SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の達成のため、どのような取り組みが行われているか、みなさんはご存じでしょうか。現在、多くの子どもたちが教育を受けることができるようになっていますが、いまだ十分ではありません。すべての子どもが質の高い教育を受けることができるよう、日本や世界各国でさまざまな取り組みが行われています。
今回は、SDGs目標4の現状や課題、日本と世界で行われている取り組みについて解説していきます。
また、個人でもできるSDGs目標4の取り組みについても取り上げます。
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SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは
SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」では、「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」をテーマに、10個のターゲットが設けられています。
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SDGs目標4の現状
現在の日本では小学校から中学校の9年間が義務教育となっているため、すべての子供が教育を受ける権利を持っています。また、国公私立に関わらず高等学校や大学の学費を支援する取り組みも行っています。しかし、いじめによる不登校の生徒が多いなどの問題が存在します。
また、ユニセフの活動や、様々な国からの支援により、年々学校に通えるようになった子供は増えてきています。しかし、コンゴやカメルーンなどの発展途上国では、教育の場が整っていなかったり、教師が不足しているなどの理由により識字率が低い状況となっています。
ただ子どもたちが学校に行けるようにするのではなく、学ぶ環境を整え、「質」の高い教育を行う必要があります。
質の高い教育が必要な理由
教育に関する課題を解決することで得られるメリット
「質」の高い教育は必要最低限の生活を営む上で必要なことです。十分な教育を受けずにいると、文字の読み書きができず、知識を得ることも出来なくなってしまいます。これにより、自分の興味があったり、安定した仕事に就くことが難しくなってしまいます。そして、十分な収入も得られなくなってしまいます。
また、収入が少ないことにより食べ物を買うことができなくなったり、衣食住が整わなくなります。さらに、経済的に苦しいという理由から自分の子どもも学校に行けなくなってしまいます。
このように、教育が受けられないことで悪循環が続いてしまいます。そうならないために、子どもへの「質」の高い教育は必要不可欠となります。
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課題解決のために企業にできること
現在、SDGsは世界各国で注目されており、企業がSDGsに取り組むことは企業価値の向上や企業の長期的な発展につながります。
子どもたちが「質」の高い教育を受けることができるように、勉強の場を設けたり、教育イベントを開催するなどさまざまな取り組みがあります。
また、企業がSDGs目標達成に取り組むことは企業のイメージアップや、社会貢献につながります。企業の事業を通じてSDGs4に貢献してみませんか。
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SDGs目標4の 世界の取り組み事例5選
STEM教育|科学・技術・工学・数学の教育に力を入れる
「STEM教育」とはアメリカで行われている科学・技術・工学・数学の教育に力を入れることで、科学技術開発の競争力を向上させる教育です。また、自主的に学ぶ姿勢を養うことも重要視されており、義務教育の中に「ハンズオン(実習や実験といった体験を通して学習する方式)」が組み込まれています。
アメリカでは5歳から義務教育が定められています。幼い子どもは何事も吸収することができる時期であるため、授業の中で世界のさまざまな問題を取り上げています。
また、子どもの創造力の向上や、多様性を尊重させるため、芸術・音楽・歴史についても積極的に学習しています。
Mooky Skills|一人ひとりにあった学習を推奨
「Mooky Skills」とは2015年に創業したフランスの企業のことです。この企業は、教育を与える側と受ける側のあり方を再構築し、オンライン教育を行っています。
まず、受講者に試験を受けてもらい、個人の性格や成績によって個人に合った学習方法を推奨します。こうすることで、教育を与える側が一人ひとりのことを理解し、その人に合った勉強方法で教育することができます。
UNLEASH lab|世界に現存する問題を解決する方法の模索
「UNLEASH lab」とは飢餓や貧困、環境破壊といったさまざまな問題を解決するための方法を生み出す、デンマーク発祥のイノベーションラボのことです。
このラボでは世界各国の若者を募集し、数日間のあいだチームごとにSDGs達成のためにどのように世界の課題を改善していくか、話し合いを行います。
さらに、話し合いだけで終わらせるのではなく、街にでて実際に自分で社会問題に触れることで視野を広げるような取り組みも行っています。
プログラミングの義務教育化|プログラミングを通して論理的思考力を向上
フィンランドでは2016年の8月から義務教育の中にプログラミング教育も含まれるようになりました。
小学1~2年生では論理的な思考を、3~6年生では「scratch(ブロックをつなげていくだけでプログラミングができる言語)」を用いてプログラミングを学び、7~9年生ではプログラミング言語について学習します。
小さなころからコンピュータに慣れ親しむことで、子どもたちが大人になり、情報技術の変化が激しい現代社会を生き抜く力を身につけることができます。また、プログラミングを学ぶことで課題解決に向け、試行錯誤を繰り返しながら解決策を見出す論理的思考力も身につきます。
国民学校法の改正|個性を尊重した教育制度
デンマークの義務教育は10年間の小中一貫教育となっています。しかし、法律改定後は生徒一人ひとりを尊重し、幼稚園教諭や保護者がまだ子どもの成長が追いついていないと判断した場合、小学校への入学を1年遅らせることができるようになりました。遅らせるだけでなく、1年早く子どもを入学させることも可能です。
また、デンマークでは「個性を伸ばす教育」、「自ら考える教育」を重視しています。そのため、音楽や芸術などの専門分野を伸ばしながら共同生活により自主性を育てる全寮制フリースクール「エフタースコーレ」や、高校中退者や希望する大学に入学できなかった人のための「HF(Hoejere Forberedelseksamen)」と呼ばれる高等教育準備試験コースがあります。
SDGs目標4の 日本企業の取り組み事例5選
日清食品ホールディングス|国連WFPやベルマーク教育助成財団への寄付活動
日清食品ホールディングスでは「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」という考えのもと、持続可能な環境・社会づくりを目指しています。
SDGs達成へ貢献するため、日清食品ホールディングスの製品の売り上げの一部を国連WFPやベルマーク教育助成財団に寄付をしています。特にベルマーク教育助成財団は「すべての子どもに等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせる」ことを目指してお絵描き教室や理科実験教室の開催などさまざまな取り組みを行っています。
カワイ株式会社|地域社会の活性化を支援
カワイ株式会社は若狭塗り箸の製造・販売を行っている企業です。若狭塗り箸は福井県小浜市の産地であり、日本の伝統工芸品の1つです。海底を表現した模様が生み出す輝きから「宝石塗」とも呼ばれています。
若狭塗りは漆を数十回塗り重ね、石や炭を使って漆を研いでいるため、熱や水による変化が少なく、長く使うことができます。
カワイ株式会社は伝統工芸品を多くの人に伝えるため、小浜市の小学校で箸づくりの授業を行っています。
三井住友信託銀行|各支店による活動
三井住友信託銀行では2019年8月より、各地域へSDGsを浸透させ地域の活性化につなげるため、全国の支店がSDGs貢献に取り組んでいます。それぞれの支店がSDGs目標17と達成したいSDGsの目標を設定し、2つの目標達成に向けて活動を行います。
三井住友信託銀行豊橋支店では近隣の小中学校へ金融教育活動を行っており、明石支店では情報提供を目的としたセミナー・ロビー展を開催し、「生涯教育」に貢献しています。
三井住友信託銀行の支店ではSDGs目標4に限らず、他の目標にも取り組んでいるため、一度調べてみてはいかがでしょうか。
ファーストリテイリング|地域で行う店舗イベントや職場体験
ファーストリテイリングが運営する「ジーユー・ユニクロ」では全国の店舗で子どもたちの
職場体験を通年受け入れています。こどもたちに店舗業務を体験してもらい、体験を通じて仕事の意義や社会の一員としての自立心の学習をしてもらいます。
さらに、ファーストリテイリングはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とともに「届けよう、服のチカラプロジェクト」に取り組んでいます。このプログラムでは小学生から高校生までを対象とし、社員による授業を受けた後、子どもたちが主体となって校内や地域で着なくなった服を回収するプログラムです。回収された服は難民などの服を必要とする人々に届けられます。
大和ハウス工業株式会社|小さい子にもわかるSDGsの学習
大和ハウス工業株式会社では13個の目標達成に向けて活動を行っています。SDGs目標4では「暮らしと住まい」をテーマに、小さい子も学習できる「おうさまとおうち」というプログラムを行っています。このプログラムでは感受性の高い幼少期から自然や環境に触れ、自然とともに暮らすことの豊かさを学びます。
紙芝居を用いることで、子どもが慣れ親しんでいる絵本のようにわかりやすい内容となり、子どもたちの理解につながります。その後、親子で紙芝居に出てきたおうちをつくることでモノをつくることの楽しさや、工夫することの大切さを学びます。
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個人でも出来るSDGs目標4の取り組み3選
世界の現状について理解
たとえ子どもたちが学校に通える環境であっても、いじめによる不登校生の増加など問題は多く存在します。このような問題を解決するために、まずは現状を理解する必要があります。
現代の日本ではインターネットが普及し、本や映画などの娯楽から簡単に情報収集をすることができます。まずは世界の現状について調べてみましょう。
寄付活動への参加
私たちができる身近なこととして寄付活動が挙げられます。UNICEFではすべての子どもの命と権利を守るため、最も支援の届きにくい子どもたちを優先的に支援しています。
保険、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護などさまざまな分野で支援活動を行っています。100円寄付するだけでビタミンやミネラルが含まれた微量栄養素パウダーを30袋買うことができ、子どもの健康につながります。寄付金でどのような支援物資が調達できるか公式サイトで紹介されているため、目を通してみてはいかがでしょうか。
UNICEF公式サイト:unicef.or.jp/cooperate/coop_support.html
ボランティア活動への参加
ボランティア活動に参加することもSDGsに貢献する行動のうちの1つです。企業が運営するプロジェクトに参加したり、インターネットで調べて参加することもできます。
SDGsのボランティアを募集しているボランティア情報サイト「activo」では多くのボランティア活動を取り扱っています。日本のみにとどめるのではなく、海外の人と一緒に行う活動もあるため、自分が興味のあるボランティアに参加することができます。皆さんも一度調べてみませんか。
activo公式サイト:https://activo.jp/kw/SDGs
▼個人でできるSDGsについて詳しくはこちら
まとめ
いかがでしたか。世界では近年、学校に通える子どもが増えているものの、教育環境が整っていない国もあります。これらの問題を解決するため、多くの企業が教育の場をつくり出しています。一人でも多くの子どもが学べる環境づくりを目指して、寄付活動やボランティア活動にとりくんでみてはいかがでしょうか。
SDGsCONNECT SEOライター。大学では文学を通じて、ジェンダーについて学んでいます。SDGsについて詳しくない人にとってもわかりやすく、かつ情報が正確な記事を書けるよう、心がけています。