LGBTと法律-日本の現状や海外の法律例、LGBTの悩みも紹介

#LGBT#LGBTQ#ジェンダー 2023.05.16

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法律がLGBT当事者を救うことはできるのでしょうか。

日本で生活するLGBTが「暮らしにくい」と感じる理由の1つに法整備の不十分さがあげられます。一方で海外ではLGBTに関する法律が次々と施行されているのです。日本は海外から学ばなくてはなりません。

今回はLGBT法について日本の現状やその意義を紹介するとともに、海外での事例やLGBTの方の悩みも紹介します。

【この記事でわかること】

LGBTとは-簡単に説明

LGBTとは性的マイノリティの総称です。
LGBTが表す性的マイノリティはレズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の4つです。

レズビアン(Lesbian)
レズビアンとは、恋愛感情や性的指向が女性であり、性自認が女性である人を表します。日本語では女性同性愛者とも表現します。
ゲイ(Gay)
ゲイとは、恋愛感情や性的指向が男性であり、性自認が男性である人を表します。日本語では男性同性愛者とも表現します。
「ゲイ」は過去に「ホモ」と表現される事がありました。しかし、「ホモ」は差別的用語として使われる場合が多かったため、現在では「ゲイ」と表現されています。
バイセクシュアル(Bisexual)
バイセクシュアルとは、恋愛対象が男性にも女性にも向いている人を表します。
両性愛者とも表現します。バイセクシャルの特徴は、男性性、女性性の両方の魅力に惹かれると言う点です。例を紹介すると、「男性らしい筋肉質な肉体」に惹かれると共に「女性らしい柔らかな曲線」に惹かれるということになります。
トランスジェンダー(Transgender)
トランスジェンダーとは、心とからだの性が一致しない人を表します。からだの性と心の性に違和感を感じる人や、心の性を自分の性として生きていきたいと望む人がいます。
トランスジェンダーは性同一性障害と間違われる場合があります。トランスジェンダーと性同一性障害についての違いについては下記の記事で解説しております。ぜひご覧ください。
▼トランスジェンダーと性同一性障害についての違いについて
LGBTQQIAAPPO2Sとは-性別診断サイト、相談窓口、私たちにできることも紹介
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ALLY(アライ)とは?-LGBTを理解・支援するALLYにできることや活動事例を紹介

 

LGBTの悩み3選-日本の問題点

日本では10人に1人がLGBT当事者だと言われています。しかし、日本ではLGBT平等法という法律が整備されていません。そのため日本に住むLGBT当事者は悩みを抱えてしまうことが多くあります。

ここではLGBT当事者の悩みの具体例を3つ紹介します。

▼参考
LGBT平等法とは – EqualityActJapan

LGBTを理由に不当に解雇される

LGBTを理由に不当に解雇される当事者もいます。

LGBTの当事者はさまざまなハラスメントを受ける場合があります。2016年の日本労働組合総連合会での調査では、解雇のみならず、不当な左遷や異動を含めると4割もの当事者の方が「差別的な扱いを受けた」と回答しています。

しかし、「職場全体でLGBT当事者の方が働きやすい環境づくり」や、「LGBTについて会社の規定に記載する」ことで不当な解雇や働きづらい環境を阻止する事ができます。当事者の方を支えるためにも「自らが第一歩となり職場での言動に気をつけること」や「当事者で悩んでいる人がいれば相談に乗る」などの行動を起こす事が大切です。

▼関連記事
LGBTへのハラスメントとは-SOGIハラスメントの例や法律を解説

▼参考
性的指向および性自認を理由䛸するわたしたちが社会䛷直面する困難䛾リスト(第3版)

結婚できない

日本では同性婚が認められていません。

当事者の方は同性婚が認められていないことで悩みを抱えてしまいます。
実際にあった例として、「法律婚で認められておらず、所得税の配偶者控除を受けることができない」「病院で家族と認められずパートナーの症状について説明を受けられない」といった不適切な対応を取られています。

ただし、地方自治体では同性パートナーシップが認められています。
同性パートナーシップとは、同性どうしの婚姻が日本では認められていないものの、自治体が独自でLGBTのカップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、さまざまなサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。

2015年から東京都の渋谷区と世田谷区で同性パートナーシップ制度が施行されました。2023年現在では300近くの自治体でパートナーシップ制度が施行されています。同性パートナーシップの交付件数は2022年の時点で4186組となっており、パートナーシップ制度の普及は年々広がっています。

▼関連記事
LGBTの人が困ること14選-現状から解決策まで徹底解説

就職での悩み

LGBT当事者の方は就職の際にも悩みが生じます。
具体例としては

  1. 履歴書の性別欄
  2. スーツの着用
  3. 職場環境への心配

が挙げられます。

1.履歴書の性別欄

多くの履歴書の性別欄は「男・女」の2択であり、LGBT当事者は履歴書作成時に「自分にあった性別を選べない」という悩みがあります。

しかし、最近では性別欄が削除された履歴書も作られています。実際に厚生労働省が発行している履歴書様式例にも性別を自由に選択する事ができるように記入式で作成されています。

2.スーツの着用

LGBT当事者の方は就活の際に、スーツの着用で悩まされてしまう場合もあります。
具体例を以下に紹介します。

  • トランスジェンダーの場合、生まれた性別に合ったスーツではなく、自分の性自認に合ったスーツを着用したいと考える場合がある
  • 性的指向によっては、一般的な男性用や女性用のスーツの着用によって、自分自身のアイデンティティを表現できないと感じる場合がある

しかし、就活の際に私服可の企業もあります。私服可としている企業は現代のLGBT問題やジェンダー問題に対しての配慮がなされています。

▼関連記事
LGBTとダイバーシティ-定義や種類、注目されている理由も紹介

3.職場環境への心配

LGBT当事者の方は職場環境への心配をしています。具体的には、「自分らしく働けない」「悩み事を相談しにくい」「偏見を持たれてしまうのではないか」などの悩みが生じています。

▼関連記事
LGBTが職場で困ること6選-就職活動での悩みや企業の対策事例も紹介

日本が取り入れるべきLGBT法

G7の日本以外の国では、LGBTに関する差別を禁止する法律が整備されています。また、性的指向による雇用差別を禁止している国の数はEU加盟国を中心に2019年時点で80ヵ国にも及んでいます。LGBTに関する差別を法律で禁止し、ひとりひとりの尊厳や平等を守るために「LGBT平等法」は国際的にも普及しているのです。

一方で日本では同性婚やパートナーシップなどLGBTに関することがが法律で認められていないのが現状です。

性的少数者は社会での差別や偏見に悩まされており、「一般的」や「常識」を押し付けられた際に生きづらいと感じる場合があります。

ここでは日本で採用されるべきLGBT法や政府の取り組みについて紹介します。

日本で必要とされているLGBT法1-LGBT平等法

法の天秤について

LGBT平等法では「LGBT当事者に対する差別を減らすこと」「LGBT当事者を法律で守ること」を目的としています。LGBT当事者もLGBT当事者でない人も平等に扱うことを法律で定めます。

10代のLGBT当事者の約半数が学校でいじめ被害を経験しているというデータがあり、LGBT平等法が施行された場合、社会や学校、職場環境などの改善によりいじめや偏見等が減っていきます。

▼参考
LGBT平等法とは – EqualityActJapan

日本で必要とされているLGBT法2-LGBT理解増進法

LGBT理解増進法では「LGBT当事者を社会的に受け入れ、認めること」を目的としています。LGBT理解増進法は「性的指向及び性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」や「LGBT推進法」と呼ばれる場合もあります。

この法律は差別禁止が目的ではなく、LGBTに関する基礎知識を全国に広げることで国民全体の理解を促す法案です。

しかし、LGBT理解増進法には問題もあります。この法律は、差別に対応したLGBT法ではないため、差別や偏見に苦しんでいる当事者の親族からは「差別に対応している法案を求めている」との声も上がっています。

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法務省の人権擁護機関による取組内容

法務省の人権擁護機関では、性的マイノリティをテーマとした啓発動画が配信されています。こうした人権啓発運動の動画を拡散することで、LGBTへの認知や理解を得る事ができます。

また、全国の法務局では面接や電話による人権相談が行われています。人権侵害の疑いがある事案を発見した場合は調査を行い、事案に応じた措置をしています。

▼参考
行政と自治体の違い

性的マイノリティに関する偏見や差別をなくしましょう

LGBT法の意義

LGBT法の意義は「LGBT当事者が当事者でない人と平等な生活を送る事ができる社会」を目指しています。

ここでは、LGBT法について、社会への影響や現行法を改正するための方法を紹介します。

LGBT法による社会への影響

現在、日本ではLGBT法の整備が不十分です。しかし、日本国憲法 第14条1項では
「すべて国民は、法のもとに平等にあつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
という文言があります。

日本国憲法14条1項に性的指向を追加する事ができればLGBT当事者が差別や偏見に苦しむ事がなくなるのです。つまり、LGBT法の施行が全ての国民に社会的平等をもたらします。

また、社会的な意見では「法の下の平等として扱うべき」という声が上がっているのに対して、日本の戸籍法では男女間の結婚しか認められていません。国民の意見を反映させるためにLGBT法の施行は不可欠なのです。

▼関連記事
LGBTプライド月間とは?-詳細と私たちに出来ることまで解説 | SDGs CONNECT

現行法を改正するには?

ここでは現行法を改正することについて考えていきます。

例として上記でも解説した、戸籍法を改正するための方法を紹介します。
現行法を改正するための方法としては大きく「社会的な意識改革」「議論の促進」の2つが挙げられます。

「社会的な意識改革」の取り組みには、学生に対して「同性愛や性的マイノリティに対する理解を深める教育」、社会人に対して「同性愛や性的マイノリティに関する社内研修」が挙げられます。これらを行うことで、LGBTに対する差別や偏見を根本から改善することができます。

「議論の促進」では、政府や法律家、LGBT当事者や一般市民を含めた「多様な人々が参加した議論の場を設けること」が必要とされています。LGBT法における法制度の改正はさまざまな立場や意見があるため、「それぞれが他者の意見を理解すること」が大切です。

▼関連記事
LGBTビジネスの現状と課題

海外のLGBT法3選

海外ではLGBT法に関する取り組みが活発であり、他者の意見を理解し取り入れています。海外のLGBT法の取り組みとして、同性婚法、差別禁止法、トランスジェンダー関連法が挙げられます。

ここでは海外のLGBT法について3つ紹介します。

▼参考
世界のLGBTQ関連の法整備について知ろう!

オランダ-婚姻解放法

オランダの「婚姻解放法」は2001年に同性婚に関する民法を改正する法律として施行されました。
同性婚法に関する法律の中では先駆的に施行された法律です。

オランダ語での法律名は「Wet Openstelling Huwelijk」です。「Wet Openstelling Huwelijk」を日本語訳すると、結婚のオープニングアクトと表現します。

オープニングアクト
オープニングアクトとは、コンサートの前座や前座を努める人々を表します。オープニングアクトは「これから始まるイベントを盛り上げる」という役割があり、知名度や話題作りの意味も込められています。

▼関連記事
海外のLGBT教育5選-フィンランド・スウェーデン他、日本との比較も紹介

ニュージーランド-人権法

ニュージーランドの「人権法」は1993年に差別を禁止する法律として施行されました。
差別禁止法として、以下を理由に差別することを禁止しました。

  1. 性別
  2. 婚姻形態
  3. 宗教
  4. 肌の色
  5. 人種
  6. 出身地
  7. 障害や疾患
  8. 年齢
  9. 政治的見解
  10. 雇用状態
  11. 家族携帯
  12. 性的指向

性的指向に関しての文言がしっかりと記載されており、多様な人々を認めている法律です。雇用機会の均等や教育の保障、さまざまなハラスメント行為の禁止が法律で定められています。

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日本のLGBTの現状-教育や仕事など分野別に課題を紹介 | SDGs CONNECT

アイルランド-性別認定法2015

アイルランドの「性別認定法2015」はトランスジェンダー関連法として施行された法律です。

トランスジェンダー関連法は、トランスジェンダーの人々が自分の性自認に法律上の変更を望む場合に、性別変更の認定を受ける事ができるようにすることを目的とした法律です。

「性別認定法2015」は国民投票で決定された法律で、有権者の票は、賛成62.1%、反対37.9%でした。「平等な婚姻にYESを!」というスローガンの元に集まった人々が認知の拡散や法律の改正に関する活動を行い、憲法改正を可能にしました。

▼参考
アイルランド:同性婚に歴史的”YES” 国民投票で初 : アムネスティ日本 AMNESTY

LGBT法連合会-LGBT差別禁止法を日本にも

日本ではLGBT差別禁止法の施行を求める「LGBT法連合会」という活動団体があります。LGBT連合会では、LGBT差別禁止法の施行を求めて活動をしています。

ここでは、LGBT法連合会の活動内容について紹介します。

声明活動

LGBT法連合会では、事例や専門家の見解を解析し、LGBT政策の問題点についての声明活動をおこなっています。

具体的には「トランスジェンダー女性に対して危険視やデマの拡散をしていること」、「生活指導提要の公表」に対する問題の改善点を挙げています。

LGBT法連合会には専門家(弁護士、研究者)が所属しており、行政等との連携を活かした評価をする事ができます。社会的な問題についても触れており、時事問題も取り上げています。

▼LGBT法連合会の声明活動はこちらから
【声明】トランスジェンダー女性に対するデマへの毅然とした対応についての声明 | ニュース | LGBT法連合会

【声明】『生徒指導提要』改訂版の公表に対する声明 | ニュース | LGBT法連合会

LGBT困難リストの作成

LGBT法連合会ではLGBT当事者の方が社会で直面している悩みについて354つの事例をリスト化しています。

このリストでは、具体的な場面や発言を挙げており、学校や職場、福祉などの場面を例に挙げています。

LGBT当事者の方が直面している悩みを、想像しやすい形でリスト化することで、LGBTについてよくわからない人からも認知や理解を得る事ができます。

▼LGBT困難リストはこちらから
困難リスト第3版(20190304).pdf

LGBTに関する法律相談

LGBT当事者が差別や偏見による誹謗中傷などを受ける場合があります。
誹謗中傷などの被害に遭っている場合は、LGBTに関する法律相談サイトがあります。

法律相談では、「同性カップルに対する誹謗中傷」「学校でのLGBT当事者に対するいじめ」の相談が寄せられています。
お悩みの際はひとりで抱え込まず、法律相談を検討してみてはいかがでしょうか。

▼LGBTに関する法律相談サイトはこちらから
LGBTQ相談先リスト | 認定NPO法人 虹色ダイバーシティ

▼参考記事
LGBTに対する取り組み事例15選-企業・学校・自治体の取り組みを紹介 | SDGs CONNECT

まとめ

LGBTと法律について新しく知ったことはありましたでしょうか?

日本でLGBT法を施行するためには、社会的意識から変えていく事が重要です。

LGBTの社会的立場を考えることで、当事者の方が過ごしやすくなるだけでなく、LGBT法の施行につながります。

まずは、普段からLGBT当事者に配慮した言動や行動を心がけるところから始めていきましょう。

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