日本と世界のカーボンニュートラル政策-2050年カーボンニュートラルも解説

##持続可能##気候変動#カーボンニュートラル#パリ協定 2023.03.16

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カーボンニュートラル達成のための政策をご存知でしょうか。

現在124か国が2050年カーボンニュートラルを表明しており、目標達成のために様々な政策が行われています。

今回は日本と世界各国のカーボンニュートラル政策の紹介から2050年カーボンニュートラルについても解説します。

【この記事でわかること】

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることです。つまり、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を意味します。

実質ゼロとは具体的に、人間が排出したCO2を含む温室効果ガス排出量と植物が吸収した温室効果ガス量が、プラスマイナスゼロになることを指します。

カーボンニュートラルへの取り組みは温室効果ガスの削減だけではありません。削減しきれなかった温室効果ガスを植物に吸収してもらうために、森林保全や植林活動を行うのもカーボンニュートラルへの大事な取り組みの1つです。

国民ひとりひとりの衣食住や移動といったライフスタイルに起因する温室効果ガスが、日本全体の排出量の約6割を占めるという分析もあります。

カーボンニュートラルは国や自治体、企業だけの問題ではなく、すべての人が意識して取り組む必要があります。

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カーボンニュートラルとは?脱炭素との違いや取り組み内容をわかりやすく解説

2050年カーボンニュートラルとは

2050年かーボンニュートラルとは、気候変動防止に必要な1.5度目標を達成するために生まれた考え方です。2015年に開催された「パリ協定」では以下の目標が設定されています。

  • 平均気温上昇を産業革命以前に比べ、「2℃より十分低く保つ」(2℃目標)、「1.5℃に抑える努力を追求」(努力目標)
  • このため、「早期に温室効果ガス排出量をピークアウト」+「今世紀後半のカーボンニュートラルの実現」

またパリ協定の目標に加えて、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「IPCC1.5度特別報告書」では、「1.5度努力目標を達成するためには、2050年近辺までのカーボンニュートラルが必要」と報告しています。

パリ協定
2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)のこと

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日本のカーボンニュートラル政策2選

菅前内閣総理大臣は2020年10月の所信表明演説において、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

加えて2021年4月、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに50%の高みに向けて、挑戦を続けていく。」ことを表明しました。

さらに岸田政権が掲げる「新しい資本主義」では、カーボンニュートラルが経済成長のカギと位置づけられています。また岸田首相は官民のグリーン投資を「少なくとも倍増させ、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていく」と宣言しました。

2050カーボンニュートラル実現のためには政府が大胆な政策を掲げ、社会を牽引して行く必要があります。以下に日本のカーボンニュートラル政策をまとめました。

  • 革命的なイノベーションの推進
  • エネルギー政策の推進
  • グリーン成長戦略の実行計画
  • グリーン成長に関する情報公開
  • 脱炭素ライフスタイルへの転換
  • 新たな地域の想像
  • サステナブルファイナンス(ESG)の推進
  • 食品ロスの削減
  • 2027年国際園芸博覧会

今回はこの中から2つを詳しく解説します。

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▼参考
グリーン社会の実現 | 首相官邸ホームページ

1.革命的なイノベーションの推進-グリーンイノベーション基金の創設

2050年カーボンニュートラルの実現には、これまで以上に野心的なイノベーションへの挑戦が必要です。

そのためNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に2兆円の「グリーンイノベーション」基金を創設しました。この基金で企業を今後10年間支援していきます。この2兆円の基金を呼び水として、約15兆円とも想定される、民間企業の野心的なイノベーション投資を引き出すことが狙いです。

グリーンイノベーション基金のプロジェクトは「洋上風力発電の低コスト化」、「次世代太陽光電池の開発」を含む19個に及んでいます。

▼グリーンイノベーション基金事業で組成するプロジェクト一覧はこちら
グリーンイノベーション基金 (METI/経済産業省)

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カーボンニュートラル達成に向けた政府の取り組み-目標や宣言も紹介

2.脱炭素ライフスタイルへの転換-脱炭素de豊かな暮らし運動

環境省は、かつての「クールビズ」での成功体験を踏まえ、新たな取り組みである「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動(脱炭素de豊かな暮らし運動)」を開始しました。

この運動では、脱炭素につながる将来の豊かな暮らしの全体像・絵姿を紹介するとともに、国・自治体・企業・団体等で共に、国民・消費者の新しい暮らしを後押しします。

現在は、国民の9割が脱炭素という用語を認知している一方、そのために何をしたらよいか分からないなど、具体的な行動に結びついているとは言えない状況にあります。脱炭素de豊かな暮らし運動はそういった背景のもとに生まれました。

「新しい豊かな暮らし」に向けた個別アクション第一弾では、「ファッション」、「住まい」、「デジタルワーク」で、新しい豊かな暮らしを提案しています。

▼「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」について詳しくはこちら
脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動 – 環境省

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カーボンニュートラルへ向けてできること6選-私たちが取り組むべき理由を解説

世界のカーボンニュートラル政策3選

1.アメリカ-バイデン政権は就任初日にパリ協定に復帰

米国ではトランプ政権時にパリ協定から脱退するなど、カーボンニュートラルへの取り組みから遠のいていましたが、現在は、バイデン政権は就任初日にパリ協定に復帰するなどカーボンニュートラルに積極的です。バイデン大統領は、「気候変動対策」を「コロナ対策」、「経済回復」、「人種平等」と並ぶ最重要課題の1つとして掲げています。

また、バイデン大統領は「2035年の電力脱炭素の達成」、「2050年以前のネット排出ゼロ」や、「クリーンエネルギー等のインフラに2.2兆ドル投資する計画」を発表しました。

さらに2021年4月に開催された気候サミットでは、「気候変動への取り組みは若者の将来のため。クリーンエネルギーを含む気候変動対応には雇用効果がある。クリーン化のための投資が、米国のこの10年間の終わりまでの排出半減を可能とし、2050年までのネットゼロを実現する。」と発言しました。

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2.EU-2030年までに排出レベルを1990年の水準から55%下げる

EUは、共通の目標として2050年までにカーボンニュートラルの達成を掲げています。「Fit for 55」は2050カーボンニュートラルへの具体的な計画であり、2030年までに排出レベルを1990年の水準から55%下げることを目的としています。

主要な計画を以下にまとめました。

  • 自動車の排出量制限を強化する。これにより、2035年までにガソリン・ディーゼル車の新車販売は実質的に禁止される見込み
  • 航空燃料に課税するとともに、低炭素の代替燃料を使用した場合には10年間の免税措置を実施
  • EU域外からの鉄鋼やコンクリートなどの輸入について、いわゆる「国境炭素税」の導入
  • EU域内の再生可能エネルギーの拡大目標の強化
  • エネルギー効率の悪い建物の改修を迅速化するよう、加盟各国に要求

またフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、同じく2021年の気候サミットで、
「55%以上の排出削減を行う。欧州復興計画(約1.8兆ユーロ)の30%を気候対策に充てる。」と発言しました。

3.中国-カーボンニュートラル達成は2060年まで

世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、2020年時点で世界全体の排出量の約31%を占めています。

中国では、2021年3月に全国人民代表大会としては初めてカーボンニュートラルの目標を中国経済及び社会発展の5ヶ年計画に盛り込み、国家戦略の重要な目標としました。具体的には、生産エネルギーの国内総消費量を13.5%削減、二酸化炭素排出量を18%削減するという2030年までのカーボンピークアウト政策を制定しています。

習近平国家主席は同じく2021年の気候サミットにて、「2030年までに炭素のピークを達成し、2060年までにカーボンニュートラルを達成するよう努力する。石炭火力は14次5か年計画で厳しく制限することとし、15次5か年計画で減らしていくこととする。」と発言しました。

まとめ

今回は、日本のカーボンニュートラル政策の具体例と世界のカーボンニュートラル政策を簡単に紹介しました。

2050年カーボンニュートラルを達成するには、国家が企業や個人をリードする必要があります。そして政策のもとに私たちが行動を起こさなければなりません。

早速、環境省の「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」を訪れてカーボンニュートラルに貢献してみてください。

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