カーボンニュートラルに向けた自動車の取り組み5選-自動車産業対応の動向

##エネルギー##環境#水素#脱炭素 2022.08.25

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世界的にカーボンニュートラルを目指す動きを受け、温室効果ガスを発生させている自動車業界も2050年をカーボンニュートラル達成時期の目標とした取り組みを開始しています。

自動車とカーボンニュートラルは電化や水素化といったCO2を排出しないエネルギーへの転換ができる点でとても密接に関わりあっています。

そこで今回は、カーボンニュートラルに向けた自動車の取り組みを紹介し、自動車産業のカーボンニュートラルへの対応動向をみていきます。

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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは脱炭素社会とも呼ばれ、二酸化炭素の排出が実質ゼロとなる社会のことを指します。

二酸化炭素は地球温暖化の原因と考えられており、気候変動の要因になるため世界中で排出量を減らす取り組みをしています。

また日本では2020年10月に菅元首相が「我が国は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」と表明されました。

▼脱炭素社会について詳しくはこちら

カーボンニュートラル実現に向けた世界の動向

自動車業界はカーボンニュートラル実現に向けて動いている

世界では現在、120カ国以上の国と地域が2050年までにカーボンニュートラル実現を目指しており、中国は2060年、インドでは2070年とすべて含めると全世界の約3分の2がカーボンニュートラル実現に向けて動いています。

取り組みとしてガソリンエンジン車の販売禁止や、EUやカナダなどでのPHV(プラグインハイブリッド自動車)も含む販売禁止などの取り扱いをする国も出ており、各国でさまざまなスタンスがあります。

日本では、乗用車は2035年、小型車は2040年までに新車販売を100%電動車や脱炭素燃料車にすると目標設定をしているのです。

またカーボンニュートラル達成に向けて世界各国では、ガソリン車から電動車へのシフトチェンジが進んでいます。

日本では菅元首相が発表した2050年に足並みをそろえて目指しており、ドイツのDaimlerでは2039年までに、米国のGMでは2040年までというように企業によって目標年数は変わりますが、電動車へのシフトチェンジはそれぞれの企業で中長期目標として掲げられています。

カーボンニュートラルはおかしい?カーボンニュートラル実現に向けた自動車業界の課題とは?

電動化による社会の混乱

ガソリン車から電動車に変えるだけでは、社会に混乱を招いてしまったり、ガソリン車のほうがいいと考える人がでてしまうなどさまざまな問題がおこってしまいます。

給油と充電の必要時間

EVでは「30分で80%程度まで充電できる」というのが充電時間の相場とされています。

ガソリンスタンドで3分で給油ができるとすると約10倍もの差ができてしまいます。

自宅で充電できるとはいえ移動中に充電が必要になったときにすぐ充電ができないのは致命的です。

郊外の整備

電動車や脱炭素燃料車の販売に合わせて今あるガソリンスタンドをすべて変えるとなると、相当な労力が必要になります。

充電時間を短くするために電力を上げるなどの対策をすると大規模になってしまうため、車社会の郊外では早急に対策をしなければいけない問題ですが、道路の整備でさえ遅れている現状すぐに対応するのは現実的ではありません。

中古品の寿命

バッテリーは消耗品なので使えば使うほど最大容量が減っていってしまいます。容量が減り寿命のきた電動車はエンジンの寿命が来たことになり、中古として売りに出しても今あるガソリン車の中古価格のような値段がつかない可能性があります。

輸送時の矛盾

新車の輸送には大型船や大型トラックが利用されるため、輸送時の燃料や排気としてCO2の発生がは避けられません。

最近はCO2排出量の多い船やトラックを使わずに、鉄道輸送に切り替える企業もあります。

しかし、どのような輸送方法を用いても、電気や燃料といったエネルギーが必要となることに、変わりはありません。

日本はエネルギー資源の依存率が高く、石油や石炭、天然ガスのほとんどを海外から輸入しており、どのような輸送方法を用いてもエネルギーが必要となってしまいます。

カーボンニュートラル実現に向けた自動車メーカーの取り組み5選

トヨタ マルチソリューション事業

トヨタは今後「マルチソリューション」を掲げています。

EVや燃料電池車、水素ガソリン車など幅広く可能性があるものすべてに力を入れる取り組みをしています。

また2006年から南米でリチウム鉱山の開発に着手しており40年先の未来のために準備をしているのです。

ホンダの内燃機関

2040年までにEVとFCV(水素で走る燃料電池車)の販売比率を全世界で100%にすると宣言しており、この発言は日本メーカーとしては初の宣言となります。

またホンダはエネルギーのマルチパスウェイを提唱しており、2050年までに全製品カーボンニュートラル化を目指しています。

マルチパスウェイ

・電気の循環(電気サイクル)
バイクやクルマは電気で動かす。

・水素の循環(水素サイクル)
より大きなエネルギーが必要な長距離移動やトラックなどには水素を使う。

・カーボンの循環(カーボンサイクル)
巨大な出力が必要な飛行機には、CO₂を資源としたカーボンニュートラル燃料を活用。燃料を使う際にどうしても出てしまうCO₂を回収し、再利用することでトータルゼロにする。

日産 Nissan Ambition 2030

日産は「Nissan Ambition 2030」を掲げています。

・今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速

・2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大

・全固体電池を2028年度に市場投入

また日産は2030年までの長期的な戦略化に電動化をおき、2050年までにライフサイクルすべてでカーボンニュートラル実現を目標としています。

スバル 電動技術搭載

スバルでは「2030年までに世界販売台数の40%をEVまたはハイブリッド車とする」、「2030年代前半には生産・販売する車すべてに電動技術を搭載する」といった2つの目標を掲げています。

また2050年に、Well-to-Wheelで新車平均のCO2排出量を2010年比で90%以上削減といった長期目標も目指しています。

マツダ ビルディングブロック戦略

マツダは2030年までにBEV25%、HEVなどは75%と目標が定められています。

また、エンジンやボディ、モーターなどを段階的に積み重ね優れた技術を提供する「ビルディングブロック戦略」を進めています。

カーボンニュートラル実現に向けた自動車関連の補助金を活用しよう

カーボンニュートラル実現に向けて電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池自動車などを新たに購入する個人、法人、地方公共団体は補助金を申請することができます。

条件として災害時における非常用電源としての協力などが求められることがありますが、令和4年3月31日から受付開始されています。

・電気自動車(軽自動車を除く):上限65万円

・軽電気自動車:上限45万円

・プラグインハイブリッド車:上限45万円

・燃料電池自動車:上限230万円

・超小型モビリティ;定額25万円(個人)、定額35万円(サービスユース)

下記、条件A又はBを満たす車両の場合は、補助上限額が異なります。

《条件》

A.車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両

B.外部給電器やV2H 充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両

・電気自動車(軽自動車を除く):上限85万円

・軽電気自動車:上限55万円

・プラグインハイブリッド車:上限55万円

・燃料電池自動車:上限255万円

・超小型モビリティ:定額35万円(個人)、定額45万円(サービスユース)

▼補助金について詳しくはこちら

まとめ

今回はカーボンニュートラル実現に向けて自動車産業について書かせていただきました。

2050年に達成という目標があり、リアルタイムで新しい情報が出てくるのが自動車産業となります。

私たちの生活にも密接にかかわってくることなので随時新しい情報を集めていきましょう。

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