【更新日:2022年7月23日 by 大川 智也】
「SDGs 」という言葉を聞いたことがあっても、具体的に「SDGs 」がなぜ策定されたのか、その目的を知らない方も多いですよね。
「SDGsはなんのためにつくられたのか」「なぜ、最近企業がSDGsに関心を向けているのか」、SDGsの目的に疑問をもつ人が多くなっています。
この記事ではSDGsが策定された目的から企業や個人がなぜSDGsに取り組むのかまで解説します。
さらに、SDGsの目的をどのように達成していくのか具体的な手段についても一緒に見ていきましょう。
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SDGsが策定された3つの目的とは
SDGsが策定された目的
SDGsの目的は簡単にいうと、世界規模の課題を解決し、持続可能な社会をつくることです。
持続可能な社会とは、将来、長期的に渡って、維持・保全され、発展できる社会を指します。
現在、世界では多くの課題が山積しています。それは地球温暖化などの環境問題だけではなく、貧困格差の問題や、エネルギーの問題など多岐に渡ります。このままの状態で地球環境や社会を放置すれば、ゆくゆくは人間が住むことができない環境や社会になってしまうでしょう。
だからこそ、SDGsの目的は、世界規模の課題を解決し持続可能な社会をつくることなのです。
ここからは、SDGsが作成された目的をさらに具体的に3つに分けて解説します。
目的①:地球温暖化などの世界規模の課題を解決するため
現在、世界規模の課題が山積しています。代表的な課題となるのが、地球温暖化などの環境問題です。
地球温暖化によって、農業への打撃、病気や飢餓の蔓延、異常気象などが発生しています。
一方、環境問題だけでなく差別や貧困といった社会課題も多くの国で未解決のままです。
現在、世界の人口は77億人を超え、このまま増加することを考えると2050年の世界人口は100億人を突破すると予想されています。これにより、貧困や経済の拡大が進み環境破壊や資源枯渇が発生する恐れもあります。
だからこそ、SDGsは「このままでは地球に住めなくなる」現状を解決することが大きな目的の1つになっています。
目的②:開発途上国だけでなく先進国も含めた課題を解決するため
SDGsの大きな目的の2つ目は、先進国も含めた世界中の国々の課題を解決することです。
SDGsの前身である「MDGs(ミレニアム開発目標)」をご存知でしょうか?
MDGsは、2000年に策定され、2015年までに解決するべき8つの目標を設定した国際目標です。主に開発途上地域における課題を取り上げ、達成すべき課題が列挙されています。
しかし現在、先進国内でもさまざまな課題が生じています。例えば日本でも、相対的貧困の問題が浮き彫りになり、経済格差が社会課題となっています。それ以外にも異常気象の発生など、先進国内でも課題は山積しています。
だからこそ、MDGsで解決しきれなかった先進国の課題や次々に発生する社会問題、環境問題も解決するためにSDGsは策定されました。
目的③:国を超えた協力によって課題を解決するため
今、地球規模で発生しているのが地球温暖化などの環境問題です。
環境問題を解決するためには、1つの国だけでなく、すべての国が協力して取り組まなければなりません。
また、環境問題だけではなく、国ごとに生じる経済格差の問題もあります。
2000年代に入り、世界ではさらにグローバル化が進み、物流網が急激に発展しました。
同時に開発途上国から先進国が安価に仕入れることによって、開発途上国の生活水準が向上せず、貧困や健康など、さまざまな問題を引き起こす原因になっています。
だからこそ、それぞれの国が、同じ課題を共有し、協力して解決していく姿勢が求められており、1つの国だけではなく、あらゆる国が協力して、SDGsの17の目標を解決する必要があります。SDGsの大きな目的の1つは、国を超えた協力体制をつくることでもあるでしょう。
(参考:MDGs(ミレニアム開発目標)とは?MDGsを知ればSDGsがもっと分かる!)
企業がSDGsに取り組む4つの目的とは
SDGsへの注目が高まる今、多くの企業がSDGsに取り組み始めています。
一方で目的を理解せずにSDGsに取り組めば、内容が伴わず、SDGsウォッシュとも呼ばれる状態に陥ってしまうケースもあります。
ここでは、企業がSDGsに取り組む目的について解説していきます。
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資金調達につながる
SDGsを経営方針に盛り込むことによって資金を得やすくなります。
これは金融市場において「ESG」と呼ばれる指標が台頭してきたことが背景にあります。
ESGとは「環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉で、企業の長期的な成長に必要な要素」とされています。
2006年に国連が投資家に対し、企業へ投資する判断材料としてこのESGの観点を取り入れることを提唱しています。しかしESGには明確な基準がありません。
そこで、SDGsの指標をESGの評価材料とする見方が広がっています。SDGsに取り組むことで投資家などから資金調達をするという目的でSDGsに取り組む企業も存在します。
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従業員や株主などのステークホルダーとの関係性向上
SDGsに取り組むことで、従業員や株主などのステークホルダーとの信頼を得ることも、企業がSDGsに取り組む理由の1つです。
なぜなら、SDGsに参加していることを株主や従業員などのステークホルダーにしっかりと伝えることで、ただ利益をあげるだけでなく、社会の中で役割を発揮していることをアピールでき従業員の会社への愛着が増したり、投資家からの評価が高くなります。
逆に、SDGsに取り組んでいない企業は、利益のみを追求していると見なされてしまう可能性もあります。
利益のみを追求し、社会や環境を犠牲にすれば、その会社の将来的なリスクにつながってしまう可能性もあり、特に投資家からの評価が下がってしまう可能性があります。
だからこそ、従業員や株主などのステークホルダーとの関係性を向上することを目的にSDGsに取り組む企業が増加しています。
ビジネスチャンスにつながる
SDGsは、世界規模の課題が17の目標に分類され、さらに169のターゲット(指標)に細分化されています。
言い換えれば、SDGsは、未だに解決されていないビジネスチャンスを網羅している目標とも捉えることができます。
SDGsで掲げられた課題を解決するサービスや製品を開発することによって、共感してくれる消費者や投資家、従業員が増えるという副次的な効果もあり、SDGsは、ビジネスチャンスの種とみなせるでしょう。
しかし、SDGsで掲げられた目標はどれもスケールが大きく簡単に解決できるものではありません。
企業毎にSDGsの目標を分解して考え、細分化した課題を捉えてサービスや製品を開発していく姿勢が求められているといえます。
SGDsを達成するために製品・サービスを開発することによってビジネスチャンスが得られます。
このように、ビジネスチャンスを広げることを目的としている企業も多く存在します。
企業のイメージアップ
SDGsに企業が取り組むと企業のイメージアップにつながります。
SDGsは、政府だけでなく、世界中の企業が注目する一種の「ブランド」です。
SDGsへの取り組みをアピールすることによって「企業の社会的役割が理解できる」や「将来性のある企業だと判断できる」といった消費者や就活生からの注目を集められます。
また、こういった先進的な取り組みを行い、社会に対してブランドイメージを大切にしている企業には先進的な取り組みに賛同した優秀な人材が集まります。
SDGsに積極的に取り組む企業は、ブランドイメージをアップすることで優秀な人材を集客することを目的としています。
SDGsの目的の裏にはどんな狙いがある?胡散臭いと感じる3つの理由
SDGsと聞くと皆さんはどのようなことを考えるでしょうか。
素晴らしいと考える人もいる反面、どうしても胡散臭いと感じてしまう方もいます。
では、なぜ胡散臭いと感じてしまうのでしょうか。3つの理由とともに解説します。
目標の表現が曖昧
まず、目標をみて胡散臭いと考える方が多いです。
SDGsの目標というのは「すべて」や「ゼロに」といった極端な表現が多く見られます。
このように定めた目標に現実味がないということが、SDGsは綺麗ごとであって胡散臭いといわれるひとつの原因であると言えます。
形式的にSDGsバッジをつけている人がいる
皆さんはSDGsバッジというものをご存じでしょうか?
SDGsバッジとは、17色の円状のバッジでSDGsの目標とリンクした色になっています。
SDGsバッジを付けていることで、SDGsに取り組んでいるという証にもなりますが、形式的にただ付けているというだけの人もいます。
また、SDGsバッジは誰でも購入できてしまうため、SDGsに取り組んでいるように見せかけてSDGsバッジを付けているだけの人が生まれてしまい、SDGsバッジの信頼性の低下と胡散臭いといわれる原因に繋がっていると考えられます。
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持続可能な社会に明確な定義がされていない
SDGsは「持続可能な開発目標」と訳されているように、持続可能な社会の創造を目指す世界共通の目標です。
しかし、「持続可能な社会」とはどのような状況を表すのかというのを公式に定義していません。抽象的に表されていることが多く、明確な基準が定められていないのが現状です。
また、世界が持続可能な社会になるために必要な「戦争撤廃」の目標が定められていないのも疑問に残ります。
このように「持続可能な社会」に明確な定義がされていないのが胡散臭いといわれる要因になっています。
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SDGsの目的が達成できていない2つの問題点
SDGsの目的が達成できていない世界の問題点
世界のSDGsの目的が達成できない問題点は、各国によってさまざまな課題がありますが、主に不安定な政治、内戦や紛争、経済状況の悪化・停滞、公衆衛生の不整備などの理由が挙げられます。
このように国の状況がSDGsの目標達成に大きく関わってくるということがわかります。
SDGsの目的が達成できていない日本の問題点
2021年報告書で、日本は17のゴールのうち「5:ジェンダー平等」「13: 気候変動」「14:海の生物多様性」「15:陸の生物多様性」「17:パートナーシップ」の5つの目標に深刻な課題があると評価されました。
これらの深刻な課題があると評価されている目標の共通点は、国内のデータ整備が不十分であるというところです。
SDGs報告書は、各国政府が出しているデータや統計に基づいて、進捗状況が評価されています。
しかし、この5つの項目のデータの更新が3年前や4年前で止まっているものもみられ、最新の状況がわかっていないです。
これが現在、SDGsの目的が達成できていない日本の問題点です。
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SDGsの目的を達成するための3つの手段(企業編)
多くの企業がSDGsに注目する中、どのようにSDGsの目的を達成すればいいのでしょうか。ここでは3つの手段をご紹介します。
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1.自社の強みを理解する
まずは自社の強みを理解することから始めましょう。
自社の強みを理解しない限り、SDGsのどの目標を達成すればいいのかが見えてきません。
自社の強みを理解することで、SDGsに「なぜ取り組むのか」が具体的に可視化され、効率的にSDGsを推進できます。
2.強みとSDGsを照らし合わせる(マテリアリティ)
自社の強みを理解したあとは、自社の事業がSDGsのどの目標に紐付いているのかを確認しましょう。
マテリアリティとは、自社に関わる「重要課題」のことを指し、マテリアリティを明確にし、SDGsと照らし合わせることで、自社がSDGsのどの目標に貢献しているのかが明確になります。
3.実行に移し、外部とコミュニケーションする
ここまできたら、従業員や株主などのステークホルダーに対して情報を開示しましょう。
どのSDGsの目標に取り組んでいるのかだけでなく、具体的な進捗具合などを共有することは、企業が「なぜSDGsについて取り組んでいるのか」や「どんな取り組みを行なっているのか」を周知することになり、企業の社会的価値の向上に繋がります。
SDGsの目的を達成するための3つの手段(私たち個人編)
マイボトルの持参
私たちにできる取り組みとしては、普段からマイボトルを持参することです。
ペットボトルはプラスチック資源です。現在、プラスチック資源によって海洋が汚染される問題が発生しています。この問題を食い止めるためにも日々の生活からペットボトルではなく、マイボトルを持参するようにしましょう。
エコバックの使用
皆さんは買い物をするときにエコバックの使用を心がけているでしょうか?
ショッピングバッグやレジ袋はプラスチックでつくられているものが多く、先ほどいった海洋問題にもつながります。いつでも買い物中にマイバックをつかえるようにかばんの中に常備させておいてください。
節電をする
使っていないときの電源は完全にオフにするようにしましょう。
毎回コンセントを抜くのは大変なので、電源タップを活用してオンオフにするなどの取り組みをしてみてください。
日中の時間帯も必要以上に電源をつけないようにするなど工夫してみてください。
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まとめ
今回はSDGsがなぜ策定されたのか「その目的」について解説してきました。
SDGsは国単位だけではなく、企業が取り組むべき課題であることがおわかりいただけたでしょうか。
特に企業編で紹介したSDGsの推進法についてはあくまで一例でありこれが正解というわけではありません。
今後SDGsについてどのように取り組めばいいのかより良い方法が出てきましたら、紹介していきます。
SDGs CONNECT副編集長。SDGsを他人事と思わず、当事者意識を持って考える「きっかけ」となる記事作成を目指しています。大学では「女性が生理休暇を取得しやすい環境を作る」をテーマに研究。