企業の食品ロス対策18選-小売・飲食店・食品メーカーの事例も紹介

#企業#食品#食品ロス 2022.11.22

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食品ロスを減らすために、対策を行う企業が増えており、スーパーやコンビニ、飲食店などにおいて多様な取り組みが行われています。

食品ロスを減らすために、企業はどのような対策を取ることができるでしょうか。また、実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか。

この記事では、食品ロスの現状や発生する要因から、企業による食品ロス対策18選を紹介します。さらに、食品ロス削減に向けた5つの事例を解説します。

【この記事で分かること】
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企業による食品ロスの現状と原因

持続可能な社会に向けた意識が高まる近年では、ESG運営など環境と社会に考慮した企業の取り組みが評価されるようになりました。そのため業界によって浮上する様々な環境・社会課題について、企業の視点から行われる取り組みに投資家や顧客また従業員などステークホルダーからの注目が寄せられています。

今回取り上げる「食品ロス」は飲食業界を始めとする多くの企業が扱う課題の一つです。

日本では年間522万トン(令和二年度)もの食品ロスが発生しています。その中でも事業系食品ロスが275万トン、家庭系食品ロスが247万トンと全体のおよそ半数が事業由来の食品ロスとなっていました。

食品を製造し、販売するまでの過程で発生する食品ロスの原因には以下のようなものがあります。

  • 返品
  • 納品期限切れ
  • 過剰在庫
  • 売れ残り
  • 規格外品の撤去
  • 食べ残し

企業の食品ロス対策事例5選

この章では企業による食品ロスの対策事例について紹介します。

フードドライブ|ファミリーマート

ファミリーマートでは2021年4月より「ファミマフードドライブ」を実施しています。

「ファミマフードドライブ」とは、家にある食べきれない食品をファミリーマート店舗で回収し、支援が必要な人へ提供する取り組みです。店舗へ持参し、自治体やNPOを通じて回収された食品は、こども食堂やフードパントリーなどの活動に利用されています。

エシカルプロジェクト|セブンイレブン

セブンイレブンでは2020年5月より「エシカルプロジェクト」を全国で展開しています。

「エシカルプロジェクト」とは、お弁当やおにぎりなど消費期限の近い商品を電子マネーnanacoで購入すると、5%分のポイントが付与される仕組みです。販売期限の迫る商品を売り切ることで食品廃棄物の発生を抑制しており、他にも長鮮度商品の開発や陳列棚の手前から商品を取る「てまえどり」の呼びかけなどが行われています。

賞味期限を1年に延長|サトウ食品

サトウ食品では、2020年8月1日の製造分から無菌化包装米飯製品「サトウのごはん」の賞味期限を1年に延長しました。

さらに賞味期限が1年となったことから、賞味期限の表示を「年月日」から「年月」へ変更し、期限切れによる食品破棄の削減に取り組んでいます。

不揃い商品の販売|成城石井

「社会が抱える課題と向き合い、社会と調和ある持続的な発展を目指します」という宣言のもと、成城石井では複数のSDGs目標の達成につながる取り組みが行われています。

食品ロスへの対策としては、不揃い品の販売が挙げられます。製造の過程で表面にしわができてしまったプリンや形状や色にムラのあるウィンナーなど、見た目が不揃いである商品を低価格で販売することでお得感を出すことでロスを減らしています。(一部店舗限定)

食品廃棄の削減|パルシステム生活協同組合連合会

パルシステム生活協同組合連合会は、資源を有効活用した商品の提供や、生産や流通レベルでの食料廃棄の削減に取り組んでいます。

例えば、規格外のさつまいもを活用して作った加工品や、ブロッコリーの茎を長めに残して廃棄率を下げた商品「茎が長めのブロッコリー」などを開発しました。他にも、出荷日以外に生まれてお客様に届けられない「産直たまご」を、プリンやカステラ、茶碗蒸しなどに有効活用しています。

関連記事:スーパーの食品ロス削減への対策7選-食品ロスの原因や削減事例も解説

食品小売業者ができること7選

グラフを見て議論する人々

この章では食品小売業にできることに注目して紹介します。

商習慣(3分の1ルール)を見直す

3分の1ルールとは、商品の納入期限を製造日から賞味期限までの3分の1以内にするという商習慣です。賞味期限を過ぎた商品が店頭に並ぶことの無いように習慣化したルールですが、この習慣が食品ロスの原因となっています。

鮮度や販売期限の確保が出来るメリットがある一方で、3分の1ルール期間までに納入が出来なければ商品の価値が下がるため返品されてしまいます。3分の1ルールを見直し、緩和することで店頭に並ぶことなく撤去されていた商品を消費に繋げることができます。

小容量(小分け)販売やばら売りをする

家庭系食品ロスの原因として多く取り上げられる「食べ残し」を削減するためには、販売段階での工夫も効果的です。

食べやすい大きさに加工したスイカや1個単位でばら売りされるトマトなど、消費者が食べきりやすい量を販売することで作りすぎ防止に役立ち、家庭での食べ残し削減に貢献できます。

AIの需要予測に基づいて商品を販売する

AIによる需要予測は売れ残りの削減に役立ちます。

天候や曜日などから商品の需要予測を行うことで、在庫管理を効率化できます。事業系食品ロスの原因でもある「需要に見合わない供給」への対策として、AIの需要予測やその他Iotの活躍が期待されています。

季節商品を予約販売にする

季節商品の予約販売も売れ残りによる破棄への対策として有効です。

恵方巻の大量廃棄が問題となった昨今、スーパーマーケットなど小売業では恵方巻やバレンタインのチョコなど、季節商品を予約販売に変更する店舗が増えています。

ロス削減や店内の混雑を緩和する効果がある一方で、予約をしていないと買えないため商品の販売機会を逃してしまうデメリットもあります。

商品を売り切る工夫をする

期限の迫った商品を手の取りやすい位置に陳列するなど、売り切る工夫は破棄削減に繋がります。

販売期限の近い商品を値引きする、また購入した際にポイントを付与するといった「お得感」は購買意欲を上げることができます。他にも値引きが行われている商品を通知する食品ロスアプリの活用や、見た目が悪い商品を訳アリ品として安く販売するなどもあります。

関連記事:食品ロス削減のおすすめアプリ5選-アプリ活用のメリットから特徴を徹底比較

ポスター・ホームページで問題を顧客に周知する

食品ロスを呼びかけるポスターを掲示することでお客様にも直接、食品ロスの問題や取り組みについて呼びかけることもできます。

店舗内で食品ロス削減を意識した啓発ポスターを設置する、ホームページで食品ロス削減へ向けた取り組みを紹介するといった周知活動は、顧客の行動を変えるきっかけになります。あわせて、ばら売り商品や訳アリ商品、期限の近い商品の積極的な購入など様々な工夫とその効果を上げることが期待できます。

規格外食品は食品ロス削減アプリや通販で販売する

規格外食品を、食品ロス削減アプリや通販サイトで販売することも取り組みの一つです。

規格外食品とは、大きさや形状が基準に満たない野菜や、パッケージに傷や汚れがついた商品などです。期限が近づくと店頭から取り除かれてしまうことが多いです。

食品ロス削減アプリを活用することで規格外食品を消費者に繋げることができます。例えばアプリ「tabete」では破棄の危機に瀕している食品をユーザーに「レスキュー依頼」として通知することで、販売に繋げています。

関連記事:食品ロス削減のおすすめアプリ5選-アプリ活用のメリットから特徴を徹底比較

飲食店ができること4選

パンの画像

この章では飲食店にできることを紹介します。

仕入れや調理時に工夫する

調理時になるべく食材を使い切ることで可食部分の廃棄を減らすことができます。

皮を厚く剥き過ぎない、ヘタを切り取り過ぎない。など通常は破棄されている野菜の端材を利用することにより食品の破棄が減少します。また食べ放題等では顧客の数や時間帯を考慮した量を意識することで、ロス削減に併せ過剰在庫の削減も見込めます。

消費者への食べ切りを促進する

「食べ残し」は店舗における食品ロスの約8割を占めます。

料理を小皿に分ける、注文時にご飯の量を調整できる、完食できた子ども達に賞状をプレゼントする等の取り組みを通して「食べきり」を促進することは食べ残しによる食品ロスに効果的です。また食べきりの工夫として食べ残した料理を持ち帰るというものもあります。

自治体と連携して取り組みを行う

食品ロス削減に取り組む飲食店を登録し、ウェブサイトにまとめることで飲食店を支援する自治体があります。

例えば、横浜市が運営するウェブサイト「横浜市 食べきり協力店」では、食べ残し削減を目指す店舗を募集し、「食べきり協力店」として登録することでウェブサイトから店舗を検索することができます。以下の取り組み項目から1つ以上を実施する店舗が登録されています。

  • 小盛りメニュー等の導入
  • 食べ残しを減らすための呼びかけ実施
  • 持ち帰り希望者への対応
  • ポスター等の掲示による、食べ残し削減に向けた啓発活動の実施
  • 上記以外の食べ残しを減らす工夫

余った食品はフードバンクへ寄付をする

余った食品を「フードバンク」へ寄付することで、食品を必要としている人の元へ提供することができます。

フードバンクとは、企業や農家などから規格外や損傷などの理由で販売できなくなった食品を集め、必要としている人や施設等に無償で提供する取り組みです。飲食店で残された食材をフードバンクへ寄付することで、食品ロスが削減できます。

食品メーカーができること3選

工場を見つめる人々

最後に食品メーカーでできることを紹介します。

AIの活用を活用し、製造時等のロスを減らす

AIを活用することで食材を最大限使用できるようになります。

ニチレイフーズではAIを活用したX線検査を行っています。AI技術を取り入れたソフトウェアでは食材の重なりを考慮したX線検査が可能になり、鶏唐揚げへの軟骨の混入検知が行えるようになりました。AIを活用した判定精度の向上は食品廃棄量の削減だけでなく、破棄コストの削減にも繋がります。

容器包装を工夫し、賞味期限を延長する

食品メーカーでは容器や包装の工夫による賞味期限の延長が行われています。

容器包装の例としては、醤油ボトルの二重構造があります。中身が空気に触れないようにすることで開封後の劣化を抑制し、賞味期限を延長させることが出来るほか、押し加減により少量から多量まで中身を注ぎ出すことができます。このような容器包装の技術が、食品を美味しく頂ける期限を伸ばしています。

個包装で食べ残しを防止する

一食分の食事を意識した商品では、食べ残しを防止しています。

個包装を行うことで1度に食べる量を明確化することができ、また必要な分のみの取り出しを可能にしています。このことから、個包装では家での食べ残しや作りすぎといった食品ロスの発生を防止することができます。

まとめ

今回は、企業による食品ロスの対策について紹介しました。

小売業では商習慣の見直しや予約販売といった届けるまでの取り組みを中心に行っています。飲食店では、食べきりやフードバンクなど食べ残し削減に向けた取り組みが多く、食品メーカーでは、商品の包装やAI技術の活用といった技術的な取り組みが多く見られました。

企業による食品ロス対策は、その企業が担当する工程での課題を取り上げたものと言えます。今回紹介した企業以外にも多くの取り組み事例がありますので、参考記事や関連するキーワードから調べてみてください。

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