SDGs目標8の現状とは?|現状から課題解決のための取り組み事例まで解説

#働きがい#児童労働#経済成長#雇用 2021.11.25

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近年、児童労働問題や働き方改革が見直されていますが「働くこと」に対する問題は依然として世界中で共通の課題となっています。先進国である日本も例外ではありません。

2015年にSDGsが採択されてから約6年経過しましたが、労働条件や雇用環境など「働くこと」についての課題にはどのようなものが残されているのでしょうか。

今回は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の観点から世界・日本の課題や現状をご紹介します。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは

「働きがいも経済成長も」の概要

目標8は、「包摂的かつ持続可能な経済成⻑及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」のテーマのもと、12個のターゲットから構成されています。

テーマの中にある「ディーセント・ワーク」とは、
公正な所得、安心できる職場と家族の社会保障、自己啓発と社会的統合 のよりよい見通しを提供できる生産的な雇用を誰もが得られる機会を意味します。(引用:国連広報170822 Why it Matters Goal 8 Economic Growth(EJ))

すなわち、目標8では「持続可能な経済成長」と共に「誰もが人間としての生活や権利を守れるようにすること」を目指しているのです。

SDGs目標8についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

(参照:SDGs|目標8 働きがいも経済成長も 年間失業者数340万人以上! |SDGs JOURNAL)

SDGs目標8の世界の現状と課題

世界には、働く上での課題が多く残されています。それらの問題は「労働環境」「雇用条件」「ジェンダー」「若者」など、様々な要素が絡み合い解決が難しくなっています。

SDGs目標8で特に注目すべき4つの現状を見てみましょう。

現状① 失業率が高い

世界には、「働きたくても働けない」という人が多く存在しています。

失業率は労働力人口における失業者の割合のことを指します。

この場合の失業者は以下の3つの条件を満たす人のことです。

1)仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった。(就業者ではない)
2)仕事があればすぐ就くことができる。
3)調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた。(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)

新型コロナウイルスの影響もあり、世界全体の失業率は2020年に6.5%を記録し、今世紀最悪の結果となりました。2020年の世界の国別失業率ランキングを見ると、アフリカや南米の国々が多くランクインしており、31か国が10%を超えているのが現状です。

「働きたくても働けない」人は、日々の生活の安全や賃金の確保が保証されません。そのため生活に余裕が持てず、その日暮らしを繰り返す悪循環が生まれてしまいます。

(参照:グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト 統計データ配信)

現状② 労働環境のジェンダー格差が多い

近年は、世界中で性別に囚われない働き方の平等が重視されていますが、労働市場におけるジェンダー格差は未だ数多くの現場に存在しているのが現状です。

2017年の段階で、世界全体で見た女性の労働力率は男性より27ポイント近く低い49%強に過ぎず、女性の労働市場参加を手助けすることはジェンダー格差の是正に向けた最初の重要な一歩であるとされています。

また、労働環境においてLGBTQのようなセクシャルマイノリティに対する差別・偏見を持つ人も少なからず存在します。

性別やセクシャルを問わずディーセント・ワークを達成するためには、ジェンダーの問題は早急に解決すべきでしょう。

(参照:ILO新刊:男女格差の縮小が女性、社会、経済にもたらす相当の利益|国際労働機関)

現状③ 若者の雇用環境が悪化している

国際労働機関(ILO)によれば、技術革新が進み、作業の自動化などが進行する中で、職を失う危険性は年長者よりも若年層のほうが高いと言われています。

資格や経験があっても雇用自体が減少し、若者が職に就くこと自体難しくなっています。
2019年には15歳から24歳までの労働力人口の失業率は13.6%で、2000年の12.5%から1%も上昇していることがわかり、新型コロナウイルスはこれに拍車をかける自体となりました。

雇用自体の減少のほかに、求められる人物像の変化にも若者の雇用を難しくしている要因があります。近年、特に先進国では「即戦力」としての労働力が求められる傾向があり、新卒者がすぐに正規雇用されることは多くありません。

アメリカでは企業の採用担当者の66%は「学生は就職する準備ができていない」、58%は「新卒の学生を採用する予定がない」と考えられており、卒業後にインターンシップや有期雇用の形態で実務経験を積むか、ビジネス系のスクールで専門の知識・スキルを蓄えるしかありません。そのため、大学生が卒業後に就職するまでの無職期間は平均で6カ月を要するといわれています。

若者の雇用環境はシビアな状況だと言わざるを得ないのが現状です。

(参照:日本の「若者ニート率」は世界で2番目に低い! 労働市場を数字でつかむ!|DIAMOND online)
(参照:日本だけではない、先進国を覆う若年労働者の雇用問題 【前半】|the adecco group)

現状④ 児童労働が多い

児童労働とは、法律で定められた就業最低年齢を下回る年齢の児童によって行われる労働のことです。

国際労働機関(ILO)が公表している児童労働の現状によれば、2016年時点で5~17歳による児童労働者数は1億5,200万人と言われており、うち7,300万人は危険有害労働を行っています。特に割合が高いのはアフリカのこども達で、地域全体の約20%が児童労働に従事しています。

児童労働の割合が高い産業は農林水産業(70.9%)です。経済的に貧しい国や農作物が輸出品の要となっている国では、農作物の生産にはどうしても人手が必要となるため、不足する労働力を当たり前のようにこどもで補っています。

児童労働を強いられているこどもは、教育を受けさせてもらえない状態にあることが多く、基礎的な知識でさえ学ぶ機会を得られていないことが問題視されています。

(参照:児童労働とは?世界の現状を知り、対策や支援に協力しよう|goodo)

SDGs目標8の日本の現状

先進国と言われる日本にも、働き方に関する課題は数多く存在します。
ここでは、SDGs目標8の日本の現状をご紹介します。

現状① 長時間労働が多い

「ブラック企業」「サービス残業」という言葉は、誰もが聞いたことがあるのではないでしょうか。

日本は世界的に見ても長時間労働が課題であり、国連から「多くの労働者が非常に長時間の労働に従事し、過労死が発生し続けている」と指摘されたこともあります。

2016年の世界の労働時間ランキングでは、日本の労働時間は1713時間で22位という結果でした。しかし、この調査結果は全就業者が対象となっており、就業形態は問われていませんでした。すなわちパートタイム・アルバイト労働者も含まれているため、一般労働者に限定してみると状況は異なります。

一般労働者の男性1日当たりで考えると、日本男性の労働時間は平均375分、世界全体平均の259分と比較すると、なんと2時間近くも長い労働時間となります。

長時間の労働は生産性も低下し、私生活に支障をきたす原因となるため、残業しないための環境づくりが必要です。

(参照:日本の労働時間は世界より長い?日本の残業がなくならない理由と対策とは?|働き方改革ラボ)

現状② 雇用形態による賃金格差が大きい

非正規職員と正規職員の収入格差が大きいことも日本の現状であり課題とされており、時給に換算すると欧州では非正規職員の収入は正規職員の8割であるのに対し、日本は6割程度となっています。

非正規職員は、作業が比較的単純で、就業上経験の蓄積も考慮されない場合が多くあります。つまり、正規職員には可能な「社内でのさまざまな実績・経験による積み上げ」が非正規社員には生じにくいため、金銭的な面でのステップアップが難しい現状があります。

非正規職員の立場では賃金の上昇は望めず、ローンなどの審査も通らない場合が多くあり、全ての人が正規雇用に就ける社会の実現が課題とされています。

(参照:正規社員と非正規社員の賃金格差を年齢階層別にさぐる(2021年公開版))

現状③ 賃金の男女格差が大きい

「雇用形態の賃金格差」にあったグラフに男女別で平均賃金が描かれていたことに気が付きましたか?

同じ正規職員として雇用されていても、男性平均約35万円に対し、女性平均は約27万円。男女の間で8万円の格差があることがわかります。

男女の賃金格差の背景にある理由の一つは、出産・育児・介護による女性の一時離職室に高さです。厚生労働省の「雇用動向調査」では、30代の離職率は、女性のほうが高くなっています。男性は30~34歳が12.0%、35~39歳が8.6%であるのに対して、女性は30~34歳が16.6%、35~39歳が14.8%です。日本の企業は、未だに女性が出産後に復帰できる環境を整備できていないところも多く、キャリアを積みやすい男性の給与が上昇しやすい傾向にあります。

近年は結婚・出産など人生における大きなイベントを、会社と共に乗り越えられるだけの制度を整える企業も増加していますが、賃金格差を埋められるくらいの支援というものは実現できていません。

(参照:男と女の賃金格差がなくならない意外な理由|woman president)

SDGs目標8達成のために個人でできること

ここまで、日本や世界の現状についてご紹介しました。

現状から読み取れる課題を全てを解決するためには企業や政府の対策・制度の整備が不可欠であり、身近に考えるのは少し難しい内容もあったかもしれません。

では、私たち個人にはどのようなことができるのでしょうか?

①待機時間の短縮

長時間労働問題の解決の第一歩となるのは、やはり「残業をしない」ことです。

しかし、わかってはいても仕事の内容や量によっては残業をせざるを得ない場合もあるかと思います。

そこで意識していただきたいのは「待機時間の短縮」です。

「待機時間」とは仕事場に着いてから作業を始めるまでの時間や、定時から残業に取り掛かるまでの雑談時間など、「仕事場にはいるけれども仕事をしていない時間」のことです。

雑談など同僚とのコミュニケーションは確かに大切ですが、時間が長引いてしまうと仕事モードが抜けてしまい、作業効率が低下して「残業」につながることもあります。

休憩の時間はきちんと確保しつつ、決められた時間の中で最高のパフォーマンスをするために「待機時間」は意外と重要なポイントとなります。

②ワークライフバランスを取る

ワークライフバランスは個人単位でも取り組むことができます。
作業手順・時間の短縮はもちろんですが、仕事の場所や時間を時間を変えることもひとつの方法です。

具体的には「テレワーク」が代表的な例として挙げられます。例えば育児・介護中の人で時間的に制約がある場合でも通勤時間の分仕事ができたり、こどものお迎え等で仕事を一旦終了したり、家族が落ち着いた後に再び仕事をすることもできます。また、仕事に集中することで業務の生産性向上も期待できます。

このように、勤務形態や雇用調整を見直すこともワークライフバランスの改善につながります。

③地産地消に取り組む

「地産地消」とは、「地元でできた食材を地元で消費する」ことです。
言葉自体は聞きなれている方も多いと思いますが、地産地消が目標8の達成とどのようにか変わっているのかはご存じですか?

生産者にとって、地産地消は直接購入者の意見を聞けるなど様々なメリットがあり、地産地消の過程で生産者が働きがいを感じられる機会は多いと考えられます。

私たちが少し買うものを意識するだけで地元の人々の働きがいを生みだし、それがさらなる地域の雇用を創出して、地元の経済発展につながっていくのです。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

おわりに

今回は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の観点から世界・日本の課題や現状をご紹介しました。

現状として「働くこと」についての課題は数多く存在します。今後、私たちはその現状を理解し、適切に課題を把握すること、そこからできる取り組みを考えることが大切です。

この記事が皆様に新たな「働くこと」と視点をご提供できれば嬉しいです。

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