの方にも普通に接することができるようになりたいと強く思いました。 |
どちらの文のほうがLGBTの問題に対する意識が強いのか、と聞かれて、おそらく二つ目の文章を選ぶ方が大半だと思います。
では、一つ目の文には何が足りないのでしょうか?それは、lgbtの方に対する理解や具体性が足りていないという点です。そのため、文章を書く際にテーマをよく知らずに書くことや、抽象的な文を書きすぎはしないように注意しましょう。
LGBTがテーマの人権作文|入賞作品2選
今回の記事では、LGBTをテーマにした人権作文の書き方について、解説していきました。
最後に、実際に人権作文で賞をとったものにどのようなものがあるか、その構成を2つ紹介しようと思います。
「性別に関係なく、一人ひとりが輝く国際社会の実現に向けて自分には何ができるか~普通って何だろう~」
自分の知り合いの発言で心に残ったことを最初に実例と挙げて、日本と世界でのlgbtの方への対応の違いから、lgbtの方の現状を調べたうえで自分がどうしたいのかが書かれています。
疑問、結果、自分の意見の順で文章が構成されていて、読んでいて何を言っているのかがわかりやすいことが特徴でした。
構成
①自分の実体験 ②このテーマを選んだ理由 ③日本と海外を比較した、日本のLGBT問題(具体例) ④国際連合はLGBTとどう関わっているのか(現状説明) ⑤結論 ⑥自分がこれからどう活動していこうと思うか |
「自分の種類とその性別」
自分の実体験をもとに文章が構成されていて読んでいて全体的に説得力が高いと感じました。
自分がLGBTで困っていた時にしてほしかったこと、どうしたら解決したのかを結論に持ってきていてその点が特に説得力があってよかったです。
構成
①実体験(具体例) ②テーマの説明 ③問題提起 ④結論 ⑤再度問題提起 |
参考記事:「性別に関係なく、一人ひとりが輝く国際社会の実現に向けて自分には何ができるか~普通って何だろう~」大津市立日吉中学校3年 奥村 咲耶子さん
参考記事:第38回(平成30年度)全国中学生人権作文コンテスト 世界人権宣言70周年記念賞 「自分の種類とその性別」佐賀県 白石町立白石中学校 3年 小川 一花(おがわ いちか)さん
まとめ
人権作文を書くことは大変だと思いますが、結果が大事というより、文章を考える過程が大事です。そのため、気負わずに書いてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。